ミャンマーの少数民族・ロヒンギャが政府による激しい迫害で、一部が難民化し国際社会の中で問題となっている。

 ロヒンギャはミャンマー西部のラカイン州やバングラデシュ東部に住むイスラム系少数民族だ。このうちミャンマーでの推定人口は80~100万人。多くは英植民地時代に現在のバングラデシュ地域から流入した。

 ミャンマー国民の9割は仏教徒で、イスラム系少数民族のロヒンギャは「異端」の存在である。そのため、ミャンマー政府は、ロヒンギャを「国民」として認めていない。国籍を与えず、移動や結婚も厳しく制限している。いわば隔離状態にされているのだ。さらには、強制労働のほか、課税強化、財産没収など経済的な迫害も行なっているとされる。

 このため、一部は難民化し、密航船などで漂流する事態となり、国際問題化している。タイ、マレーシアやインドネシアなどはロヒンギャ難民の受け入れは消極的で、船の接岸さえ拒否している。

 ミャンマーは2011年に軍事政権から民政に移管し、欧米の経済制裁が緩和され、経済成長が著しい。しかし、ロヒンギャ問題はその経済成長に水をさしかねない。国際社会から人権問題として厳しい視線を向けられているからだ。

 ミャンマー政府はロヒンギャ問題に誠実に対応しないと、再び国際社会から孤立する可能性もある。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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