この冬、甘酒が大ブームになっている。

 甘酒は、米麹(こめこうじ)や酒粕(さけかす)などを原材料とする甘い飲み物で、古くは『日本書紀』にその存在を認めることができる。「飲む点滴」と呼ばれるほど栄養価が高く、ビタミンB群が豊富でアミノ酸やブドウ糖も摂取できる。現代では、冬の飲み物というイメージが強いが、かつては夏バテ防止の栄養ドリンクとして用いられることも多く、「甘酒」は夏の季語にもなっている。

 近年、甘酒の効果は科学的にも解明されており、栄養補給や疲労回復のほか、食物繊維やオリゴ糖による腸内環境整備で便秘解消、ビタミンB群や麹菌による美白効果などが期待されている。甘酒販売に力を入れている菓子メーカーの森永製菓と東京工科大学の共同研究では、甘酒には目の下のクマを薄くしたり、にきびの原因である皮脂を減らしたりする効果があると発表された。

 こうした甘酒の健康効果が注目され、市販の甘酒の売上げは年々上昇。インテージSRIの調査によると、2015年の甘酒市場は2011年の2倍に伸びている。甘酒市場を牽引する森永製菓は、缶入りの甘酒飲料のほか、フリーズドライ商品なども発売し、順調に売上げを伸ばしている。こうしたブームを受け、甘酒ブームに参入する清酒メーカーや外食産業は多く、スーパーやデパートの売り場には甘酒コーナーができるほどだ。

 また、インターネットのレシピサイトには、甘酒を使った料理やデザート、ドレッシングなどの投稿が目立つようになっており、魔法瓶やスープジャー、ヨーグルトメーカーで自家製甘酒を作る人たちもいる。

 甘酒の作り方は簡単で、60度程度のお湯に米麹を加えてまぜ、魔法瓶やスープジャーなどの保温容器で8~10時間保温するだけだ。スーパーやネットなどで米麹も手に入りやすくなっているので、自家製甘酒を作ってみてはいかがだろうか。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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