カギや電子機器、財布などの貴重品……、よくモノを落っことして困るタイプには、福音となったことであろう。紛失物の追跡ができる無線タグ「MAMORIO(マモリオ)」が話題だ。「なくすを、なくす」がキャッチコピーとなっている。

 MAMORIOは重さ3gで縦35.5mm×横19mm×厚さ3.4mとごく小さいので、財布やキーケースなどの中に入れておくのもわけがない。スマホのアプリと同期して、タグとのあいだに一定の距離ができる(無線の接続が切れる)と、自動的に通知が届く仕組みだ。紛失に至った場合でも、GPS機能を使ってその場所が地図上に示される。

 ただし、位置情報はあくまで「最後になくしたときの場所」。いまタグが実際にある位置ではない。警察に届けられる、持ち去られるなど、忘れ物の位置が変わった場合には当然わからなくなる。こういうとき、「みんなで探す」機能(クラウドトラッキング機能)を活用することもできる。ほかのMAMORIOユーザーが忘れ物に取り付けたMAMORIOとすれ違った場合、現在の位置情報が更新されるのだ。「誰か」と協力する感じがユニークなアイディアだ。

 その機能性には鉄道会社も飛びついた。現在、首都圏の東京メトロや小田急では、忘れ物自動通知サービスの実証実験が行なわれている。忘れ物センターに届いた荷物にMAMORIOのタグが付いていた場合、その旨を知らせてくれるのだ。鉄道会社において忘れ物の管理は甚大なコストになり、今回の試みで一定数を減らせるのでは、と期待されている。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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