北戴河は中国・北京近郊(約270キロ)にある河北省の保養地。海沿いにあり、この地で毎年夏、中国共産党の幹部と長老らが重要課題や人事について話し合うことで知られる。

 北戴河会議は党大会や中央委員会総会の準備的会合との位置づけだ。会議内容は公表されない。

 いつ頃から始まったかは不明だが、「水泳が好きで避暑のため当地によく滞在した毛沢東指導下ではないか。1950年代だろう」というのが通説だ。

 避暑地であることから、党幹部らが夏休み気分で集まる、というわけではない。水面下で激しい権力闘争や駆け引きが繰り広げられるというのだ。中国共産党の権力闘争の構図は(1)習国家主席(党総書記)の派閥、(2)江沢民元総書記の「江派」、(3)胡錦濤(こ きんとう)前総書記系の共産主義青年団(共青団)グループという、3つの派閥から成り立っている。

 とりわけ今年の北戴河会議は緊張感が増していたという。今秋に5年に1度の党大会(第19回)が開催されるからだ。党大会では、習近平政権2期目の指導部人事、習氏への権力集中を進める党規約改正などの取り扱いが焦点で、せめぎ合いが強まっているとの観測が専らだ。

 その一つが、会議直前の2017年7月14日に行なわれた孫政才(そんせいさい)・共産党政治局員の摘発だ。重慶市トップだった孫氏のバックには、江派や温家宝氏(胡錦濤政権で首相)がついていたとの見方もある。

 孫氏の後任には陳敏爾(ちんびんじ)氏(貴州省党委書記)が就いた。同氏は、習氏の浙江省勤務時代の部下だった。重慶市トップは首都・北京市トップなどとともに党指導部である政治局員が務めるのが通例。陳氏も指導部入りし、習政権の中枢を固めるものとみられる。習氏は同じく福建省時代からの側近、蔡奇(さいき)氏を北京市トップに抜てきしている。

 北戴河会議、秋の党大会を通して習氏は共産党指導部で、自派の多数派形成を推し進めるとみられる。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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