「おくどさん」は「お曲突さん」と書く。「くど」とは「火処(ほど)」を意味しており、前後に「お」と「さん」を付けた最高尊敬語といえるだろう。今日では、火を焚く「かまど」や「かまど」のある場所を意味することばとして使われ、「町家の台所」みたいなイメージで受け取られている場合が多い。だが、本来はかまど神信仰に基づく神様を表したことばである。かまど神とは、「荒神(こうじん)さん」が「かまど」に宿るという民間信仰に基づき、「三宝荒神」を意味している。京都における「三宝荒神」は火伏せ神であり、家の守り神としても大切にされている。
実際の町家に残っている「おくどさん」では、「かまど」のうちの一つ(通常は大かまど)を「三宝荒神」とし、神棚のように祀っている家が多い。昔はこの「かまど」には、神様の依り代(しろ)となる「榊(さかき)」を欠かさず、火を絶やすこともなかったそうだ。また、「おくどさん」にある「かまど」の数は、縁起の悪い「四」の数を嫌い、「三つかまど」や「五つかまど」、「七つかまど」などの形態が多い。また、「おくどさん」の蓋の形や焚き口には、火難除けの魔除けとして「猪(い)の目」などの装飾が施されている場合が多く、これは家や地域独特の模様となっている。
今でも薪で火を焚いている「おくどさん」というのは、本当に少なくなってしまったが、昔は焼けるとよい香りを発する栗の皮などを一緒にくべて、「荒神さんを喜ばせていた」というような話を聞いたことがある。京都の町家では「おくどさん」にある荒神棚の伏見人形の「布袋(ほてい)さん」を七体揃え、開運、厄除け、火防(ひぶ)せなどの願いを込めるという風習がある。
愛宕神社の一の鳥居脇にある、あゆよろし・平野屋のおくどさん。
実際の町家に残っている「おくどさん」では、「かまど」のうちの一つ(通常は大かまど)を「三宝荒神」とし、神棚のように祀っている家が多い。昔はこの「かまど」には、神様の依り代(しろ)となる「榊(さかき)」を欠かさず、火を絶やすこともなかったそうだ。また、「おくどさん」にある「かまど」の数は、縁起の悪い「四」の数を嫌い、「三つかまど」や「五つかまど」、「七つかまど」などの形態が多い。また、「おくどさん」の蓋の形や焚き口には、火難除けの魔除けとして「猪(い)の目」などの装飾が施されている場合が多く、これは家や地域独特の模様となっている。
今でも薪で火を焚いている「おくどさん」というのは、本当に少なくなってしまったが、昔は焼けるとよい香りを発する栗の皮などを一緒にくべて、「荒神さんを喜ばせていた」というような話を聞いたことがある。京都の町家では「おくどさん」にある荒神棚の伏見人形の「布袋(ほてい)さん」を七体揃え、開運、厄除け、火防(ひぶ)せなどの願いを込めるという風習がある。
愛宕神社の一の鳥居脇にある、あゆよろし・平野屋のおくどさん。