われわれ日本人の食にとって魚介類は重要な位置を占めている。が、その産地について考えることは多くない。たとえば、日本がどこからタコを輸入しているか、ご存じだろうか? 答えは、アフリカの大西洋沿岸、モロッコやモーリタニアである。だが、近年は輸入量が急激に減っている。おそるべきことに、獲り尽くしてしまったからだ。

 いまや「スシ」は日本の文化として世界に認められているようだ。すると、われわれ日本人が思いもよらなかった「視点」が外国から提供されることもある。最近海外で注目されているのが、未来に向けて種の保存上問題のないネタだけを寿司にしよう、という概念だ。英語で「持続可能な」の意味から、「サステナブル寿司」と呼ばれている。

 たしかに乱獲によって生態系を壊すことはまずい。この動きでアメリカのいくつかの環境団体が基準を示しているが、特にモントレー湾水族館が発表しているガイドが有名だ。そこで「Avoid(避けるべき)」ネタとされるのは、最近ニュースで漁獲量の減少が話題となっているホンマグロ・ウナギなどはもとより、タコ・ウニ・エビなど、我が国の庶民に愛されている魚介が並ぶ。

 念のため強調しておきたいが、「食べては駄目」ではなく、「将来に渡って食べ続けるために抑える」わけだ。だがおそらく大多数の日本人にとって、多くの寿司ネタが楽しめなくなるとあっては、非常にショックなのではないか。世界的な水産資源の減少傾向がある中、なんとも悩ましい話ではある。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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