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西本願寺3世覚如上人(かくにょしょうにん)の伝記を叙した南北朝時代の絵巻。覚如の子慈俊(じしゅん)の撰(せん)になり、上人の帰寂(きじゃく)を慕う意味でこの名がつけられた。詞書(ことばがき)は三条公忠(きんただ)ら数人の執筆、絵は藤原隆昌(たかまさ)・隆章(たかあき)の筆で、1351年(正平6・観応2)の制作。10巻からなるが、第1、7巻は後世に紛失し、1482年(文明14)に飛鳥井雅康(あすかいまさやす)が詞、藤原久信が絵を補作している。初めの巻の絵は伝統的な宮廷絵所の様式を伝え、南北朝時代大和(やまと)絵の典型を示す。補作2巻を含め、画中に日常生活の描写が随所にみられ、当時の生活を知るうえの資料としても貴重である。京都・西本願寺蔵。重要文化財。
[村重 寧]