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新古今和歌集

ジャパンナレッジで閲覧できる『新古今和歌集』の日本古典文学全集・世界大百科事典・日本国語大辞典のサンプルページ

新編 日本古典文学全集
新古今和歌集
しんこきんわかしゅう
【閲覧画面サンプル】
新古今和歌集 全体

【上記の拡大画像】
新古今和歌集 拡大

【現代語訳】
新古今和歌集序(仮名序) 〔一〕
和歌は、昔、天地が開け始めて、人の営みがまだ定らなかった時、日本の歌として、稲田姫の住んでいた素鵞の里から伝わっているということである。そうした時以来、和歌の道が盛んに興り、その流れは今日まで絶えることがなくて、恋愛に熱中したり心の思いを述べ訴えたりするなかだちとし、世を治めたり民の心をなごやかにしたりする道としている。このようであったので、代々の帝も和歌をお捨てにならず、選び集めて置かれたいくつもの勅撰和歌集は、家々の賞翫書となって、もはや、言葉の美しい歌は、拾い残されて落ちている所がありにくく、思いの深い歌は、拾い漏されて隠れている所もあるはずがない。そう

【目次】
目次
古典への招待
凡例

新古今和歌集(扉)
新古今和歌集序 (仮名序)
〔一〕和歌の歴史
〔二〕新古今集編集の企画
〔三〕和歌の本質
〔四〕新古今集編集の目的と特色
〔五〕編集終了と歌道振興の自負
巻第一 春歌 上
巻第二 春歌 下
巻第三 夏歌
巻第四 秋歌 上
巻第五 秋歌 下
巻第六 冬歌
巻第七 賀歌
巻第八 哀傷歌
巻第九 離別歌
巻第十 羇旅歌
巻第十一 恋歌 一
巻第十二 恋歌 二
巻第十三 恋歌 三
巻第十四 恋歌 四
巻第十五 恋歌 五
巻第十六 雑歌 上
巻第十七 雑歌 中
巻第十八 雑歌 下
巻第十九 神祇歌
巻第二十 釈教歌
新古今和歌集序 (真名序)
〔一〕和歌の歴史
〔二〕新古今集編集の企画
〔三〕新古今集編集の目的と特色
〔四〕新古今集成立の意義と自負

校訂付記
解説
一 新古今時代
二 『新古今和歌集』の成立
三 『新古今和歌集』の抒情
四 後鳥羽院の美学
五 新古今歌風享受の願望
六 底本について
参考文献
付録(扉)
隠岐本新古今和歌集跋
作者略伝
初句索引
奥付



改訂新版・世界大百科事典
新古今和歌集
しんこきんわかしゅう

鎌倉初期,後鳥羽院が編纂させた勅撰和歌集。20巻。略して《新古今集》ともいう。巻頭に仮名序,巻尾に真名序を付し,春,夏,秋,冬,賀,哀傷,離別,羇旅,恋,雑,神祇,釈教に分類され,すべて短歌形式の歌で長歌,旋頭歌などの雑体は含まない。流布本で1979首を収める。八代集の最後に位置し,《万葉集》《古今和歌集》と並ぶ古典和歌様式の一典型を表現した歌集と評価されている。撰者は源通具,藤原有家,藤原家隆,藤原定家,藤原雅経。

撰集経過,成立

鎌倉幕府に対抗し,朝廷の威信の回復を念願した後鳥羽院は宮廷和歌の興隆に熱情をそそいだ。歌壇新旧両派の統一をうながすとともに,みずからも作歌活動の中心に立ち,〈正治初度百首〉〈正治第二度百種〉〈老若五十首歌合〉〈千五百番歌合(院第三度百首)〉などを主催,同時に新しい勅撰和歌集の実現をめざして,1201年(建仁1)7月和歌所を設置して藤原良経らを寄人に,源家長を開闔(かいこう)に任じた。同年11月には寄人のうちから撰者6名(うち寂〓が中途で死去)を指名,和歌撰進の院宣を下した。各撰者は1年半後に撰歌稿を提出,さらに院自身の再撰歌作業が1年半も続いた(御点時代)。続いて分類・配列作業に入り,ことに作品の配列は,その時代的特色や,主題・副主題の密接な連続と調和に細心の配慮を加えたが,その間も新たな当代の秀歌を求めて歌合などを繰り返し,作品の加除がしきりに行われた。こうして分類整理が一応終わった段階で,1205年(元久2)3月26日竟宴が催され,公式にはこれが《新古今集》成立の日とされた。しかし実際は,翌々日から院の意志による歌の増補(切入(きりいれ)),削除(切出(きりだし))が行われ,約60首の新作歌も切入された。この改訂作業(切継(きりつぎ))の期間は5年間にもわたる(切継時代)。ようやく1216年(建保4)12月26日,最終的な定本が開闔の源家長の手で清書され,第2次完成をみるにいたった。その後,承久の乱で隠岐に流された後鳥羽院は,さらに精撰本を作製,380首ほどを除棄した。院の親撰という点を尊重して,この隠岐撰抄本を最終形態とみれば,集の成立を1235年(嘉禎1),36年とする見方も成り立つ。しかし実際に流布したのは切継時代に定家,家隆が書写した本文,または家長浄書本系統であり,その意味では,形式的には第1次,実質的には第2次の成立を重視すべきである。伝本は,撰集段階を反映して,第1類元久2年原撰本系統,第2類定家家隆書写本系統,第3類建保4年家長浄書本系統,第4類隠岐撰抄本系統の4種が想定されるが,第2類のほか純粋本文が伝存せず,現存伝本も種々の混態を示す。通常,第3類本文の復元を目標に校定される。

作者,歌風

《万葉集》は別として,《古今集》から《千載集》に至る先行の七つの勅撰集に入集している作は撰歌対象とせず,当代新風和歌を中核に据えた。西行,慈円,良経,俊成,式子内親王,定家,家隆,寂〓,後鳥羽院,俊成女の,入集歌の多い上位10名の当代歌人のうち,西行以外は御子左(みこひだり)派新風歌人である(御子左家)。古典和歌の史的変遷を映しだすとともに,その必然の帰結として当時の新風を誇示する気迫が示されている。〈幽玄〉体と称された新風は,俊成・定家父子の創造,ことに定家の独創に影響され,技法としては本歌取りの極限的な活用が志向された。古典和歌の1首または2首を本歌として取り,その再構成をはかる。本歌の特徴的な表現を部分的に導入することで,表現の細部に本歌の映像と詩趣をただよわせ,密度の濃い多重的心象を構成して奥深い心の陰影をとらえる。それは,古典和歌,物語,漢詩の情調に没入する幻想的・耽美的情念を基調とする作歌法であったから,六条家の平板な古典主義と違って,余情・妖艶の美を造型する夢幻的芸術至上主義の詩として,和歌を再生させることを意図している。構成的な技巧としては初句切れ,三句切れ,体言止めが多用される。こうして,絵画的,物語的,幻想的,象徴的などといわれる華麗な新古今様式がうみだされた。古典を媒介とする幻想的美意識の放射,物語的情調の圧縮的な投影,鋭敏で透明度の高い季節感情の把握などが,それぞれ多彩に連関しあってイメージの小宇宙を形成している。

定家の〈春の夜の夢の浮橋とだえして峯に別るる横雲の空〉〈年も経ぬ祈る契りは初瀬山尾の上の鐘のよその夕暮〉,家隆の〈霞立つ末の松山ほのぼのと波に離るる横雲の空〉,式子内親王の〈玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする〉,寂〓の〈さびしさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮〉,良経の〈うち湿りあやめぞ薫る郭公鳴くや五月の雨の夕暮〉〈きりぎりす鳴くや霜夜のさ莚に衣かたしきひとりかも寝む〉,後鳥羽院の〈桜咲く遠山鳥のしだり尾のながながし日も飽かぬ色かな〉,俊成女の〈風通ふ寝覚めの袖の花の香に薫る枕の春の夜の夢〉などの代表作に彼らの美意識が顕現されているのがみられる。しかしこの時代でも,深い真情の表現が尊重されたことに変わりはない。華麗な技巧を超えた,優美で高貴な余情をたたえる人間的真実の表現は,最高の秀歌といわれた。同時に,人の世の根源的な悲哀,静澄な無常感や孤独感の抒情もこの集には多い。むしろ変転する現世に生きる虚無感や反現実の志向が,一方では華麗妖艶の幻想美に反転したともいえる。

影響

《新古今集》は撰集規模,形態,方法などで後続勅撰集の規範となるほか,表現様式面では,ことに京極派の撰集《玉葉和歌集》《風雅和歌集》に継承された。また美的理念を通して,連歌,能,茶道など,中世の芸道の象徴理論に影響を及ぼした。また東常縁(とうのつねより)の注釈を細川幽斎が増補した《新古今和歌集聞書》があり,宗祇,肖柏,宗長ら連歌師によって注釈的研究もさかんに行われた。近世には新古今を称揚した本居宣長による《美濃の家づと》,また石原正明の《尾張迺家苞(おわりのいえづと)》などの研究書が知られる。近代では,新詩社の浪漫主義運動により再評価され,さらに北原白秋,太田水穂ら象徴主義歌人,ひいてはマチネ・ポエティクの詩人たちに,日本象徴詩の源泉としての評価を受け,塚本邦雄ら前衛歌人の文学運動を生んだ。
[近藤 潤一]

[索引語]
後鳥羽天皇(院,上皇) 新古今集 切継(文学) 本歌取り 新古今和歌集聞書


日本国語大辞典

しんこきんわかしゅう[シンコキンワカシフ] 【新古今和歌集】

解説・用例

鎌倉初期にできた、八番目の勅撰和歌集。二〇巻。歌数は流布本で約二〇〇〇首。建仁元年(一二〇一)後鳥羽院の院宣によって源通具、藤原有家、家隆、定家、雅経が撰し、元久二年(一二〇五)成立したが、その後も改訂(切り継ぎ)が行なわれた。真名序は藤原親経、仮名序は藤原良経執筆。代表歌人は西行、慈円、寂蓮、式子内親王、藤原良経、俊成、定家、家隆など。繊細で優雅な調べが追求され、耽美(たんび)的・ロマン的・情趣的な傾向が強く、その歌風は「万葉集」「古今集」と並び称される。八代集の一つ。新古今集。

*新古今和歌集〔1205〕仮名序「すべてあつめたる歌ふたちぢはたまき、なづけて新古今和歌集といふ」

発音

シンコキンワカシュー

〓[カ]〓(0)=[カ]


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21. あき 惜(お)しむ
日本国語大辞典
去り行く秋を惜しむ。《季・秋》*新古今和歌集〔1205〕秋下・五四九「身にかへていざさは秋をおしみみむさらでももろき露の命を〈守覚法親王〉」*俳諧・増山の井〔1 ...
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23. あきかぜ 立(た)つ
日本国語大辞典
も)打棄(うつつ)る人は秋風之立来(あきかぜのたちくる)時にもの思ふものそ〈作者未詳〉」*新古今和歌集〔1205〕秋上・三〇〇「あはれいかに草葉の露のこぼるらん ...
24. あき 暮(く)る
日本国語大辞典
5〜914〕秋下・三一二「夕月夜をぐらの山に鳴く鹿の声のうちにや秋はくるらむ〈紀貫之〉」*新古今和歌集〔1205〕秋下・五二二「鵲(かささぎ)の雲の梯(かけはし ...
25. あき さる
日本国語大辞典
「安吉佐礼(アキサレ)ば霧立ちわたる天の河石並(な)み置かば継ぎて見むかも〈大伴家持〉」*新古今和歌集〔1205〕雑上・一五六二「雲かかるとほ山ばたの秋されば思 ...
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28. あき の 形見(かたみ)
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か〕秋・二一四「暮れてゆく秋のかたみに置くものは我がもとゆひの霜にぞありける〈平兼盛〉」*新古今和歌集〔1205〕冬・五六六「から錦秋のかたみや立田山散りあへぬ ...
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別・三八五「もろともに鳴きてとどめよきりぎりす秋のわかれは惜しくやはあらぬ〈藤原兼茂〉」*新古今和歌集〔1205〕冬・五五一「おきあかす秋のわかれの袖の露霜こそ ...
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野白内証鑑一之巻目録自分の行状の弁解をした野郎の話秘密の色遊びはばれたが、始めより末に至って情勢が好転した野郎の大臣。その相手は羽ぶりのよい撞木町の女郎。悪性をささやいてすすめる耳塚の駕籠屋。客に肌を見せない白人の話 外面は菩薩のようだが内情は
豊後国風土記(日本古典文学全集)
豊後の国。郡は八所、〔郷は四十、里は百十〕駅は九所、〔みな小路〕烽は五所、〔みな下国〕寺は二所〔一つは僧の寺、一つは尼の寺〕である。

豊後の国は、本、豊前の国と合わせて一つの国であった。昔、纏向の日代の宮で天下をお治めになった大足彦の天皇
魯迅 その文学と革命(東洋文庫)
中国近代文学の父であり,偉大な思想家でもある魯迅は,知識人としての苦悩のなかで,中国の「寂寞」を見つめ,自らをも傷つける「革命」を志向する。著者会心の魯迅伝。1965年07月刊
論語徴(東洋文庫)
秦・漢以前の古文辞に対する確固たる自信から孔子の言論を読みとく,論語の注釈のなかでもっとも論争的な注釈書。卓抜した孔子論を展開するとともに,徂徠自身の思想も開陳する。第1巻は,学而,為政,八佾,里仁,公冶長,雍也,述而,泰伯。1994年03月刊
近世和歌集(日本古典文学全集)
年内立春 去年と今年の二本の緒で縒り合わせて掛けて同じ年が一本にまとまらないように、こんがらがってなかなか理解できない春はやって来た。やや趣向倒れの感がある。長嘯子としては機知を働かせたのだろうが。鶯 軒端の梅が咲いていて、一晩中鶯の到来を
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