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  11. 神代文字
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神代文字
じんだいもじ

漢字の渡来および〈かな〉の成立に先だって,上古の日本にかつて行われたと称せられる文字。〈神字〉と書いて,〈かんな〉とも呼ぶ。そのような固有の文字が存在したとする説は,おそくとも室町時代から神道家の間にひろまっており,江戸時代においては,平田篤胤をはじめ国学者のうちに,その存在を主張する者が少なくなかった。一方,伴信友のように,それを否定する者もあって,議論が沸いたが,明治になって後は,学者としてその存在を信ずるものはほとんど影をひそめるにいたった。ただ,いわゆる愛国者とか軍人などのなかには,昭和年代に入ってさえ,その存在を信ずるものがあって,政治問題にまでも発展しかねない事件を引き起したことがある。

 一口に神代文字といっても,そのなかにはいろいろの種類があって,神代文字の存在を支持する人々の間においても,どれを真の神代文字と認めるかについては論の一致をみないが,多くの人々によって最も有力なものとみなされたのは,日文(ひふみ)と呼ばれる一類である。しかしこれは明らかに,朝鮮のハングル(諺文(おんもん))に基づいて作られたものである。日文のほかのものも,結局は,すべて国粋尚古の念から偽作付会されたものにほかならない。古代に固有の文字がなかったということについては,日本の文献自体に古くそれに関する記事があり,神代文字で書かれた古い文献のようなものは一つも残っていないばかりでなく,つぎに掲げるような理由から,その存在は完全に否定することができる。(1)漢字に先だってすでに固有の文字があったとすれば,わざわざ漢字を輸入して日本語を写したり,それから〈かな〉を発達させたりする必要は考えがたい。(2)神代文字はその構成において,かなよりもいっそう進歩した文字とみなされる。かなは音節文字であるのに,神代文字は一種の単音文字である。(3)最後に,これは否定の決め手であるが,神代文字は47音ないし50音しか書き分けない。奈良時代以前にまでさかのぼると,日本語の音節には〈いろは〉47文字では書き分けられない多くの音があり,それらは五十音図のうちには収められないところの音であった。すなわち,いろは歌や五十音図だけでは示しきれないところの音が上代にはあったのである。これらを〈万葉仮名〉ではちゃんと書き分けてその区別を守っている以上,もし神代文字が真に〈かな〉以前のものであったとすれば,少なくとも,もっと多くの字体がなければならないのに,いわゆる〈変体仮名〉にあたるものさえなく,きわめて整然とした統一をもっているのである。
[亀井 孝]

[索引語]
神字 日文

表-神代文字日文
表-神代文字日文
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9. 新井白石
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19. こだい‐もじ【古代文字】
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20. 書
日本大百科全書
小松茂美日本書道史中国書道の影響日本における文字の使用は漢字の伝来に始まる。かつてはそれに先行する「神代文字」の存在が主張されたこともあったが、今日では否定され ...
21. しりうごと(近世随想集) 420ページ
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23. しん‐じ【神字】
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25. じんだい‐じ【神代字】
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〔名〕「じんだいもじ(神代文字)」に同じ。*文芸類纂〔1878〕〈榊原芳野編〉一「以上の諸体今世伝へて神代字といふ」 ...
26. 菅江真澄遊覧記 5 301ページ
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27. 蔵書印 9[別刷図版]
国史大辞典
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東洋文庫
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29. だい‐きょうせい[‥ケウセイ]【大教正】
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30. 東遊雑記 奥羽・松前巡見私記 207ページ
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31. どうぶんつうこう[ドウブンツウカウ]【同文通考】
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神代にはもともと文字があって、推古朝になってもまだト部家に蔵せられていたという。近世になって平田篤胤は神代文字の説を主張した。その根拠とする鎌倉八幡寺や大和の三 ...
34. にほんのもじのえんかく【日本の文字の沿革】 : 文字
国史大辞典
窟の刻跡なども文字と確認されていない(別項「手宮洞穴遺跡」)。神代文字と称するものは、中世以来存在説があり、近世には多種の神代文字が示されたが、いずれも後代の臆 ...
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36. ひのみさき【日御碕】島根県:簸川郡/大社町
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号は大角(大壑)・気吹舎(伊吹迺舎)。秋田藩士大和田祚胤の子。本居宣長の没後の門人となり、国学を学び神代文字の存在を唱え、尊皇復古を主張する神道説を説く。その思 ...
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〔名〕表音文字の一種。神代文字の一つとして、日本で、漢字渡来以前に行なわれたと称するが証拠はない。*文芸類纂〔1878〕〈榊原芳野編〉一「彼の日文及天名地鎮秀真 ...
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その五十音図を一見せんと希望したことは、如何にも尤もである。此の結末は今判ってはいないが、上古文字が若し神代文字の謂とすれば、その偽作なることは論を俟たない。従 ...
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女蚕績織家饒栄理宜照法守進悪攻撰欲我刷とあった。大己貴尊と天八意命(思兼命)とはこの言葉から神代文字をつくることに意見が合致した。 ...
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固有の文字をもたなかった中国の近隣諸国が、漢字を書記用具として輸入した際に、それぞれの漢字に伴う中国語の発音を同時に取り入れて、自国語のなかに定着させたもの。「漢字音」または単に「音」ともいう。本来の中国語の発音を「中国(漢)字音」とよぶのに対して
吏読(文字)(日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
朝鮮で国字ハングルの創案(1443)以前に発達した漢字による朝鮮語の表記法のこと。吏道,吏吐,吏書などとも書く。広義には,漢字の音や訓を利用して行った朝鮮語表記の総称としても用いられ,三国時代の固有名詞や官職名の表記を含めていうこともあるが,狭義では,郷札,口訣
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