当図書館の蔵書数は、現在、約28万5000冊で、その内の40パーセントが洋書で、さらにその40パーセントに当たる4万5600冊がスペイン語図書になっています。これは、本学の設立母体がスペインに本部を持つカトリックの聖心侍女修道会であることに起因しています。私たちも参加しているOCLC (Online Computer Library Center)の世界最大級のデータベース「WorldCat」で検索しましたところ、所蔵館が当館だけだったという希少本もあります。
各方面でも取り上げられておりますが、図書館の書架の収納にも限界がございます。当館でも2002年ごろから、海外の百科事典に関しては、オンライン化していこうという動きが活発になってきました。特に本学の特色でもあるスペイン語のデータベース(脚注)は力を入れました。
そんな中、日本語のデータベースも無いものか、と調査してみましたところ、「ジャパンナレッジ」の存在を知ることとなりました。
学生の皆さんに使っていただいてこそのデータベースですので、その使い方は、必修科目のひとつとして扱わせていただいています。2005年度からの導入教育の一環として共通基礎演習という科目が設けられ、新入生全員に対して図書館関連のガイダンスを行っているのです。その中でもジャパンナレッジは、使いやすく、便利なデータベースとして必ず紹介させていただくことになっています。
本校は、少人数教育を目指していることもあり、ひとりひとりに丁寧に図書館の使い方をお教えしようと思っております。また、これからますます電子資料は不可欠なものとなってまいりますので、早い時期に学生全員にその知識を習得していただきたいという気持ちもございます。
やはり、一度「ジャパンナレッジ」を使った学生は、その便利さと典拠の大切さを憶えてくれるので、次に何かを調べようという時には、安易にネット検索だけに頼らず、「ジャパンナレッジ」を使ってくれているようです。
新入生ばかりでなく、専攻分野別のレポートや論文作成用のガイダンスもあります。
いざレポートを書こうという時に、テーマを絞り込めずに難儀しているという学生の話をよく耳にいたします。それらに対するレファレンスを兼ねたガイダンスです。
各ゼミの教員と事前に打ち合わせをして、その方針に沿ったやり方で「ジャパンナレッジ」を検索してみるという実践的な内容です。キーワードを入力してみて、そこから検索された人名や歴史的な背景、関連サイトを吟味してテーマの絞込みの糸口が掴めるようにしていきます。
受講者数は2006年の新入生ガイダンスで429名、さらに専攻分野別の論文作成用のガイダンスで342名、と計771名が参加しています。学生数が千数百名の本学ではありますが、かなりの浸透度と自負しております。
参加する学生全員に使わせたいので、その時だけ、アクセス数を増やしていただけるのも「ジャパンナレッジ」のありがたいところです。他のデータベースですと、なかなか参加者全員に行き渡らず、演習にならないのが実情です。その点でも、「ジャパンナレッジ」のサービスには助けていただいております。
「ジャパンナレッジ」には様々な事典・辞書が搭載されており、非常に便利なのですが、逆に、その数が膨大で学生に意外に知られていないコンテンツも多いのです。
例えば「会社四季報」や「週刊エコノミスト」です。就職活動を控えている3年生などには、ぜひ使っていただきたいのですが、たどりつけていない利用者が多いようなのです。
そこで、当館のホームページに「探し物ガイド」(脚注)を設置して、「ジャパンナレッジ」とは別に、それぞれのコンテンツの紹介と単体としての利用法を解説するようにしてみたのです。
「日本大百科全書」を単体で使うのであれば、あえて「ワンルック」検索からそれだけを選択させるように説明しています。
また、「会社四季報」であれば、上部タブの「記事・企業情報」の中から選択するように誘導していきます。
複数の辞書・事典を比較検索できる「ワンルック」の優位性は、十分理解しているつもりです。ただ「ジャパンナレッジ」へのリンクボタンを設置するだけでは、学生がコンテンツを使いきれていないという実情もあり、個々のコンテンツへ到達できるような工夫をしてみた次第です。
いろいろと便利に使わせていただいている「ジャパンナレッジ」なのですが、当館の特徴である洋書の多さに対応して、ヨーロッパ語の辞書を搭載していただければ、大いに助かります。特に、スペイン語ですね。実は、司書が通常業務で使用しているスペイン語辞書に、小学館さんの「西和中辞典」というものがあるのです。これなど最適かと思っております。この機会に、ぜひご検討ください。