『週刊ポスト』(9/7号)が「『早朝ビジネス』でガッチリ儲ける!」という特集を組んでいる。
 「日本人のライフスタイルは夜型から朝型に移行しつつあり、サラリーマンも“脱アルコール”路線が明確になってきた」(ニュースサイト『フードスタジアム』佐藤こうぞう編集長)
 朝9時開店を7時からにしたスーパーマーケットのイオン。すき家は早朝5時から10時半まで「たまごかけごはん朝食」を200円で提供。マクドナルドの「朝マック」に対抗してモスバーガーも「おはよう朝モス」を始めた。ファミリーレストランのロイヤルホストは午前11時までモーニングサービスの時間だが、子どもたちを送り終えた母親がこぞって来ている。
 リサーチ会社「エヌピーディー・ジャパン」の調査によると、大手ファーストフードチェーン8社の2010年6月~2011年5月の朝食による売り上げは前年比15.5%も増えている。
 スポーツジムのゴールドジムやティップネスは朝7時からトレーニングができる。ゴルフのアコーディア・ゴルフでは日の出とともにプレーができるが、枠がすぐに埋まってしまうそうだ。
 福岡には朝6時から12時までカラオケ歌い放題400円の店ができてシニアに人気だ。大阪府和泉市の歯科医は朝6時から診療。千葉県流山市の耳鼻科は7時から「モーニングクリニック」を始め、三重県の床屋は「朝髪(ちょうはつ)」と呼ぶ早朝5時からの営業をしている。英会話のリンガフォンでは朝7時からの「朝チャレ!」が人気。
 『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』の著者・池田千恵氏はこう語る。「朝という時間に着目する人は、自分の生活を変えたいとか、人生を何とかしたいと思っている人が多い。そういう人たちにコミットしたワークショップなどを考えれば、ビジネス的にも成功しやすいと思います」
 経済ジャーナリストの福田俊之氏も「日本は高齢化が進んでいますから早起きのシニア層がますます増える。つまり早朝ビジネスのターゲットが拡大している」と話す。
 年寄りのくせに夜更かし&朝寝坊の習慣が抜けず、脱アルコールなど考えたこともない私だが、たまには宿酔いのない胃でおいしい朝飯を食べてみたくなってきた。 
 

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 手錠でカップルがお互いをつなぐ、靴を脱いで廃屋に入る......。東京ドームシティアトラクションズが毎年夏に企画する、個性あふれるお化け屋敷だ。それを仕掛けているのが五味弘文(ごみ・ひろふみ)氏。お化け屋敷プロデューサーとして、2012年で20周年を迎えるドームシティの「作品」のみならず、自身もクリエイターとして注目を浴びている。モニター越しのゲームでは得られないライブ感は、演劇畑出身の氏の演出の魅力。「現代人が何を怖がるか」に関しすぐれた感覚を持つ。「お化け屋敷プロデューサー」の言葉が多くのメディアに取り上げられる状況は、あらゆるエンタメ分野が専門性を獲得した現代らしい。
 お化け屋敷の進化はいまや全国に波及している。山口県宇部市では2011年、商店街で市民らが「歩行距離が世界最長のお化け屋敷」を展開し、地域の活性化につながったという。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 福島第一原発事故後に日本各地で起こっている反原発・脱原発デモの一つ。2012年3月29日から毎週金曜日の夜に、東京・永田町の首相官邸前で原発の再稼働反対などを訴えている。主催しているのは特定の政治団体などではなく、首都圏で反原発・脱原発を訴えて活動をしている市民団体によるネットワークで、会社帰りのサラリーマンや子連れの母親のグループなども参加している。
 当初、300人程度だった参加者は、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルネットワークを通じて回を追うごとに増加。福井県にある大飯原発の再稼働を直前に控えた6月29日には主催者発表で20万人(警察発表2万人弱)が参加した。7月29日には、キャンドルやライトを手にした参加者によるヒューマンチェーンで国会を包囲した。国会正門前の車道には人があふれ出し、上空からリポートしていた市民メディアOurPlanet-TV代表の白石草(しらいし・はじめ)氏は、「歴史的瞬間に立ち会った」と表現した。
 こうした動きを背景に、デモの主催者は8月22日官邸で野田佳彦首相と面会し、「大飯原発の再稼働中止」「全原発廃炉への政策転換」などを直接訴えた。しかし、要求は受け入れられず、会談は30分で終了。抗議行動はその後も続行されている。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 ツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディアが一般化して以降、初の大会となったロンドン五輪に対する形容の一つ。「ソーシャリンピック」とも呼ばれる。不特定多数の率直な「つぶやき」とともに応援するスタイルは、人々をテレビ観戦の孤独から解放した。試合を終えたばかりの選手が、リアルタイムで対戦者を称えたり、ファンと交流したりするのも現代的である。また、スポンサー企業にとっても、効果的なプロモーションの場で、消費者の生の声に反応する動きも出てきている。
 一方、初の3D放送などさまざまな試みがあったにもかかわらず、利益確保に苦しむのがテレビメーカー。これまでのように、最新鋭のテレビを売るための起爆剤としては五輪は機能しなかった。メディアとしての勢いの差を象徴する五輪だったといえるだろう。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 新党「国民の生活が第一」(以下、「生活」)の小沢一郎代表が、民主党を飛び出す際に打ち出した政権獲得戦略。元来はイタリアのプローディ政権が誕生(1996年)した際に、その原動力となった中道・左派連合の名称である。
 「生活」は地域政党や野党が緩やかな形で連携し第三極の結集を図る構想として、この「オリーブの木」を位置づけているようだが、結集作業は難航を極めている。第三極の中心、橋下徹大阪市長の率いる「日本維新の会」がそっけないからだ。
 「生活」は2012年8月27日に反増税・反原発を旗印とする野党の結集組織「国民連合」の設立準備会を開いた。同連合は「オリーブの木」への発展を視野に置く。「生活」のほか、社民党、新党きづな、新党大地・真民主、減税日本の関係議員らが出席したが、頼みとする維新関係者の姿はなかった。維新の幹事長、松井一郎大阪府知事は「生活」との連携の可能性を記者に質(ただ)され、「ゼロだ。我々の政策は違う」と言明したという。
 他方、「生活」結成後の小沢氏といえば、あれだけ嫌った記者会見を定例でこなしたり、ブログを始めたりしているが、埋没した感があるのは否めず、メディアの扱いも悪い。

 

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 甲虫目ハンミョウ科に属する昆虫で、学名をシシンデラ・ジャポニカCicindela japonicaという。体長が20ミリメートルほどで、光沢を帯びた体色は上品で美しい。緑色や臙脂(えんじ)色などの斑点が、上ばねの黒紫色と綺麗にぼやけあっている。山道や河原にいて日中活動する。
 夏から秋にかけ、京都の市街地を囲む山々へ出かけると、行く先を案内するように、人間の前へ前へと飛ぶ虫に気づく。軽くすうっと飛び上がり、しばし飛んで着地すると、また飛び上がる。斑猫である。この習性から道案内、道おしえ、道しるべ、山巡査などと、数々の愛称で呼ばれている。京都を囲む山中には無数の峠道があり、宿場跡も多く、古くから人と物資の往来が盛んだった。斑猫は都へ行き来する人の道案内を買って出ては、昔からいろんな名前を付けられていたことだろう。
 斑猫の幼虫のことをニラムシというそうである。これは巣穴にニラの葉を入れると食いつくからだ。また「毒がある」という言い伝えも残っている。幼虫も、成虫も、大きく鋭い異様なあごで、ハエやアリを大胆に捕食するからだろうか。夏の間に幼虫から羽化し、成虫のまま土に潜って越冬するのが普通だが、幼虫は食い足りなければ、そのまま2年も3年も捕食を続けるという貪欲(どんよく)な食欲の持ち主。しかし、ハンミョウ科は世界各地に2500種あまりも分布し、日本産も23種ほどがいるものの、生息環境の悪化によって絶滅危惧種(レッドデータ)に登録される種類が年々増えている。

   

   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 日本名は竹島。8月に李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領が上陸したため、日本側は領土侵犯だと強く反発している。
 『週刊新潮』(8/30号)によれば、歴史的に竹島は1905(明治38)年に明治政府が、尖閣諸島と同様に、周辺諸国の占有がなされていないと判断したうえで閣議決定により島根県に帰属する官有地として「実効支配」を始めた。だが1952(昭和27)年、韓国は李承晩(イ・スンマン)大統領のとき一方的に「李承晩ライン」なる境界線を引いて韓国領土に組み入れ、以降、警備兵を常駐させるなどして「実効支配」を続けている。
 韓国人にとって独島は特別な島で、日本の植民地支配から解放された後に自らの手で奪回した領土と位置付けられている。
 昨年は約18万人の韓国人が島を訪れ、中学校で使われている社会科の教科書ではこの島の解説に1ページが割かれている。小さな子どもたちがクッキーに「独島愛してる」と書いたり、テレビ局の放送終了時の画面に毎日独島が現れる。
 先のロンドンオリンピックではサッカーの韓国代表選手が「独島はわが領土」というプラカードを掲げて批判されたが、国内では英雄視されている。
 だが『ニューズウィーク日本版』(9/5発行、以下『ニューズ』)でソウル・延世大学国際学部武貞秀士教授は、韓国側が国際法上の領有権の主張に一抹の不安を抱えていると指摘する。それだけに実効支配を強化する対策に迫られていて、李大統領の強引な独島上陸もそのためではなかったかというのだ。
 『ニューズ』は、韓国は日本との友好関係を維持すべきだとしながら、こう書いている。
「日本にも改めるべきところはある。(中略)韓国の民主主義がまだ未熟であることを理解してやるべきだ。定期的に高まる反日感情に神経をとがらせるのではなく、背景を理解してなだめてやるべきだ。なぜなら日本の安全保障と繁栄もまた、朝鮮半島情勢と強く結び付いているのだから」
 日本側は領有権問題を国際司法裁判所(ICJ)に提訴する方針を固めたが、韓国側が拒否しているため進展は望めまい。当面、反日・嫌韓感情を和らげる手立ては見つかりそうもない。
 12月には韓国の新大統領が決まる。互恵精神と大人の知恵をもった人物がなることを祈りたいものである。

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


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