このたび, 15 年余りにわたる編纂委員会のご尽力による『新カトリック大事典』の第 1 巻が刊行されることになり, 心からお喜び申し上げます.
『新カトリック大事典』の編纂は, 第 2 ヴァティカン公会議が教会の内部にもたらした刷新と現代化の促進に役立つものでしょう. 使徒継承と呼ばれる教会は, イエス・キリストの教えを伝えてきた弟子たちによって構成された共同体です. 変遷する時代や場所に存続している教会は, キリストの福音の何を優先課題として取り上げるかを洞察することが必要です. 聖書学, 神学はもとより, 国際, 政治, 経済, 芸術, 福祉などにまで及ぶ広い分野で編纂された『新カトリック大事典』が多くの人々に活用され, 社会の現状分析と 21 世紀に向けての教会の活動に, よりよい示唆を与えることを大いに期待しています.
このたび『新カトリック大事典』第 1 巻が刊行されることは, 大きな喜びであります. 思えば, この大事典は, 上智大学創立 70 周年事業の一つとして計画され, 1979 年 2 月に編纂委員会が設立され, 当時, 上智大学神学部教授であったペトロ・ネメシェギ師が委員長に任命されました. それから 15 年以上が経過し, 創立 80 周年にあたる 1993 年も過ぎた今, ようやく第 1 巻の刊行をみることができたのは, 初代編纂委員長と 1991 年にそのあとを継がれた現編纂委員長・高柳俊一師の努力のお蔭であります. 基礎を据えることは, 目に見えない部分の多い大変な仕事ですが, 10 年余りにわたって集められた原稿や資料を整理し, 置かれた土台の上に構築する作業は, 深い洞察と忍耐, 企画力と決断が要求される難事業です. 編纂委員長の交代にもかかわらず, 企画の継続性と事態の変化に対応した創造性を発揮して第 1 巻をまとめ刊行された現編纂委員長の並々ならぬご尽力に対して心からの敬意と感謝を表したいと思います.
この大事典の先駆ともいえる『カトリック大辞典』(全 5 巻)は第 2 次世界大戦を挟んだ 1940 年から 1960 年という激動の時代に出版されました. それから 36 年たった現在, カトリック教会は第 2 ヴァティカン公会議(1962–65 年)を機に始められた現代化と刷新によって大きく変わっただけでなく, 政治, 文化, 宗教, 福祉等, すべての次元で目まぐるしく変化する現代世界の動きに勇敢に立ち向かい, その要請と挑戦に応えようとしています. そのような時期に, 第 2 ヴァティカン公会議を軸として展開されてきたカトリック教会の現状を網羅する『新カトリック大事典』第 1 巻が刊行されることは, まことに時宜を得たことであり, 大きな価値をもつものと思われます. この大事典が活用されることを心からお祈りいたします.