(ジャーナリストノリンリ)
ミシェル・マティアン 著/松本伸夫 訳
衛星放送やインターネットが普及し、視聴覚メディアにより加速された文化の中、情報は複合的に消費されてゆく。何をどのように報道すべきか? フランスにおける歴史的現状に即しつつ、ジャーナリストという職業の倫理を問いただす本書は、マスコミ関係者・志願者に長らく待たれていたものである。
(ショウチョウケイノセイジガク)
リュシアン・スフェーズ 著/田中恒寿 訳
政治の鍵は「象徴系」にある。政治は象徴に関わるという観点から「政治的象徴」の理論・実践・未来像を提示する本書は、ルソー、フーリエ、マルクスらを遺伝子記号的に捉え、集合的記憶社会(コンピューター通信網)のイデオロギーをもその視野に収める。政治をポピュラー・サイエンス並みの面白さで解説。
(トクヴィル)
ジャック・クーネン=ウッター 著/三保 元 訳
画期的な名著『アメリカの民主主義』『旧体制と革命』によって、社会学的思考の規範を示した政治学者、トクヴィル。その理論を詳細に分析し明快に体系化した、コンパクトな概説書。
(フクシコッカ)
フランソワ=グザヴィエ・メリアン 著/石塚秀雄 訳
公的介護保険の実施など、社会福祉サービスに関する議論を豊かにするために! 21世紀の福祉社会の行方を探るガイドブックとして、福祉国家の歴史と今日的課題について概説する。
(ヨーロッパノチョウトッキュウ)
エリック・シノッティ、ジャン=バティスト・トレブル 著/湧口清隆 訳
TGV、AVE、ICE、ユーロスター、タリス――ヨーロッパの主要都市を結ぶ超特急列車たち。その歴史的背景や技術的成果を詳解。EUの鉄道状況がまるごとわかる、必読の一冊。
【編集者よりひとこと】TGVから進化したユーロスターやタリスなど、ヨーロッパにおける高速鉄道列車の現状と未来について詳しくなれる1冊。はたして振り子式列車は高速列車の代わりとなりうるのか? といった、鉄道ファンをも唸らせる問題提起はもちろん、ヨーロッパ経済における「乗り物の未来像」を提示してくれます。「2020年までのヨーロッパにおける高速鉄道の〈予定路線図〉」などなど、貴重な図版が、豊富に収録されています。
(エスニシティノシャカイガク)
マルコ・マルティニエッロ 著/宮島 喬 訳
イスラム世界において聖戦が唱えられ、ルワンダやボスニアで民族紛争が苛烈をきわめた背景にある、エスニシティの問題。その概念を、宗教やナショナリズムとの関連において検証する。
【編集者よりひとこと】エスニック料理やエスニック音楽など、心地よい響きをもって使われるものも確かに存在する。だが「民族関連の用語」は、そのほとんどが、虐殺、暴力、その他の野蛮で無知で非人道的で前近代的な行動を報じるときに多く使われている。それでははたして「エスニシティ」という用語は、どのように語られてきたのか? 本書は、そんな疑問に答えるべく、ジェンダーやグローバリゼーションの問題などをも射程に収め、現代世界への視座を与えてくれる、現代人必読の一冊です。
(エヌジーオートジンドウシエンカツドウ)
ギヨーム・ダンドロー 著/西海真樹、中井愛子 訳
国境なき医師団や赤十字に代表される非政府組織─NGOは、紛争地域や災害被災地におけるたのみの綱である。その活動は救急医療や救援物資の提供にとどまらない。最近の例では、スマトラ沖地震の被災地での生活再建支援やカウンセリング、北朝鮮拉致問題における仲介役など、活動は多岐にわたり、団体数も増加している。本書は、国家や国連による介入も含めた人道的行為の歴史をたどりつつ、カンボジア・ソマリア・旧ユーゴスラヴィアなどでの実情をもとに有効な支援とは何かをさぐる。いわばNGO先進国である欧米からは、成功例・失敗例をふくめて学ぶべきことは多い。今後の人道支援活動の展望をひらいてくれる解説書。
(セカイイサン)
ドミニック・オドルリ、ラファエル・スシエ、リュック・ヴィラール 著/水嶋英治 訳
いまやテレビ番組やツアー旅行でおなじみの「世界遺産」。壮大な珊瑚礁グレート・バリアリーフや謎の空中都市マチュピチュなどが、人類共通の宝として遺産登録されている。本書は、自然と文化財という異質なものを共に保護するという概念から解き明かし、保護活動の歴史や登録システム、関連条約について紹介する。登録遺産は七八八件を数えるが、その中のエルサレム旧市街やケルン大聖堂など三五件は、戦争や自然災害、開発計画によって深刻な危機にさらされている危機遺産として登録されている。巻末には「危機遺産リスト」「関連ウェブサイト」を付した。
(インターポール コクサイケイジケイサツキコウノレキシトカツドウ)
マルク・ルブラン 著/北浦春香 訳
映画や劇画をとおして、秘密捜査官というイメージがつきまとうインターポール――国際刑事警察機構は、国際犯罪の情報収集・交換のネットワークである。その歴史や機能・活動を解説。
(フーリガンノシャカイガク)
ドミニック・ボダン 著/陣野俊史、相田淑子 訳
サッカーに群がる、欲求不満な暴徒ども──フーリガンは、希望格差社会の申し子か? 本書は、メディアが作りあげた集団像を問い直し、その群集心理や祝祭化のメカニズムを解明する。