1. いうしはうげん【遊子方言】
全文全訳古語辞典
[書名]江戸中期の洒落本。一冊。田舎老人多田爺作。一七七〇年(明和七)刊。江戸吉原で通人ぶった男が振られ、野暮な初心者がもてる話を、洗練された会話文で展開。洒落
2. 『遊子方言』
日本史年表
1770年〈明和7 庚寅⑥〉 この年 田舎老人多田爺 『遊子方言』 刊か。
3. 遊子方言
日本大百科全書
洒落本しゃれぼん。小本こほん1冊。1770年(明和7)ごろ江戸刊。作者田舎いなか老人多田爺ただのじじいの正体は『莘野茗談しんやめいだん』(平秩東作へつつとうさく
4. 遊子方言
世界大百科事典
洒落本。田舎老人多田爺(いなかろうじんただのじじい)作。1770年(明和7)刊。1冊。書名は漢籍《揚子(ようし)方言》のもじり。作者は大坂下りの書肆丹波屋利兵衛
5. ゆうしほうげん[イウシハウゲン]【遊子方言】
日本国語大辞典
江戸中期の洒落本。一冊。田舎老人多田爺(ただのじじい)作。明和七年(一七七〇)刊。書名は漢の揚雄の著「揚子方言」のもじり。江戸吉原を舞台とする一夜の遊興において
6. ゆうしほうげん【遊子方言】
国史大辞典
『勉誠社文庫』三二(影印)、『洒落本大成』四、『日本名著全集』一二所収。 [参考文献]中村幸彦「遊子方言評注」(『中村幸彦著述集』八所収) (水野 稔)
7. 遊子方言(著作ID:1783206)
新日本古典籍データベース
ゆうしほうげん 田舎老人多田爺(いなかろうじんただのじじ) 洒落本 明和七刊
8. あい‐ぎ[あひ‥]【間着・合着】画像
日本国語大辞典
上着とはだ着の間に着る衣服。*洒落本・禁現大福帳〔1755〕三「肌衣相着(アイギ)は色々を装ひ」*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「黒羽二重の紋際もちとよごれし
9. あい‐さつ【挨拶】
日本国語大辞典
脱衣之礼儀
也」*洒落本・
遊子方言〔1770〕発端「おかみさま。あれは何かおかしなもので御座りますぞへ。大がいにあいさつをして
10. あい‐そう[‥サウ]【愛想・愛相】
日本国語大辞典
そ風情も面白けれ。更に愛そうもない景ぢゃが、されども、ちっとけうがることがあるぞ」*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「ここの女房は、あまり愛想(アイソウ)がよく
11. あし が=遠(とお)い[=遠(とお)くなる・=遠(とお)のく]
日本国語大辞典
足遠い。
足が近い。*洒落本・
遊子方言〔1770〕霄の程「すっきと御足か御遠(とふ)く成なんしたの」*人情本・春色梅児誉美〔183
12. あだ‐つ・く【徒付・婀娜付】
日本国語大辞典
いちゃつく。じゃらつく。*雑俳・柳多留‐一〔1765〕「あだついた客ははしごでどうつかれ」*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「さる内の奥座敷の女郎が東洲にあだつ
13. あち‐ら【彼方】
日本国語大辞典
に成て参りましたに」(2)他称。話し手、聞き手両者から離れた人を指し示す(遠称)。*洒落本・遊子方言〔1770〕霄の程「兄(あに)さん、其三味線箱、あちらへ上げ
14. あに‐さん【兄様】
日本国語大辞典
*洒落本・魂胆惣勘定〔1754〕上「あにさんとは、茶屋船宿のむすこ。或は兄弟の事なり」*洒落本・遊子方言〔1770〕霄の程「御亭(ごて)さん御出なんし。兄(アニ
15. あゆ・ぶ【歩】
日本国語大辞典
をしかりながらいで行」(2)同行する。出かける。また、特に、遊里通いする。あよぶ。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「吉原へ行く。あゆばないかとゆったれば」*洒
16. あら‐ほど【─程】
日本国語大辞典
の代名詞に「ほど」がついた時は、「あら」「こら」「そら」「どら」となることが多い。*洒落本・遊子方言〔1770〕しののめのころ「宵からあらほど、おれがゆって聞せ
17. あわせ‐びん[あはせ‥]【合鬢】
日本国語大辞典
享保の頃流行した。*洒落本・禁現大福帳〔1755〕三「是に次なるは合鬢(アワセヒン)の旁」*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「男ぶり大きく、人柄よく、合びんにて
18. い・い【好・善・良】
日本国語大辞典
生じた語か。明和、安永頃(一七六四~八一)から広まり使われたらしく、明和八年(一七七一)頃「遊子方言・発端」には通り者が「ゑい」を用い、明和八年「侠者方言」に「
19. いかい 事(こと)
日本国語大辞典
怒ぞ」*日葡辞書〔1603~04〕「Icaicotouo (イカイコトヲ) ミタ」*洒落本・遊子方言〔1770〕霄の程「これはいかい事。客ひとりに、むこ八人じゃ
20. いずれ 菖蒲(あやめ)
日本国語大辞典
うことにいう。*雑俳・削かけ〔1713〕「見くらべる・いづれあやめと引ぞわづらふ」*洒落本・遊子方言〔1770〕夜のけしき「猶もすががきの音にうかされて、五つの
21. いずれ菖蒲(あやめ)
故事俗信ことわざ大辞典
ばた)」に同じ。 雑俳・削かけ(1713)「見くらべる・いづれあやめと引ぞわづらふ」洒落本・遊子方言(1770)夜のけしき「猶もすががきの音にうかされて、五つの
22. いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)
故事俗信ことわざ大辞典
何れあやめと見まがふごとく」雑俳・削かけ(1713)「見くらべる・いづれあやめと引ぞわづらふ」洒落本・遊子方言(1770)夜のけしき「猶もすががきの音にうかされ
23. いっけ‐ずる・い【─狡】
日本国語大辞典
〔形口〕(「いっけ」は接頭語「いけ」の変化した形)「いけずるい(─狡)」を強めた言い方。*洒落本・遊子方言〔1770〕夜のけしき「いっけずるい、早く来さっしゃゐ
24. いっ‐ぱい【一杯・一盃】
日本国語大辞典
93〕イソポの生涯の事「yppai (イッパイ)ヅツ ヒキウケ ヒキウケ ノムニ」*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「そんなら、茶づけ一ぱいかきこんで、はやく行
25. いつつ の=町(まち)[=巷(ちまた)]
日本国語大辞典
角(すみ)町の五町。転じて、吉原をいう。五筋(いつすじ)の巷。五丁町(ごちょうまち)。*洒落本・遊子方言〔1770〕夜のけしき「猶もすががきの音にうかれて、五つ
26. いつつ‐もん【五紋】
日本国語大辞典
)と左右の肩の前とにおのおの一つずつ、合計五か所につく。五所紋(いつところもん)。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「わきざし立派に、黒縮緬(くろちりめん)の綿
27. い‐つづ・る[ゐ‥]【居続】
日本国語大辞典
〔自ラ四〕連日、同じ場所で遊興する。居続けする。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「あすも、もし降らば、ぶんながしの、久しぶりで、ゐつづろうもしれやせん」
28. いなかろうじん-ただのじじい【田舎老人多田爺】
日本人名大辞典
屋利(理)兵衛とされる。明和7年(1770)ごろ,のちの洒落本(しゃれぼん)の定型となった「遊子方言」をかいた。
29. いび・る
日本国語大辞典
〔他ラ五(四)〕(1)弱い立場にある相手に、精神的または肉体的な苦痛を与える。いじめる。さいなむ。*洒落本・遊子方言〔1770〕更の体「『何にもせ、ちょッと、お
30. いんす
日本国語大辞典
用形に付き、話し手が聞き手に対して使用する丁寧語。近世、江戸の遊里語。ます。いす。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「おまへ様は、おみわすれ申しいんして御座りま
31. うきよ‐し【浮世師】
日本国語大辞典
野茗談〔18C後〕「丹波屋利兵衛といふもの浮世師といふもののいふことをつくりて、遊子方言と題して」
32. うけあい‐ひき[うけあひ‥]【請合引】
日本国語大辞典
〔名〕他人の支払いを保証して、自分の負担とすること。信用貸しに立て替え払いをすること。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「もし又、つとめの請合引(ウケアイヒキ)
33. うぬ‐ぼれ【自惚・己惚】
日本国語大辞典
優れていると思い、得意になっている状態、気持。また、その人。うぬぼ。うぬ。おのぼれ。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「吉野やのきゃつめは、うぬぼれでいまいまし
34. え
日本国語大辞典
愛(エ)苦しゑ 水葱(なぎ)の本 芹(せり)の本 吾は苦しゑ」(2)呼び掛ける時に言うことば。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「『どこへ、つけますゑ申』『そん
35. え・い【善・好】
日本国語大辞典
にこべい」*歌舞伎・姫蔵大黒柱〔1695〕一「そちを手討にして俺が腹を切ればえい」*洒落本・遊子方言〔1770〕「いつでも、にぎやかで、ゑい事だの」「書紀‐
36. えど【江戸】
日本国語大辞典
その他の遊里、深川、品川、新宿などの土地からみて、江戸市中をさしていう語。→江戸へ出る。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「今日は江戸へ参りました」*咄本・一の
37. 江戸温泉紀行 276ページ
東洋文庫
戯作にもしばしば利用 される。黄表紙『通増安宅関』は本書と同様、冒 頭を謡曲にする。洒落本『遊子方言』では登場人物が「船弁慶」の一節を口ずさむ。この種の例は多い
38. えもん‐ざか【衣紋坂】
日本国語大辞典
9〕後・三「衣紋坂(エモンザカ)・大門口、人の風俗常にあらざれば、我心我にあらず」*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「そうこういふうちに、是は衣紋坂。やっぱり、
39. おあん‐なん・す
日本国語大辞典
【一】〔他サ変〕(「おあがりなんす」の変化した語)「食べる」「飲む」などの意を敬っていう遊里語。*洒落本・遊子方言〔1770〕「『いや此やうな事いわずと、一ぱい
40. おいらん【花魁・娼妓】画像
日本国語大辞典
どが、姉女郎を「おいらの(姉女郎)」といったところから出た語という)(1)姉女郎。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「おかさんに、おゐらんで、おっしゃりんす」*
41. おおき・い[おほきい]【大】
日本国語大辞典
は大きいんだから、熱いのだって我慢できるでせう」(3)音量が大である。数量が多い。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「声が大きいかな」*交易問答〔1869〕〈加
42. おおき‐な[おほき‥]【大─】
日本国語大辞典
漱石〉一「笹原を這ひ出すと向ふに大きな池がある」(2)音量が大である。数量が多い。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「大きな声だぞよ」*人情本・春色梅児誉美〔1
43. おお‐たば[おほ‥]【大束】
日本国語大辞典
言って落着いてゐるよ」(3)(形動)偉そうな態度を示すさま。偉そうな口を利くこと。→大束に出る。*洒落本・遊子方言〔1770〕更の体「『これ新これ新』『なんでお
44. おお‐ながし[おほ‥]【大流】
日本国語大辞典
よしわらに大ながし、四五日宿へ帰らねど」(2)するはずの事をすっかり省いてしまうこと。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「行かれます行かれます。そして本所は大流
45. おお‐びたい[おほびたひ]【大額】
日本国語大辞典
百会(ひゃくゑ)の穴まで取りあげ、角を錐先(きりさき)の如くとがらせて抜き上ぐること」*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「すこしあたまのはげた、大本多(おほほん
46. おお‐ほんだ[おほ‥]【大本多】
日本国語大辞典
〔名〕男性の髪の結い方の一つ。本多髷の形を大きくしたもの。明和・安永(一七六四~一七八一)頃流行した。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「小春(こはる)のころ柳
47. おざん・す
日本国語大辞典
かに内はおざんせん」〔二〕補助動詞として丁寧の意を表わす。(で)ございます。です。*洒落本・遊子方言〔1770〕霄の程「なにせまい所じゃおざんせん。せんどおまへ
48. お‐たいら[‥たひら]【御平】
日本国語大辞典
くずして、楽にすわること。「おたいらに」の形で人に楽にすわるようにすすめるときにいう。*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「おたゐらにおめしなはりやせ」*珍太郎日
49. おどり‐こ[をどり‥]【踊子】
日本国語大辞典
す」*洒落本・禁現大福帳〔1755〕四「踊子(オドリコ)は雪にたとへて清らかなり」*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「まへの河岸(かし)へ、おどり子(コ)二三人
50. おなんど‐ちゃ【御納戸茶】
日本国語大辞典
水問答の事「女のやうな紋所を付たる黒羽二重に、御納戸茶(オナンドチャ)の裏をつけ」*洒落本・遊子方言〔1770〕発端「丹後嶋の小袖、した着は御納戸茶(オナントチ