1. はうぢゃうき【方丈記】
全文全訳古語辞典
[書名]鎌倉初期の随筆。鴨長明著。一二一二年(建暦二)成立。前半は天変地異の続く平安末期の混乱した世相を描き、後半では、それを避けて隠棲した日野山(=京都市伏見 ...
2. 『方丈記』
日本史年表
1212年〈建暦2 壬申〉 三月末 鴨長明, 『方丈記』 を著す(広本系同書奥書)。 ...
3. 方丈記
日本大百科全書
ある。大福光寺本は鴨長明の自筆かといわれる写本で、その価値は高い。五大災厄の部分を欠く「略本方丈記」といわれるものもあり、長明の自作とも後人の偽作ともいわれ、定 ...
4. 方丈記
世界大百科事典
に答ふる事なし〉とみずからの問いかけに対して黙した点に維摩経の不二法門品の方法を見いだし,《方丈記》を長明が到達した高度の宗教的境地を表明した作品と見るなど,諸 ...
5. ほうじょうき【方丈記】
デジタル大辞泉
鎌倉前期の随筆。1巻。鴨長明著。建暦2年(1212)成立。仏教的無常観を基調に、大風・飢饉(ききん)などの不安な世情や、日野山に閑居した方丈の庵(いおり)での閑 ...
6. ほうじょうき[ハウヂャウキ]【方丈記】
日本国語大辞典
鎌倉前期の随筆。一巻。鴨長明著。建暦二年(一二一二)成立。仏教的無常観を主題に、作者の体験した都の生活の危うさ・はかなさを、大火・辻風・飢饉・疫病・地震・遷都等 ...
7. ほうじょうき【方丈記】
国史大辞典
二七、『新潮日本古典集成』などに所収。 →鴨長明(かものちょうめい) [参考文献]簗瀬一雄『方丈記全注釈』 (西尾 光一) ...
8. 方丈記
日本古典文学全集
大地震など)や飢饉、遷都などが、和漢混交文で簡明に書かれている。一丈四方(方丈)の狭い庵を結んだことから、「方丈記」という。 ...
9. ほうじょうきしき【方丈記私記】
デジタル大辞泉
堀田善衛の著作。20代で東京大空襲を体験した著者がリアリストとしての鴨長明を再発見し「方丈記」の新たな読みを試みた作品。昭和46年(1971)刊行。第25回毎日 ...
10. ほうじょうきひょうしゃく【方丈記評釈】
デジタル大辞泉
内海弘蔵の著作。大正5年(1916)刊行。 ...
11. 『方丈記』[百科マルチメディア]
日本大百科全書
古活字版 鴨長明(かものちょうめい)作 1647年(正保4)刊 国立国会図書館所蔵 ...
12. あい・す【愛す】
全文全訳古語辞典
あやす。 ❸物事に強い好感の情をもつ。好む。大切にする。 「いま、草庵を愛するもとがとす」〈方丈記・みづから心に問ふ〉(仏のお教えは、何事にも執着するなという) ...
13. あい‐・する【愛】
日本国語大辞典
む方无(な)く微妙なれ、愛して、手裏(てのうち)に居(すゑ)て差上げ差下し、暫く見る程に」*方丈記〔1212〕「今、さびしきすまひ、一間(ひとま)の菴(いほり) ...
14. アウト‐ロー
日本国語大辞典
本健吉〉「世の良識からはみ出した、いわばアウト・ロウの文学の極端な場合とも思えるのである」*方丈記私記〔1970〜71〕〈堀田善衛〉二「社会から斥けられた法外者 ...
15. あか‐だな【閼伽棚】
日本国語大辞典
載せる棚。あかのたな。*今昔物語集〔1120頃か〕二〇・三九「閼伽棚の下に、花柄多く積たり」*方丈記〔1212〕「南、竹の簀子(すのこ)を敷き、その西にあかだな ...
16. あから‐さま
日本国語大辞典
二条の院にだに、あからさまにも渡り給はず」*色葉字類抄〔1177〜81〕「白地 アカラサマ、偸閑 同」*方丈記〔1212〕「おほかた、この所に住みはじめし時は、 ...
17. あき【秋】
全文全訳古語辞典
陰暦の七・八・九月をいう。 「秋は、ひぐらしの声、耳に満てり。うつせみの世をかなしむほど聞こゆ」〈方丈記・境涯〉秋は、ひぐらしの声が、耳に満ちる(ほど聞こえる) ...
18. あ・く【明く】
全文全訳古語辞典
「明くる年は立ち直るべきかと思ふほどに、あまりさへ疫癘うち添ひて、まさざまに、あとかたなし」〈方丈記・飢渇〉翌年は(飢饉にも)立ち直ることができるかと思っている ...
19. あ・く【飽・厭・倦】
日本国語大辞典
1〜14頃〕胡蝶「すこし心にくせありては、人にあかれぬべき事なむおのづからいできぬべきを」*方丈記〔1212〕「魚は水にあかず。いをにあらざれば、その心を知らず ...
20. あ・く【飽く】
全文全訳古語辞典
またこんなふうに。❷望みなどが満たされすぎていやになる。あきあきする。あきる。 「魚は水にあかず」〈方丈記・閑居の気味〉魚は水にあきあきしていやになることがない ...
21. あげ‐て【挙─・上─】
日本国語大辞典
110頃〕八「凡そ紕(まが)ひ紊(みだ)れたる所、胡(いか)んぞ勝(アケ)て言ふ可けむや」*方丈記〔1212〕「いはむや所により身の程にしたがひつつ、心をなやま ...
22. あげ-て【挙げて】
全文全訳古語辞典
〔副詞〕いちいち取り上げて。残らず。 「心を悩ます事は、あげて数ふべからず」〈方丈記・世にしたがへば〉(人それぞれに)心を悩ます事は、一つ一つ数えあげることがで ...
23. あさ【麻】
日本国語大辞典
衣類の総称。→あさ(麻)の衣(きぬ)・あさ(麻)の衣(ころも)・あさ(麻)の喪服(みそ)。*方丈記〔1212〕「藤の衣、あさのふすま、得るにしたがひて肌(はだへ ...
24. あさ-ひ【朝日】
全文全訳古語辞典
」〈枕草子・九月ばかり〉(夜降った雨があがり)朝日がたいそうくっきりと(東の空に)出た時に。方丈記 ゆく河の(3) 「こぞ」知らず、生まれ死ぬる人、いづかたより ...
25. あし の 乗物(のりもの)
日本国語大辞典
馬や車などの乗物がなくて、足で歩くこと。また、その場合の足。*方丈記〔1212〕「今、一身をわかちて二(ふたつ)の用をなす。手の奴、あしののりもの、よくわが心に ...
26. あ-じ【阿字】
全文全訳古語辞典
不生不滅であることを表すとする。 「額に阿字を書きて、縁を結ばしむるわざをなむせられける」〈方丈記・飢渇〉(死者の)額に「阿」の字を書いて、阿字本不生の仏縁を結 ...
27. あじき‐な・い[あぢき‥]【味気無】
日本国語大辞典
あまりならんは、さばかりありがたうめでたかりける御心の深さも、今更にあぢきなくや言ひなされ給はん」*方丈記〔1212〕「さしもあやふき京中の家をつくるとて、宝を ...
28. あたい[あたひ]【価・値】
日本国語大辞典
あたひ)を不限(かぎら)ず玉を買ひ取て、本の寺の仏に返し奉り給て、盗人をば免(ゆる)しつ」*方丈記〔1212〕「頼むかたなき人は、自らが家をこぼちて、市に出でて ...
29. あた・う[あたふ]【能】
日本国語大辞典
*今昔物語集〔1120頃か〕二・四〇「程遙にして輙(たやす)く来り給はむに不能(あたは)じ」*方丈記〔1212〕「おのれが身、数ならずして、権門のかたはらにをる ...
30. あた・ふ【能ふ】
全文全訳古語辞典
にあたはず」の形で)可能である。できる。 「深く喜ぶことあれども、大きに楽しむにあたはず」〈方丈記・世にしたがへば〉心から喜ぶことがあっても、思いきって楽しく振 ...
31. あたま=に[=へ]来(く)る
日本国語大辞典
〉一番鶏・一「ふとあたまへ来たのは、目を覚ますすぐ前までみてゐたやうな気のする夢だった」*方丈記私記〔1970〜71〕〈堀田善衛〉四「食い物の豊富かつ空襲から安 ...
32. あたら【惜・可惜】
日本国語大辞典
氏物語〔1001〜14頃〕朝顔「いでや、御すき心のふりがたきぞ、あたら御疵(きず)なめる」*方丈記〔1212〕「いかが要なき楽しみを述べて、あたら時を過ぐさむ」 ...
33. あだ【徒】
日本国語大辞典
14〕哀傷・八六〇「露をなどあだなる物と思ひけむわが身もくさにおかぬばかりを〈藤原惟幹〉」*方丈記〔1212〕「我が身と栖との、はかなく、あだなるさま、またかく ...
34. あだ【徒】
全文全訳古語辞典
はかない。もろい。 「すべて世の中のありにくく、我が身とすみかとの、はかなくあだなるさま」〈方丈記・世にしたがへば〉すべてこの世の中が暮らしにくく、自分の身と住 ...
35. あぢき-な・し
全文全訳古語辞典
もならず)無益である。むなしい。 「宝を費やし心を悩ますことは、すぐれてあぢきなくぞ侍る」〈方丈記・安元の大火〉財産を浪費し心を悩ませることは、とりわけ無益なこ ...
36. あ・つ【当つ】
全文全訳古語辞典
とすつもりだ。❹(視線などを)向ける。 「変はりゆくかたち有様、目もあてられぬこと多かり」〈方丈記・飢渇〉(死体が腐乱して)変わっていく様子(など)、目を向ける ...
37. あつ・し【厚し】
全文全訳古語辞典
❷(愛情や恩恵が)深い。十分である。 「人の奴たる者は、賞罰はなはだしく恩顧あつきを先とす」〈方丈記・閑居の気味〉人に召し使われる者は、褒美が多く恩恵が多い方を ...
38. あ・てる【当・中・充・宛】
日本国語大辞典
致すべく候」(5)(「目をあてる」の形で用いる)ある物に視線を向ける。多く打消を伴って用いる。*方丈記〔1212〕「くさき香(か)世界にみち満ちて、変りゆくかた ...
39. あと【跡】
全文全訳古語辞典
かき消ちて失せにしか」〈源氏・帚木〉(女は)跡形もなく姿を消していなくなってしまった。❹行方。行く先。 方丈記 境涯(1) 今、日野山の奥に 「つぎめ」今、日野 ...
40. あとかた (も)無(な)い
日本国語大辞典
(いそ)ぎ返て見ければ、其の家跡形も无(な)かりければ」*方丈記〔1212〕「あまりさへ疫癘(えきれい)うちそひて、まささまに、あとかたなし」*玉塵抄〔156 ...
41. あと の 白波(しらなみ)
日本国語大辞典
とつけて、いみじう小さきに乗りて漕ぎありく。〈略〉あとの白浪は、まことにこそ消えもて行け」*方丈記〔1212〕「若(もし)、あとのしらなみに、この身を寄する朝( ...
42. あと を 隠(かく)す
日本国語大辞典
毒」(ロ)人目につかないようにゆくえをくらます。または、俗世間を離れて隠遁(いんとん)の境涯に入る。*方丈記〔1212〕「いま、日野山の奥にあとをかくしてのち」 ...
43. あと を 留(とど・と)む
日本国語大辞典
とのみあととむべうこそおぼえね」(2)以前あったままに残しておく。痕跡(こんせき)を残す。*方丈記〔1212〕「つひにあととむる事を得ず、三十あまりにして、更に ...
44. あどなし‐ごと【─事】
日本国語大辞典
〔名〕あどけないこと。たわいないたわむれ。*兼良本方丈記〔1212〕「武者独子(ひとりこ)の六七ばかりに侍りしが、築地の覆ひの下に、小家を作りて、はかなげなるあ ...
45. あはれ・む
全文全訳古語辞典
〔他動詞マ行四段〕ま・み・む・む・め・め「あはれぶ」に同じ。 「梟の声をあはれむにつけても」〈方丈記・勝地は主なければ〉フクロウの鳴き声を趣深いと感じるにつけて ...
46. あま・す【余】
日本国語大辞典
まさじと一もんじに切りかかる」(3)除外する。(イ)(主として受身の形で用い)もてあます。*方丈記〔1212〕「時を失ひ、世にあまされて、期(ご)する所なきもの ...
47. あま・す【余す】
全文全訳古語辞典
❶余計なものとして取り残す。 「時を失ひ世に余されて、期する所なき者は、愁へながら止まり居り」〈方丈記・都遷り〉(出世の)機会を失い世に取り残されて、前途に期待 ...
48. あまね・し【遍・普】
日本国語大辞典
このわたりをばあやにくに情無く」*大日経治安二年点〔1022〕五「四方の相重なり普(アマネシ)」*方丈記〔1212〕「火の光に映じて、あまねく紅なる中に」*太平 ...
49. あまり【余】
日本国語大辞典
背の長さ七尺(ひろ)余(アマリ)」*源氏物語〔1001〜14頃〕帚木「ななとせあまりがほどに」*方丈記〔1212〕「よそぢあまりの春秋をおくれるあひだに」(2) ...
50. あまり‐さえ[‥さへ]【剰─】
日本国語大辞典
さらによけいに加わる意を表わす。そればかりか余分に。そのうえ。おまけに。あまっさえ。あまつさえ。あまさえ。*方丈記〔1212〕「明くる年は立ち直るべきかと思ふほ ...