1. 上代特殊仮名遣い
日本大百科全書
7、8世紀の日本語文献には、後世にない仮名の使い分けがあり、それは発音の違いに基づくというもの。キケコソトノヒヘミメモヨロおよびその濁音ギゲゴゾドビベの万葉仮名 ...
2. 上代特殊仮名遣い
世界大百科事典
奈良時代およびそれ以前の万葉仮名の使用に見いだされる,特殊な仮名遣い。平安時代の平仮名,片仮名では区別して書き分けることのない仮名〈き・ひ・み〉〈け・へ・め〉〈 ...
3. じょうだい‐とくしゅかなづかい【上代特殊仮名遣い】
デジタル大辞泉
奈良時代およびそれ以前の万葉仮名文献において、エキケコソトノヒヘミメヨロ(古事記ではモも)およびその濁音の合計20(あるいは21)の音節の万葉仮名による表記に、 ...
4. じょうだい‐とくしゅかなづかい[ジャウダイトクシュかなづかひ]【上代特殊仮名遣】
日本国語大辞典
〔名〕上代の万葉仮名文献に存する、後世のいろは四十七字では書き分けられない、仮名の使い分けをいう。いろはがなのうち、エ、キヒミ、ケヘメ、コソトノヨロの一三種(古 ...
5. いしづか‐たつまろ【石塚竜麿】
デジタル大辞泉
。「古言清濁考(こげんせいだくこう)」「仮名遣奥山路(かなづかいおくのやまじ)」を著し、上代特殊仮名遣い研究の先駆となった。 ...
6. 逸文(風土記) 434ページ
日本古典文学全集
る。『万葉』の場合、枕詞例(したひ山 下ゆく水の)であり、その原文は「下檜山」で「檜」は上代特殊仮名遣いのヒ甲類。「樋」はヒ乙類で『摂津国風土記』逸文と『万葉』 ...
7. 逸文(風土記) 441ページ
日本古典文学全集
跡で宇治上神社(世界遺産登録建築物)を式内社とする。天皇の大宮、またそれに準じた宮の称。上代特殊仮名遣いで「木」はコ乙類仮名。「許」もコ乙類で合致している。宇治 ...
8. 逸文(風土記) 547ページ
日本古典文学全集
鹿本町・鹿北町及び鹿央町・菊鹿町の一部の地域。山鹿市の震岳(四一六)かとされる。「木」は上代特殊仮名遣いのキ乙類。キ乙の訛音がケ乙となっている(毛はケ乙)。『万 ...
9. いわくらやま【岩倉山】徳島県:美馬郡/脇町
日本歴史地名大系
田寸神社」に比定される論社の一つである。田寸はタキともタワ・タネとも読まれているが、寸は上代特殊仮名遣いの甲類のキであり、タキと読むのが自然である。現在は日本一 ...
10. うこ【痴】
日本国語大辞典
(1)この語は万葉仮名「于古」であるのに対し、「をこ」は「袁許」であり、上代特殊仮名遣いでは「古」(甲類)、「許」(乙類)で、くいちがっているが、同義語と考えら ...
11. うた‐づき【歌調】
日本国語大辞典
宇多豆紀(ウタヅキ)まつる」用例の原文「宇多豆紀」の「紀」は上代特殊仮名遣い乙類の仮名なので、「づき」を「杯(つき)」(「き」は甲類)の意とするのは誤り。 ...
12. かなし・ぶ【悲しぶ/哀しぶ/愛しぶ】
デジタル大辞泉
とど)ひせむと惜しみつつ―・びませば」〈万・四四〇八〉この例「可奈之備」と表記。「備」は上代特殊仮名遣いで乙類の仮名であり、連用形語尾が、四段活用の場合は甲類、 ...
13. 仮名遣奥山路
日本大百科全書
モも含む)の各音節が、万葉仮名によって2群に書き分けられ、混用されていないことを明らかにした。これは上代特殊仮名遣いの甲類、乙類の区別に相当する。龍麿はこの区別 ...
14. かみ【神】
日本国語大辞典
カミの存在(神)、というように用いられ、それが、カミだけで表わされるようになったとする。別語源説は、上代特殊仮名遣いにおける仮名の違い(神のカミのミは乙類、上の ...
15. き‐ず・く[‥づく]【築・塑】
日本国語大辞典
突き固めて造成する意の「きづく(杵築)」と、城などをつくる意の「きつく(城築)」は、清濁やキの上代特殊仮名遣いにおける甲乙を異にし、本来は別語。後に区別があいま ...
16. 国語学
世界大百科事典
研究にまたなければならない。つぎに,宣長の弟子,石塚竜麿は,宣長の指導によって,いわゆる上代特殊仮名遣いを精査し,その結果を《仮字遣奥山路(かなづかいおくのやま ...
17. 金光明最勝王経音義
日本大百科全書
『金光明最勝王経』の巻音義で、436の漢字を掲出し、字音注、意義注を記し、万葉仮名で和訓を付す。上代特殊仮名遣いのコの甲類・乙類や清濁、アクセントの万葉仮名によ ...
18. しま‐へ【島上】
日本国語大辞典
水葱の本 芹の本 吾は苦しゑ」「辺り」の意の「へ」は、上代特殊仮名遣いの甲類。右の例は乙類の「へ」であるので、「うへ(上)」の「へ」である。 ...
19. しらぬい【白縫】
デジタル大辞泉
[枕]地名「筑紫(つくし)」にかかる。 「―筑紫の国に泣く子なす」〈万・七九四〉上代特殊仮名遣いが異なるので「不知火(しらぬひ)」とは別。 ...
20. 新撰字鏡
日本大百科全書
和訓が約3700条にみえ、和音も70ほど記されている。奈良時代語のおもかげを伝える語彙(ごい)が多く、上代特殊仮名遣い崩壊後も本書にはコの甲乙2類が保たれている ...
21. 字音
世界大百科事典
i対ki)が,日本漢字音では〈上代特殊仮名遣い〉の甲乙別に反映するのみで,漢字音への反映はないもようである。 主母音Vは中古字音では複 ...
22. すめ【皇】
日本国語大辞典
多い。「すべ」という形を後世とることもあり、語源は動詞「すぶ(統)」と考えられていたが、上代特殊仮名遣いの上からは、「すぶ」の語尾は乙類、「すめ」は甲類なので、 ...
23. すめ【皇】
全文全訳古語辞典
。類語「すめら」は天皇専用だがこちらは一般の神にも多用する。語源を動詞「統ぶ」とする説は上代特殊仮名遣いの面から否定されている。 ...
24. とお‐しろ・し[とほ‥]
日本国語大辞典
之」は、かつて「あざやか」「さやか」の意と説かれたが、これを「白し」と関係づけることは、上代特殊仮名遣いの上から(「白」の「ろ」は甲類、「とほしろし」の「ろ」は ...
25. にほんぎしき【日本紀私記】
国史大辞典
や『釈日本紀』秘訓などに「養老説」「養老日本私記」などの注記があり、その訓読表記において上代特殊仮名遣い上からも正しく用いられているので、成書化されたか否かは別 ...
26. 日本国語大辞典
日本大百科全書
項目数が50万に増補され、用例数も100万例に達した。用例には出典の成立年または刊行年が表示され、語誌、上代特殊仮名遣い、古辞書の表記、同訓異字の解説などが新た ...
27. 橋本進吉
日本大百科全書
いる。また、日本語の歴史的研究にも多くの業績を残したが、なかでも音韻史が著しい。いわゆる上代特殊仮名遣いの研究は、奈良時代の音韻だけでなく、文法、語義などの研究 ...
28. 橋本進吉
世界大百科事典
日本語の歴史と文法の研究に大きな業績を残したが,最も著しいものは音韻史の研究で,いわゆる〈上代特殊仮名遣い〉を解明し,上代語研究に大きく貢献した。また,天草版《 ...
29. はしもと‐しんきち【橋本進吉】
デジタル大辞泉
[1882~1945]国語学者。福井の生まれ。日本語の歴史的研究に力をそそぎ、音韻史の分野では上代特殊仮名遣いを解明。また、室町時代末の音韻体系をキリシタン資料 ...
30. はしもと-しんきち【橋本進吉】
日本人名大辞典
1882−1945 大正-昭和時代前期の国語学者。明治15年12月24日生まれ。昭和4年東京帝大教授。上代特殊仮名遣いを解明。文法理論(橋本文法)は学校文法の中 ...
31. 万葉仮名
世界大百科事典
字遣奥山路(かなづかいおくのやまみち)》が生じ,橋本進吉に引き継がれて,橋本のいわゆる〈上代特殊仮名遣い〉の事実の発見となった(表を参照されたい)。平安時代を含 ...
32. 万葉集
世界大百科事典
》(1924-25),正宗敦夫《万葉集総索引》(1929-31)の完成,橋本進吉による〈上代特殊仮名遣い〉の発見は万葉学の精密化に大きく寄与するものといえよう。 ...
33. みけ‐むかう[‥むかふ]【御食向】
日本国語大辞典
(1)(1)は「酒(き)」からかかるとする説もあるが、「城の上」の「城(き)」と「酒(き)」とは、上代特殊仮名遣いの上で合わない。(2)(3)は「味(あじ)」の ...
34. みそぎ【禊】
国史大辞典
生み出したものであるが、元来、禊という語には「水」の意味はない。「み」は、奈良時代までは上代特殊仮名遣いで甲乙二種の別があり、発音上も区別があった。禊の場合は「 ...
35. みめ‐こ
日本国語大辞典
挙例の「身女児」を「みめつこ」と訓み、「御愛(め)づ児」の意とする説もあるが、「み」「め」が上代特殊仮名遣いに合わない。ミメコ ...
36. もこ【婿・聟】
日本国語大辞典
「もとこ(許処)」の意、「もころ(如)」と同語源などの説がある。挙例の「古事記」の「毛」「古」がともに上代特殊仮名遣いの甲類なので、「眉」のマユとマヨなどにみら ...
37. もころ【如・若】
日本国語大辞典
「もこ」を仲間の意の「もこ(聟)」と関連づけて「ろ」を接尾語とする説とがあるが、後者の場合、上代特殊仮名遣い上、「もこ」の「こ」(甲類)と「もころ」の「こ」(乙 ...
38. 邪馬台国
日本大百科全書
集落研究の成果の吸収、青銅器文化の評価、記紀批判のさらなる進展、神話学への接近、国語学の成果の尊重(上代特殊仮名遣いの甲類・乙類)などの多面的・複合的研究がまた ...
39. り
日本国語大辞典
(1)従来、四段動詞の已然形、サ変動詞の未然形に付くと説かれたが、上代特殊仮名遣いの上では、四段活用動詞が助動詞「り」に接続する時の語尾のエ列音は甲類であって、 ...
40. 万葉仮名 : 表
世界大百科事典
ゑ 惠回衞隈廻穢慧佪畫・咲坐座 を 袁遠乎越呼怨烏弘塢嗚惋日・少〓雄男緖尾小麻綬(2)上代特殊仮名遣いの見られる語 え(あ行のえ.ふつう〈衣〉を代表の字母とす ...