本校の特徴のひとつは図書館の施設が充実していることです。蔵書数は12万冊余りで、他の私立高校の蔵書平均3万冊を大きく上回っています。年間予算も約1200万円で、他校平均の200万円の実に6倍です。これほど力を入れているのは、本校が受験対策とは対照的な「調べ学習」を積極的に取り入れているためです。読書活動というより調べる能力を向上させるのが第一目的なので、図書も小説などの読み物よりリファレンス系の書物が圧倒的に多いですね。
しかし、いくらすばらしい図書、資料がそろっていても、重要なのはそれらをどう活用するかです。そこで本校では図書館の蔵書をデータベース化し、昨年4月から校内LANで検索できるようにしました。端末は図書館に20台、生物実験室や社会科教室、廊下に数台設置し、生徒は自由に使うことができます。
詳しくは後述しますが、本校ではインターネットのリテラシー能力向上にも積極的に取り組んでいます。調べ学習には、最先端の理論、データ、ニュースなどを取り入れることが重要だからです。ですが、インターネット一辺倒ではなく、書物との融合が大事だと考えています。
高校教育の中での「調べ」の重要性は、年々高まってきています。もはやかつてのような暗記一辺倒の学習法では通用しません。これからは「必要な情報をいかに収集し、利用できるか」が重要です。本校が推進している調べ学習とは、生徒にテーマを与えることから始まります。そのテーマについて、生徒はインターネット、書物を駆使して調べ、学習します。大学のゼミ形式で、生徒と教員は個々にコミュニケーションを図り、テーマについてのレポートを作り上げていきます。
たとえば、「国語表現」という科目で実際に進行中のテーマを紹介しましょう。まず生徒に「美術館、博物館に関するレポートを書きなさい」という課題を与えます。生徒は手始めにインターネットの検索ツールを使って課題に沿った情報を集めます。また、朝日新聞のデータベースや、図書館の蔵書、それらすべての情報を駆使して、自分たちの興味あるテーマを絞り込んでいくのです。ですから最終的にはそれぞれ異なるテーマを扱ったレポートが仕上がります。
私がジャパンナレッジの存在を知ったのは約1年前のことでした。「これは本校の調べ学習にぴったりだ」とピンときました。試しに私個人で使ってみたところ、ジャパンナレッジが学校教育の水準を確実に底上げする原動力になりえるツールだと確信するようになりました。
あるテーマに沿ったキーワードを検索窓に入力して検索をかけると『日本大百科全書』『現代用語の基礎知識』『大辞泉』など多種多様な辞事典の横断検索ができます。表示されたものから選択し、次の画面に入ると、内容が表示されるとともに、その項目の関連項目が表示されます。それをさらに選択していくと知識はより深まります。選択項目の参考文献も表示されますから、図書との融合を図ることができます。「ニッポニカURL」もうれしい機能です。これは選択項目に関連するネット上のアドレスを表示してくれますから、目的のアドレスにたどり着くまでの手間が一気に省けますし、情報の信憑性という点でも安心です。
欲を言わせてもらえば『日本国語大辞典』が早く入ってほしいな、と思います。『日本国語大辞典』はデータベース構築のツールとして、われわれ教員が頻繁に利用している辞典なんです。あとは、書名、作品名、著者名などの個人名、地名などはもちろん、どんな漢字でもふり仮名をうってもらえると高校生にも使いやすいですね。