TBSの人気コンテンツ『SASUKE』。もともとはスポーツ系番組『筋肉番付』の競技として登場したが、やがて独立したスペシャルに。難攻不落の関門を、優れた身体能力で突破しようとする100人の挑戦者たちのサバイバルは、高視聴率を連発していた。しかし近年は往時の勢いがなく、数字が10%を割ることもしばしば。制作会社の倒産もあって存続が危ぶまれたものの、2012年末に『SASUKE RISING』として再始動を果たしている。
 この『SASUKE』、いまや日本よりも海外で絶大な人気を誇る。特に全米での人気は、日本のマスコミでもとりあげられる機会が多い。アメリカのケーブル局「G4」が『SASUKE』を放送するにあたって命名したのが『Ninja Warrior(ニンジャ・ウォリアー)』。「サスケ」よりバタくさいネーミングセンスがよかったのかわからないが、全米が熱狂する高視聴率番組になったのだ。現在ではアメリカの4大ネットワークの一角をなすNBCも参入するコンテンツとなっている。「ゲーム番組」は世界中にあるが、非情な難易度設定、ストイックな挑戦者たちの姿など、「過剰」なところがウケているようだ。


 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 消費税は、所得が少ない人ほど負担感が増すとされる。「逆進性」といわれているものだ。政府は、現行の5%を2014年4月に8%、15年10月に10%へと、段階的に税率引き上げを行なう予定だ。そこで低所得者対策として検討されているのが、軽減税率である。
 欧州諸国では、英仏伊独など多くの国が軽減税率を採用している。軽減対象は、生活必需品である食料品や医薬品、水道水、新聞・雑誌などだ。
 自民、公明両党は与党税制改正大綱(2013年1月24日決定)で、10%への引き上げに合わせて軽減税率の導入を目指すとした。
 ポイントは、軽減税率の対象品目や税率の設定をどうするかだ。与党は軽減税率制度調査委員会を設置して13年中に結論を出す予定だが、対象品目の線引きは面倒な作業になるだろう。
 たとえば、一律に食料品の税率を軽減対象にしたらフォアグラやキャビア、神戸牛といった高級食材までもが対象になる。果たしてそれでよいのか──といった具合である。
 税率の設定をめぐっても、軽減税率を1種類に絞るのか、複数設けるか、あるいは、税率を何%にするか、というのも議論の対象になる。
 水面下では、対象品目の適用をめぐって業界団体の陳情合戦が始まっているという。与党は「票や政治献金目当て」といった疑念を持たれてはいけない。そのため、制度調査委での議論の過程は透明にすべきだし、関係団体からの政治献金も受け取ってはならない。そのうえで、国民が納得できる結論を出してほしい。

 

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 初午とは、新暦2月の最初の午の日(2013年は9日)のこと。全国の稲荷神社では五穀豊穣(ほうじょう)や商売繁盛を願い、初午に参詣する風習がある。「初午詣(もう)で」や「福詣で」という。
 この風習のはじまりとされているのが伏見稲荷大社(京都市伏見区、通称お稲荷さん)の初午大祭である。五穀豊穣を司(つかさど)る祭神が、伏見稲荷のある稲荷山(標高233メートル)にご鎮座したのは、711(和銅4)年の初午のこと。この縁起にちなみ、初午の日に稲荷山山頂の三ケ峰(みつがみね)に登り、ご神木の杉の枝をいただくという習わしが京都にあったという。
 平安中期の初午詣での様子を、清少納言が『枕草子』「うらやましげなるもの」の段に書いている。初午詣でに行ったものの、参詣の登り道がたいへんつらく、巡拝をしていた女性になんども追い抜かれた、というような話である。
 昔の伏見稲荷の参詣は今日の参道とは異なり、現在の京阪電車に沿っている伏見街道を進み、伏見稲荷の北側にある東福寺あたりから山道に入った。その山道を稲荷山の山頂まで登って参拝をしていたそうである。『枕草子』の話からは、山道を心もとなく必死で登り、追い越していく信者の背中を苦々しく思う清少納言の姿が目に浮かぶ。本殿が稲荷山のふもとに移った後も三ケ峰には社があり、信者の方々は「お山(やま)する」と称し、山中に点在する社を一巡する参拝を今日も続けている。
 ところで、町家の通り庭で布袋(ほてい)様の人形がずらりと並んでいるところを見たことはないだろうか。明治期ぐらいまでは、伏見稲荷の門前には土人形の元祖・伏見人形の窯元がたくさんあった。初午詣での帰りには、この人形を買って帰るのが願掛けのようなものだった。家内安全を願い、毎年一回りずつ大きい人形を買い、通り庭の神棚へ並べてお祀りする。合計7体をそろえるのが目標であるが、途中で葬式があるともう一度やり直さなければならなかった。すべてがそろえば、なによりも不幸がなく、とてもめでたいことだったそうである。窯元は数えるほどになったが、いまもこの習わしは続いている。


稲荷山の3つの峰の最高峰である、一ノ峰付近の参道の様子。


   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 AKB48は秋元康のプロデュースで2005年12月に誕生した。CD総売上が2000万枚を突破(オリコン調べ)した日本最大の女性アイドルグループである。このグループには秋元による厳しい「恋愛禁止条例」が科せられている。
 メンバーの写真集を出したいと出版社が殺到しているため、AKBスキャンダルは『フライデー』でも載せられない“芸能界最大のタブー”とまでいわれる。
 唯一の例外は『週刊文春』(以下『文春』)で、これまでも数々のAKB恋愛スキャンダルを報じ、そのために脱退させられたり地方へ飛ばされたメンバーが多くいる。
 その『文春』(2/7号)が、昨年の総選挙で14位に順位を上げ、見事選抜メンバー入りした峯岸みなみ(20)の「お泊まり愛を撮った!」と報じた。
 『文春』によれば、
 「相手の男性は白濱亜嵐(しらはま・あらん、19)。人気グループEXILEの弟分、昨年メジャーデビューした『GENERATIONS(ジェネレーションズ)』の人気メンバーだ。
 『まだまだ名前も知られていない白濱ですが、昨年はドラマ「GTO」や「ろくでなしBLUES」に出演。秋の深夜ドラマ「シュガーレス」では主役をつとめました』(芸能デスク)」
 1月17日0時9分、亜嵐が住むマンションの部屋に、黒い帽子に黒パンツ、コートをまとった峯岸が入っていった。部屋の電気が消えたのは3時間後。それからさらに4時間後に亜嵐が出てきた。30分後に峯岸が出てきてタクシーを止め、途中コンビニで朝食の椀物とダイエットコーラを買って自宅へ戻ったと『文春』は報じている。
 この記事が出てから大騒ぎになり、2月1日の朝日新聞(デジタル版)までがこう報じている。
 「AKB48の峯岸みなみさん(20)が、動画サイト『ユーチューブ』に丸刈り姿で登場、涙の謝罪をした。一体何があったのか。
 『たくさんの皆様にご心配をおかけしまして、本当に申し訳ありません』
 映像は1月31日午後、同サイトのAKB公式チャンネルで公開された。ロングヘアだった峯岸さんが丸刈り姿で冒頭に謝罪の言葉を述べ、約8秒間頭を下げた。『私がしてしまったことは軽率で自覚のない行動』『まだ……頭の中が真っ白で』と言葉をつなぐ。不ぞろいな額の生え際が生々しい。『いてもたってもいられず(略)誰にも相談せずに坊主にすることを自分で決めました』と、左目から涙がこぼれた。大粒の涙を流し、『AKBをやめたくない』と訴え3分49秒の動画は終わる」
 『文春』は2/14号でも、総選挙で第3位の柏木由紀の「Jリーガーとの『深夜合コン』」を報じている。ちなみに「合コン」もAKBでは御法度である。
 実質的に「恋愛禁止条例」は有名無実になってきている。私見だが、健全な肉体をもった若い娘が異性と付き合うのはごく自然な行動であろう。なまじ禁止するから夜陰に乗じて不善を為すのだ。
 『文春』(2/14号)で元メンバーたちがこういっている。
 「もともとあってないようなルールだし、バレたら終わり、バレなければOK。それだけですよ」

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 闇の中にライトアップされた建築物の迫力。平面をスクリーンとするダイナミックな映像。それぞれに美しい「立体」「イメージ」をシンクロさせることで、実に驚くべきアートができあがる。建物の窓枠や屋根などの形状を活かし、変幻自在の映像表現を創るのである。最近話題になっているこの技術が「プロジェクションマッピング」。「マッピング」という言葉は「地図を作ること」の意味から敷衍(ふえん)すると理解しやすいだろう。地図は紙=平面上に地形を映し出す。同様に、プロジェクターを使用して、立体面にさまざまなCG効果を映し出すわけである。
 2012年9月、東京駅丸の内駅舎の復元に際して行なわれたものが有名。好評を受けて、12月にもイベント「東京ミチテラス」の一環として催されたが、こちらはあまりの人出に期間短縮となった。もちろん、それだけの魅力がある新しい表現だということ。東京駅以外でも、世界の著名な建物の式典演出として盛んになっている。モノに命を吹き込むような、夢のある技術である。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 戦後、日本では官民一体で産業を育成するために、市場参入に許認可制をとったり、商品の規格を統一するなどさまざまな規制をかけてきた。だが、こうした方法は「護送船団方式」などと揶揄(やゆ)され、アメリカをはじめとする西欧諸国から批判されるようになる。
 日本国内の企業からも、国による規制の緩和・撤廃が求められるようになり、1980年以降、徐々に許認可制の整理・合理化などが行なわれるようになってきた。
 規制緩和は、国によって制限されている規制を緩めたり撤廃したりして、企業が自由な経済活動を行なえるようにすることだ。自由な発想のもと、新しいサービスや商品が生まれたり、新しい雇用を生むことなどが期待される。また、新規企業の市場参入により競争原理が働き、商品の価格が安くなるなど消費者にとってプラスの面もある。
 一方で、競争が激化すると、企業は利益を追求するためにコストカットに走り出す。国の規制があれば一定の制限がかけられるが、「規制緩和」された社会では、企業のやりたい放題が許されるようになる。象徴的な例が労働者派遣法の改正だ。以前は、労働者派遣については業種を限定するなどの規制がかけられていたが、経済界の求めに応じて規制緩和した結果、いまや全労働者の4割が非正規雇用という状態だ。
 派遣労働は、企業にとっては労働者を便利に使える雇用の調整弁だが、労働者はいつ職を失うかわからず、収入面でも精神的にも不安定な状態に置かれることになる。その結果が、今問題となっている貧困や格差社会だ。
 人々の暮らしを守るためには一定の規制は必要で、それを行なうことが国家の役割でもある。ところが、経済成長や景気回復のためなら、労働者の権利や自然環境の犠牲は致し方ないと考える人は少なからず存在する。とくに、2012年12月の衆院選で「強い経済の再生」を唱えた安倍・自民党が政権に復活したことで、景気回復の大義名分のもと、これまで守られていた医療や介護、農業といった人の暮らしの根幹にかかわる分野への規制緩和まで求める声が強まっている。
 だが、医療や農業分野を不用意に規制緩和すると、命の安全が損なわれる危険がある。時代に合っていなかったり、手続きが煩雑な規制などは改善すべきだが、なくしてはいけない規制もある。行き過ぎた規制緩和は、特定の人々の利益を増やすだけで、格差の拡大になる可能性も高いため、十分に見極める必要がある。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



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 インターネット上で「有権者のための投票支援サイト」と銘打った「日本政治.com」がおもしろい。ネットで政治というと過激な主張が跋扈(ばっこ)する印象があるが、東京大学の学生が立ち上げたという本サイトは、あくまで「選択」のための情報提供に徹している。そのコンテンツの中でも、これは便利、と注目されたのが「投票マッチング」である。
 2012年末の衆議院選挙、マスコミでよく語られていたのが、「ベストの投票先が無ければ、マシなものから選ぶしかない」という考え方。まずは選挙権を行使することの重要性を説いたわけだ。ならば、「マシ」の具体的な判断基準は? 投票マッチングは、「消費税を増税すべきである」「TPPには参加すべきである」など20問のアンケートに答えると、回答者にもっとも近い考えの政党と、選挙区内の議員を示してくれるというもの。公約や方針を漫然と読むだけでは、いまいちつかみにくい「政党の素顔」も、比較することでいろいろと見えてくる。昨年のような政党が乱立した選挙では、特に有用性を発揮したといえるだろう。

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旬wordウォッチ / 結城靖高   


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