[類似語]輩系(やからけい)・姐さん系(あねさんけい)
[派生語]オラニャン
 
 お兄(にい)系伊達ワル男性ファッション誌『MEN'S KNUCKLE(めんず・なっくる)』の増刊号として2009年に創刊された『SOUL Japan(そうる・じゃぱん)』(ミリオン出版/月刊)がメインコンセプトとして提唱したキーワード。現在では、この『SOUL Japan』を軸にアウトロー系不良ファッション誌をお手本としたスタイルを好む10~20代の男性全般のことを指す。

 広義では「可愛さ」「あどけなさ」「少年っぽさ」を一切排除した黒ベースの男性ファッショントレンドである「お兄系」でくくられる。ただし、その中の「伊達ワル」が、主にカリスマホストを中心とする美白&スーツのフォーマルラインであるのに対し、「悪羅悪羅」はガングロ&ソフィスティケイトされたデザインのジャージスタイルというカジュアルラインで、ガテン系を中心として巷に浸透していった。

 ビルドアップされた肉体と、それを全面キャンバスとするタトゥー、もしくは入れ墨で武装した“輩”も少なからずで、「伊達ワル」より一層“おっかなさ”が特化されているのが特徴。「実際、話してみると案外いいヒト」とも言われるが、その真偽は定かではない。「暴走族の進化形」という解釈もある。

 

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   



 炭火とは、一般にカシ、ナラ、クヌギなどから窯焼きをしてつくった木炭による火のことである。人がもっとも古くから使ってきた道具の一つであり、それが普段の暮らしから消えてしまい、まだ半世紀も経っていない。現代では薪ストーブが見直される一方で、囲炉裏や火鉢などで炭火に触れられる機会はほとんどなくなってしまった。火鉢から畳へ、室内へと、じんわり伝わっていく炭火独特の熱には、捨てがたい魅力を感じる。からだに優しく感じるうえ、手をかざせば、赤々と熱を込めた炭火を見ているだけで、心が落ち着いてぬくもってくる。ずっと大切に受け継いでいきたいものである。

 現代の京都で炭というと、茶の湯で畳を切った炉などに用いる、道具炭(どうぐずみ)が思い浮かぶ。切り口が花模様のようなかわいらしい道具炭は、菊炭や桜炭などと呼ばれている。材料は主にクヌギで、茶の湯の作法では、胴炭(どうずみ)や毬打(ぎっちょう)などの種類があり、長さと太さの寸法が厳密に決められている。

 嵐山に注いでいる桂川をどんどん遡り、山間へと入っていくと、昭和初期まで道具炭などをつくる優れた炭焼(すみやき)が暮らしていた、廃村八丁という場所がある。いまは登山道しか道のない山中であるが、明治期には小学校の分校もあり、昭和期の燃料革命以前に山林からの産物がいかに大切にされていたかがうかがわれる。この村は、大雪で食糧の調達や病人の手当てがままならなかったことをきっかけに、1936(昭和11)年に廃村となってしまった。筆者が訪ねたときは、当時つくった炭がまだ残っており、この火で川の水を沸かして入った五右衛門風呂は、忘れようのない入湯体験であった。


昭和のはじめごろにつくられた廃村八丁の炭の火。


   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 『週刊現代』(11/2日号、以下『現代』)は“サラリーマンのための週刊誌”をウリにしてきたこともあって「会社の寿命」企画が好きである。だが、週刊誌も広告収入への依存度が高くなっているため、タイトルの付け方で会社側と悶着を起こすことがある。

 私が『現代』の編集長時代に「生き残る会社 死ぬ会社」という特集をやったときは、電通を通して講談社の広告部に強いクレームが入った。「死ぬ」というタイトルがまずいというのである。

 以後気をつけるということと、そうした記事を掲載する場合は「死ぬ」と名指した企業の広告は同じ号に載せないという約束をさせられた。今回の「すぐ消える会社」はギリギリセーフか。

 経済のプロ12人に、日本を代表する30社の将来性を診断してもらったという。長寿力が最も高いと診断されたのは「三菱商事」の85である。

 かつての商社は手数料で儲ける単なる“商社”だったが、現在は「成長の見込みのある事業に投資をして育てる、投資銀行的業務が大きなウェイトを占める」(『現代』)ようになってきたことが評価されたようだ。

 2位は「トヨタ自動車」で83。「ホンダ」の76、「日産」の62に比べても極めて高いのは、「企業の理念、“イズム”がはっきりしていて、それをハイブリッドなどの技術力、商品開発力に落とし込めている」(小宮コンサルタンツ代表・小宮一慶氏)からだそうである。

 全体に評価が低くなってしまったのは電機メーカー。「パナソニック」と「ソニー」は55。「東芝」が70、「日立製作所」が74。「パナ」は20世紀の成功体験から抜け出せない、「ソニー」は過去のブランドにすがるエリート意識が支障になっているという。

 そのほかで長寿力が評価されたのは、“丸の内の大家さん”「三菱地所」(80)、泥臭いビジネスモデルがほかでは真似できない「ヤマトHD」(76)、炭素繊維やユニクロ向け特殊繊維などの開発力が抜群の「東レ」(73)、財務健全性が落ち着いている「日本生命」(72)などである。

 意外に低いのは「三菱UFJFG」(68)や「野村HD」(54)などの金融機関だが、その理由に「海外で勝てるかどうか」「ITの進化が金融機関のあり方を根底から変えてしまう」というものがある。

 IT大手の「ソフトバンク」と「楽天」は、「ソフト」が孫社長のチャレンジ精神が評価され58、「ネット市場は価格競争が激しく消耗戦に突入している」というマイナス点がある「楽天」が56。

 長寿力が低いのはどこか。最低が「東京電力」の27。これは説明の必要はないだろう。お次は30のソーシャルゲーム大手「グリー」。10月2日に業績悪化で200人の希望退職を募ると発表したから致し方なかろう。

 家電量販店の「ヤマダ電機」が32。一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったが、栄枯盛衰は世の習いか。外食産業の「ワタミ」は38で「マツモトキヨシHD」が40。「日本航空」は47で、ブラック企業ではないのかと批判が高まるユニクロ「ファーストリテイリング」は56である。

 生きながらえる秘訣は何か。アセット・ベスト・パートナーズ代表の中原圭介氏はこう語っている。

 「50年後まで生き残っているかどうかは企業の社会性にかかっている。国内雇用を維持し、技術力をコツコツと磨き、変化に対応できること。社会的な役割を果たせる企業しか、50年間という長期間にわたって消費者の支持は得られないと思います」

 そのほかにも「長生きしている老舗の企業に共通しているのは、地元の評判がすこぶるいい、ということです」(帝国データバンク産業調査部・昌木裕司氏)という見方がある。

 生産拠点を賃金の安い海外に移し、儲けたカネはタックス・ヘイヴンを使って税金逃れする企業が後を絶たない。そんな企業が何十年も生き続けることがないことだけは確かなようである。

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 「Google Cultural Institute」は、歴史的な遺物を誰でも閲覧できる、いわば「オンラインミュージアム」。Googleという企業は、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」のが使命ということになっている。文化関連の資料を集め、広く公開するのもこれにのっとったものだ。世界中の美術品を鮮明な画像で鑑賞できる「アート プロジェクト」、世界遺産に親しむ「World Wonders Project」などが存在するが、2013年に注目されたのが、貴重な写真を通して過去を探訪する「歴史アーカイブ」である。

 各国の資料館の協力を得て、「人類史上重大な瞬間の秘話を詳しく伝える」(コンテンツ内の紹介より)という「歴史アーカイブ」のプロジェクト。すでに2012年10月からベルリンの壁崩壊やノルマンディー上陸作戦などの様子が生々しく公開されている。ここに新たに、広島平和記念資料館と長崎原爆資料館の提供する資料が加わることになった。原爆のおそろしさは、まだまだ日本以外の国に浸透しているとはいえず、その意義は大きい。ちなみに、日本関連の資料公開は初めてである。

 「外国人に人気の日本の観光スポット」で、広島平和記念資料館は2013年の1位になっているのをご存じだろうか(口コミによるサイト「トリップアドバイザー」調べ)。それほどまでに悲劇のインパクトがあるということ。世界のネットユーザーに向けて、原爆の爪あとの資料がオープンになったこと、これが少しでも平和への一助になることが望まれる。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 2013年10月15日、政府は「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案」(プログラム法案)を閣議決定した。プログラム法案は、医療、介護を中心に社会保障制度の改革内容と実施時期を明らかにしたもので、この秋の臨時国会(第185回)での成立を目指している。

 医療分野では、2014~2017年度にかけて、70~74歳の医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げる、国民健康保険の運営主体を市町村から都道府県に移すなどが明記されている。また、介護分野では2015年度から、要介護度の低い「要支援者」を保険適用から外して、市区町村事業に移管したり、高所得層の自己負担割合を引き上げることなどが盛り込まれている。

 プログラム法案は、昨年11月から今年8月にかけて議論された社会保障制度改革国民会議の報告を踏まえたものとされている。だが、両者を読み比べると、その基本理念は異質のものであることがわかる。

 国民会議の報告では、医療や介護は社会保険方式を基本とし、これまでの「給付を受けるのは高齢者で、負担するのは現役世代」という構造から、負担と給付の両面で世代間・世代内の公平が確保された全世代型への改革が打ち出されている。医療や介護で自己負担の引き上げを示唆したのは、厳しい国家財政を考慮したうえでの措置で、本来なら応能負担の原則は社会保険料や税で徹底すべきものという文書作成者の真意が見て取れる。そのため、「低所得層の負担軽減」という言葉が繰り返し使われている。

 これに対して、プログラム法案は、一見すると国民会議の報告に沿った内容のように見えるが、根底にあるのは自助・自立といった自己責任論だ。「個々人の自助努力を行うインセンティブを持てる仕組み」を社会保障制度に導入することが盛り込まれている。そのため、同じ自己負担の引き上げでも、導入の意味は大きく異なる。

 しかし、病気になったり、介護が必要になったりする背景には、遺伝や社会経済的要因などがあり、自己責任だけでは済まされない問題を含んでいる。プログラム法案の成立が、「病気になるのは自己責任」という風潮を強め、より一層の格差社会を到来させないことを祈りたい。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 1964年から2020年へ。半世紀以上の時を超えて、東京にオリンピックがやってくる。かつての東京五輪は、外国客を迎えるのにベストな環境とは言えず、だからこそできうる限りホスピタリィを高めようとする気概があった。ごみ問題に対応するためにポリバケツが、快適なホテル空間を短い工期で仕上げるためにユニットバスが登場した。案内板などに見られるピクトグラム(絵文字)も、五輪がきっかけで普及したものだ。相手を慮(おもんぱか)る精神が、世界有数の観光都市・TOKYOを創り上げたと言っても過言ではない。

 オリンピック招致の最終プレゼンで、滝川クリステルが残したスピーチ。流麗なるフランス語の中に突如として現れ、そのインパクトから幾度となくリピートされたキーワードが「お・も・て・な・し」だ。昨今、外国人のあいだで日本のサービス哲学が評価を得ている現状を認識し、明確に表現した。実際、我々が海外に行くとお店の対応に愛想が感じられないことも多い。五輪関連の英語を紹介した読売新聞(2013年10月6日付)では、「おもてなし」の説明を「Japanese‐style hospitality based on selfless behavior(見返りを求めない日本風歓待)」とした。外国に日本独自の概念を伝えようとすると、なるほど、その特異性が際立つものだ。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 ドライバーがハンドルを握ったり、ブレーキを踏んだりしなくても走る自動車。近未来を描く映画などで登場する、夢のような車だが、自動車メーカー各社はいま、実用化に向けた開発を進めている。

 「2020年までに発売する」と、いち早く実用化する方針を表明したのは日産だ。すでに電気自動車「リーフ」をベースにした試作車を公開している。

 試作車は5つのカメラやセンサーを搭載し、周囲の車両や信号、標識、歩行者などを認識して自動制御で走行する。同社は「自動運転車は死亡事故ゼロを目指す活動の一環」と説明し、交通事故の防止につながると期待されている。

 車間距離が保たれるため、渋滞の緩和にも役立ちそうだ。自動運転車の開発は日産のほか、トヨタ、ホンダ、米IT企業のグーグルなども進めている。

 課題もある。万が一、事故が起きたとき、その責任はだれがとるのか、ということだ。運転者なのか、あるいは自動車メーカーなのだろうか。自動運転車が映画の世界のように街中を走行するには、法整備がまず必要だろう。

 

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


<<前へ       次へ>>