京都で「粟餅」といえば、粟餅所澤屋(あわもちどころさわや、上京区)のことだ。これは四百年近くも変わっていない。1645(正保2)年に刊行された俳諧撰集『毛吹草(けふきぐさ)』には、「山城(旧国名の山城国の意)名物北野粟餅」と記されており、江戸初期には北野天満宮門前の名物菓子として定着していたことがわかる。昔は境内にあった茶屋で販売されていたが、大鳥居の前に店を構えた現在も、蒸したて、作りたてを変わることなく提供している。

 古代から五穀の一つとして食べられてきた粟は、黄味を帯びた色と独特の香りが特長で、食べると口にほのかな甘味が広がる。品種には餅種と粳(うるち)種があり、日本で粟餅や粟飯などとして食べられているのは餅種のほうだ。澤屋では、餅種を蒸して搗(つ)き、粟の餅を丸めたら、漉し餡で包んだものと、きな粉にまぶしたものを作る。この二種類一揃いにするのが澤屋のお決まりである。木箱に入った土産も用意されているのだが、固くなりやすい粟餅は、作りたてを食べるのが一番。もちもち、ぷちぷちとした食感、粟独特の香りは時間が経つほど失われてしまうのだ。

 代々の当主は、作り置きをしない柔らかな粟餅にこだわり、客の注文が入ってから餅を丸めて作るスタイルを守り続けてきた。一番おいしいところを参拝者に味わってもらえるように、手間を惜しまず、一日になんども蒸しては搗き、粟餅を作り続けている。

 

   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 「大人の人たちは日本が他の国々に負けぬよう尖閣諸島、竹島、北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が心改め、歴史教科書で嘘を教えないようお願いいたします。安倍首相頑張れ、安保法制国会通過良かったです」

 これは幼稚園の運動会での園児の宣誓である。ここは森友学園(大阪府・籠池泰典(かごいけ・やすのり)理事長)が運営するもので「愛国幼稚園」と呼ばれている。毎朝、日の丸の前で君が代を斉唱し、教育勅語や五箇条の御誓文の朗唱、皇室が関西に来られたら、園児とともに奉迎に出向くのだと『週刊新潮』(3/9号、以下『新潮』)が報じている。

 さらに『新潮』は、この幼稚園に子どもを通わせていた保護者が、先生たちが「中国人、韓国人はうそつきだ」とことあるごとに教えているため、家族で韓国旅行へ行くことになった時、子どもが「あんな汚いところへ行くのは嫌だ、行きたくない」と言い出し、「もし韓国に行ったのかと友だちに聞かれたらどうしようと」と泣き出してしまったと話している。

 保守系雑誌の『新潮』までが「特異な愛国教育を行う学校法人」とまでいう森友学園だが、そこが小学校用地として払い下げを受けた国有地について、土地の鑑定価格が9億5600万円なのに、値引き率86%という超格安で手に入れたことが朝日新聞で報じられ、それに安倍晋三首相と妻の昭恵(あきえ)が関わっているのではないかという疑惑が浮上し、国会で連日野党が追及している。

 簡単に経緯を紹介しよう。国有地を取得したいと言ったが資金不足のため、学園側は2013年9月に10年以内の買受けを約した定期借地契約を結んだ。

 その後、廃材や汚染土を撤去し小学校の建設工事に着手したが、基礎工事中に地下から新たなゴミが見つかった。

 すると学園側は突然『この土地を買いたい』と言い出したのだ。すると、ゴミ撤去費用の見積もりは第三者の専門事業者が行なうのが通常なのに、近畿財務局の依頼でなぜかそうしたことをしたことがない国土交通省大阪航空局が行ない、ゴミ撤去・処分費用を約8億1900万円と見積もり、それを差っ引いたのだ。

 さらに、土地の代金1億3400万円の支払いを、年1100万円の分割でいいというのは、ありえない「ウルトラCの技を合法の中で組み合わせた芸術品と言えるスキームです」(この問題を調査している民進党の今井雅人調査チーム座長=『新潮』)。

 ちなみにこの小学校は「瑞穂(みずほ)の國記念小學院」だが、当初は「安倍晋三記念小学校」という名称にするはずだったという。

 この小学校の名誉校長には安倍昭恵が就いていた(問題になってから辞退)。

 この籠池なる人物、生長の家の元信者で、現在は保守系団体として、安倍支持を鮮明にしている「日本会議」の大阪代表・運営委員を務めているそうだ。

 だが『新潮』によると、運営委員は50名前後いるし、籠池はここ数年活動はしていないと、大阪の日本会議は言っている。

 国会でこの問題を追及された安倍首相は、「私や妻は一切関わっていない。関わっていたら間違いなく、首相も国会議員も辞任する」と大見得を切ったが、次々に出てくる疑惑は、堅固に見えていた政権を揺るがしかねない事態になってきているのである。

 まず、小学校設立の寄付集めの際、「安倍晋三小学校」にすると言っているのだ。昭恵は学園のホームページやパンフレットに推薦の弁を寄せている。

 また『週刊文春』(3/9号、以下『文春』)で、鳩山邦夫元代議士(故人)の「事務所参与」だったという川田裕介氏(41)が、彼の息子が学園に通っていたため、籠池理事長の意向をくんで、近畿財務局へ出向いたことを明かしている。

 応対したのは、問題の土地の担当である「管財部 統括国有財産管理官」2名

 すでに2人はこの問題を知っていて、「前向きには検討させてもらっています」と語り、「先方も“政治家とのパイプ”は認識されているようでした」(川田氏)

 さらに籠池理事長は自民党国会議員の事務所を再三訪問して、「政治力で早く結論が得られるように」「評価額を低くしてもらいたい」などと財務省近畿財務局や国土交通省大阪航空局へ働きかけを依頼していたことが、共産党の調べで明らかになっている。

 3月1日の夜、鴻池祥肇(こうのいけ・よしただ)元防災担当相が記者会見を開き、籠池理事長が再三にわたって会いたいと言ってきて、夫婦で来て札束らしきものを出されたので、怒って断ったと明かしている。

 こうしたことから浮かび上がるのは、籠池理事長が安倍首相の名前を再三使い、ほかの政治家たちにも働きかけて、国有地を信じられないほど安い価格で手に入れたのではないかということである。

 新聞社なども国有地の払い下げを受けている。だが、払い下げを受けるのでもそう簡単ではないのに、異常とも思えるダンピングまでしてもらっているのだ。大物政治家が絡んでいると思うのは、致し方ない。

 安倍首相は国会で、籠池とは個人的に会ったことは1回もない、自分の名前を使われたのは知らなかったので、使っては困るという連絡をしたと答えている。

 また、自分は公人だから仕方ないが、妻は私人だから「罪人のように」言われることは許せないと語気を強めた。

 だが昭恵は私人ではあるまい。ファーストレディなのだから、限りなく公人に近いと、私は思う。

 『文春』は、以前の取材で、昭恵が幼稚園についてこう話していたと報じている。

 「お子さんたちが礼儀正しく、きちんとごあいさつができて、すごくしっかりしておられる。それで、幼稚園だけでなく小学校も作りたいのでというお話を伺って『名誉校長に』ということだったのでお受けしたのが二年前ぐらいだったと思います」

 確信犯である。このような国粋主義的教育がこの夫婦の「理想」なのであろう。

 昨年5月に開かれた伊勢志摩サミットで、各国首脳たちを、戦前・戦中の日本を支配していた「国家神道」の象徴で、皇祖神を祀る伊勢神宮に参拝させることに、安倍は躍起になったと言われている。

 官邸から各国首脳の伊勢神宮参拝を実現させろと命令を下し、官僚たちが必死になって首脳たちを説得したというのである。

 また『文藝春秋』3月号でノンフィクション作家の石井妙子氏は、安倍が大腸炎の持病で突然辞任した2007年ごろから、昭恵は「神社めぐり」にのめりこんでいったと書いている。

 そこで「水の波動研究者」「スピリチュアルマスター」と自称していた故・江本勝から大きな影響を得たという。

 この江本との付き合いは安倍家が早く、安倍の父親である晋太郎が、江本に自分の波動を見てもらっていたそうだ。

 晋三も毎晩寝る前に祝詞のようなものを唱えて祈りをささげていると、昭恵が対談などで明かしている。

 彼女がやっている居酒屋「UZU」もアメノウズメノミコトからとったそうだ。

 そこから石井氏は、昭恵が「大麻を擁護する」姿勢も出てきているとしている。神道関係者やスピリチュアル系の人々の間では、大麻は日本の神事に欠かせないのに、それを禁止したのはアメリカ占領軍だという考えがあるというのである。

 石井氏はそうした「昭恵の主張はともすると日本賛美に傾き、国粋主義的な面を見せる。日本は世界で称賛されている、日本人の精神性の高さが今後、世界をリードする、といった発言の数々」に、彼女の姿勢の危うさがにじむと書いている。

 昭恵のベースにあるものは、「日本を神聖視する、危うさを含んだ、少し幼い思考ではないだろうか」と危惧する。

 昭恵につく秘書は現在5人もいる。公費でこれだけの秘書がつくようになったのは第二次安倍政権からだというが「やはり夫人といえども、公人なのだと改めて思う」(石井氏)

 幼い思考はこの夫婦に共通するものであろう。

 安倍は常々、学校における「道徳教育」「愛国教育」を強制しようとしてきた。天皇を中心とした神の国を取り戻す、子どもたちはオレが考えているように教えるべきだというやり方が、最近とみに露骨である。

 だから籠池のような人間を近づけ、自らの名前を付けた学校を作ると言われれば脂下(やにさ)がってしまったのだろう。

 『週刊現代』(3/11号、以下『現代』)で官邸スタッフはこう語っている。

 「近いうちに、あの小学校にどんな人物がいくら寄付をしていたか、リストが出てくるでしょう。ここに名前が挙がる人脈を精査されれば、安倍総理は大ダメージを受ける。トランプ政権ともまずまずうまくやれているし、当分政権は安泰だと思っていたけど、これは本当にまずいかもしれない」

 千丈の堤も蟻の一穴から崩れる。安倍退場が現実になるかもしれない。

元木昌彦が選ぶ気になる記事ベスト3
 マレーシアで殺された金正男暗殺事件が、北朝鮮とマレーシアの国同士の確執に発展し、いまだに真相が解明されない
 殺されたのは影武者ではないのかという「説」まで出てきている。たしかに北朝鮮は何でもありの国だ。金正恩(キム・ジョンウン)まで影武者説が出てきた。
 これからも何が飛び出してくるのか、マレーシアと北朝鮮から目が離せない。

第1位 「嵐・櫻井翔と『恋人』テレ朝女子アナ 熱愛追跡11日間の全写真」(『週刊ポスト』3/10号)
第2位 「安倍官邸が掴んだ『金正恩はもう死んでいる』」(『週刊現代』3/11号)/「金正男の遺体から消えた『虎と竜の入れ墨』のナゾ」(『フライデー』3/10・17号)
第3位 「『稲田朋美防衛相』が気持ち悪い」(『週刊新潮』3/2号)

 第3位。トランプ大統領がまた問題発言をした。ロイターの取材(2月23日)に対して、核兵器増強を明言したというのである。
 オバマはロシアと新戦略兵器削減条約(新START)を締結し、両国が2018年2月までに配備済みの戦略核弾頭を1550発に削減することを定めたが、これをちゃぶ台返しするというのである。
 オバマのやったことはほとんど気に入らないようだが、平気でウソをつくトランプのことだから、明日になれば考えが変わるかもしれない。
 アメリカのメディアにならって朝日新聞も、政治家たちのその場限りの放言を「ファクトチェック(事実確認)」することを始めた。
 安倍首相や麻生副総理の発言の間違いをチェックしているが、一番チェックしなければいけないのは稲田防衛相の次の発言ではないか。
自衛隊が派遣されている南スーダンで去年起きた銃撃戦を「戦闘」ではないかと問われ、「法的意味の戦闘行為は発生していない」と答えたのだ。
池上彰は朝日新聞の連載で、これは「オルタナティブ・ファクト(もうひとつの事実)」だとしているが、私は「フェイク(嘘)」だと思う。
 『新潮』は2月9日号で、彼女のファッションセンスなどを取り上げ批判したが、今週も稲田防衛相を「ここ10年で一番ダメな防衛大臣だと思います」(軍事ジャーナリストの世良光弘氏)と難じている。
 さらに、護衛艦の中をハイヒールで歩き、網タイツを愛用することに対して、自衛隊関係者に「とても職責に相応(ふさわ)しい格好とは……率直に言って気持ち悪い」とまで言わせている。
 この程度の議員がポスト安倍だと言われるのだから、いかに自民党に人材がいないかわかろうというものである。

 第2位。金正男(キム・ジョンナム)がマレーシアの空港で暗殺されて20日近くが経つが、「マレーシア当局は身元確認を終えられていない」(2月24日のasahi.com)。
 同紙によれば、「殺害されたとされる正男氏の所持品から見つかった外交官用旅券の名前は、北朝鮮国籍の『キム・チョル』。記述通りなら、遺体は1970年6月10日に平壌で生まれた46歳の男性。実際の正男氏の年と言われる年齢より、1歳年上だ」
北朝鮮側が身元確認に必要な資料を出さないこともあるが、正男の家族からDNAサンプルが採取できていないようだ。
 マレーシア政府は金正男と発表しているが、捜査当局や医療当局は慎重で、認定を保留し、警察長官は「私は金正男という名前を一度も使っていない」と断定を避けている。
 この原稿がアップされるときには身元が確認されているかもしれないから、そうなったらお許しいただきたいが、生前の正男には胸から腹にかけて虎と竜の入れ墨が黒々と彫られていた。それなのに、今回の亡くなる直前の彼のはみ出した腹に入れ墨らしきものがないと、『フライデー』が報じている。
 半裸で入れ墨を見せているのは4年前の金正男だという。先のasahi.comにも本人確認のために「窮余の策として遺体にあった『入れ墨』の照合写真がないかも探し始めた」とあるから、たまたま地元の新聞社が写したときに消えた(?)のかもしれないが、不可解である。
 『フライデー』で、北朝鮮情勢に詳しい朴一(パク・イル)大阪市立大学大学院教授は、仮説としてだが、「殺されたのは正男氏の影武者の可能性があります」と推測している。
 いつもは必ず付けているというボディガードの姿もなく、空港の中を歩き回る正男はまったく無防備に見える。
 テレビ報道によると、行きつけの北朝鮮料理屋でも、壁を背にした席にしか座らなかったぐらい用心深かった正男にしては解せない行動である。
 もしかするとこの暗殺事件の闇は、われわれが考えているより深いのかもしれない。
 『ポスト』は、もし金正男が死んでいれば、彼の長男であるハンソルが、父の無念を晴らすためと、生き残るために「米韓中」のどこかに亡命して、金正恩を倒すこともあり得ると報じている。
 『現代』は驚いた見方をしている。すでに金正恩は死亡していて、いまのは影武者だというのだ。
 それも、この情報を安倍にもたらしたのは、首脳会談の時で、トランプだというのである。
 金正恩も金正男も影武者? ありえない話ではないが、今のところは? である。

 第1位。さて今週の第1位は久々の『ポスト』のスクープである。
 嵐の櫻井翔(35)とテレビ朝日『報道ステーション』の人気アナ・小川彩佳(32)だから、なかなかのものである。
 『ポスト』によれば、こうである。

 「2月14日のバレンタインデー。
 報ステの放送終了から約1時間後の深夜0時過ぎ、会社から出てきた小川アナは周囲を窺いながらテレ朝近くの路地裏に小走りで駆け、暗がりに停車していた高級車の助手席に飛び乗った。
 運転席にいたのは櫻井だった。櫻井はマスクを外すと一瞬顔を寄せ合った。そのまま車は急発進し、櫻井の自宅方面へと消えた。
 それから10数時間後の15日午後4時。前夜と同じテレ朝近くの路地裏に櫻井の車が停車。助手席から降りた小川アナは名残り惜しそうに何度か振り返りながら、テレ朝社屋へ入っていく。櫻井はルームミラーでしばらく小川アナを見つめると、マスクを付けて車を走らせた。
 さらにその翌日(16日)。報ステ終了後の午後11時半、小川アナは番組スタッフと思しき男性ら数人と、深夜営業の焼肉店へと向かった。
 報ステ関係者が言う。
 『この日は、1月にトランプ大統領の就任式を現地取材した小川をねぎらう会だったようです。約1週間の滞在で、彼女はかなり成長しました。上司らに“小川は報ステに欠かせない存在になった”などと言われて、ジョッキに入ったハイボールを何杯もおかわりしていたようです』
 お開きになったのは17日の午前4時半。小川アナは上司のタクシーに同乗し、自宅へと帰った」

 しかしその夜も、櫻井がお祝いを持って訪ねてきたそうだ。
 ジャニーズ事務所、テレビ朝日も、親しく付き合っていることを匂わせている
 いいカップルだと思う。『ポスト』が発売された夜の『報道ステーション』を興味津々で見た。
 心なし、小川アナはやつれたかな? いつもより緊張気味だった。両親公認だそうだから、ゴールインは近いのかもしれない。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 女子の視点が、焼肉の世界を変えつつあるようだ。これまで牛肉といえば、疑いようもなく霜降りが人気であった。和牛のうまみはこれに尽きるだろう。ところがいま、赤身の支持層が特に女性のあいだでグンと増えた。脂肪分は好みじゃないというわけだ。彼女たちは「アカミニスト」と呼ばれている。

 最近のダイエットでは、炭水化物を減らす一方で、肉を食べることは問題がないとされている。ならば、ビタミンも豊富で「美容によい(と言っても、おそらく語弊がない)」赤身肉に注目が集まるのは当然だ。単純に、海外産の赤身のビーフはお手頃価格である、という点も大きい。

 女性おひとり様の焼肉を楽しめる店が増えた現代は、文字通り「肉食女子」の時代と言えるのかも知れない。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 今年も、2月16日から確定申告の受け付けが始まっている。

 確定申告は、自営業者などが前年1年間の所得を確定し、納税額を申告するもの。会社員の場合は、勤務先の年末調整で一応の手続きは完了しているが、なかには自分で申告しなければいけないものもあり、そのひとつが医療費控除だ。

 医療費控除は、医療費がたくさんかかった人に配慮した税制優遇で、これまでは原則的に1年間に支払った家族みんなの医療費が10万円を超えないと利用できなかった。だが、2017年分の申告から「セルフメディケーション税制」という新たな制度が導入され、利用のハードルが下げられた(ただし、確定申告の提出時期は2018年2月16日から3月15日ごろになる)。

 セルフメディケーション税制は、国民に市販薬の使用を促すことで医療機関の受診を抑制し、国の医療費を削減することを目的に導入された税制優遇だ。2017~2021年の確定申告に設けられた医療費控除の特例という位置づけで、町の薬局やドラッグストアなどで購入した市販薬が1万2000円を超えると、確定申告でお金を取り戻すことが可能になる。

 対象になる市販薬は、「スイッチOTC」と呼ばれる医療用成分が配合された鎮痛剤、風邪薬、胃腸薬、水虫・たむし用薬、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬など。2017年2月14日現在、83成分・1601品目が対象となっている。

 たとえば、鎮痛剤の「ロキソニンS」、抗アレルギー剤の「アレグラFX」、胃腸薬の「ガスター10」などで、対象商品のパッケージには「セルフメディケーション税控除対象」と書かれた識別マークがつけられる。

 控除できる金額は、1年間に自分や家族(生計を一にする者)が購入したスイッチOTC薬が1万2000円を超えた分で、最高8万8000円まで。たとえば、1年間の購入額が5万円なら、3万8000円をその年の所得金額から控除できる。還付金の目安は、所得税率が10%の人だと3800円、20%の人だと7600円、30%の人だと1万1400円(復興特別所得税を考慮しない)。医療費控除は、家族のなかで誰が申告してもいいので、収入が高い人が申告すると還付金が多くなる可能性がある。

 セルフメディケーション税制は、ふだんから健康増進の努力をしている人の税金を優遇するのが目的なので、特定健康診査(メタボ健診)、勤務先の定期健康診断、健康診査、がん検診、予防接種のいずれかを受けていることも申告の条件になっている。

 ただし、セルフメディケーション税制と従来からの医療費控除はどちらか一方しか利用できない。

 医療費控除も、セルフメディケーション税制も、所得からかかった医療費や薬代の一部を差し引くことで、課税所得を減らし、税金を減額するという仕組みなので、使った医療費や薬代すべてが戻ってくるわけではない。

 セルフメディケーション税制の導入で利用のハードルは下がったものの、薬代が1万2000円をちょっと超えた程度では、申告の手間ばかりかかって、いくらも税金が戻らないこともある。

 出産したり、健康保険の効かない歯科治療をして、医療費が10万円を超えた場合は、従来の医療費控除が利用できる。通常の医療費控除でも、薬局で購入した市販薬は控除対象なので、他にも医療費がかかったという場合はまとめて医療費控除として申告したほうがおトクだ。

 とはいえ、セルフメディケーション税制が利用できれば、少しでも税金を取り戻すチャンスであるのは事実。申告には領収書が必要なので、来年の申告に備えて、薬局やドラッグストアのレシートは捨てずに、今からコツコツ集めておこう。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 「ポキ」は、今年のブレイクがウワサされているハワイアンフード。現地の海でとれた魚介類や海藻を、塩や醤油、オイルであえたシンプルな一品だ。その名前には「切り身」という意味がある。日本と同じく、生魚を食べるハワイならではのメニューといえよう。マグロを用いた「アヒポキ」などが定番である。

 ここ数年、ロコモコやガーリックシュリンプ、生クリームたっぷりのパンケーキなど、日本でもハワイ料理が浸透しつつある。この流れで2017年は、ポキをライスに載せた「ポキ丼」が注目されているとのこと。まだ提供する店は少ないが、いまのところ東京都月島の「MAIKAI KITCHEN」、アサイーボウルでも有名な表参道のコーヒーショップ「Island Vintage Coffee」などで食べることができる。

 もともとポキ丼ブームの発火点はハワイでなくロサンゼルスで、多くの専門店がしのぎを削っているという。はたして、我が国では成功するや否や。ただ、レシピとしては要するに「マグロの漬け丼」に近いわけで、いかにも日本人の舌に合いそうではある。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 自民党が2017年2月に導入の検討に着手した新型国債。使い道を限定し、大学などの高等教育の授業料を無償化した場合の財源(約5兆円)とする。当面、政府が毎年まとめる「骨太の方針」への明記を目指す方針。

 高等教育の無償化を巡っては、民進党が子育て・教育に限定して使う「子ども国債」の発行を提言。自民党の教育国債に先立って表明したもの。無償化の財源については、子ども国債の発行とともに、消費税率10%への引き上げの際の税収分1%などで充当する。民進党は次期衆院選で掲げる政権公約の柱に掲げ、「人への投資」を訴える構え。

 名前は違うが二つの新型国債はよく似ている。そのため、民進党の間からは「自民党の教育国債は、民進党の子ども国債のパクリだ。選挙向けで看板に掲げるだけ。自民党政権でできるかあやしい」との批判も出ている。

 実際、その実現性については、?マークがつく。財務省が強く反対しているからだ。麻生太郎財務相は同月の衆院予算委員会で「借金を子どもの世代に送ることと同じにならないか。親の世代が子どもに借金を回すということだ」と指摘。また「名を変えた赤字国債という意見は前々からある。極めて慎重にやらないといけない」と述べた。

 教育国債については、憲法改正との絡みで「自民党が日本維新の会を取り込むための方策」との見方が出ている。維新の憲法改正案に「教育の無償化」が盛り込まれているからだ。教育国債が実現するかはどうか不透明だが、その背景をみると、なにやら政局がらみの生臭さも漂う。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 マクロ視点では、SMAP解散によって生じた経済効果のことを指す。

 ミクロ視点では、「SMAPの価値の大きさを(日本国民に? ジャニーズ事務所に?)訴えたい」という思惑を持つファンによる、元メンバーがCM出演する商品の購買活動のことを指す。

 中居くんのCM出演をきっかけにキリンの『氷結』が売れ、その全面広告を出した読売新聞が売れ、ほかにも香取くんの明治『北海道十勝スマートチーズ』、草彅くんのアサヒ『一本満足バー』、キムタクがテレビで「シューちゃん」と呼んで紹介したフレデリック・カッセルのシュークリーム、そして吾郎ちゃんがラジオで紹介したゴンチャロフのバレンタインデーチョコまでが売れに売れている……らしい。先日は中居くんが『金スマ』で差し入れた京都の老舗、よーじやのカプチーノチョコレートが話題になり、よーじやのサーバーがダウンしてしまった。

 あと、中居くんは44歳にしてオリコンの「第10回恋人にしたい男性有名人ランキング」で3位を獲得(1位は嵐の相葉雅紀、2位は櫻井翔)。ほか3名も10位以内にランクイン(1年前は全員が圏外だった)という、バカにならないフィーバー現象が解散後2か月経った今でも、衰えない勢いで継続しているのだという。

 ちなみに、今回のSMAP解散騒動が引き金となり、ジャニーズ事務所による所属タレントに対する統制力が弱まりつつあるとの説もあるが、もしそれが本当ならジャニタレのスキャンダル発生率も当然高くなり、ソッチ系の雑誌もウハウハ状態……これもまたSMAP発の間接的な経済効果の一つなのかもしれない。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


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