14. キャッシュフロー
会社の純現金収支の増減額を示すキャッシュフローデータを掲載しています。営業CF(営業キャッシュフロー)は営業活動によるキャッシュフローを、投資CF(投資キャッシュフロー)は投資活動によるキャッシュフローを、財務CF(財務キャッシュフロー)は財務活動によるキャッシュフローをそれぞれ示し、「-」(マイナス)はキャッシュの流出、無印の場合は流入を表します。現金等は、上記3キャッシュフローの結果、手元に残った現金および預金や3カ月以内の短期投資など現金同等物の期末残高です。
いずれも単位は百万円もしくは億円です。左側が【指標等】欄の< >内に記載された本決算期における金額、右側のカッコ内はその前期の年額をそれぞれ表します。
- 営業キャッシュフロー
実際の営業取引によって生じたキャッシュの増減。キャッシュの源泉は純利益だが、期末時点での売掛金や買掛金などを差し引きし、費用ではあっても実際の現金流出を伴わない減価償却費を加算します。これがプラスなら、その期の営業活動の結果、キャッシュが流入(増加)したことになり、正常な姿といえます。マイナスならばもともと純利益が赤字か、減価償却の分の投資を回収できていないか、在庫が増えたか、売掛金回収が滞っていることになります。ただ、仕入先と販売先の取引条件の違いによって資金回収期間が長いため、売上増に伴って営業CFが減少する場合もあり、マイナスが必ずしも経営悪化を意味するとはいえません。
- 投資キャッシュフロー
設備投資の支払い、子会社や関連会社への投資に対し、資産や有価証券の売却額を差し引いたものです。ここには設備の補修など現事業の維持を目的とする投資と、将来のための新規事業投資、余資の運用が含まれるが、有価証券の売却でもない限り、マイナスになることが多い。特に成長分野の企業では毎年投資が必要なため、投資CFのマイナスが続きます。
- 財務キャッシュフロー
資金繰りの状況を表し、営業CFや投資CFのマイナスのため資金調達に借入や増資をすれば、プラス(流入)になります。逆に営業CFや投資CFがプラスでキャッシュに余裕がでれば、借入返済や自己株買入れが可能になります。
このように、基本的には営業CFで稼いだキャッシュを投資CFに回し、その過不足を財務CFで調整する形になります。大型設備投資を始めると、一時的には投資CFは大きなマイナスになり、それを当面は財務CFでカバーしますが、思ったように新製品が売れないと、営業CFがマイナスになってしまい、財務CFに響いてくることになります。こうした動きは年を追って見る必要があり、単年度だけを見てプラスやマイナスを評価しても、意味は薄いといえます。
なお、営業CFから現状維持の投資に回した投資CFを差し引いて、フリー・キャッシュフローといいます。つまり、現状の事業から生み出したCFで、これがプラスなら将来のために自由に使え、成長原資になるという意味で重視されます。ただ、投資CFを完全に分別できないため、便宜的には営業CFから投資CFを引いた額を、フリー・キャッシュフローということもあります。