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浦島太郎

ジャパンナレッジで閲覧できる『浦島太郎』の日本架空伝承人名事典・日本大百科全書・世界大百科事典のサンプルページ

新版 日本架空伝承人名事典
浦島太郎
うらしまたろう
 浦島太郎の話は、一般には次のようなものとして知られている。浦島は助けた亀に案内されて竜宮を訪問。歓待を受けた浦島は三日後に帰郷するが、地上では三〇〇年の歳月が過ぎている。開けるなといわれた玉匣(玉手箱)を開けると白煙が立ち上り、浦島は一瞬にして白髪の爺となり死ぬという内容で、動物報恩、竜宮訪問、時間の超自然的経過、禁止もしくは約束違反のモティーフを骨子とする。奈良時代の『日本書紀』雄略二二年の条、『万葉集』巻九の高橋虫麻呂作といわれる「詠水江浦島子一首并短歌」、『丹後国風土記』、平安時代の漢文資料「浦島子伝」「続浦島子伝記」などにも記述がみえる。これら古記録には亀の恩返しという動物報恩のモティーフはなく、『万葉集』を別として、丹後水江浦日下部氏の始祖伝説の形をとっているところに特徴がある。時代が下って室町時代の御伽草子『浦島太郎』になると、動物報恩の発端が登場し、浦島が鶴となって丹後国浦島明神にまつられるという形をとるようになる。また、浦島に“太郎”の名が付与され、竜宮城の名称が現れるのもこのころである。江戸時代の赤本類ではさらに童話化が進み、太郎は亀の背に乗って地上と竜宮城を往復する話に変容していく。浦島伝説を素材にした文学作品には近松門左衛門『浦島年代記』、明治時代に入ってからは、島崎藤村『浦島』(詩)、森鴎外『玉篋両浦嶼たまくしげふたりうらしま』(戯曲)、坪内逍遥『新曲うら島』(楽劇)などが知られている。
 現在、浦島伝説を伝える地は、京都府与謝郡の宇良神社(浦島神社)、神奈川県横浜市の浦島の足洗い井戸・腰掛石、長野県木曾郡の寝覚ノ床などがあり、それぞれ独自の話を伝えている。一方、昔話の「浦島太郎」は全国に分布し、内容的には、動物報恩のモティーフを発端とする一般型が多い。東北地方では、竜宮訪問、時間の超自然的経過のモティーフが独立した話として語られ、香川・鳥取では太郎が鶴と化す御伽草子系の伝承がみられる。奄美の沖永良部島では海彦・山彦説話と複合している。竜宮は海上彼方に楽土があるという常世とこよ思想の反映であろう。女から課せられた約束を男が一方的に破るのは「蛇女房」「鶴女房」などの異類女房譚の特色であり、常に人間によって禁止事項が犯され、不幸な結果を招来することになる。これは『古事記』の豊玉姫説話にも現れている古い説話モティーフといえよう。浦島説話と同型の話は、朝鮮、台湾、中国、チベットなど東アジアや東南アジアの諸国にも分布している。なかでも中国の洞庭湖周辺の伝承は、「竜女説話」と「仙郷淹留えんりゅう譚」の複合により成立したものとみられ、日本の浦島説話とも非常に似ているところから、浦島説話の原郷土を探るうえで重要な位置を占めている。
[大島 広志]
 秋七月に、丹波国の余社郡よざのこほり管川つつかはの人瑞江浦嶋子、舟に乗りて釣す。遂に大亀を得たり。便に女に化為る。是に、浦嶋子、たけりてにす。相逐あひしたがひて海に入る。蓬莱山とこよのくにに到りて、仙衆ひじりめぐる。
日本書紀雄略天皇二二年七月条
さて浦嶋太郎は、一もとの松の木蔭に立ち寄り、あきれはてゝぞ居たりける。太郎思ふやう、亀が与へしかたみの箱、あひかまへてあけさせ給ふなといひけれ共、今は何かせん、あけて見ばやと思ひ、見るこそくやしかりけれ。此箱をあけて見れば、中より紫の雲三すぢ上りけり。是を見れば二十四五のよはひも、忽ちにかはりはてにける。
 さて浦嶋は鶴になりて、虚空に飛び上りける。そも〓〓此浦嶋が年を、亀がはからひとして、箱の中にたゝみ入れにけり。さてこそ七百年の齢を保ちける。あけて見るなと有りしを、あけにけるこそ由なけれ。
浦島太郎

あけてだに何にかはせむみづの江の浦島の子を思ひやりつゝ
是は雄略天皇二十二年の時、丹後国余佐の郡水江の浦島の子といふもの亀をつれりけるが女になりにけり。それをめにして蓬莱にいたれりけるが、故郷をこひてかへりなむといひければ、封たるはこを是をかたみにせよ、ゆめ〓〓あくなといひてとらせたりけるを、ゆかしさにあけてみれば紫雲たちて空にのぼりにけり。この齢をこめたりければ男老かゞまりにけり。くやしと思へどかひなし。是よりあけてくやしき事によむ也。淳和天皇二年にかへりきたれり。その間三百四十八年をへたりといへり。
和歌色葉
けつこふな所さと亀はたぶらかし
編者/評者:初世川柳(評)
出典:『川柳評万句合勝句刷』
編・相印(月)・番号(枚、丁、日):松‐5
刊行/開き:1766年(明和3)(開き)
乙ひめをおしがつよひとしめるとこ
編者/評者:初世川柳(評)
出典:『川柳評万句合勝句刷』
編・相印(月)・番号(枚、丁、日):信‐5
刊行/開き:1785(天明5年)(開き)
かたりであろうと七せの孫はいゝ
編者/評者:初世川柳(評)
出典:『川柳評万句合勝句刷』
編・相印(月)・番号(枚、丁、日):仁‐5
刊行/開き:1775(安永4年)(開き)
浦島ははぐきをかんでくやしがり
編者/評者:呉陵軒可有ら(編)
出典:『誹風柳多留』
編・相印(月)・番号(枚、丁、日):37‐10
刊行/開き:1765~1840年(明和2~天保11)(刊)
第一句、亀を野幇間扱いにしたおかしみ。第二句、「押しが強い」はずうずうしいの意、「しめる(占める)」は交接する意。第三句は帰郷後の浦島を末孫が信じない。第四句、「あけて口惜しき玉手箱」で、歯噛みをしたいところだが、歯も脱けたゆえ土堤を噛みあわせた。


日本大百科全書(ニッポニカ)
浦島太郎
うらしまたろう

伝説として古典文学に記された説話。動物(亀 (かめ))の報恩によって異郷(常世国 (とこよのくに)、蓬莱 (ほうらい)郷、竜宮城)を訪れたという昔話の全国的伝承でもある。およその梗概 (こうがい)は次のごとくである。ある日漁に出ていた浦島は、亀を釣ったが、海に返してやる。ところが、翌日、女房の姿となって小舟に現れる。請われるままに竜宮城に送って行き、そこで女房と夫婦になる。3年を経て故郷に帰るとき、女房から、けっしてあけるなと、形見に美しい箱(玉匣 (たまくしげ)、玉手箱)をもらう。故郷は荒れ果てて700年の時がたっていた。禁を犯して箱をあけると三筋 (すじ)の雲が立ち上り、浦島は老人となる(御伽草子 (おとぎぞうし)では、のちに浦島明神として現れ亀姫と結ばれる)。古くは、『万葉集』巻9に「詠水江浦島子一首并 (ならびに)短歌」とある。丹後 (たんご)(京都府)の日下部 (くさかべ)氏の氏族伝承的な、己の出自を述べる神話としては『日本書紀』雄略 (ゆうりゃく)天皇22年条や、『丹後国風土記 (ふどき)逸文』(『釈日本紀 (しゃくにほんぎ)』所引)、『浦島子伝』『続浦島子伝記』(『群書類従』135所収)など、平安初期までに漢文学化されている。『続浦島子伝略抄』(『扶桑 (ふそう)略記』所収)もある。『源氏物語』夕霧にも浦島の玉匣への思いが詠まれているし、和歌も多く、中世説話文学の時代に入っても、『古事談』『宇治拾遺 (うじしゅうい)物語』(巻12の22)、『本朝神仙伝』『無名抄 (むみょうしょう)』『元亨釈書 (げんこうしゃくしょ)』にその系統を継ぎ、御伽草子『浦島太郎』で初めて「太郎」の名を与えられて伝説の悲劇性を本地物の祝言性に変更する。謡曲『浦島』も同じ傾向であるが、さらに近世に入ると赤本などにも収められ子供向きに脚色され、錦絵 (にしきえ)などにもなった(『燕石 (えんせき)雑志』4に詳しい考証がある)。明治期に入っても幸田露伴 (こうだろはん)、森鴎外 (おうがい)、坪内逍遙 (しょうよう)などの解釈において取り上げられている。京都府与謝 (よさ)郡伊根町の宇良神社(浦嶋神社)蔵の諸縁起は、在地性を備える伝承である。

 そのほかに、全国的伝承は丹後半島を中心に、横浜市の蓮法寺 (れんぽうじ)や長野県木曽郡の寝覚床 (ねざめのとこ)や埼玉県秩父 (ちちぶ)郡小鹿野 (おがの)町など約20ほどの伝説が報告されていて、「椀貸淵 (わんかしぶち)」や「竜宮伝説」とも重層している。この伝説のモチーフは、他郷滞在、禁忌 (タブー)侵犯、時の超経過の三つといえる。人界から異なる他界への畏怖 (いふ)観を、禁忌不可侵(玉匣、玉手箱)の鉄則を破ることで社会的な罰則、破綻 (はたん)をこうむるという筋立ては、昔話の動物報恩による異類婚姻譚 (たん)の型である。海神の使者ともいうべき他界の動物報恩は、浦島伝説のみならず、『日本霊異記 (にほんりょういき)』上「亀を購 (あがな)ひて放生せしめ現報を得る縁」をはじめ中世説話文学にもみえ、昔話「蛤 (はまぐり)女房」などと軌を一にするものである。それは沖縄のニライカナイ信仰などに伝存する他界水平観における神霊の豊穣 (ほうじょう)致富の約諾の古代的発想が伝承されたといえる。南太平洋諸島にも類似の伝承がある。

 今日もっとも知られている亀の背による竜宮城往復は中世以降の型である。口承の伝説的昔話では、太郎が継子 (ままこ)であったり(福井)、鶴 (つる)と化したり(香川)、3人兄弟の長男の申し子であったり(京都)、亀がカレイであったり(青森)する。「竜宮童子」「竜宮女房」「黄金の斧 (おの)」「沼神の手紙」などのモチーフとも比較されるべきであろう。また他界の短時間が人界の超時間となるのは、『竹取物語』や、甲賀 (こうが)三郎譚などにみえ、そこには同じく他界への畏敬観が伝承されている。

[渡邊昭五]



『浦島太郎』[百科マルチメディア]
『浦島太郎』[百科マルチメディア]

絶対にあけないという約束でもらった箱の蓋(ふた)をあけ、老人となってしまった場面。「御伽草子(おとぎぞうし)」 第21冊所収国立国会図書館所蔵


改訂新版 世界大百科事典
浦島太郎
うらしまたろう

浦島太郎の話は,一般には次のようなものとして知られている。浦島は助けた亀に案内されて竜宮を訪問。歓待を受けた浦島は3日後に帰郷するが,地上では300年の歳月が過ぎている。開けるなといわれた玉匣(玉手箱)を開けると白煙が立ち上り,浦島は一瞬にして白髪の爺となり死ぬという内容で,動物報恩,竜宮訪問,時間の超自然的経過,禁止もしくは約束違反のモティーフを骨子とする。奈良時代の《日本書紀》雄略22年の条,《万葉集》巻九の高橋虫麻呂作といわれる〈詠水江浦島子一首幷短歌〉,《丹後国風土記》,平安時代の漢文資料〈浦島子伝〉〈続浦島子伝記〉などにも記述がみえる。これら古記録には亀の恩返しという動物報恩のモティーフはなく,《万葉集》を別として,丹後水江浦日下部氏の始祖伝説の形をとっているところに特徴がある。時代が下って室町時代の御伽草子《浦島太郎》になると,動物報恩の発端が登場し,浦島が鶴となって丹後国浦島明神にまつられるという形をとるようになる。また,浦島に“太郎”の名が付与され,竜宮城の名称が現れるのもこのころである。江戸時代の赤本類ではさらに童話化が進み,太郎は亀の背に乗って地上と竜宮城を往復する話に変容していく。浦島伝説を素材にした文学作品には近松門左衛門《浦島年代記》,明治時代に入ってからは,島崎藤村《浦島》(詩),森鷗外《玉篋両浦嶼(たまくしげふたりうらしま)》(戯曲),坪内逍遥《新曲うら島》(楽劇)などが知られている。

 現在,浦島伝説を伝える地は,京都府与謝郡の宇良神社(浦島神社),神奈川県横浜市の浦島の足洗い井戸・腰掛石,長野県木曾郡の寝覚ノ床などがあり,それぞれ独自の話を伝えている。一方,昔話の〈浦島太郎〉は全国に分布し,内容的には,動物報恩のモティーフを発端とする一般型が多い。東北地方では,竜宮訪問,時間の超自然的経過のモティーフが独立した話として語られ,香川・鳥取では太郎が鶴と化す御伽草子系の伝承がみられる。奄美の沖永良部島では海彦・山彦説話と複合している。竜宮は海上彼方に楽土があるという常世(とこよ)思想の反映であろう。女から課せられた約束を男が一方的に破るのは〈蛇女房〉〈鶴女房〉などの異類女房譚の特色であり,常に人間によって禁止事項が犯され,不幸な結果を招来することになる。これは《古事記》の豊玉姫説話にも現れている古い説話モティーフといえよう。浦島説話と同型の話は,朝鮮,台湾,中国,チベットなど東アジアや東南アジアの諸国にも分布している。なかでも中国の洞庭湖周辺の伝承は,〈竜女説話〉と〈仙郷淹留(えんりゆう)譚〉の複合により成立したものとみられ,日本の浦島説話とも非常に似ているところから,浦島説話の原郷土を探るうえで重要な位置を占めている。
[大島 広志]

[索引語]
竜宮 宇良神社 異類女房譚
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日本国語大辞典
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18. 海人
世界大百科事典
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19. あらわ・れる[あらはれる]【現・著・顕】
日本国語大辞典
二・一二「一時の奇特爰に呈(アラハ)れ万人の信仰斜(ななめ)ならず」*御伽草子・浦嶋太郎〔室町末〕「其後浦島太郎は、丹後国に浦島の明神と顕れ、衆生済度し給へり」
20. あわわ
日本国語大辞典
寵愛ことに浅からず、ちゃうちちゃうち、あわわ、かぶりかぶり」*浄瑠璃・浦島年代記〔1722〕龍宮七世の鏡「浦島太郎が孫の子の、ひ孫の血筋愛らしく、〈略〉手打(ち
21. いい‐わ・ける[いひ‥]【言分】
日本国語大辞典
たすかりぞする 山桝(さんせう)のめしとられしもいひわけて〈貞義〉」*浄瑠璃・浦島年代記〔1722〕五「浦嶋太郎いひじらけ、何をせうこにいひわけん」イーワケル
22. 異次元
世界大百科事典
の集合が四次元であり,四次元空間の集合が五次元となる。こうした想像上の高次元世界は,たとえば浦島太郎伝説のように古くから素朴な形で文学化されてきたが,数学的シチ
23. 逸文(風土記) 476ページ
日本古典文学全集
意改した。棹は男性がとるのが常であった。蓬莱山の略。神仙の山。「竜宮」と出るのは室町期のお伽草子「浦嶋太郎」以降のことである。当話でも他に「海中博大之嶋・仙都」
24. 伊根[町]
世界大百科事典
伊根湾には,階下が船場で,2階が住居になっている独特の船屋がある。浦島伝説が伝わる地で,宇良神社(浦島神社)は浦島太郎をまつり,玉手箱,乙姫小袖,浦島絵図などが
25. 伊根(町)画像
日本大百科全書
狭い道路を隔てて母屋おもやと相対している(伊根浦重要伝統的建造物郡保存地区に選定)。本庄地区には浦島太郎伝説を伝える宇良神社うらじんじゃ(浦嶋神社)があり、紙本
26. いへ-ら-く【言へらく】
全文全訳古語辞典
今のように(私と)逢おうと思われるなら、この櫛箱を開かないでください、決して、と。イワユル「浦島太郎」ノ伝説。
27. いら‐か【甍】
日本国語大辞典
瓦葺きの屋根。*平家物語〔13C前〕灌頂・大原御幸「甍破れては霧不断の香をたき」*御伽草子・浦嶋太郎〔室町末〕「銀(しろがね)の築地をつきて、金(こがね)のいら
28. 浮世親仁形気(浮世草子集) 461ページ
日本古典文学全集
懐中に入れ携帯する弁当。京都西郊に連なる山をいう。ぶらぶら歩きまわること。第一の客。一番の上客。老人であるので浦島太郎によせていう。歌舞伎若衆を「子供」という。
29. 宇治拾遺物語 55ページ
日本古典文学全集
され、修行者の不動明王の呪文のもたらす威力を大きく上回る不思議として語られる。時間でいえば、浦島太郎の竜宮での三年が人間界の三百年に相当したという例などが思い合
30. 宇治拾遺物語 393ページ
日本古典文学全集
・狩衣・素襖などをいう。書陵部本などは「叟」。みすぼらしそうな様子の者。古くは浦島子、後には浦島太郎と呼ばれた伝説上の人物。漁師の子で竜神の治める海中の異郷に往
31. 海画像
日本大百科全書
常世とこよの国なるものが観念されており、彦火火出見尊ひこほほでみのみことと豊玉姫とよたまひめの神話や、浦島太郎説話にあるように、鳥や魚が海神の使者であって、それ
32. 海画像
世界大百科事典
海亀はニライカナイの神の使いとされ,ときには海難から救ってくれると信じられてきた。このことは浦島太郎譚の亀と竜宮を想起させる。ニライカナイは,太陽の昇る水平線の
33. 浦島
日本大百科全書
(当時芝翫しかん)が初演した『拙筆力七以呂波にじりがきななついろは』という七変化舞踊の一つ。浦島太郎の伝説に取材したもので、竜宮から帰った浦島が玉手箱をあけて老
34. うら‐しま【浦島】
日本国語大辞典
つ。〔三〕京都府北部、奥丹後半島東端の伊根町付近の古称。水江浦島子(みずのえのうらしまのこ=浦島太郎)をまつる宇良神社があるために呼ばれた。植物、ひゃくにちそう
35. うらしましんえまき[うらしまシンヱまき]【浦島神絵巻】
日本国語大辞典
絵巻物。一巻。作者未詳。南北朝時代または室町時代の作。京都府伊根町にある宇良神社の縁起で、祭神の浦島太郎の伝説と祭礼の光景を描いたもの。詞書はなく、絵だけから成
36. ウラシマソウ画像
日本大百科全書
があるヒメウラシマソウA. kiushianum Makinoがある。和名は、糸状の付属体を浦島太郎の釣り糸に例えたものである。邑田 仁
37. うらしま‐そう[‥サウ]【浦島草】
日本国語大辞典
〔名〕サトイモ科の多年草。各地の山林や竹やぶで陰湿な場所に生える有毒植物。細長く伸びて垂れた花軸の先の付属物を浦島太郎の釣り糸に見たててこの名がある。高さ約五〇
38. ウラシマソウ[百科マルチメディア]画像
日本大百科全書
仏炎包は紫褐色で、筒部は白色を帯びる。和名は、糸状の付属体を浦島太郎の釣り糸に例えたもの。花期は4~5月©Shogakukan 撮影/広瀬雅敏
39. うらしまでんせつ【浦島伝説】
国史大辞典
長歌などに浦島伝説がみえるが、みな、その名は「水江の浦島子」の系統である。浦島太郎は後世の称で、御伽草子の『浦島太郎』あたりが古い。浦島伝説は、江戸時代にも生き
40. うらしま の 子(こ)
日本国語大辞典
という。「万葉集」「日本書紀」「丹後風土記」「後撰集」「浦島子伝」「御伽草子」などにみえる。浦島太郎。島の子。うらしまこ。うらしま。*万葉集〔8C後〕九・一七四
41. うらしまのこのでん【浦島子伝】
国史大辞典
す世界の信仰をふまえている点で、民族の固有信仰を探る上で看過できないもので、後世、御伽草子「浦島太郎」系の話が広く流布している。しかし、『浦島子伝』の前世亀と夫
42. 浦島(うらしま)の宝箱(たからばこ)
故事俗信ことわざ大辞典
逮捕されても仲間のことを自白しないという共謀者同士の約束。浦島太郎が持ち帰った玉手箱から、口をあければそれでおしまいの意をこめていう。てきや・盗人の隠語。 譬喩
43. うらしま の 箱(はこ)
日本国語大辞典
浦島太郎の説話で、浦島の子が常世(とこよ)の国から持ち帰ったという箱。玉手箱。*山家集〔12C後〕下「言ひ捨てて後のゆくへを思ひ出でばさて然(さ)は如何に浦島の
44. うらしま の 明神(みょうじん)
日本国語大辞典
称。(2)京都府与謝郡伊根町にある宇良神社の別称。浦島の大明神。*御伽草子・浦嶋太郎〔室町末〕「其(その)後浦島太郎は、丹後国に浦島の明神と顕れ、衆生済度(さい
45. うらしま‐わかめ【浦島若布】
日本国語大辞典
〔名〕ワカメの柔らかい葉の部分だけを調味して作った食品。京都府宮津の名産。浦島太郎の伝説によって名付けられた。
46. うらじんじゃ【宇良神社】京都府:与謝郡/伊根町/本庄浜村
日本歴史地名大系
斉ふす」とされていた浦島社の別当平野山来迎寺はいま近接の字本庄宇治の山際に移っている。祭神は「丹哥府志」に浦島太郎・曾布谷次郎・伊満太三郎・島子・亀姫とある。「
47. うるし‐え[‥ヱ]【漆絵】
日本国語大辞典
金泥なども用いた。*黄表紙・御存商売物〔1782〕上「わしがひいぢぢいの時分、桃太郎が島へわたり、浦島太郎がわかひ時分にて、漆絵といふがはやって」*俳諧・くろね
48. うるし‐が・る【嬉─】
日本国語大辞典
接尾語「がる」の付いたもの)「うれしがる(嬉─)」に同じ。*黄表紙・御存商売物〔1782〕上「浦島太郎がわかひ時分にて、漆絵といふがはやって、人がうるしがったげ
49. 運搬
日本大百科全書
山村では採取した果実、山菜を、漁村ではとらえた小魚を、それぞれ運ぶ際便利な方法とされていた。たとえば浦島太郎の姿などは一つの典型で、近年までとくに釣り人には簡便
50. えしゃ‐じょうり[ヱシャヂャウリ]【会者定離】
日本国語大辞典
。*平家物語〔13C前〕一〇・維盛入水「生者必滅、会者定離はうき世の習にて候也」*御伽草子・浦嶋太郎〔室町末〕「ゑしゃぢゃうりのならひとて、あふものには必ずわか
「浦島太郎」の情報だけではなく、「浦島太郎」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
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(改訂新版・世界大百科事典)
間に危害を加える想像上の怪物,妖怪変化。鬼と呼ばれる表象の内容は多種多様であり,時代によっても変化しているので,それをまんべんなく説明することはきわめて難しい。〈おに〉という語は,人に見えず隠れ住んでいることを意味する〈隠(おん)/(おぬ)〉に由来するとする説や
桃太郎(日本大百科全書(ニッポニカ))
昔話。英雄が悪者を退治することを主題にした異常誕生譚(たん)の一つ。婆(ばば)が川を流れてくる桃の実を拾う。桃から男子が生まれる。桃太郎と名をつける。桃太郎が一人前になると、鬼が島へ黍団子(きびだんご)を持って鬼征伐に行く。
金太郎(国史大辞典)
伝説的人物。源頼光の郎等なる勇猛の士として、『今昔物語集』二八、『古今著聞集』九、『酒呑童子』(御伽草子)などに公時の名がみえる。江戸時代初期の金平浄瑠璃では主人公金平の父として語られ、その一つたる寛文四年(一六六四)刊の『漉根悪太郎』では坂田民部金時と称され、足柄山で山姥が奉った子とされる。
イソップ物語(改訂新版・世界大百科事典)
ギリシアのイソップ(アイソポス)が作ったと伝えられる動物寓話集。動物などの性格や行動に託して,ギリシアの一般大衆に,いかにすれば人は平穏無事に人生をおくることができるかを教える処生訓であった。この寓話形式はすでにヘシオドス(《農と暦(仕事と日々)》202~212行)
グリム(兄弟)(日本大百科全書(ニッポニカ))
兄ヤーコプJacob Grimm(1785―1863)、弟ウィルヘルムWilhelm Grimm(1786―1859)ともにドイツの説話学の創始者。『グリム童話集』で有名。この2人の下に3人の弟と妹1人がいる。ヘッセン王国のハーナウで生まれる。1791年、父が地方裁判所の判事に栄転したためシュタイナウという村に移住。
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神曲(集英社世界文学大事典・世界大百科事典)
全1万4233行からなる壮大な長編叙事詩で,均整のとれた構成はしばしばゴシック様式の大聖堂にたとえられる。「地獄」Inferno,「煉獄(れんごく)」Purgatorio,「天国」Paradisoの3編からなり,各編は33歌から,また各連は3行からなる。「地獄編」の冒頭には
アイルランド文学(集英社世界文学大事典・日本大百科全書・世界大百科事典)
アイルランド文学は,文字に残されたものとしては,6世紀ごろまでさかのぼることができる。それまでの文学は口承によるもので,特別な修業を積んだ詩人たちが神々,英雄,美女,妖精(ようせい)の物語を語り伝えた。文字としては,石の角(かど)に長短の直線を刻み
ソフィスト列伝(文庫クセジュ)
第一章プロタゴラスI生涯と著作プロタゴラスは紀元前四九二年頃、アブデラ〔トラキア地方のエーゲ海に面したネストス川河口のポリス〕で生まれたと現在では考えられている(1)。プロタゴラスは、マイアンドリオスの息子であった。(1)従来、紀元前四八六年~四八五
学問のすゝめ(日本大百科全書・世界大百科事典・国史大辞典)
福沢諭吉が著した明治初期のもっとも有名な啓蒙(けいもう)書。初編は1872年(明治5)刊行されたが、非常な評判をとったのでシリーズ化し、76年刊の第17編まで続いた。発行部数あわせて340万といわれ、当時のベストセラー。初編冒頭の人間平等宣言
新花摘(日本大百科全書・世界大百科事典)
蕪村(ぶそん)晩年の句文集。外題(げだい)「新華摘(しんはなつみ)」。1777年(安永6)に成り、作者没後の1784年(天明4)冊子を横巻(おうかん)とし呉春(ごしゅん)(松村月渓(げっけい))が挿絵7葉を描き入れた。1797年(寛政9)この自筆原本
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