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ジャパンナレッジで閲覧できる『国債』の辞書・事典・叢書別サンプルページ

世界大百科事典・日本大百科全書・国史大辞典

世界大百科事典

国債
こくさい
national debt

国がその経費をまかなうために行う金銭債務をいう。その場合,国債証券を発行するものを狭義の国債,証券の発行を伴わないものを借入金(年度内に償還する条件のものを一時借入金という)という。なお,国債と地方債を総称して公債という。

国債の制度

国債は償還期限により分類すると,償還期限が1年未満のものを短期国債,1年以上のものを長期国債という。長期国債のうち5年以内の償還期限のものは,一般に中期国債と呼ばれている。現在の日本の国債のなかで発行量,発行残高ともに圧倒的な比率を占めているのは償還期限10年の長期国債である。中期国債は国債の個人消化を主眼として発行される。短期国債は1会計年度内で資金繰りのため発行されるもので,日本では政府短期証券ともいい,一般会計の資金繰りのための大蔵省証券と,食糧管理,外国為替資金の各特別会計の資金不足を補うための食糧証券,外国為替資金証券の3種類がある。いずれも期限60日の割引債である。国債はまた発行地の相違からも分類されている。外国で発行される国債を外国債(外債),国内で発行される国債を内国債(内債)という。外国債はドル,ポンドのように外国貨幣で表示される。一般に外国債の発行は,自国の国債消化能力が弱く外国で低利の資金調達ができる場合に行われる。国債は国の経費をまかなうための収入獲得手段であるが,国の支払の手段となって,国の収入とならないものがある。これを交付国債といい,日本の遺族国債債券(遺族国債)やIMF通貨代用証券等がこれに当たる。

発行方法・償還・借換え

国債の発行方法には,中央銀行(日本の場合は日本銀行)引受けと市中公募がある。前者の場合には発行額に等しい貨幣量の増加を伴う。その点で貨幣の創出と同じである。これに対し,発行者が一定の条件を公示し,広く公債購入者を募集するのが市中公募である。しかしこの場合でも,一般に市中金融機関が引き受け,個人の購入は比較的少ない。日本では,現在10年利付国債や5年の中期国債は,国債引受けシンジケート団(略して国債シ団)の引受けによって発行されている。シンジケート団の証券会社がメンバー以外の個人,法人を対象に募集を行い,応募額が発行総額に満たない場合にはその残額をシンジケート団が引き受け,予定シェアによって案分している。日本では,後述のように国債の日銀引受けを原則として禁じている。短期証券については,各発行会計が金融機関,証券会社,短資業者等日銀の定める応募資格者を対象に公募をしている。短期証券の日銀引受けは禁じられていないので,公募額が発行予定額に達しない場合には日銀が不足額を引き受ける。

 国債の償還については,通常,減債基金制度を設け,国の会計から一定の資金を繰り入れて計画的に償還されている。日本でも減債基金として国債整理基金特別会計が設けられ,次のように資金が繰り入れられている。(1)定率繰入れ 一般会計,特別会計を通じて前年度期首の国債総額の100分の1.6に相当する額の繰入れ。(2)剰余金繰入れ 一般会計における決算上の剰余金の2分の1を下らない額の繰入れ。(3)予算繰入れ 必要がある場合における一般会計または特別会計からの予算措置による繰入れ。

 国債には借換えの制度がある(いわゆる国債の借換え)。これは,新国債(借換国債)を発行(借換発行)して旧国債を償却することである。借換えを数回繰り返すことによって,便益供与期間が50~60年にわたる公共施設を国債を財源として建設し,かつ耐用年数が終わると同時に債務をゼロにすることができる。そのほか,市場利子率の変動を利用して,既発行の高利の国債を低利の国債に借り換えて(低利借換え)国債費を節減することもできる。

国債と財政原則

近代国家の成立により財政が王侯の家計から分離して公経済として確立されて以来,財政運営の基本原則として国債発行に頼らない均衡予算主義が唱えられた。それは古典派の原理と呼ばれ,この原理は公経済を家計との類推でとらえる。政府による慎重な財政運営は,家庭ないし企業の場合と基本的には同じものである。浪費よりも倹約が基本的な美徳であるとみなされ,実際の運営面でこの規範は,公共予算は剰余を出さないまでも均衡しなければならない,また赤字は特別の場合にだけ許されるべきである,という形をとった。大量の継続的な赤字は誤れる財政のしるしであり,健全経営の原則が政府の財政運営にも当てはまると考えられた。資本的支出が借入れによってまかなわれるときには,償還のために減債基金が設けられ維持されなければならなかった。ケインズ主義はこの古典派の均衡予算原則を否定した。公経済の収支バランスはそれ自体は好ましいことだが,国民経済が失業あるいはインフレに悩んでいれば,経済全体が好ましい状態にはない。この場合には,公経済が赤字予算を組み国債を財源として租税収入以上に歳出を拡大して失業を救済したり,あるいは黒字予算を組み国債を償還して租税収入以下に歳出を削減してインフレを抑制することが必要な措置となる。ケインズはこうした役割を国家財政に期待し,その場合の財政政策をとくにフィスカル・ポリシーと呼んだ。

 フィスカル・ポリシーは,第2次大戦後,現代国家の財政運営の主要原理となった。しかし現実の成果をみると,アメリカをはじめ主要国の財政収支はインフレが続くなかで赤字が継続していった。この事態に対し,アメリカのブキャナンJ.M.Buchananらは,ケインズ理論は賢者による財政運営を前提に構想されており(このことをハーベー・ロードの前提という),デモクラシーのもとでは,財政の決定と運営とが選挙を通して出現してくる政治家による政治決定の所産であることを無視した結果である,と論評している。そしてデモクラシーの政治過程のもとでは,経済が完全雇用にあろうとなかろうと,国債発行による財政支出の拡大は恒常的になり,国債の累積は継続する内在的傾向をもつと判断する。こうしたケインズ批判グループは,財政原則としては古典派の均衡予算主義にもどるべきであって,経済の調節は政府が手を下すよりも民間企業や労働者の適応能力にまかせるべきだ,と主張している。

 日本における国債発行をめぐる財政原則については,まず戦時国債乱発財政に対する反省がある。日本は第2次大戦を通じて,国債を発行して軍事費を調達してきた。戦時の物価統制が外されると,それは戦後のはげしいインフレを招いた。1947年,新憲法とともに成立した財政の基本法である財政法においては,原則として国債発行を禁止し,例外的な場合として認めているだけである。すなわち財政法4条は,〈公共事業費,出資金及び貸付金の財源については,国会の議決を経た金額の範囲内で,公債を発行しまたは借入金をなすことができる〉こととしている。この場合の公債は建設公債といわれている。なお公共事業費の範囲については,毎会計年度,国会の議決を経なければならないとされており,予算総則にその範囲が明記されている。この建設公債の原則は,将来にわたって効用を発揮するような投資的経費については,将来の世代の人々にも費用の分担を求めても必ずしも不合理ではない,という考え方によるものとされている。しかし75年度以降,税収の大幅な落込み等から建設公債の発行限度額を上回る公債発行を余儀なくされたため,それぞれの年度限りの特例措置として特別の法律を制定し,これに基づき公債が発行されている。これを特例公債または赤字公債という。

 財政法5条は,公債の日銀引受けによる発行を原則として禁じている。ただ特別の事由がある場合は国会の議決の範囲内で可能となる。これを市中消化の原則という。この原則は,国債の発行額がときどきの金融情勢に応じた消化能力の範囲内に調整されることにより過大な国債発行に歯止めがかけられる,という考え方によるものとされている。

国債と租税の相違

歳出をまかなうのに,国債を財源とすることが許される場合と,租税収入のみを財源とする場合(均衡予算主義)とを比較すると,前述のケインズ批判論者が論じたように,現実の財政決定の政治過程のもとでは,国債発行の財政運営のほうが歳出拡大を招きやすい。それは,租税による場合と異なって,財政決定時の人々が経費負担のコストを即時的にかつ明白に意識することがないからである。つぎに,各個人が将来の事態も考慮して合理的に行動する場合を考えて,租税と国債の相違を考察する。いずれの財源による場合も,一定の質と量の財政支出を行うものと仮定する。

 第1に注意すべきことは,国債は私債とまったく異なるということである。家計の債務は外部に対する債務であって,後日この家計が返済を義務づけられており,それが不履行であればこの家計は破産する。これに対し国債は,共同行為を営んでいる組織(国家)が組織のメンバーに対する借金である。国債を引き受けたメンバーが債権をもつと同時に,同じ組織のメンバーが共同して債務を背負っている。したがって,マクロ的には債権と債務は相殺されてしまう。国債は,家計の借金との対比でいえば,家計のメンバーが他のメンバーから借金することである。この場合には,家計全体としては債権と債務は相殺されてしまう。

 国債の発行が認められずに,国家財政は租税によってまかなわれるものとしよう。租税は国民の消費可能な所得(可処分所得)を減らす。納税者たちは,この減らされた可処分所得を前提に,現在の消費と,将来の消費のための貯蓄との合理的なプランをたて,それに応じて可処分所得を処分するだろう。

 つぎに,租税ではなく,国債によって財政支出をまかなう場合を考える。国債を購入する社会のメンバーが,国債を利子を生む投資物件とみなすならば,彼は従来の貯蓄を割いてこの物件を購入しようとするだろう。すでに各個人は,国債発行以前において所得の消費と貯蓄との合理的な配分を行ってきたはずであるから,国債購入を有利な投資物件とみるならば,従来の貯蓄の蓄積の一部をくずしてこの国債を購入することになるのである。ここで生じたことは,私的蓄積の一部が国債に変換されたということである。いい直せば,民間資本形成の一部が財政支出に振り向けられたということである。この場合に,財政支出よりも民間資本形成のほうが,経済の将来の発展のために有効であるならば,将来の経済成長率はそれだけ低下する。この意味において,国債依存の財政運営は将来の世代の負担となることがいえる。

 さらに,この国債の購入者が,国債の利払いや償還のために追加的な租税負担が不可避であることを知るならば,前段の結論はまったく変わってしまう。合理的な個人は,この将来不可避の増税の費用が現在に引き直すとどれほどの価値になるかを計算するだろう。将来の価値を現在のそれに直すのに,国債の利子率と同じものを割引率として用いるならば,国債の値うちはゼロになってしまう。値うちゼロのものをもたされて,国民は購買力を国家に手渡したことになる。これは租税とまったく同じことになる。このようにみると,国債発行の財政運営と租税を財源とする財政運営は少しも変わらないことになる。こうした結論は,まったく合理的な個人を前提にしての話であるが,国債と租税の相違はこうした合理性が現実に存在しないということのみにあるといえる。
[宇田川 璋仁]

日本における国債の歴史

戦前

近代的な公債の端緒は,成立まもない財政需要多端な明治政府によって開かれた。1870年(明治3)鉄道敷設のためロンドンで募集された9分利付外国公債100万ポンドが,最初の国債である。72年にも7分利付外国公債が同地で募集されたが,発行条件は植民地的であった。73年には旧幕府諸藩債務を継承した旧公債(弘化1-慶応3年分)と新公債(明治1年以降分)が発行された。さらに政府は74年以降秩禄公債,76年金禄公債を交付し封建的身分制度を廃棄する一方,78年大規模な起業公債,84年中山道鉄道公債などを発行して,資本主義化を推進した。他方,政府不換紙幣の乱発で高進したインフレは1882-84年の松方デフレ期に収束され,その過程で貨幣価値が安定し信用制度の整備が進んだ。こうした国債発行条件の成熟を背景に86年整理公債条例が公布され,97年までに約1億5000万円が長期・低利の公債に借り換えられ,ここに近代的公債制度が一応の確立をみた。

 日本を帝国主義列強の一つに押し上げた日清・日露戦争期にも,国債は大きな役割を果たした。日清戦争臨時軍事費(臨軍費)収入の52%,約1億2000万円が公債でまかなわれ,軍拡・鉄道拡張・製鉄所創設などの戦後経営のために約2億8000万円の公債が発行された。日露戦争では臨軍費収入の83%が公債・借入金で調達され,約15億8000万円の公債が発行された。そのうち約8億円は英貨公債であり,発行条件は改善されたが,外資導入は日本の運命を左右する重要な要素であることを示した。日露戦争後の新規発行は1906年以降の鉄道買収公債にほぼ限られるが,累積した国債の整理が要請され,第2次桂太郎内閣によって約5億円の5分利債が10年4分利債に借り換えられた。06年には無記名式を原則とする〈国債ニ関スル法律〉が制定されており,上の借換えの過程で有力都市銀行による国債引受けシンジケート団が成立するなど,この時期に近代的国債制度が本格的に確立したのである。

 第1次大戦から戦後好況期には大戦臨軍費収入の62%,約5億6000万円が国債・借入金でまかなわれ,またロシア・中国政府への貸付け(いわゆる西原借款の一部)や鉄道・電信電話の改良拡張などを目的に,積極的な国債発行政策がとられた。反動恐慌後に抑制策への転換が図られたが,関東大震災の復旧,財界動揺下での資本救済などのために,結局多額の国債が発行された。その間1920年代前半には,金融市場の国債消化能力が減退し国債が短期化して借換えが頻繁化する一方,預金部引受けが増大したが,27年金融恐慌後は金融市場が緩慢化し,投資対象となった国債は都市大銀行へと集中していった。金解禁をめざす起債抑制策は30年度一般会計予算を公債収入に依存しないとした井上財政によって本格的に実行され,金解禁が断行されたが,不況はいっそう深刻化していった。ふり返ってみると,日清戦争直前の1893年2億4000万円にすぎなかった国債残高は,1910年26億5000万円,30年には59億6000万円に達していた。なお,準国債といえる大蔵省証券は1884年から発行されている。

 井上財政に次いで昭和恐慌からの脱却を課題とした高橋財政は,時局匡救(きようきゆう)事業費,満州事変を契機とする軍事費の増大を牽引車に,景気回復を図った。そのため1932-36年に約447億円の国債が発行されたが,金本位制からの離脱,日銀保証準備発行限度の拡張を前提に8割以上が日銀引受けの方法をとった点に特徴がある。大正期以来10%以下だった一般会計の国債依存度は一挙に30%を超えた。国債の消化は日銀国債担保貸出しの優遇などで促進され,大規模な低利借換えなどによって低金利政策が推進された。しかし,まず資金の撒布を行い後に公開市場操作で吸収し,景気回復とともに起債を減じるという高橋の意図は,戦火の拡大とファシズム化の進展のなかで挫折する。36年馬場鍈一蔵相は公債漸減主義の放棄を宣言し,翌年日華事変が勃発する。以後,日中戦争期(1937-41)の臨軍費収入に占める公債・借入金は87%,約209億円,太平洋戦争期(1942-45)には58%,約862億円に達した。後者の時期には植民地・占領地で不換紙幣の形をとった約427億円の現地借入金が加わる。生産力拡充資金との競合,市場消化能力の限界が露呈してくると国債消化策はしだいに統制色を強め,42年資金計画以降金融統制会を通じた割当が実施されるなどしたがインフレは徐々に顕在化した。

戦後

第2次大戦の敗北に続く占領期に,国債をめぐる環境は大きく変容した。戦時中の起債計画は廃止され,国債発行はGHQの許可制となった。1947年制定の財政法は赤字国債の発行,日銀の国債引受けを禁止した。もっとも敗戦後,大蔵省証券,食糧証券など政府短期証券(準国債)は日銀引受けで発行されているが,47年以降64年まで長期国債は姿を消すのである。一方,1947年に始まる復興金融債券(復金債)の発行は,すでに顕在化しつつあったインフレを一挙に高進させ,その結果1945年末約1408億円あった国債残高は急激にその価値を減じた。48年12月に経済安定9原則が発表され,ドッジによる厳しいデフレ政策(ドッジ・ライン)の下,49年3月末で新規貸出しは停止され,また,一般会計,特別会計,政府関係機関を含めた〈総合予算の均衡〉がめざされた。かかる意味での均衡は実際1949-52年度にはほぼ実現されたのである。サンフランシスコ講和条約発効から64年度までは借換国債,交付公債などを別として新規の長期国債は発行されず,一般会計の健全財政主義は守られていた。しかし,1953年財政投融資計画の発表とともに,準国債たる政府保証債がその原資として旺盛に発行され,全政府部門では赤字に転化していた。

 1965年度にはいると不況の深刻化による税収の著減が見込まれ,財政法4条の特例として2690億円の国債発行が国会で決定され(年度末に実際に発行された額は1972億円),ここに戦後の国債制度は新たな段階を迎えた。66年度以降は財政法4条但書に基づいて(これを建設国債という),公共事業費の範囲で毎年発行が継続された。国債は金融機関のシンジケート団によって引き受けられたが,発行後1年たつと日銀の買いオペレーションの対象となり,大部分は日銀,資金運用部の保有となった。そのため国債発行利回りは市場実勢よりも低く固定することが可能となり,こうした国債管理政策は,人為的低金利政策の重要な構成要素となった。73年秋の石油危機を契機とした低成長への移行,深刻な不況局面への転換は,税収減の補てん,景気対策の必要から大量の国債発行時代を現出させた。75年度には3兆1900億円の建設国債に加えて,特例法による2兆0905億円の赤字国債が発行され,後者は以後継続して発行されている。1965-74年度(昭和40年代)には高くて10%台だった国債依存度は,75年度以降20~30%台の高水準を記録している(〈公債依存度〉の項参照)。こうした国債の大量発行は日銀の買いオペを軸にした従来の国債管理政策を限界に追い込み,国債の種類の多様化,公募入札の開始,金融機関保有国債の市中売却の自由化など国債市場の弾力化を促した。
[金沢 史男]

近年における国債の種類の多様化

現在日本で発行されている国債を償還期限の長短によって分類すると,資金繰りのために発行される短期国債(政府短期証券ともいう。期限1年未満)を別とすれば,中期利付国債(期限2~4年),割引国債(同5年),長期利付国債(同10年)となる。割引発行の割引国債は中期国債といった分類には含めない。中期利付国債は1978年6月に初めて発行されたが,その発行方法として,発行条件が市場実勢に添って決定されるという公募入札方式が導入された(中国債(ちゆうこくさい)の略称で呼ばれることも多い)。割引国債は,1977年1月から主として個人投資家向けに発行されているもので,割引形式によって発行されている唯一の国債である。長期利付国債は,金融機関・証券会社で構成される国債引受けシンジケート団によって引受け・募集が行われている。長期利付国債の利回りが長期金利体系の中心となっているため,その発行条件決定が重要な意味をもっている。国債の残高が累増するのにともなって,債券の流通市場における売買高でも国債が大半を占め,債券の流通利回り形成に重大な影響を与えるに至っている。このように,金融市場に及ぼす影響あるいは財政再建とのからみから,国債問題は1970年代後半,とくに80年前後から大きな政策課題となっている。こうした状況下,国債の円滑な消化を図るため,国債の種類の多様化,発行条件の弾力化が一段と促進されつつあり,また81年6月公布の改正銀行法により,銀行の付随業務として国債の窓口販売が認められた。銀行の国債窓販は83年4月に開始されたが,対象証券は長期利付国債のほか政府保証債,地方債である。
→公債 →債券
[遠藤 克朗]

[索引語]
national debt 借入金 一時借入金 短期国債 長期国債 中期国債 政府短期証券 大蔵省証券 食糧証券 外国為替資金証券 外国債 外債 内国債 内債 交付国債 遺族国債債券 遺族国債 国債引受けシンジケート団 国債シ団 減債基金 国債整理基金特別会計 国債の借換え 借換国債 借換発行 均衡予算主義 ケインズ,J.M. フィスカル・ポリシー ブキャナン,J.M. Buchanan,J.M. ハーベー・ロードの前提 財政法 建設公債 特例公債 赤字公債 公債の日銀引受け 可処分所得 旧公債 新公債 臨時軍事費 臨軍費 高橋財政 公債漸減主義 赤字国債 復興金融債券 政府保証債 建設国債 国債管理政策 中期利付国債 割引国債 長期利付国債 中国債

日本大百科全書(ニッポニカ)

国債
こくさい

一般的に国が発行する債券のうち、発行から償還まで一会計年度を超えるものをさす。一時的な資金不足を補うため、一会計年度内で履行される政府短期証券(FB:Financing Bills)を含む場合もある。なお、政府短期証券は2009年(平成21)2月より割引短期国庫債券(TB:Treasury Bills)との統合発行を開始し、国庫短期証券(T-Bill:Treasury Discount Bills)という統一名称で市場において発行・流通しているが、制度上の位置づけは別のものである。各種の国債や政府短期証券は、一部を除き発行限度額が毎年度の予算総則において設定されている。

 国債はおもに財源調達を目的とするものであるが、このほか、国の支払い手段として発行されるものもある。それが、交付国債である。戦没者遺族などへの弔慰金等のかわりとして交付される狭義の交付国債や、交付国債の一種として国際通貨基金(IMF)など国際機関への出資や拠出にかえて発行される出資・拠出国債、株式会社日本政策投資銀行危機対応業務国債や原子力損害賠償・廃炉等支援機構国債がある。

[浅羽隆史]2018年8月21日

財政と国債

国債には、数多くの種類が存在する。国債をあくまで予算上の財源の補填 (ほてん)手段と考えれば、発行する会計による区分と、それぞれの国債の役割が重要である。

 一般会計の財源調達として発行する国債は、新規財源債とよばれる。新規財源債は、根拠法と使途により、建設国債と赤字国債に分けられる。建設国債は財政法第4条に基づき発行されるため、4条国債とよばれることがある。一方、赤字国債の根拠法は特例法であるため、特例国債とよばれることがある。かつては赤字国債の発行にあたり毎年度特例法を制定していたが、2012年度の途中からは複数年度にわたり適用される特例法に基づいて発行されている。新規財源債は狭義の国債であり、国債発行額の目標を設定する場合など、とくに断ることなく新規財源債をさすことがある。一般会計が発行する国債には、財政法第7条に基づく財務省証券もある。これは、国庫の日々の資金繰りをまかなうための政府短期証券であり、当該年度の歳入で償還し利払費を除いて予算計上されない。

 特別会計でも国債を発行する。国債の償還等の経理を行う国債整理基金特別会計では、毎年度多額の国債の満期が到来する。こうした国債のすべてを償還して終わる(現金償還)のではなく、多くはふたたび国債を発行して借り換える(借換 (かりかえ)償還)。国の債務が増加するわけではないので、これを借換国債といい、通常は借換債とよんでいる。財政投融資に関する経理を行う財政投融資特別会計でも、国債を発行している。それが財政投融資特別会計国債であり、財投債とよばれる。財投債は、財政融資資金から政府関係機関や独立行政法人などの財投機関に貸し付ける原資となる。財投債の返済は原則として事業収益などであり、税を用いないことを前提としているため、建設国債、赤字国債、借換債といった普通国債とは峻別 (しゅんべつ)される。

 借換債と財投債は、特別会計法に基づき発行される。財政投融資特別会計では、財政融資資金法を根拠として、政府短期証券の一種である財政融資資金証券も発行している。また、東日本大震災復興特別会計においても、復興財源確保法に基づき復興債が発行されている。復興債は2011年度補正予算(第3号)に限り一般会計で発行されたが、翌2012年度から特別会計での発行に変わった。

 このほかの政府短期証券として、外国為替 (かわせ)資金特別会計の外国為替資金証券、食糧管理特別会計の食糧証券、エネルギー対策特別会計では石油証券と原子力損害賠償支援証券がある。これらの政府短期証券は、特別会計法を根拠とし、原則発行年度中の償還が必要であるが、現実には外国為替資金証券、食糧証券、石油証券において、年度越の残高が恒常的に存在する。

[浅羽隆史]2018年8月21日

国債管理政策

政府は、財源の確保のために国債を安定的に消化するとともに、将来の国民負担を減らすために低金利で調達しなければならない。そのために実施される諸施策を、国債管理政策とよぶ。

 日本における国債管理政策の一つとして、毎年度の国債発行計画の策定がある。国債発行計画では、予算編成にあわせて、国債発行予定額、カレンダーベース市中発行額、政府保証債発行予定額などを公表している。計画作成にあたっては、「国債市場特別参加者会合」や「国の債務管理の在り方に関する懇談会」はじめ各種懇談会等を通じた市場との対話が重視されている。発行市場における安定した消化のため、2004年10月に国債市場特別参加者制度、いわゆる日本版プライマリー・ディーラー制度が導入されている。これは、一定の条件を満たす証券会社などに特別な資格を付与する一方、応札・落札責任を課すことで、国債の安定消化や流動性確保などを目的としている。そのほか、海外IR(海外向けインベスター・リレーションズ)の実施などによる国債保有者層の多様化が図られている。

 起債に際しては、発行する場所を国内か国外か考えなければならない。国内で発行される国債を内国債(内債)、海外で発行される国債を外国債(外債)という。ただし、日本国政府による外国債の発行は、1968年度(昭和43)以降は行われていない。また、1988年度に最後の償還を終え、2018年度時点では残高においても外国債はなくなっている。

 次に、消化方式の割り振りも重要である。消化方式は、市中発行、個人向け、公的部門に分けられる。市中発行とは、市中金融機関などに公募入札等で発行することをいう。市中発行には、財務省が提示した発行条件に対し入札参加者が落札希望価格(または利回り)と落札希望額を入札しそれに基づいて発行価格と発行額を決定する価格(利回り)競争入札、価格競争入札における加重平均価格を発行価格とする中小入札参加者向けの非競争入札、国債市場特別参加者にのみ参加資格が認められる第Ⅰ非価格競争入札および第Ⅱ非価格競争入札がある。

 個人向けは、国債保有者層の多様化を図る一環として個人のみを対象に発行するもので、個人向け国債と一般の利付国債についての新型窓口販売方式があり、さまざまな金融機関で販売されている。公的部門とは、日本銀行が消化するものである。財政法が例外として認めている日本銀行保有国債の償還額の範囲内に限定して借換債を引き受けている。これを一般的には、乗換引受とよぶ。

[浅羽隆史]2018年8月21日

市場における国債

発行する会計や根拠法が異なっても、金融商品としては市場で区別なく取引されている。そのため国債市場では、金利や償還期間での区分が重要である。まず、金利等については、大きく利付国債と割引国債、そして割賦償還制国債に分けられる。

 利付国債とは、利子を一定期間ごとに支払い、満期時には額面金額で償還する国債のことである。利子の支払いは、通常は半年ごとに行われる。一方、割引国債は、あらかじめ金利相当分を額面金額から割り引いた価格で発行し、途中での利払いは行わず、満期時に額面金額で償還される国債である。そして、無利子の割賦償還制国債は交付国債に限られる。

 利付国債は、さらに固定利付国債、変動利付国債、物価連動国債に分けられる。固定利付国債は、利率そして利子の金額がすべての利払いにおいて同一の国債である。変動利付国債とは、市場の変動に応じて金利が変化する国債のことである。利率は利払いごとに改定される。物価連動国債は、元金額が消費者物価の動向に連動して増減する。たとえば、物価連動国債の発行後に消費者物価指数が上昇すれば、その上昇率に応じて元金額が増加する(増加後の元金額を想定元金額という)。償還額は、償還時点での想定元金額となる。利子の額は、各利払い時の想定元金額に表面利率を乗じて算出される。表面利率は発行時のもので固定されるため、物価上昇により想定元金額が増加すれば利子の額も増加する。

 国債が発行されて償還されるまでの償還期間では、4区分が通常である。償還期間20~40年のものを超長期国債、10年を長期国債、2~5年を中期国債、そして2か月~1年のものを短期国債とよぶ。

[浅羽隆史]2018年8月21日

日本の国債の歴史

日本初の国債発行は、鉄道建設のため1870年(明治3)にロンドンで募集したポンド建て国債であった。金利は9%で償還期間13年、関税収入を担保に鉄道収益を付加的担保としていた。その後、旧藩の債務処理のための国債発行などを経て、日清戦争(1894~1895)、日露戦争(1904~1905)、日中戦争(1937~1945)といった戦費調達のための国債発行が目だつようになる。そして、第二次世界大戦(太平洋戦争。1941~1945)によって、経済規模を上回る残高を抱えることになり、戦後の激しいインフレーション(インフレ)の原因となった。

 第二次世界大戦後に財政法が制定され、そのもとで初めて策定された1947年度の予算から1965年度当初予算まで、財政法第4条の国債不発行主義を遵守し、交付国債などを除き、財源調達のための国債は発行しなかった。ただしこの時期、地方公共団体では建設地方債はもとより、年度によっては赤字地方債も発行されていた。

 財政法施行後初の国債発行は、1965年度補正予算であった。前年度の1964年度に東京オリンピックが開催され、高度経済成長期前半期のピークを迎えた。1965年度予算の策定では税収の伸びを高く設定していたが、景気は落ち込み、予算で見込んだ税収が不足した。そこで、補正予算で赤字国債を発行した。そして翌1966年度には、当初予算から建設国債を発行し国債発行政策に転換した。建設国債はそれ以降、発行が続けられている。

 国債発行政策に転じたものの、1973年の第一次オイル・ショックまで高度経済成長が続いたことなどから、1974年度まで赤字国債は不発行であった。建設国債の発行額についても、抑制の効いたものであった。ふたたび赤字国債が発行されたのは1975年度補正予算で、その後の赤字国債の恒常的発行と同時に、国債全体の発行規模が急増し、大量発行時代に突入した。この背景には、高度経済成長の終焉 (しゅうえん)により税収の伸びが縮小する一方、新全国総合開発計画(新全総)に基づく大規模事業実施や児童手当制度導入など歳出の拡大傾向があった。

 こうした国債発行の膨張に対して財政再建が求められるようになり、赤字国債発行ゼロが目標に据えられた。そして、1980年代後半のバブル景気による税収増が、1991~1993年度(平成3~5)の赤字国債新規発行ゼロをもたらした。しかしそのときすでにバブルは崩壊しており、さらに国債発行が拡大した。それを加速させたのが、IT(情報技術)バブルがはじけ、アジア通貨危機(1997)に対する景気対策を打ち出した、1998年度補正予算であった。そこでは当初予算の2倍強の国債が計上され、歯止めなき国債発行とよばれるようになった。

 いざなみ景気(2002~2008)と構造改革などにより、国債発行は2005年度から減少傾向に転じた。しかし、リーマン・ショックに端を発した世界同時不況により、2008年度からまたもや国債発行は増加に転じた。とくに景気対策に伴う2009年度補正予算では、歯止めなき国債発行の時期の水準を大きく上回り、一般会計の財源として国債は税をしのぐ規模になった。

 その後、一般会計における国債発行は緩やかな減少傾向になったが、国際的にみて高水準の国債発行額と最高水準の国債発行残高を抱えている。2018年度当初予算では、一般会計の国債発行額は建設国債が6兆円、赤字国債が28兆円である。このほか、借換債103兆円、復興債1兆円、財投債12兆円となっている。そして、2018年度末見込みの国債発行残高は、建設国債273兆円、赤字国債604兆円(年金特例国債などを含む)、復興債6兆円、財投債94兆円となっている。

[浅羽隆史]2018年8月21日

その後の動き

1990年代以降、バブル経済崩壊やリーマン・ショック後の経済対策、東日本大震災や新型コロナウイルス感染症(COVID (コビッド)-19)への対応、高齢化による社会保障費の増大などで、国の一般会計歳出は累増して100兆円を超える一方、一般会計税収は60兆円程度を上限に伸び悩み、両者の差は「ワニの口」とよばれるように年々拡大している。この差を埋めるため、日本は世界最高水準の国債発行残高を抱えている。2021年度(令和3)末見込みの国債発行残高は、建設国債285兆円、赤字国債700兆円(年金特例国債などを含む)、復興債0.8兆円、財投債140兆円。財政健全化のため、政府は国債に頼らずに歳出をまかなうプライマリーバランス(基礎的財政収支)の均衡を掲げているが、達成目標年次の先送りを繰り返している。

[矢野 武]2021年8月20日



国史大辞典

国債
こくさい
国家が財政支出を支弁するために負担する金銭債務で、証券発行を伴うもののことをいう。以下、日本の国債について第二次世界大戦前を四期、戦後を二期に分けてその特徴を述べる。

〔戦前〕

(一)明治初年―二十六年(一八九三)

 維新政府は封建制度を解体し、資本主義の確立を図ることを課題としていたが、その財源調達のために国債を発行した。国債発行の嚆矢は、外債では明治三年鉄道建設のために発行された九分利付外国公債、内債では同五年旧幕藩の債務継承のために交付された新・旧公債であった。以後、金禄公債・起業公債などが発行されたが、これらはいずれも高利で償還期限が短く、財政上きわめて不利なものであった。これを整理し低利に借り換えるために、同十九年十月整理公債条例が公布され(勅令第六六号)、同三十年までの間に整理公債(年利五分、五年据置、以後五十年で償還)一億七千五百万円が発行された。これにより近代的公債が成立した。この時期の国債は金禄公債が発行された同十年以後ほとんど増加せず、軍事公債の比重が低い点で後の時期とは異なっている。

(二)明治二十七年―大正二年(一九一三)

 この時期の特徴は軍事公債の発行による国債の急増である。まず日清戦争では戦費の五二%、一億二千五百万円が国債により調達され、国債残高は同二十六年度末の二億三千五百万円から二十八年度末の三億四千百万円に増加した。さらに日清戦後経営として、軍備拡充、交通・通信機関の拡張、植民地経営のために二億八千四百万円の国債が発行された。これらの国債は三分の一が外債であり、国内では公募ではなく、預金部・償金部の引受けによって発行された。日露戦争はさらに国債を急増させ、戦費調達の国債が十五億八千四百万円発行された。そのうち半分以上が外債であり、日本資本主義の対外依存性を強めることになった。内債はすべて公募発行されたが、この時公募を容易にするために償還期限が短期で据置期間のない国庫債券がはじめて発行された。また、日露戦後経営の一環としての鉄道国有化により交付国債五億円が発行された。その結果、国債残高は同三十六年度末の五億三千八百万円から同三十九年度末の二十一億九千五百万円にまで急増し、財政に重い負担となった。そこで国債の償還方針を明らかにすることが必要となり、同三十九年三月国債整理基金特別会計法(法律第六号)が制定され、減債基金制度が確立した。さらに第二次桂内閣は五分利債の四分利債への借換えを行い、財政負担を軽減した。この時はじめて国債引受けシンジケートが結成されたが、これは金融市場の発展と金融資本の確立とを示すものであった。なお、同三十九年四月国債ニ関スル法律(法律第三四号)、同年五月国債規則(大蔵省令第二三号)が制定され、国債の基本法規が整備された。

(三)大正三年―昭和六年(一九三一)

 この時期は膨大な国債を抱え、日本財政がその処理に苦しむ時期である。第一次世界大戦中より対外発展をめざした積極的財政政策がとられ、国債が再び増発された。第一次世界大戦やシベリア出兵の経費調達のための臨時事件公債、鉄道や電信電話の拡張のための事業公債、輸出為替資金の疎通を図る臨時国庫証券が発行された。これらの国債の大部分は償還期限の短い五分利国庫債券と臨時国庫証券であった。そのために借換えが連続し、額面と発行価格の差による国債増をもたらした。大正十一年度以降、起債抑制策がとられたが、戦後恐慌(大正九年)・銀行恐慌(同十一年)、関東大震災(同十二年)、金融恐慌(昭和二年)が続き、資本救済のために台湾融資損失補償公債などの交付国債五億六千万円が発行された。その結果、国債残高は昭和五年度末に五十九億五千五百万円に増加し、戦時ではないにもかかわらず国民所得の五割を超えた。この過程で国債所有の金融資本への集中が進展した。

(四)昭和六年―二十年

 昭和恐慌の深化と満洲事変の勃発は井上準之助の緊縮財政を破綻させた。同六年十二月大蔵大臣に就任した高橋是清は恐慌救済と戦費の調達のために国債の日本銀行引受け発行を開始した。これは、財政資金の散布をまず行い、その後金融が緩んだところで日銀の国債売りオペレーションで通貨を吸収し、インフレーションを抑制するという方法であった。この日銀引受けを可能とした基本的条件は金本位制の停止であった。その上で日銀の保証準備発行限度額を一億二千万円から十億円に引き上げ、制限外発行税率を五%から三%に下げ、通貨供給を容易にした。満洲事件公債と歳入補填公債の日銀引受け発行により同十年度末には国債残高が九十八億五千四百万円になった。国債の市中消化推進のためにさまざまな国債の優遇措置がとられたが、景気回復に伴う民間部門の資金需要の高まりにより市中消化率が低下していった。高橋はこの時点で国債発行を抑制しようとしたが、すでに日中戦争への道を歩みつつあった日本資本主義にとって不可能なことであった。広田内閣の馬場〓一蔵相以後は無制限に国債が発行され、償還もほとんどなされず、金融統制による国債の強制的消化策がとられた。日中戦争・太平洋戦争の戦費調達のための国債が九百八十億二千六百万円発行され、十六年度以降は国債残高が国民所得を超過し、二十年度末には千四百八億円となり、日本財政は完全に破綻した。

〔戦後〕

(一)昭和二十年―四十年

 戦前と戦後の日本財政を区別する最も重要な点が国債問題であった。戦後の国債の特徴はまず第一に、激しいインフレーションにより国債が事実上償却されたことである。第二に、戦時財政の反省に基づき二十二年に成立した財政法により国債発行が制限され、国債不発行主義が四十年度まで続いたことである。財政法は第四条で国債発行を原則として禁止し、例外的に公共事業費などの財源とする場合に発行を認め、第五条で国債の日銀引受け発行を禁止した。これにより国債は交付公債などを除き新規には発行されなかった。しかし、国債のかわりに政府短期証券や政府保証債が発行され、三十年代末には国債不発行主義は事実上崩れつつあった。

(二)昭和四十年度以降

 四十年度補正予算において戦後はじめて一般会計による国債発行がなされた。以後、四十年代は財政法第四条但し書に基づく建設国債の発行が続いた。四十年代前半は国債発行が抑制されていたが、四十六年度補正予算より増加に転じ、特に五十年度以後激増した。そのため建設国債だけではなく、歳入補填国債が特例法により発行されている。国債残高は五十七年度末現在で九十七兆八千六百億円となり、国債依存度も三割近くとなっている。このような国債依存から脱却することが日本財政の中心的課題となっている。
→公債(こうさい)
[参考文献]
明治財政史編纂会編『明治財政史』八・九、大蔵省編『明治大正財政史』一一・一二、同編『昭和財政史』四・六、同編『昭和財政史―終戦から講和まで―』一一・一九、大蔵省理財局編『国債統計年報』、北村恭二編著『国債』、中島将隆『日本の国債管理政策』、鈴木武雄『日本公債論』、大内兵衛『日本財政論―公債篇―』(『大内兵衛著作集』二)、同「公債九〇億―その経済的意義―」(同所収)
(佐藤 和義)
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検索コンテンツ
1. 国債
日本大百科全書
満期時に額面金額で償還される国債である。そして、無利子の割賦償還制国債は交付国債に限られる。 利付国債は、さらに固定利付国債、変動利付国債、物価連動国債に分けら
2. 国債
世界大百科事典
一時借入金 短期国債 長期国債 中期国債 政府短期証券 大蔵省証券 食糧証券 外国為替資金証券 外国債 外債 内国債 内債 交付国債 遺族国債債券 遺族国債 国
3. こく‐さい【国債】
日本国語大辞典
借入金以外の長期の債務で、有価証券形態によるものをさす。募債の場所によって内国債と外国債に分けられる。*太政官日誌‐明治二年〔1869〕五月二四日「国債私鋳之害
4. こくさい【国債】
数え方の辞典
●口、▲本 →ファンド
5. こくさい【国債】画像
国史大辞典
。そのため建設国債だけではなく、歳入補填国債が特例法により発行されている。国債残高は五十七年度末現在で九十七兆八千六百億円となり、国債依存度も三割近くとなってい
6. 国債
法律用語辞典
国が債務者である公債。通常は、歳出の財源調達、一時的な資金不足の補填又は金銭に代えて交付するため国が負担する債務のうち、証券形態で発行されるものをいう。狭義では
7. 国債【2019】[貯蓄・運用【2019】]
現代用語の基礎知識
2年・5年・10年物の利付国債と15年物の変動利付国債が中心(2007年10月から2年・5年・10年物の利付国債は新窓販国債 として個人や法人、団体向けに販売さ
8. 国債IR[国際金融]
イミダス 2018
日本経済、財政構造改革、国債管理政策、今後の見通し等を説明。最近の日本国債の保有状況は、国内公的部門や市中金融機関が中心だが、運用主体をもっと多様化させることが
9. 国債価格支持政策[金融]
イミダス 2018
あらかじめ設定した国債価格の下限(すなわち、国債利回りの上限)を国債の買い支えによって維持しようとする政策。第二次世界大戦から1950年代初めにかけてのアメリカ
10. 国債格付け【2019】[国際金融【2019】]
現代用語の基礎知識
国債に対する信用リスク評価。格付けは債務の元本、利息が約定通り支払われないリスク、すなわち信用リスク をABCなどの記号で示す指標。国債格付けは国の財務状況から
11. 国債管理
日本大百科全書
第三の目的は、国債の円滑消化と国債市場の安定化である。国債の需要者が特定の満期に選好をもっている場合、その選好に応じた種類の国債を政府が発行すれば、需要者にとっ
12. 国債管理政策
世界大百科事典
,という問題である。 国債管理政策には二つの類型がみられる。一つは,国債市場を金融市場から隔離する政策である。国債を金融市場の制約から隔離すれば,政府は低利かつ
13. こくさい‐ざんだか【国債残高】
日本国語大辞典
〔名〕日本銀行の保有している国債の残高。〓[ザ]
14. 国債市場特別参加者
日本大百科全書
資格保有者はすべての国債入札で発行予定額の5%以上を応札し、短期国債で0.5%以上、中期・長期・超長期国債では1%以上の落札を義務づけられている。また、国債取引
15. 国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー)[イミダス編 経済・産業]
イミダス 2018
国債の入札に特別な条件で参加できる資格。国債の安定的な消化と、国債市場の流動性の確保、向上を目的として、欧米の同様の制度を参考に財務省が2004年10月に導入
16. 国債市場の流動性指標[金融]
イミダス 2018
指標でみた国債市場の流動性は維持されているものの、市場の厚みや弾力性についてはやや低下している可能性がある。日本銀行の国債保有額は15年末時点で325兆円と、市
17. 国債・借入金の残高[財政]
イミダス 2018
普通国債が749兆5846億円(そのうち、建設国債256兆3525億円、特例国債(赤字国債)452兆2251億円、減税特例国債1兆7202億円、交付税及び譲与税
18. 国債償還制度
世界大百科事典
は,国債を償還するための財源を新たに国債を発行すること(借換国債の発行)に求める制度である。 借換国債の発行方法には次の2種類がある。第1は,償還期日のきた国債
19. 国債償還制度
法律用語辞典
全体としての国債残高を適正に管理し、その償還を円滑に行うための財政上の制度で、減債制度ともいう。我が国では国債整理基金特別会計を中心に制度が成り立っており、一般
20. こくさい‐しょうけん【国債証券】
日本国語大辞典
原則とする。*証券取引法〔1948〕二条・一「この法律において有価証券とは、左に掲げるものをいう。 一 国債証券、 二 地方債証券」コクサイショーケン
21. 国債証券
法律用語辞典
国債に対する権利を表示する証券。通常、無記名証券を発行するのが原則であるが、国債証券を発行しないで登録国債とすることも認められる。なお、平成一五年以降発行される
22. こくさいせいり‐ききん【国債整理基金】
日本国語大辞典
〔名〕国債の償還、発行に関する費用にあてるために国債整理基金特別会計が、一般会計または特別会計等から受け入れる資金。償還基金。減債基金。コクサイセ
23. こくさいせいりききん【国債整理基金】
国史大辞典
されず、国債整理基金はほとんど利払いにあてられた。第二次世界大戦後、昭和四十年度になってはじめて一般会計から長期国債が発行されて以後、国債償還が再び問題となった
24. 国債整理基金
法律用語辞典
国債の償還、利払い等に関する費用に充てるため「特別会計に関する法律」(平一九法二三)に基づき置かれた基金。その歳入・歳出は、国債整理基金特別会計によって経理され
25. 国債整理基金特別会計
日本大百科全書
国債の元金償還金および利子支払い、発行諸経費などの費用をまかなうために設置されている特別会計。この国債整理基金にあてるべき資金は、一般会計または特別会計より国債
26. 国債整理基金特別会計
世界大百科事典
経て,第2次大戦後はしばらくの間新規の国債が発行されず国債残高が減少したことから,53年度以降剰余金繰入れのみによって国債の償還に対処していたが,65年度以降の
27. 国債整理基金特別会計【2019】[財政予算【2019】]
現代用語の基礎知識
一般会計または特別会計から受け入れた資金を国債整理基金として、国債の償還、発行に関する費途に充て、国債の整理状況を明らかにしようとしたもので、1906年に設置さ
28. 国債入札[財政]
イミダス 2018
発行価格として取得希望額だけを募る、あるいは国債市場特別参加者のみに入札を認めるという非価格競争入札方式などがある。国債の価格競争入札で応募額が入札額に達しない
29. 国債のT+1決済[金融]
イミダス 2018
いこと)が大量に発生し日本の国債市場が混乱に陥ったことから、決済リスクを削減するために従来は約定日の3日後決済(T+3)であった国債の決済期間を短縮化することが
30. 国債の日銀トレード[金融]
イミダス 2018
期待した銀行の国債買い入れ意欲が強まったこともあり、10年物国債利回りが一時マイナス金利となるなど、国債利回りは史上最低水準近辺で推移している。なお、国債を高値
31. 国債の発行・償還・残高[図版]画像
国史大辞典
 (c)Yoshikawa kobunkan Inc. 
32. 国債の振替決済制度
法律用語辞典
国債の決済を、現物債の受渡し又は登録債の名義変更に代えて、特定の機関の帳簿上の口座間の振替によって行う制度。我が国では、昭和五五年から、日本銀行を国債証券の受寄
33. 国債費
日本大百科全書
国家の借金の返済費。国債の償還や利払い、その事務経費などにかかる総コストをさす。国債発行量の増大に伴って国債費は約20兆円(2008年度)に達しており、国の歳出
34. 国債費[財政]
イミダス 2018
国債の元本償還、利子支払い、およびその事務処理費用として、一般会計に計上された経費。国債費は、一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れられる。1990年代に
35. 国債費【2019】[財政予算【2019】]
現代用語の基礎知識
国債費とは、国の歳出のうち、(1)一般会計の負担に属する国債および借入金の償還に必要な経費、(2)国債、借入金の利子ならびに財務省証券(国庫金不足を補う証券)割
36. 国債引受シンジケート
日本史年表
1910年〈明治43 庚戌〉 2・1 内国債借換えのため、東京・大阪の有力銀行15行(横浜正金・第一・興銀・三井・住友など)、 国債引受シンジケート を結成。
37. こくさいきょく【国債局】
国史大辞典
⇒大蔵省理財局(おおくらしょうりざいきょく)
38. FB・TB市場(短期国債市場)[金融]
イミダス 2018
賄うために発行される政府短期証券(financing bill FB)と長期国債の大量償還・借り換えを円滑化するために発行される短期国債(treasury bi
39. 赤字国債
日本大百科全書
第4条但書で建設国債の発行のみを認めている。つまり赤字国債は、財政法上、発行を認められておらず、発行には特例法制定を必要とする。このため赤字国債は特例国債ともよ
40. あかじ‐こくさい【赤字国債】
日本国語大辞典
〔名〕国が一般会計の赤字補填のために発行する国債
41. 赤字国債[財政]画像
イミダス 2018
その場限りで消えてしまう支出に充てる財源を調達するために発行される国債。財政法に規定がなく、その発行には特別立法が必要となるため、特例国債ともいう。日本では、「
42. 赤字国債の借換え【2019】[財政予算【2019】]
現代用語の基礎知識
従来、特例国債(赤字国債)については借換えをせずに満期に全額現金償還することとされてきたが、1985年度以降、赤字国債の大量償還が始まるのに際し、極端な国民の負
43. 海外IR(海外国債IR)[国際金融]
イミダス 2018
特に財務省が行う日本国債(JGB)の海外説明会のこと。海外投資家の拡大など、国債の安定消化を図る目的で実施する。国債管理政策に加え、日本の経済政策や財政健全化
44. 借換国債
法律用語辞典
満期の到来した国債の償還のための財源を調達するため、国債整理基金特別会計の負担において新たに発行される国債。ある年度の国債の満期到来額のうち、どれだけを現金償還
45. 外貨建て外国債券【2019】[貯蓄・運用【2019】]
現代用語の基礎知識
外国の政府や政府系機関、金融機関、企業などが発行する外国通貨建ての債券。外貨預金と同様、円高になれば円ベースでの利回りは低下し、場合によっては円建て元本を割り込
46. がいこく‐さい[グヮイコク‥]【外国債】
日本国語大辞典
n, Foreign loan 外国債」*風俗画報‐二九〇号〔1904〕露国の軍事予算「尤も軍事費は実際内国に於て徴収すべきが故に、避け得る限りは外国債に依頼
47. 外国債一覧[図版]画像
国史大辞典
 (c)Yoshikawa kobunkan Inc. 
48. 強制国債
法律用語辞典
国債の発行は、通常は国と国債の債権者との間の契約によって行われ、このような国債を任意国債と呼んでいるが、これに対し、法令によって国債の債権債務関係が発生するよう
49. けんせつ‐こくさい【建設国債】
日本国語大辞典
〔名〕国債のうち公共事業など投資的支出に充てられるもの。〓[コ]
50. 建設国債[財政]画像
イミダス 2018
なすことができる」と規定している。この但し書きに基づいて発行される国債が建設国債である。財政法の規定に基づくことから4条国債とも呼ばれる。建設国債の発行の対象と
「国債」の情報だけではなく、「国債」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
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