京都市左京区鞍馬寺の鎮守社由岐(ゆき)神社の祭礼であり、毎年10月22日の夜に行われる。鞍馬寺の参道の中央数か所にマツ・モミの根を束ねた大松明(たいまつ)を立て、各戸の前に大篝火(かがりび)を焚(た)き、青少年が向こう鉢巻の晴れ姿で、柴(しば)を束ねた1.5メートルほどの松明に火を点じたものを担いで集まり、サイレヤ・サイリョウの囃子詞(はやしことば)を繰り返し、参道を上り下りして気勢をあげる。深夜12時に山門石壇の第一の大注連(しめ)に点火し、鞍馬大夫が大注連の中央を太刀で切断する式があり、その後、由岐神社の神輿(みこし)を拝殿から担ぎ降ろし、御旅所(おたびしょ)へ神幸がある。ここで神楽(かぐら)を奏するとともに、割り竹20本ほどを末広に挿したものに点火し、神輿担ぎが担いで庭上を七度半回り、夜明けまで繰り返す。実に豪快な火祭である。
[萩原龍夫]
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