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書初

ジャパンナレッジで閲覧できる『書初』の日本国語大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典のサンプルページ

日本国語大辞典

かき‐ぞめ 【書初】

解説・用例

〔名〕

新年に初めて毛筆で文字を書く正月の行事。昔から、一月二日(江戸時代、寺子屋などでは五日)に恵方(えほう)に向かってめでたい意味の詩歌成句などを書いた。ふではじめ。吉書初(きっしょはじ)め。試筆。かきはじめ。《季・新年》

*満済准后日記‐応永一八年〔1411〕正月一日「声明始〈略〉書初等如〓年々〓

*俳諧・玉海集〔1656〕一・春「かきそめの真行草や三ケ日〈重員〉」

*日次紀事〔1685〕正月二日「書初(ソメ)今日公武両家及地下良賤各々試〓筆。是謂〓書初〓

*浮世草子・西鶴織留〔1694〕一・一「親仁の書初(カキソメ)に毎年さだまって遺言状をしたため」

*諸国風俗問状答〔19C前〕阿波国高河原村風俗問状答・正月・一二「此日書初と申て、先執筆仕、目出度詩又は歌を書候て年徳神へ供」

語誌

起源としては、鎌倉時代より行なわれた武家の「吉書初(きっしょはじめ)」が考えられる。武家の「吉書初」は朝廷で行なわれていた「吉書奏(きっしょのそう)」を模したもので、年首や将軍代始などに行なわれた。また、禅宗寺院でも正月に字をしたためることが年頭の行事として行なわれており、これが庶民に広まったものと思われる。

発音

〓[0]〓(0)

辞書

ヘボン・言海

正式名称と詳細

表記

書初ヘボン言海




日本大百科全書(ニッポニカ)

書初
かきぞめ

吉書 (きっしょ)とも初硯 (はつすずり)ともいう。正月に初めて書や絵をかくこと。たいてい1月2日の行事としている。吉書は平安時代以来、公家・武家において、年始・改元など事が改まった機会に、吉日を選んで奏聞する儀礼文書のことであった。それが武家故実に取り入れられ、また江戸時代には寺子屋の盛行とともに民間行事にもなった。民間で受け入れるにあたっては、屋内作業の仕事始めのような感覚であったろう。若水 (わかみず)で墨をすり、その年の恵方 (えほう)に向かって毛筆で書く。これを小正月 (こしょうがつ)まで長押 (なげし)などに貼 (は)っておき、小正月には持ち寄ってどんど焼の火で焼く。その燃えかけが空中に高くあがると「手があがる」(字が上手になる)といって喜ぶ風がある。

[井之口章次]



世界大百科事典

書初
かきぞめ

新年になって初めて筆墨を用いて字を書くことで,1月2日に行うことが多い。仕事始め・稽古始めの一つである。神棚や菅原道真の画像の前でめでたい文言を書いて年神棚などに納め,字の上達を願うものであるが,かつて子どもたちはその字を小正月の左義長などと呼ばれる火祭の際に燃やし,紙片の高く舞い上がるほど手があがるといって喜び,火祭行事をいっそう印象深いものにした。宮中や一部文人たちの行事から一般に広く行われるようになったのは,寺子屋教育の普及と明治以降の学校での習字教育の発展が関与していると思われる。日常生活において毛筆を用いることが少なくなって,家庭内での書初めという習俗は薄れてきたが,多くの学童を一堂に集めて行う書初め大会などは,今なお盛んなものがある。
→吉書始(きっしょはじめ)
[田中 宣一]

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28. 上田秋成画像
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こだわらない自由な作風をみせ、歌文集『藤簍冊子つづらぶみ』や『毎月集』に収められている。ほかに戯文の風刺小説『書初機嫌海かきぞめきげんかい』『癇癖談くせものがた
29. 上田秋成
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ときに54歳である。隠者として過ごしたその後の7年の間に,茶道書《清風瑣言(せいふうさげん)》,戯著《書初機嫌海(かきぞめきげんかい)》《癇癖談(くせものがたり
30. うえだあきなり【上田秋成】
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32. 歌麿 190ページ
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33. 卜部兼倶
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神道神学を新たに樹立した。1480年(文明12)後土御門ごつちみかど天皇のために『日本書紀』を講書初めの儀で講じ、これより朝廷、公家くげに近づき、さらに将軍足利
34. 江戸小咄集 2 5ページ
東洋文庫
ねんごろにという事 (一6浜辺の砂は取っても、いっか打寄浪が運んできて、元のような砂浜となる〔絵詞(六頁))書初や黙て口を利童子不知足書
35. 江戸繁昌記 1 254ページ
東洋文庫
要永久録』に詳しい (一一)罷鼓 胆は水にすむ青蛙の大きいもの、食用に供する。鼓をほめたいい方。 本書初篇、第五章、「金龍山浅草寺」の条に「雷鼓を賣る者有り」と
36. えばらでら【家原寺】大阪府:堺市/家原寺村地図
日本歴史地名大系
左義長祭は「とんど」とよばれ行基が中国の左義長山で催される山焼の行事をまねて行ったものと伝え、書初めの作品をとんどに入れて焼くと上達するという伝承がある。
37. 大高源吾
世界大百科事典
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38. おおたかげんご【大高源吾】
日本架空伝承人名事典
の宝舟」と付けたという巷説があり、一八五六年(安政三)五月森田座初演『新台(しんぶたい)いろは書初』(三世瀬川如皐作)で舞台化され、さらに九〇年五月歌舞伎座初演
39. おおつえ【大津絵】画像
国史大辞典
大津絵の起源を仏画であるという説が生まれ(雨宝童子を画く絵が大津絵に混入していることがある)、これを新春の書初めと解する人もある。だが遺存する絵でみると、旅人の
40. おく‐へき[ヲク‥]【屋壁】
日本国語大辞典
惶々乎とし屋壁に路跼し」*漢書‐劉〓伝「尚書初〓于屋壁
41. お‐やすみ[を‥]【小休】
日本国語大辞典
〔名〕ちょっと休むこと。*観音岩〔1906~07〕〈川上眉山〉前・一「書初めては、流石にいつもの快速な筆の跡、小休(ヲヤス)みもせず」
42. 女大学集 63ページ
東洋文庫
七去の事。女中文の認めようの事。  〔頭書〕 四季衣裳の色。大和詞大経。片言直の大概。当流折形。書初めの詩歌。七夕詩歌。片仮名伊呂     波。三十六歌仙。  
43. 女大学集 288ページ
東洋文庫
同右。〔頭書〕 今川になぞらえ自らをいましむ制詞の条々、女手習教訓状、都路往来、以呂波三体、 書初詩歌、七夕詩歌、十二月の和歌、四季の文、十二月異名、女の文封じ
44. 女大学集 295ページ
東洋文庫
別項参照。謙堂文庫にペソ書き重写本がある。〔頭書〕 四季衣裳の色、大和詞大概、片言直の大概、当流折形、書初の詩歌、七夕詩歌、片仮名伊呂 波、三十六歌仙。明治=二
45. 懐旧録 サンスクリット事始め 326ページ
東洋文庫
三δに関しては一〇一ぺージを参看。 その生涯の履歴については、本書が詳細に物語るほか、大正十三年(本書初版刊行の三年前)に出された『南条文雄自叙伝』(京都・沈石
46. 改訂 京都民俗志 53ページ
東洋文庫
達しなかった。いろいろ試みた末、この水を硯に入れてみたら、にわかに上達したといい、江戸時代には書初めに京からこの水を汲みにきたと伝えられている。 小野道風硯の水
47. かき‐だし【書出】
日本国語大辞典
三月二日」*人情本・春色梅美婦禰〔1841~42頃〕初・一回「素人作の写しにあれど、面白そふな書初(カキダシ)に、借て直さまよみかかり」*社会百面相〔1902〕
48. かき‐はじめ【書始・画始】
日本国語大辞典
マウシタ ヒト ノ ギョウギ ノ フハウナ コト ヲ ノセタ モノ デ ゴザル」(2)「かきぞめ(書初)」に同じ。*文晁画談〔1811〕(古事類苑・文学四四)「
49. 甲子夜話 1 337ページ
東洋文庫
責ては儒生の職分なれば、天下のことはおろかなること、国々の政務風儀のたすけにも、万が一はなりなんやと、書初し事に候。加賀守殿は刀をさしながら乗物に乗り給ふ。国持
50. 甲子夜話三篇 1 3ページ
東洋文庫
甲子夜話三篇一〔1〕 この夜話を書初めしは、文政四年〔辛巳〕の仲冬にして、歳月流る、が如く、はや十有三の星霜を歴たり。然るに其十年〔丁亥〕、一答ハの止を為て百巻
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