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  10. 新嘗祭

新嘗祭

ジャパンナレッジで閲覧できる『新嘗祭』の国史大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典のサンプルページ

国史大辞典

新嘗祭
にいなめさい
「にいあえのまつり」、また音読して「しんじょうさい」ともいう。「にいなめ」は古代の稲の収穫祭であるが、民間儀礼と宮廷祭祀に分化している。民間の新嘗としては、『万葉集』の東歌(あずまうた)に女性だけで祭を行なっていたことを示す歌二首がみえる。『常陸国風土記』筑波郡条の福慈(富士)山と筑波山の由来の話には、神々の新嘗をする夜に祖神が巡幸する話があり、民間の新嘗儀礼の反映とみられる。『古事記』神代にも天稚彦の新嘗を行う話がある。宮廷の新嘗祭は民間の収穫儀礼の宮廷化したもので、大王の行う最も重要な祭儀であった。その起源はかなり古く、『日本書紀』には神代紀をはじめ仁徳紀・清寧紀などにもみえ、『古事記』雄略天皇段にはその伝承と歌謡をのせるように、早くより定着していたとみられる。律令制の時代には、十一月下卯(または中卯)の日と翌辰の日の二日間の行事であった。その前夜の寅の日夕刻には鎮魂祭があった。卯日には、昼間に神祇官斎院において、畿内を主とした特定の大社三百四座の神々に対して班幣があった。卯の日夕刻には天皇は御湯出御とよぶ入浴斎戒ののち、神嘉殿(しんかでん)において天皇みずから神々とともに新穀による神酒・神饌を食する祭儀があった。それは深夜に二回くり返されるなど、祭式は月次祭の神今食(じんこんじき)と全く同じで、神今食が旧穀を用いるのに対し新嘗では新穀を用いる点だけが相違する。辰の日には豊明(とよのあかり)の節会(せちえ)がある。新嘗会ともよばれる宴で、豊楽院(ぶらくいん)に天皇出御のもと群臣参列して催され、吉野国栖が御贄を献じて歌笛を奏し、舞姫たちの五節(ごせち)の舞があった。即位の大嘗祭は新嘗祭から分化したもので、成立は比較的新しく、天武朝もしくは持統朝から大嘗祭が即位儀礼となったと考えられる。『養老令』では新嘗祭も大嘗祭も同じく「大嘗」と称し、ただ「毎年」と「毎世」として区別するのみである。大嘗祭は即位のはじめに即位礼として大がかりに挙行する新嘗祭であるから、祭儀の中心をなす「神饌行立(しんせんぎょうりゅう)」「神饌親供(しんせんしんぐ)」などの神事は全く同じで、八重畳などの設備も同様である。両者の主要な相違は平安時代においては、(一)大嘗祭においては悠紀(ゆき)・主基(すき)両国に斎田を設定、両国の民が上京して営むが、新嘗祭にはそのようなことはなく、畿内の官田の米・粟を用いること。(二)祭場は大嘗祭では朝堂院に悠紀殿・主基殿を中心とした大嘗宮を仮設するが、新嘗祭では常設の神嘉殿を用いること。(三)大嘗祭は四日間にわたるが、新嘗祭は二日間であること。以上の相違がある。十五世紀の寛正年間(一四六〇―六六)に中断したのち、近世に入って吉田家邸内の一角を神祇官代として復興し、さらに元文五年(一七四〇)に天皇親祭の宮廷祭儀が再興した。以後変遷はあるが、明治二十二年(一八八九)からは皇居吹上御苑に新設した神嘉殿で行われている。なおこの日は明治以後十一月二十三日と定まり、明治六年から他の宮中祭祀の日とともに国家の祝祭日に定められた。第二次世界大戦後も国民の祝日の勤労感謝の日として継承されている。→神嘉殿(しんかでん),→大嘗祭(だいじょうさい)
[参考文献]
にいなめ研究会編『新嘗の研究』、同編『稲の祭儀』、岡田精司編『大嘗祭と新嘗』、八束清貫「皇室祭祀百年史」(神道文化会編『明治維新神道百年史』一所収)、岡田精司「大化前代の服属儀礼と新嘗」(『古代王権の祭祀と神話』所収)、西宮一民「新嘗・大嘗・神嘗・相嘗の訓義」(『皇学館大学紀要』一四)
(岡田 精司)


日本大百科全書(ニッポニカ)

新嘗祭
にいなめのまつり

稲の収穫を祝い、豊穣 (ほうじょう)を祈る式典。「しんじょうさい」ともいう。その年の新穀を天神地祇 (ちぎ)に献供するとともに、天皇自ら食す行事で、宮中神嘉殿 (しんかでん)で行われた。11月の中または下の丑 (うし)、寅 (とら)、卯 (う)、辰 (たつ)の日にわたって行われ、卯の日が新嘗祭、辰の日が豊明節会 (とよのあかりのせちえ)である。丑、寅の両日には豊明節会に舞う五節舞姫 (ごせちのまいひめ)の帳台 (ちょうだい)の試 (こころみ)(下稽古)、御前 (ごぜん)の試などが行われた。五節舞姫は4人構成で、公卿 (くぎょう)の娘2人、国司の娘2人が舞う。丑の日は天皇が常寧殿の帳台に参る舞姫をご覧になり、翌寅の日の御前の試には、舞姫を清涼殿に召してご覧になる。この日、殿上の淵酔 (えんずい)と称して清涼殿で公卿などに酒を賜り、朗詠、今様などをうたう。卯の日は童女御覧 (わらわごらん)。その夜が新嘗祭。翌辰の日が豊明節会。天皇は豊楽院 (ぶらくいん)あるいは紫宸殿 (ししんでん)に出御する。天皇には新穀の御膳 (ごぜん)を供し、群臣にも賜り、白酒 (しろき)・黒酒 (くろき)が出される。一献 (いっこん)・国栖奏 (くずのそう)、二献・御酒勅使 (みきのちょくし)、三献で五節舞が行われる。大歌所の別当の大歌につれて舞姫が舞台にあがり、五たび袖 (そで)を翻して舞う。帳台の試、御前の試、童女御覧などはこの日のための予行にすぎない。この儀式は、天皇即位の大嘗会 (だいじょうえ)と同じ方法で行う厳粛なものである。

 後花園 (ごはなぞの)天皇(在位1428~64)のとき以後中絶したが、東山 (ひがしやま)天皇(在位1687~1709)時代に再興。明治以後、新嘗祭 (にいなめさい)として11月23日を定め、1948年(昭和23)以降現在の勤労感謝の日として受け継がれている。

[山中 裕]



世界大百科事典

新嘗祭
にいなめさい

〈にいなめまつり〉または音読して〈しんじょうさい〉ともいう。宮中の儀式の一つで,11月23日天皇が新穀を天神地祇に供え,天皇みずから食す。旧祝祭日の一つであったが,第2次大戦後〈勤労感謝の日〉として国民の祝日の一つとなった。律令制では,11月〈上卯相嘗祭,下卯大嘗祭〉(《令義解》)と規定し,後者は新嘗に相当するが区別ははっきりしておらず,後になって,一年一度のを〈新嘗〉,天皇一代一度のを〈大嘗〉と区別するようになった。これをニイナメとよむのは後になってからで,本来はニイナエ(ニヒナヘ,ニヒノアヘ。アヘは〈饗〉で神に食物を供えることないしは神人共食の意味である)らしく,ニフナミという東国風の音(《万葉集》巻十四)もあった。ニヒ,ニフは稲積(にお)を意味するニホとも関連が深い。北陸に民俗行事として伝承されるアエノコトや,関東の十日夜(とおかんや)などは,民間で古くから行われた収穫関係の行事で,ニイナメの基礎をなすものである。
→大嘗祭(だいじょうさい)
[萩原 龍夫]

[索引語]
勤労感謝の日 新嘗祭 饗 神人共食 稲積 アエノコト
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1. しんじょう‐さい[シンジャウ‥]【新嘗祭】
日本国語大辞典
[ジョ]言海【新嘗祭】言海
2. にいなめ‐さい[にひなめ‥]【新嘗祭】
日本国語大辞典
」*江家次第〔1111頃〕一〇「新嘗祭」*随筆・胆大小心録〔1808〕一二四「例年の新嘗祭は豊年をいのりたまふ也。深更申嘉殿に出御ありて、暁天にいたるまで、祭礼
3. 新嘗祭
世界大百科事典
行事で,ニイナメの基礎をなすものである。→大嘗祭(だいじょうさい)萩原 龍夫 勤労感謝の日 新嘗祭 饗 神人共食 稲積 アエノコト
4. にいなめさい【新嘗祭】
国史大辞典
ち)の舞があった。即位の大嘗祭は新嘗祭から分化したもので、成立は比較的新しく、天武朝もしくは持統朝から大嘗祭が即位儀礼となったと考えられる。『養老令』では新嘗祭
5. 新嘗祭(にいなめさい)【篇】
古事類苑
神祇部 洋巻 第2巻 215ページ
6. 新嘗祭(にいなめさい) 【12か月のきまりごと歳時記】
生活便利帳
れる。かつて国家行事であった新嘗祭は、戦後「勤労感謝の日」となり、「勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」ことを趣旨とした国民の祝日となっている。新
7. 新嘗祭(にいなめのまつり)
日本大百科全書
宮中神嘉殿しんかでんで行われた。11月の中または下の丑うし、寅とら、卯う、辰たつの日にわたって行われ、卯の日が新嘗祭、辰の日が豊明節会とよのあかりのせちえである
8. にいなめ‐まつり[にひなめ‥]【新嘗祭】
日本国語大辞典
〔名〕「にいなめさい(新嘗祭)」に同じ。《季・冬》*書言字考節用集〔1717〕三「新甞会 ニヰナメマツリ 九月中六日 天子被〓
9. 【新嘗祭】にい(にひ)なめ さい|しんじょう(じゃう) さい
新選漢和辞典Web版
《国》もと祝祭日の一つで、天皇が秋とれた穀物を神にそなえ、また自分もたべた祭り。
10. 大嘗祭【2020】[令和と皇室【2020】]
現代用語の基礎知識
祈る儀式である。宮中三殿の一つである神嘉殿(しんかでん)において毎年行われている新嘗祭 (にいなめさい)に対し、天皇即位後初めての新嘗祭を大嘗祭とし、一世一度行
11. 齋宮新嘗祭 (見出し語:新嘗祭【篇】)
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神祇部 洋巻 第3巻 764ページ
12. 新嘗會圖 (見出し語:新嘗祭【篇】)
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13. 新嘗會節祿 (見出し語:新嘗祭【篇】)
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14. 新嘗祭齋服 (見出し語:新嘗祭【篇】)
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服飾部 洋巻 第1巻 135ページ
15. 預新嘗祭社 (見出し語:新嘗祭【篇】)
古事類苑
神祇部 洋巻 第1巻 361ページ
16. しんじょうさい【新嘗祭】
国史大辞典
⇒にいなめさい
17. 新嘗祭(しんじょうさい)
日本大百科全書
新嘗祭
18. にいあえのまつり【新嘗祭】
国史大辞典
⇒にいなめさい
19. 新嘗祭小忌辨要(著作ID:4386262)
新日本古典籍データベース
にいなめさいおびべんよう 有職故実 
20. 新嘗祭御次第(著作ID:3708347)
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21. 新嘗祭記(著作ID:3708416)
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22. 新嘗祭記(著作ID:3708427)
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23. 新嘗祭御再興一会(著作ID:3708596)
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24. 新嘗祭御装束図(著作ID:3708609)
新日本古典籍データベース
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25. 新嘗祭御装束等図同次第書(著作ID:3708610)
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にいなめさいごしょうぞくとうずおなじくしだいがき 有職故実 
26. 新嘗祭御装束之図(著作ID:3708621)
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27. 新嘗祭御調度絵図(著作ID:3708632)
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にいなめさいごちょうどえず 平田 職厚(ひらた もとあつ) 有職故実 寛政三
28. 新嘗祭再興以後年表(著作ID:3708643)
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にいなめさいさいこういごねんぴょう 祭祀 
29. 新嘗祭参勤仮記(著作ID:286011)
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にいなめさいさんきんかりき 荻野 徳純(おぎの とくじゅん) 祭祀 
30. 新嘗祭次第(著作ID:3708916)
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31. 新嘗祭次第(著作ID:3708950)
新日本古典籍データベース
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32. 新嘗祭次第艸(著作ID:3708983)
新日本古典籍データベース
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33. 新嘗祭次第並図(著作ID:3708994)
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34. 新嘗祭神嘉殿儀之図(著作ID:3709135)
新日本古典籍データベース
にいなめさいしんかでんのぎのず 有職故実 
35. 新嘗祭神嘉殿敷設図(著作ID:4403133)
新日本古典籍データベース
にいなめさいしんかでんふせつず 神祇 
36. 新嘗祭神嘉殿鋪設図(著作ID:3709146)
新日本古典籍データベース
にいなめさいしんかでんほせつず 祭祀 寛政三
37. 新嘗祭神饌細記(著作ID:3709248)
新日本古典籍データベース
にいなめさいしんせんさいき 記録 
38. 新嘗祭次将要(著作ID:3708870)
新日本古典籍データベース
にいなめさいじしょうよう 園池 実達(そのいけ さねかつ) 有職故実 文政七
39. 新嘗祭次将要(著作ID:4425620)
新日本古典籍データベース
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40. 新嘗祭豊明宴次将要(著作ID:3580367)
新日本古典籍データベース
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41. 新嘗祭豊明節会聚類(著作ID:3709691)
新日本古典籍データベース
にいなめさいとよのあかりのせちえしゅうるい 部類記 
42. 新嘗祭並豊明節会(著作ID:4405729)
新日本古典籍データベース
にいなめさいならびにとよのあかりのせちえ 祭祀 
43. 新嘗祭並豊明節会/内々出御(著作ID:4425506)
新日本古典籍データベース
にいなめさいならびにとよのあかりのせちえ/ないないしゅつぎょ 祭祀 
44. 新嘗祭儀次第(著作ID:3709851)
新日本古典籍データベース
にいなめさいのぎしだい 勧修寺 良顕(かじゅうじ よしあき) 注 祭祀 寛政三
45. 新嘗祭儀次第(著作ID:3709884)
新日本古典籍データベース
にいなめさいのぎしだい 祭祀 
46. 新嘗祭夜当座二十首(著作ID:1529608)
新日本古典籍データベース
にいなめさいのよとうざにじっしゅ 香川 景樹(かがわ かげき) 等 和歌 
47. 新嘗祭備忘/参議中将要(著作ID:4425533)
新日本古典籍データベース
にいなめさいびぼう/さんぎちゅうじょうよう 定功卿記抄 祭祀 
48. 新嘗祭部類(著作ID:3710029)
新日本古典籍データベース
にいなめさいぶるい 部類記 
49. 新嘗祭卜食辨備忘(著作ID:3710143)
新日本古典籍データベース
にいなめさいぼくしょくべんびぼう 有職故実 
50. 新嘗祭時供贖物 (見出し語:贖物)
古事類苑
神祇部 洋巻 第2巻 226ページ
「新嘗祭」の情報だけではなく、「新嘗祭」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
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