餅花は、柳、水木(みずき)、榎(えのき)などの枝に、紅白の小さな餅をつけ、神棚や玄関の近く、座敷などの柱に飾り付ける正月飾りである。花をつけた枝が華やかに揺れる様子は、早春の梅を思わせるが、揺れて定まらない華やかさは、新春らしい風情を醸し出す。早春の梅の蕾を思わせるが、本来の意味は、餅や団子を丸めて稲穂に似せ、豊作を祈るための飾りものである。養蚕の予祝行事である繭玉や、五穀豊穣を祈る花餅の行事といった小正月の風習として、日本各地に似た様式の飾りものが伝承されている。京都で餅花に直接関係のある特別な行事は催されていないはずで、正月飾りや生け花などとして、花餅、花飾、餅の花などと呼ばれながら定着している。

 京都の生花店では年の暮れが近づくと、身の丈よりも長い枝に、搗いた餅を、指先でひねりながらつける様子が見られる。餅の形もいろいろで、大小さまざまな丸い形や四角いものなど個性も豊か。餅の花を咲かせた長い枝が数十本も束になって、所狭しとばかりに置いてある。

 昨今の老舗料亭やお茶屋などの正月飾りには、見事な枝振りの餅花が浸透しており、古くから伝わっている風習なのだろうと、改めて疑ったことさえなかった。けれども、村松友視(ともみ)氏の著書『俵屋の不思議』(世界文化社刊、1999年)を読んだときには驚いた。京都随一の老舗旅館の女将が、二十数年前に東北地方の正月飾りに刺激されて創作したものである、というようなことが書かれてあった。昔からの習慣を守る旧家の多い京都の正月に、新たな装飾がこれだけ定着しているということには、ちょっとした感動を覚えるものである。

 

   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 女優・モデル。38歳。1992年の第6回全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞(グランプリは佐藤藍子)を受賞し、翌年からモデルとしてデビュー。99年からテレビドラマを中心に女優として活躍している。

 一昨年、彼女主演の連続ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系列)の平均視聴率が19.1%、最終回に24.4%を獲得して民放ドラマの視聴率ナンバー1を獲得して「視聴率女王」に輝いた(昨年の同番組の最終回も26.9%)。

 米倉演じる大門の「私、失敗しないので」という決めゼリフと、惜しげもなく披露する美脚などが受けた理由だといわれる。

 彼女は遅咲きである。30代になってから松本清張シリーズの『黒革の手帖』『けものみち』『わるいやつら』で演じた悪女役で脚光を浴び、警視庁のネゴシエーターや国税局査察官役で、クールで格好いい女のイメージが定着したといわれている。

 ひたむきに頑張る性格は生来のものらしい。牧阿佐美バレエ団に所属して5歳のころから15年続けたバレエはプロ並みで「タフな精神力も負けず嫌いな性格も、全部バレエで培ったもの。それがあるからこそ今の仕事を頑張れる」と話したことがある。

 彼女はブロードウェイミュージカルの舞台に立つことを志し、母親がやっていた英語教室で慣れ親しんでいた英語力に磨きを掛け、英語の専門学校に通ったり、時間を見つけてはアメリカに行き完璧な発音を身に付ける努力を怠らなかったという。

 彼女が“恋した”ミュージカル『シカゴ』を日本で演じた後、ブロードウェイ側に英語で制作したビデオを送り続け、アジア人初となる悲願の主役の座を手に入れたのだ。

 強靱な精神力と自立心を持った、日本には希有なタイプの女優である。そこが男性だけではなく女性にもファンが多い理由なのだろう。

 彼女は恋多き女でもある。かつては歌舞伎役者の市川海老蔵や故・中村勘三郎との仲が週刊誌で取り沙汰されたことがある。そして『フライデー』(1/10・17号)で、彼女が「毎週泊める日本一の幸せ男」を張り込み撮影している。

 『フライデー』によれば、昨年12月上旬の夕方、所属事務所での打ち合わせを終えて、真っ赤な「フォード・マスタング・コンバーチブル」に乗った米倉涼子が南青山の交差点へと向かったという。

 すると歩道にはビジネスバッグを持った長身の男性が待っていた。

 途中、明治屋などで買い物をした後、2人は米倉の自宅マンションへ入ると、そのまま一夜を明かしたそうである。

 気になる彼氏についてだが、彼の友人によると、こうだ。

 「リクルートの元社員で、12年8月に独立したフリーの編集者です。現在は『ホットペッパー』などの情報誌を手がけています。同じ8月に『女性セブン』にも二人の密会を報じられましたが、それ以降、本格的に付き合うようになったようです。年齢は30代半ばで米倉さんより年下ですが、入社5年目で『ホットペッパー』の編集長に抜擢されたほど優秀な人ですよ。雰囲気は、俳優の堺雅人さんに似ています」

 米倉には『ドクターX』終了後、大きなスケジュールは入っていないという。『フライデー』は今春早々にもサプライズ発表があるかもしれないと書いている。

 だが、かつて米倉は「結婚はしたいけど、子どもはねぇ」と話していたそうだ。原節子や田中絹代を出すまでもなく生涯独身を通した名女優は多くいる。

 女優として脂がのっていて、語学も踊りもマスターし、ニューヨークを舞台に活躍したいという夢を持ち続ける彼女が、おいそれと結婚に踏み切るとは思われないのだが。


元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3

 今週の話題は何といっても俳優の大沢樹生(みきお)が元妻で女優の喜多嶋舞との間にできた長男(16)のDNA鑑定をしたら、親子である可能性が0%だという結果が出たという記事である。

「大沢樹生 喜多嶋舞とのひとり息子が自分の子どもではなかった…」(『週刊女性』1/7・14号)
 最初にこの話をスクープしたのは『週刊女性』である。だが、アメリカに住む長男が『女性自身』で、父親に対して「鑑定は99.9%パパの子供だと出た」と反論したのだ。

「喜多嶋舞 長男悲痛激白!『99.9%僕はパパの子供です』」(『女性自身』1/21号)
 ワイドショーなどで大沢が話していることを聞くと、鑑定結果をアメリカにいる長男が知るはずはないようである。では、その息子の真の父親は誰なのか?

「元妻喜多嶋舞 周辺に大物俳優で『そして誰が父になる?』」(『週刊新潮』1/2・9号)
 最初、俳優の奥田瑛二ではないかと思われていたが、奥田側は全面的に否定する。そこで『週刊新潮』は、その当時喜多嶋と噂になっていた「不倫は文化」という迷言を吐いた石田純一ではないかと推測している。

 果たしてこの結末どうなるのか、しばらく騒動は続きそうである。

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 リアル(現実)の生活が充実しているのは「リア充」。ここから発想して、多くない収入の中でそれなりに生活を充実させるライフスタイルは「プア充」と呼ばれる。宗教学者で作家の島田裕巳(しまだ・ひろみ)氏の著書『プア充 ―高収入は、要らない―』(早川書房)で注目された。この考え方については反発もある。ややこしいのは、実際に「身の丈に合った暮らし」を唱える有識者は、少なくとも「プア」より余裕のある暮らしをしているように見える、という点だろう。実際の懐具合はともかく、話題の本を書けている時点で一定収入はあるはずなので、なかなか「説得力」の面が難しい。

 ただ、直観的な反発を誘いかねないところはさておき、確かに高収入はいいことばかりではない。自分の時間がなくなって、出世で昇給するにしても労働時間に見合っているとは限らない。そこそこの収入でも、工夫によって生活を充実させようという、人間的なたくましさを説いているのだとは思うが、実際に「プア」な身からすれば納得のゆかぬ話かもしれない。

 そもそも、「リア充」「プア充」という言葉が注目されること自体、「よそさまの生活が気になる」時代だと言わざるをえない。いまはブログやSNSを介して、他人の「外食・旅行などのお金のかけ方」や「子育て」「家の中」まで簡単にのぞける。ならば、どうしてもわが身と比較してしまうわけだ。ヨソはヨソと精神的な自由を得るのは、なかなか難しいことである。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 新しい年が明けて早1週間。お屠蘇気分もすっかり抜け、通常の仕事モードになっている人も多いはずだが、今年は忘れずにチェックしたいのがお年玉付き年賀はがきの当選番号だ。

 郵便局で、初めてお年玉付き年賀はがきが発売されたのは1949(昭和24)年12月。戦後の混乱期に、年賀状を送り合うことで消息不明の人々と連絡を取り合い、復興の一助にする狙いで、賞品の当たるくじのついた年賀はがきの発売が始まった。

 第1回目の賞品は、特等がミシン、1等が純毛洋服地、2等が学童用グローブ、3等が学童用こうもり傘だった。

 その後、特等は廃止。1等が最高賞となり、1956(昭和31)年は電気洗濯機、1984(昭和59)年は電子レンジなど、時代を反映するものが賞品に上げられてきた。そして、平成に入ってからは、海外旅行や国内旅行、ノートパソコン、デジタルカメラなどの中から好きなものを選ぶ形式がとられるようになる。

 時代とともに様変わりしてきたお年玉付き年賀はがきの賞品だが、今年は初めて賞品に現金が登場した。

 1等は現金1万円で、当選本数もこれまでの100万本に1本あたりから、今年は10万本に1本に増やすという。現金を賞品に採用したのは、話題性をつくって、落ち込みが激しい年賀はがきの売り上げを伸ばすのが狙いだが、アンケート結果で現金を求める人が多かったのも理由のひとつだ。こんなところにも世知辛い社会の姿が透けて見えるが、現金が当たってうれしくない人はいないはずだ。

 ちなみに、2等は郵便局のふるさと小包、3等はお年玉切手シートとなっている。今年のお年玉付き年賀はがきの抽選は1月19日。当選番号は、新聞や郵便局のホームページなどで発表されるので、今年の運試しをしてみるのもいいだろう。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 英語の「refurbish」は「磨き直す・一新する」という意味。「リファービッシュ品」とは、故障がある製品を修理、あるいは中古品のたぐいを整備して、新品同様に仕立てたものをさす。海外ではリデュース、リユース、リサイクルの「3R」に連なる「第4のR」として受け取られている。

 今後、幅広い製品に対して使われるであろう「リファービッシュ品」という言葉だが、いま現在のところ存在が目立っているのはパソコン販売の現場である。初期段階の不具合で返品されたものを、直してから市場に出す。この場合「メーカー再生品」と呼ばれることもあるが、保証期間が新品に近く、また値段も安くなるので、ユーザーには魅力的である。メーカーにとっても、不良パソコンの廃棄のコストを考えればメリットが大きい。

 ほかの家電やクルマのリファービッシュ品についてもシステムは同様だ。単に安く済ませたいのならば、型落ちの品を買う、中古を買うなど様々な選択肢があるが、「限りなく新品に寄った」リファービッシュ品は今後考慮すべき選択肢となるだろう。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 東京都知事だった猪瀬直樹氏が医療グループ「徳洲会」側から5000万円を受け取っていた問題。その発覚から約1か月で猪瀬氏は辞任に追い込まれた。当初は、都政を引き続き担うことに強い意欲を示していた猪瀬氏だったが、辞職を決意したのは、都議会にこの問題を追及する「百条委員会」が設置されようとしたことが大きい。

 百条委は地方自治法100条に基づくもので、地方議会が、自治体事務を調査する必要がある場合に設置する特別委員会。関係者の証人喚問や記録提出を求めることができる。

 ポイントは、強い調査権限が与えられていることだ。「正当な理由」がないのに出頭や証言の拒否、あるいは記録の提出を拒むと処罰される。禁固、罰金の罰則がある。偽証した場合にも禁固刑が科される。

 同問題を巡って猪瀬氏の説明は二転三転し、虚偽答弁も疑われた。百条委で同様のことが繰り返されれば、禁固刑に処せられる可能性があった。

 結局、猪瀬氏が知事を辞職したことで百条委の設置は見送られた。今後の事実の解明は、徳洲会の公選法違反事件と合わせ、司直の手に委ねられた形だ。

 ジャーナリスト出身の猪瀬氏は「ファクト(事実)とエビデンス(証拠)が大事だ」と口酸っぱく言ってきた。自身のカネを巡る問題で、それを説明できず辞職したのは何とも皮肉な話だ。

 

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 ジャージ・トレーナー・スウェットパンツの高品質化やデザイン向上化に伴い、一時期は絶滅の危機に瀕したパジャマだが、最近、セクシー系ランジェリーメーカー発の、エロカワで男子がきちんと欲情でき、しかも着心地も良いデザイン・素材のパジャマが人気を博し、若い女子を中心として復権の兆しが見えるという。

 これは、たとえば、宅配ピザ屋が家に来てもオートロックを外してから家にやってくるまでに慌てて着替えなくていい、昔あった勝手口がなくなり三河屋など御用聞きが勝手に注文を取るため入ってくることもなくなった……あたりの理由から、多くの男女が寝間着と部屋着と、家から100メートル圏内くらいまでを歩き回る軽い外着をすべて兼用するという、昨今の“私生活のメリハリ感喪失傾向”に歯止めをかける。パジャマ復権は良い傾向だとされている。

 ちなみに、ニューハーフの大学講師・吉井奈々氏は、こういった傾向を「サザエさんは朝ごはんを作ったり掃除をしたりするときも家でスカートをはき、寝間着に着替えるときは絶対に布団の横、さらにスーパーやデパートに行くときはワンピースを着用している」ことから、「サザエさんに学べ理論」と名付け、推奨している。

 

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


<<前へ       次へ>>