[類似語]悪羅悪羅系

 アウトロー系不良男性ファッション誌『SOUL Japan』の増刊号として2011年に創刊された『SOUL SISTER(そうる・しすたー)』(ミリオン出版/隔月刊)がメインコンセプトとして提唱したキーワード。現在では、アウトロー系不良ファッションを好む10~20代の男性と生活スタイルを共にする「姐(あね)ギャル」(=「悪羅(おら)ギャル」)のことを指す。

 かつては「お兄系」に倣い、よりアダルトっぽいお水系ギャル(後の「アゲ嬢」)のことを「お姉(ねえ)系」(※「オネエ系」と片仮名で表記すると、全然違った意味の新宿二丁目系になってしまうので要注意!)と呼んだが、それに任侠色をフレイバーして「お姉→姐さん」へとアレンジされた。

 黒とアニマル柄をベースとしたコーディネートを絶対とし、「モテ」「ユル」「ふわ」「かわ」……といった男性迎合的なキーワードを永遠に敵対視するのが特徴。悪羅悪羅系同様、「実際、話してみると案外いいヒト」とも言われるが、やはりその真偽は定かではない。「レディースの進化形」という解釈もある。

 ちなみに、『ティーンズロード』=レディース暴走族専門誌、『HEAVEN’S DOOR』=ディスコ専門誌、『egg』=ギャル専門誌……と、ある特定の若者文化に向けてピンポイントな作りの雑誌を立ち上げるのはミリオン出版のお家芸。

 

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   



 京都在来のだいこんの品種で、やや細めだが、根の先が丸く、尻詰まりの独特の形をしており、漬け物にして食べる。いろんな呼称があり、正式名称は茎だいこんという。茎だいこ、とも呼ばれ、300年ほど前までは、壬生寺(みぶでら)に近い中堂寺地域(下京区)の特産であったため、中堂寺だいこんといわれていた。近年は伝統野菜として継承されている洛北・松ヶ崎(左京区)の地名から、松ヶ崎だいこんと呼ぶ人もいる。そして、古くから変わらずに親しまれている名称は、長ぐきである。実物は、どちらかというと短いのに、「長」をつけて呼ぶのは、同じ時期に漬ける聖護院(しょうごいん)だいこんよりも長いからだという。

 11月半ばに収穫されると、軒先などに10日間ほど干し、根がしんなりとしてきたら、茎葉ごと一本丸ごとを漬ける。通常、漬け物樽に平らに詰め、一段ずつ糠と塩だけを振りかけてあっさりと漬けるのが基本である。家により、柿の皮や鷹の爪、昆布などを一緒に漬け込んでひと工夫されている。1か月ほどで食べごろとなり、京都のお正月に欠かせない白味噌のお雑煮には、千枚漬よりも、この淡泊な大根の漬け物の方が好まれる。一時、栽培が途絶え、手に入らない時期があった。この時期には青首大根が代用されていたが、えぐみが強くなるので、長ぐきを惜しむ声をよく聞かされていた。


写真の糠漬けは、畑から間引いた未成熟な茎大根。白い根の部分は、太いものでもまだ1.5センチほどで、長さは13センチぐらいである。これからずんぐりと成長し、収穫期には直径6センチ、長さ30センチほどになる。葉も一緒に細かく刻んで食べる。もともと味が濃い品種なので、成長途中のものでもしっかりとした風味がある。


   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 安倍内閣が日本版国家安全保障会議(NSC:外交・安全保障政策の司令塔)とセットで今臨時国会中に成立させようとしている「悪法」である。

 これまでもこれに似た法律をつくろうという目論見は行なわれてきた。1985年に国家秘密に係わるスパイ行為の防止に関する法律案(通称スパイ防止法)が議員立法として提出されたが、審議未了で廃案となっている。

 2011年にも国家秘密の管理体制強化を目指す「秘密保全法」が検討されたが、国会提出は見送られた。だが、今回の特定秘密保護法はこれまでとは比較にならないほど厳しく広範囲に及ぶもので“平成の治安維持法”とまでいわれているのである。

 問題点を列挙してみよう。外交・軍事だけではなく、行政機関の長が自らの所管事項の中で「特定秘密」と認定すれば、TPPから原発情報まで恣意的に、国民に知られると“都合の悪い情報”を隠すことができてしまう。

 特定秘密を取り扱う者は、適正かどうか徹底的にプライバシーまで調べられた職員などに限定される。特定秘密に指定された情報は、議員も国会で質問ができない。

 特定秘密情報を漏えいした者はもちろん、その情報を得ようと接触したり、煽動した者も処罰対象となり、最長懲役は10年である。

 特定秘密をつかんでいなくても、誰かと特定秘密を得ようと話し合っただけで処罰される「共謀罪」も盛り込まれる。特定秘密に指定された秘密は5年を限度とするが、30年まで更新が可能。さらに内閣の承認があれば延長できるから、国民に知らされないまま密かに破棄されてしまうことも十分にありえる。

 この法律ができれば情報開示法はまったく空文化し、国民の知る権利は蔑ろにされ、裁判を起こしたとしても、裁判官も特定秘密自体を確認できない。

 当然ながら、この法案が国民主権を侵す憲法違反であり取材・報道の自由への脅威ととらえ、多くの学者やメディア関係者が反対声明を出している。その中の一人、奥平康弘(おくだいら・やすひろ)東大名誉教授は『中日新聞』(10/19)でこう語っている。

 「国民主権が大きく崩される。(中略)法学者たちが声を上げるのは、かつてない恐ろしさがあるから。戦前で言えば、戦争に突き進むことになった国家総動員法のように、『あれが歴史の転換点だった』とならないようにしなければいけない」

 しかし、この重要問題を報じる週刊誌は少ない。危機感が希薄で時代に鈍感だと断じざるを得ない。わずかに「特定秘密保護法の“ずさんさ”」(『週刊朝日』11/8号)と「日本版NSC(国家安全保障会議)の大愚策機密情報制するのは外務省か」(『サンデー毎日』11/17号、以下『毎日』)が目につくだけである。

 『毎日』で軍事ジャーナリスト・神浦元彰(かみうら・もとあき)氏は、NSCができても軍事情報はダダ漏れになると指摘している。

 彼によれば、今年5月、元米中央情報局(CIA)職員で米国家安全保障局(NSA)勤務経験もあったエドワード・スノーデン氏が、NSA の情報収集をメディアに告発したし、2010年11月には、内部告発サイト「ウィキリークス」に米国の機密文書が公開された。 

 漏えいしたのは陸軍上等兵のブラッドリー・マニング被告。今年8月の米軍事法廷で、被告には35年の禁固刑が言い渡されたが、軍や警察の機密漏洩罪をいくら厳しくしても、高い知識やモラルを持っていて、国民の不利益になる情報を公にする人間は後を絶たないはずであるという。

 だが、翻って日本を見た場合、公務員はもちろんメディアにいる人間たちの中に、それほどの良識と実行力を持った者がいるだろうか。日本版NSCと特定秘密保護法が成立すれば、日本にはどうでもいい情報だけが溢れ、国民には何も知らされないまま、日本はアメリカの言いなりに「集団的自衛権」行使ができる国に変容し、いつか来た道を辿ることになりはしないか。心底心配である。

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 扱い方によって毒にも薬にもなるインターネットは、子どもの教育にとって厄介な存在だ。完全にシャットアウトするのも時代にそぐわないが、やはり大人の管理は必要だろう。人気のコミュニケーションツール・LINEなどを通じて、青少年が犯罪に巻き込まれている実情は、報道でも親世代の危機感をもって伝えられている。各地の行政も注意喚起に躍起となっているが、なかでも群馬県の少子化対策・青少年課が2013年7月末に発表した、「おぜのかみさま」なる標語が話題だ。

 地元では小中学生になじみの深い、群馬を含む三県にまたがる「尾瀬」にちなみ、注意すべき事項を7点にまとめた。「お」→おくらない(写真)、「ぜ」→ぜったいに会わない!、「の」→のせない(個人情報)、「か」→かきこまない(悪口)、「み」→みない(有害サイト)、「さ」→さがさない(出会い)、「ま」→まもる (ルール)の頭文字をとっている。イメージキャラクターの「尾瀬守さま」は、県の人気マスコット「ぐんまちゃん」が仙人姿になったものだ。今後、学校などでも浸透させていく構えだという。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 母乳は、赤ちゃんの成長に不可欠な栄養素で、とくに重要なのが産後1~2週間以内に出る初乳だ。

 生まれたばかりの赤ちゃんは、自分で免疫成分を作ることはできない。腸に悪影響のある病原菌が体内に入っても、それを跳ね除ける力が足りないので、初乳に含まれる免疫成分を飲むことで感染症になるのを防いでいる。そして、母乳を飲むことで自然と腸が整えられて、栄養を吸収できるようになっていく。

 とくに早産で生まれた2500グラム未満の低出生体重児はさまざまな病気のリスクが高まるため、できるだけ早く母乳を与える必要がある。しかし、母親が病気をしていたり、早産で母乳が出ないなどで、赤ちゃんに初乳を飲ませてあげられないこともある。

 そうしたケースに対応するために、別の女性に母乳を提供してもらうのが「母乳バンク」だ。欧米やアジア諸国では広く利用されており、健康状態など一定の基準を満たした女性の母乳を集め、殺菌処理などを行なったあとで赤ちゃんに与えられる。

 これまで日本では母乳バンクは存在しなかったが、低出生体重児の命を守ることを目的に、2013年10月に昭和大学の小児科に初の母乳バンクが誕生。5年以内にNPO法人化して普及を目指すという。

 母乳の提供者は、同大学病院で出産した女性で、早産でも母乳が出る人に協力をお願いしている。また、低温殺菌して使うなどで母乳の安全性を担保している。

 自分の子どもが他人の母乳を飲むことに抵抗を感じる人もいるようだが、高齢出産、不妊治療の増加によって低出生体重児は増えている。母乳バンクの必要性が高まるいま、市民に正しい理解が広まるような情報提供を期待したい。


 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 新書やビジネス書のタイトルには、使っておきたい「魔法のことば」がある。たとえば、「力(ちから・りょく)」。勝間和代(かつま・かずよ)の『断る力』、池上彰(いけがみ・あきら)の『伝える力』、阿川佐和子(あがわ・さわこ)の『聞く力』……、いずれもベストセラーだ。1998年に赤瀬川原平(あかせがわ・げんぺい)の『老人力』が売れて以来、「力」はまさに「神通力」を発揮し続けている。このような「ことば」にはほかにもいろいろとあって、いまどきのトレンドは「9割」であろう。

 その先駆けは、2005年に刊行された竹内一郎(たけうち・いちろう)の新書『人は見た目が9割』だ。論考には賛否両論あったが、「見た目」ですべてを片づけた「度胸」は、一定の読者に受け入れられたといえる。その後も、小幡英司(おばた・えいじ)の『営業は準備が9割!』など、ビジネス書を中心として「9割本」がコンスタントに世に出た。さらには、コピーライターの佐々木圭一(ささき・けいいち)が書いた『伝え方が9割』が、2013年を代表する売れ行きを記録。負けじと「本家」の竹内氏も、『やっぱり見た目が9割』なる続編を刊行している。

 実際読んでみると、「9割」は少し言いすぎでは……という印象を受ける内容も多いが、このようなタイトルをつけるのはほとんどの場合、著者本人ではないだろう。出版社の編集(もしくは営業)なのである。多少は誇大表現でも、言い切ったほうがわかりやすい。政治や経済など何事も不安定な時代に、明確なよりどころが欲しい買い手の感覚をうまく反映しているといえる。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 遠隔操作などにより、パイロットなしで飛行する。農薬散布や気象観測で活躍しているが、いま注目されているのは、偵察や爆撃など軍事面での活用だ。敵陣から撃ち落とされても人的被害がないため、各国がより高性能の無人機の開発に拍車をかけている。実戦の現場でも、米国はパキスタンやアフガニスタンなどでイスラム過激派の掃討に使っている。

 今年9月、無人機をめぐって、日本政府が憂慮していた事態が起きた。沖縄県・尖閣諸島北方の東シナ海上空に中国軍の無人機が飛来したのだ。

 事態を受け、防衛省は無人機が領空侵犯をした際の対応策をまとめる方針。だが、自衛隊機が緊急発進して、無線などで退去要請しようにもパイロットが乗っていないので、要請のしようがないのが実情だ。そのため、防衛省は侵犯した無人機を撃墜する措置を検討しているという。これに対し、中国側は「我々は必ず果断な措置で反撃する」と応じている。

 中国の貪欲な「領土欲」に対しては毅然と対応しなければならないが、「日中間で偶発的な衝突が起こるとしたら無人機はその発火点になる可能性がある」との指摘もある。

 

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


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