5月12日、警視庁が一般公募していた「振り込め詐欺」に変わる新しい名称が、「母さん助けて詐欺」に決まった。

 息子や孫になりすまして電話をかけて、高齢者などからお金をだまし取る「オレオレ詐欺」が増え出したのが2003年。その後、税金や年金などが戻るとだます「還付金等詐欺」、有料サイトなどの料金支払いを装ってお金を請求する「架空請求詐欺」なども発生。お金をだまし取る手口が、銀行のATMを操作させて振り込ませるものだったため「振り込め詐欺」と呼ばれた。

 しかし、振り込め詐欺の被害が周知されてきたこともあり、最近は、現金を直接受け取りにくる手口が増えてきている。たとえば、子どもや孫を装って「電車の網棚に、会社の小切手の入ったカバンを置き忘れた。今日中に支払いをしないと会社をクビになってしまう」といった電話をかけ、「友人がお金を取りにいくから渡してくれ!」というものだ。

 詐欺の被害にあった人は「自分だけは引っかからない」「まさか、自分がだまされるとは」といった感想を口にする人が多い。自分の子どもの声は絶対に聞き分けられると思っているが、いざとなるとパニックになり詐欺に引っかかってしまっている。

 「自分だけは大丈夫」という過信は怖いので、子どもや孫を名乗る人からお金を請求される電話がかかってきたら、ひとりで判断せずに、誰かに相談するようにしたいもの。

 警視庁では、都内の高齢者世帯に対して、「この電話は振り込め詐欺等の犯罪被害防止のため、会話内容が自動録音されます」という警告メッセージが流れる、自動通話録音(警告)機を無料で貸し出している。設置を希望する場合は、最寄りの警察署に問い合わせてみよう。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 通勤手段の一つとして、都会で自転車の人気が高まっている。自宅とオフィスの間を電車で往復するだけの毎日は、運動不足に陥りがちだ。日々の自転車通勤は健康的であり、季節の移ろいを感じながら走るのは精神衛生上もよい。実際、入り組んだ都市を抜けていくのに自転車はうってつけだし、環境に対する悪影響も少ないエコなツールであろう。さまざまなメリットがあるので、「自転車ツーキニスト」の増加も当然。また東日本大震災以来、帰宅の足を失った体験が自転車への関心を高めたともいわれている。

 こうした状況を受けて、スーツメーカー各社が自転車通勤用の工夫をこらした新商品を送り出している。マストなポイントは、姿勢が前に傾くスポーツタイプの自転車でも気にならない「伸縮性」と、突然の雨に対応した「撥水(はっすい)加工」。結果的に、それまでのスーツの弱点そのものをカバーすることにもなった。紳士服大手・AOKIの「LES MUES(レミュー) バイクライン」は、上着の裾が風でめくれる対策として固定しておくボタンや、夜間運転に配慮した衿裏の反射テープなどの機能が好評。こうした各社の競合状態での知恵が、健康的で自由なライフスタイルをますます推し進めそうだ。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 待機児童とは、文字通り保育所の入所を待つ児童のことをいう。厚生労働省の統計によると、2012年4月時点で、都市部を中心に全国で2万4825人を数える。

 政府は6月にまとめる新成長戦略に「待機児童を2017年度までに解消する」と明記する方針。従来は「19年度までにゼロを目指す」としていたが、これを2年前倒しする。今後40万人分の保育施設をつくるという。

 政府が目標達成に向けならおうとしているのが「横浜方式」だ。具体的には(1)補助金を手厚くするなどして民間企業の参入を促進、(2)市独自の基準で認定する「横浜保育室」の運用、(3)保護者の相談に乗る「保育コンシェルジュ(相談員)」の配置など。

  2010年には全国ワースト1位の1552人の待機児童を抱えていた横浜市だが、こうした措置により、2013年4月に「待機児童ゼロ」を達成した。たった3年である。

 ただ、横浜市の「待機児童ゼロ」には、「カラクリ」を指摘する向きもある。認可保育所を希望しても入れず、結局、認可外の保育所に入ったり、親が育児休業を延長したりした場合などは「待機児童」に含まれない、というのだ。こうした潜在的な待機児童が、実は1746人もいるという。メディアの多くもその点を課題だとして指摘している。

 政府も「待機児童ゼロ」を目指すなら、そうした潜在的な待機児童もカウントしたうえでのゼロにしてほしいものだ。

 

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 ちりめんじゃこと山椒の実の煮たものを混ぜ合わせたり、一緒に炊き合わせたりしたものである。ごはんにまぶして食べるもよし、濃いめのお茶でお茶漬けにすれば、夏の朝など、ほかになにもなくても十分しあわせな気持ちになれる。京都を代表するおみやげであり、一般に手作りされる家庭料理でもある。ちりめん山椒なら町一番、という料理上手なおばさまが、近所に必ずおられるのが京都の常識で、なくしたくない民俗遺産の筆頭である。

 「ちりめんじゃこ」とは「ちりめん」ともいい、カタクチイワシのしらす干しのことである。ちりめん山椒にするなら、おなかに赤い子をもっている「赤はら」を選ぶのがよい。調理するときは「ちりめん」がよく乾いていることを確認し、厚手の鍋に材料を入れ、淡口(うすくち)醤油を7分目ぐらいまで加え、ゆっくりと炊きあげる。隠し味には砂糖や酒を少々。さらに、色づけとして濃口(こいくち)醤油を少々。最後に、煮ておいた山椒の実と混ぜ合わせる。山椒の実は別に淡口醤油で炊いておくと、これはこれで、ちょっとした薬味やふりかけの代わりにもなって重宝する。

 京都でもっともなじみ深い香味料である山椒は、庭の片隅で育てている人が多い。自生させておけば、山椒ほど便利な香味料はなく、早春には「木の芽」として葉を使い、春には「花山椒」、初夏には「実山椒」としてちりめん山椒に使える。さらに、秋になってできる黒い実は、擂(す)れば粉山椒となり、ほぼ1年を通して楽しむことができる。


 

   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 私が吉永小百合、綾瀬はるかの次に好きな女性である。昨年春ごろだと記憶しているが『週刊ポスト』(以下『ポスト』)のグラビアを突然飾った謎の美女である。年齢不詳、国籍不明。幾分愁いに満ちた表情と整った顔立ち。服装は清楚だが脱ぐと裸身は驚くほど豊満である。

 石川達三(作家)風に表現すると、大きく熟した二つの乳房の間の深い美しい谷から、温かい情熱の湯が滾々(こんこん)と湧き流れているようだ。

 山深い鄙(ひな)びた駅のホームで佇(たたず)むモノクロ写真がある。そこで暮らしている純朴な女の子が都会へ帰って行く恋人を見送っている。映画のワンシーンのようである。

 恍惚の表情を浮かべているヘア・ヌード写真もあるが、男の影を感じさせない。清潔なわいせつ感とでもいおうか。グラビアアイドル界に久々に現れた大型グラドル。『ポスト』はいい女を見つけたものだと思った。

 以来、YURIのグラビアが掲載されるのを心待ちにした。どの号も、彼女についての情報は一切なかったが、彼女が花の匂いを嗅ぐ仕草に、ソファに横たわる一糸まとわぬ裸身にときめいた。グラビアをスキャンして「Evernote」に保存し、深夜iPadで愉しんでもいた。

 ところが彼女は昨夏突然、引退してしまったのだ。それからは「消息」などと標題をつけてたまに載ることはあったが、熱烈なYURIファンとしては心寂しくしていたところ『週刊アサヒ芸能』(3/21号、以下『アサ芸』)に驚愕情報が載ったのだ。

 YURIがAVに出ているというのである。タイトルは『続・素人娘、お貸しします。 VOL.63』(プレステージ)。仮名で柏木美玲、22歳、家事手伝いとなっているそうだ。

 間違いであってくれ。私の切なる願いは、アイドル評論家の織田祐二氏が打ち砕く。

 「顔や胸の谷間のホクロの位置が完全に一致しており、YURI本人だと断定できます」

 私にとっては苦渋の選択だったが、件のDVDを通販で取り寄せた。似ている……が、断定はできない。

 同じ週に『ポスト』(3/29号)は意味深なタイトルを付けてYURIのグラビアを組んでいた。「誰も。。何も。。知らない」

 そのYURIが『ポスト』(5/31号)で初めて肉声を聞かせたのである。「衝撃の初告白」によると彼女は長崎県生まれで、高校を卒業してからヘアサロンの見習いをやったりしていた。東京で暮らしたくて20歳の時に上京。いろいろなアルバイトをやり、夜のお店もちょっとだけやったと話している。

 現在27歳でモデルでもタレントでもない一般人。いまはカフェでウエイトレスをやっている。これまで彼氏は二人いたが、セックスは嫌いじゃないけど、「世の中の男の人はエッチしたいという欲望が強くて、ときどき怖い」から、うまく付き合えないといっている。

 ヌードになったのは友達に紹介されたから。抵抗はなかった。『アサ芸』でAV嬢だと暴露された件については「アダルトビデオですか……知りません。私じゃないと思います」と“曖昧”に否定している。彼女のちょっぴり山口百恵似の笑顔を見ていると、そんなことどうでもいい、そう思えてしまう。私にとってYURIは永遠の美女である。

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 2013年は、伊勢神宮が20年に一度迎える「式年遷宮」の年。神殿を造り替える重要な儀式だ。これに照準を合わせるかたちで開発され、3月21日に運行が始まった近鉄の観光特急が「しまかぜ」である。大阪難波(なんば)駅、近鉄名古屋駅と伊勢志摩の賢島(かしこじま)駅を結んでいる。かなりの話題と人気を集め、切符は完売状態が続いた。

 「しまかぜ」の先頭と最後尾の展望車両は、開放感のある6面のフロントガラスで構成されている。運転席越しに見渡す景色はすばらしい。また、カフェ車両は近鉄伝統ともいえる2階建てで、全席が窓向きだ。眺望だけでなく、「鉄道車両として初」をうたうエアクッション付きのシートも魅力である。これだけプレミア感があると、多少料金が高くとも鉄道ファンはご満悦。開発時には「ただの移動手段ではなく、移動そのものを楽しんでもらう」というコンセプトがあったが、それがうまくはまったかっこうだ。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 少子化対策として打ち出された「生命(いのち)と女性の手帳」、通称・女性手帳(仮称)が物議を醸している。

 女性手帳は、内閣府の有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」が提案したもので、妊娠・出産にまつわる知識を広め、晩婚化に歯止めをかけるのが目的。自治体の支援情報や予防接種の履歴なども書き込めるようにするという。

 しかし、発表直後に参議院内閣委員会で質問に立った民主党の蓮舫(れんほう)元少子化担当相が「全女性を対象にするのは危険。同性愛者は手帳をどう受け止めるのか。結婚、出産は個人が決めること」と痛烈に批判。その後、インターネットなどを中心に反対意見が噴出し、手帳の配布は男性を含めた希望者のみに行なうことが検討されたが、結局配布は見送られた。

 2011年の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子どもの平均数)は1.39。過去最低だった2005年の1.26よりは上向いているが、少子化に歯止めはかかっていない。このまま出生率が下降し続ければ、日本の人口は減少し続ける。そこで、晩婚化に歯止めをかけるために、女性手帳を持たせて高齢になると妊娠しにくくなるといった情報を知らせて、女性の意識を変えようということらしい。

 だが、いくら情報があっても、産める環境が整っていなければ、子どもを産もうと思う人は増えないだろう。

 保育所の待機児童問題、キャリアの中断、女性に重くのしかかる子育ての時間などの問題が解決しなければ、出生率の上昇は難しい。こうした問題を棚に上げて、女性の意識改革で出生率をあげようという女性手帳の発想はあまりにもお粗末だ。

 フランスは、事実婚から生まれた子どもへの手厚い保障を用意したことで、出生率が飛躍的に伸びている。一方、日本はいまだに婚外子は差別されており、シングルマザーの貧困率も改善されていない。本気で出生率を上げたいなら戸籍制度を改革して、結婚する、結婚しないに関係なく、生まれた子どもを平等に扱う法整備やシングルマザーへの手厚い保障を考える必要があるのではないだろうか。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


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