小豆餡を入れて両面を炙り焼いた腰高の丸餅。甘さの控えめな粒餡を、やわらかくきめ細かな薄めの餅で包んである。あっさりと軽い食感は、散策の途中で小腹の足しにするときなどにちょうどよく、焼き目の香ばしさも手伝って、一つ、二つと、軽々食べられる。

 一般に焼餅は焼いた餅の総称である。古くは餡を入れた「うずら焼き」、粳(うるち)の米粉で餡を包んだ「ぎんつばやき(きんつばの一種)」なども合わせ、焼餅と呼ばれていた。京都では江戸時代になってから、今日のような餡入りの焼餅が広く食べられるようになり、神社参詣に供した菓子として、この頃から門前茶屋で有名になった。江戸中期の宝暦年間には、祇園社西門下の餅屋が「祇園の焼餅」と呼ばれていて、たいそう人気があったそうだ。次いで上賀茂(北区)・下鴨(左京区)神社周辺の焼餅が有名で、これは5月の葵祭で祭祀に用いる双葉葵にちなみ、葵餅や双葉餅と呼ばれていたそうである。現在は上賀茂社門前にある神馬堂(じんばどう)の焼餅が名物で、いつも午前中に売り切れてしまう人気ぶり。北野天満宮(上京区)東門前にある天神堂の焼餅も有名で、ここは餡を包んだ餅の厚みが薄くて食べやすい。どれもまじりけのない素朴な餅菓子なので、何より焼きたてを食べるのがいちばんうまい。


神馬堂の焼餅。少し噛みごたえのある餅の加減や甘さ控えめの餡と、味は抜群においしいが、瞬く間に売り切れてしまうので、食べたいときには食べられないのが残念なところである。


   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 drone。無人航空機のことだが、この呼称には「殺人ロボット航空兵器」のイメージが強いため、普通はUnmanned Aerial VehicleやUninhabited Aerial Vehicleの略「UAV」といわれることが多い。

 無人機の歴史は古い。第一次大戦中から考えられ、第二次大戦から研究が本格化したという。アメリカでは陸軍がB-17爆撃機を改造して爆弾を積んで敵の施設に体当たりする作戦も考えられたといわれるが、成功はしなかったようだ。

 戦後も様々な研究開発が行なわれてきたが、1970年頃から無線機の小型化や電子誘導装置が発達したことにより、アメリカ、イスラエルが写真撮影などを目的とする無人偵察機をつくり、21世紀に入ると完全自動操縦が可能になり、偵察機から攻撃機へと変容していく。

 『無人暗殺機 ドローンの誕生』(文藝春秋刊)を書いたリチャード・ウィッテル氏によれば、1973年のヨム・キプール戦争(第四次中東戦争)でおとりのロケット弾の開発を命じられたイスラエル航空産業のエイブ・カレムが、ドローンの開発に着手するが、そのアイデアがイスラエルで受け入れられなかったため、カレムは米国に渡って米国籍を取る。

 そして標的殺害能力のあるプレデター(アメリカ空軍のステルス無人戦闘航空機ジェネラル・アトミクス・アヴェンジャーの別名)が生まれる。

 2001年9月11日に起きた同時多発テロの2か月後、アフガニスタンの首都カブール郊外でプレデター3037が、アルカイダのナンバー3モハメド・アテフを殺害したことで、ブッシュ大統領が「戦争の新時代が幕を開けようとしている」と語り、それまでドローンに関心が薄かった軍産複合体や軍需企業に強い影響を及ぼした。

 以来、ドローンは様々な紛争地で使われているが、誤爆が多く、多くの民間人を巻き添えにしているという批判も絶えない。

 日本でも1950年代から研究が開始されており、主に産業分野での開発が進み、農薬散布などに使う産業用無人ヘリをつくったのは「ヤマハ発動機」である。

 現在はさらに小型軽量化されて値段も10数万円のものまで売られていて、アマゾンが配送サービスで使うことを発表し、写真撮影やラジコン飛行機のように趣味で使う人も多くなってきているが、それにつれて問題も多く出てきている。

 操縦ミスで墜落してけが人を出す。飛行機と接触事故を起こす。そしてドローンによるテロまであり得るといわれているのだ。

 今年の1月には泥酔した米政府職員が操縦するドローンがホワイトハウスの前庭に墜落し、周辺が封鎖される騒ぎになり、4月には総理官邸の屋上にドローンが“着陸”しているのが発見された。

 そのドローンには微量の放射能が付着した土の入った容器がついていたのである。『週刊文春』(5/7・14号、以下『文春』)で、警視庁担当記者がこう話している。

 「警備隊の対応が鈍かったため、官邸職員が一一〇番通報もしました。これによって警視庁全体に騒動が知れ渡ってしまった。そもそも官邸警備隊は、新官邸が出来た二〇〇二年に鳴り物入りで発足した組織で、SAT (特殊急襲部隊)出身者ら計百人で構成される精鋭揃いの部隊です」

 精鋭部隊が、いつからドローンが屋上にあったのかもわからないお粗末ぶりで、官邸警備隊長はその日のうちに進退伺いを出したそうだ。

 誰が何の目的でやったのかもわからなかったが、放射能が付着していたことから、原発反対を主張する人間ではないかとの見方が出ていた。

 発見から2日後、福井県小浜市在住の無職、山本泰雄容疑者(40)が小浜署に出頭し、反原発を訴えるためにドローンを飛ばした、容器には福島の土が入っていると話したのである。

 本人はチェ・ゲバラに心酔していたようで、ゲバラの『ゲリラ戦争』を参考書にあげ、自身のブログにたびたびゲバラの言葉を引用していたそうだ。たとえば「40歳になってしまった…平均寿命の半分を無駄に過ごしたゲリラ定年…いやまだ何もしてない」(今年1月10日のブログ)

 背後に反原発グループはおらず個人的なもののようだ。だが、テロリストがドローンに爆発物を乗せて、警戒が手薄な官邸や安倍首相の私邸を狙ったら?

 アメリカFAA(連邦航空局)はドローンの重量、高度、飛行可能区域をかなり厳密に定めていて、破った場合には罰則規定もあり、レーザー光線でドローンを打ち落とす技術開発も進んでいるようだが、「ドローンは日々進歩し、映像撮影などに有効活用されているのも事実で、規制ばかりを強化するのは難しい」(リチャード・ウィッテル氏、『文春』)ようだ。

 『週刊新潮』(5/7・14号)でも軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏がこう話す。

 「メーカーは、プログラムで官邸や皇居周辺を飛べなくするという対応策を打ち出しています。しかし、知識のある人なら、プログラムを書き換えることも可能。政府は航空法改正による飛行規制や、登録制を検討中と言われています。しかし、本物のテロリストには全く意味がないでしょう」

 フランスでは昨年末から、正体不明のドローンが原子力発電所の周囲や大統領府の上空で目撃されている。

 3Dプリンターで拳銃が簡単にできてしまったり、ドローンで「自爆テロ」ができる時代である。アメリカがいくら大量の武器や最新鋭の無人戦闘機を持っていても、簡単に手に入るこうしたIT機器をテロリストたちに使われたら、お手上げかもしれない。

 ウィッテル氏が書いているように「戦争は発明の母」であるが、大変な発明をしたものである。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 ゴールデンウイークの合併号というのは、新年号ほどではないが週刊誌にとってはかき入れ時である。
 部数も上積みして値段も上げるから、読者に買ってもらうために様々な工夫を凝らす。『現代』、『ポスト』は軟派記事やグラビアに力を入れ、『文春』、『新潮』はスキャンダルを売り物にして「客引き」をする。だが日頃の底力か、やはり『文春』が2本のスクープで、合併号の中では一歩か二歩抜け出した。『新潮』は事件に強いところを見せ、加害少女の事件直後の生々しい「告白」を入手した。

第1位 「白鵬『愛人がいた!』」(『週刊文春』5/7・14号)
第2位 「能年玲奈 本誌直撃に悲痛な叫び『私は仕事がしたい』」(『週刊文春』5/7・14号)/「スクープ撮! 能年玲奈と噂の女性演出家“洗脳”現場のベッタリ写真」(『フライデー』5/15・22号)
第3位 「『黒幕少女』がラインした『18歳少女』生き埋めまでの一部始終」(『週刊新潮』5/7・14号)

 第3位。悪魔の所業というのはこういうことをいうのである。18歳の親しかった女友達を、貸したカネを返さない、夜の商売に必要な卒業アルバムを友人たちから借りて返さないことに腹を立て、知り合いのチンピラに頼んで乱暴した上、生きたまま埋めて殺した千葉で起きた陰惨な事件は、この国のある部分が確実に壊れてきていることの証である。
 殺された野口愛永(まなえ)さん(18)は千葉の風俗街では「かれんちゃん」と呼ばれていたという。この年でホストクラブに出入りし、あるホストに入れあげていたそうだ。
 ホストが昇格すると、それを祝って「シャンパンタワー」というバカ騒ぎをするのが客の甲斐性だそうで、1回100万円もするため、千葉の船橋近くのセクシーキャバクラなどで働いていたそうである。
 だがそれでも、ほかのホストクラブにも顔を出していたそうだから、カネが回るわけはない。件の友人をはじめ、あちこちからカネを借りるが、なかなか返せない。
 それに、夜の商売をするために必要な卒業アルバム(写真付き身分証明書の代わり)を、友人たちから借りては返さないことに、「どういうわけか怒りに火が付いた彼女は『かれん、マジむかつく』とか言って、暴走を始めちゃったんだ」(知人女性、『新潮』)
 『新潮』によれば、加害少女と16歳の少年が、野口さんに声をかけて車に乗せ、別のレンタカーに乗り換え、それに乗っていた20歳の井出裕輝と中野翔太が彼女を暴行し、生き埋めにしたそうである。
 加害少女が野口さんを無残に殺した後、電話で、「まるで遊園地に行ってきたんだ~って感じ」でこう話したという。

 「男の先輩(井出)たちが来て、拉致(らち)った車内で、かれんの手足を縛ったんだ。口に靴下を突っ込んで喋れないようにして、顔に粘着テープを巻きつけてから、かれんを林の中に連れて行って、先輩たちがかれんに『暴行』をしたんだよね。あいつ、『あ…あ…』とかしか言わなくなって、マジでガクガクと震えだした。それ見てたらイラついてきて、私、吸ってたタバコで根性焼きを入れて、皮膚をえぐってやったの。(中略)で、生きたまま埋めちゃって、上から土を被せて、かれんの荷物はその辺に捨てた」

 これほど冷酷な殺しをしておいて、その一部始終を、遊びに行ってきたかのように話す神経は常人ではない。だが、自分の意に沿わないことがあるとすぐキレるバカ者たちが増えているのは間違いない。
 犯罪は時代を映す鏡である。そのうち、自分たちが恵まれないのは、今の年寄りたちがこの国をダメにしたからだと、バカ者たちによる「老人狩り」が始まるのではないか。数日前、50年ぶりに買ったエレキギターをぽつぽつ弾き始めたのだが、そんなことより空手か合気道でも習いに通うとするか。

 第2位。『文春』によれば、NHKの朝の連続テレビ小説『あまちゃん』で一躍国民的アイドルになった能年玲奈(21)だったが、今、能年の姿を見ることができるのは『あまちゃん』の再放送とテレビCMのみだという。NHK朝の顔に何があったのか?
 『文春』は、能年と、彼女が所属する事務所レプロエンタテインメントとの間でトラブルが起こっていると報じている。
 『あまちゃん』の撮影は過酷で睡眠時間は平均3時間、しかし、もらう月給は5万円だけだったそうだ。撮影中こんなことがあったという。

 「撮影が終盤に入り佳境を迎えた四月、ついに能年はパンクした。
 この時、能年が弱音を吐いて頼れるのは、折りにふれて演技指導を受けてきた滝沢(充子・レプロのタレントたちのレッスンを担当していた=筆者注)しかいなかった。
 深夜、滝沢に電話をした能年は泣いていた。
 『寮の乾燥機が壊れて、もう明日のパンツがない』
 コンビニで買えばいいと言う滝沢に能年は訴えた。
 『財布には二百円しかない』」(『文春』)

 こうした状況の中で能年はレプロへの不信感を強めていった。経験の浅いマネージャーが現場に出されることが多かったり、現場マネージャーが次々に替わる上、移動の時にいない、先に帰ってしまう、画面に映り込んでしまうなどトラブルが続出した。共演者やスタッフに、能年が謝って回ることも少なくなかったそうだ。
 『文春』によれば、何度か話し合いが持たれたが、Sマネージャーは能年にこう宣告したという。

 「今後は単発の仕事しか入れられない。長期(連続ドラマなど)は入れられない」
 「『あまちゃん』の視聴率は高かったから評価していますよ。でもお前は態度が悪いし、マネージャーと衝突するからダメだ。事務所に対する態度を改めろ」(『文春』)

 そして、決定的な事件が起きたという。当時累計4000万部を突破する人気漫画『進撃の巨人』の映画化の話が持ち上がっていて、制作陣の間で、女性人気キャラクターであるミカサ役に能年の起用が検討されたそうだ。
 能年に知人を通じてこの話が届いたのだが、レプロは能年が事前に接触したことを問題視してオファーを断ってしまった。
 そんなこんながあって「事務所を辞めたい」と意思表示した能年とレプロの本間憲社長が話し合いを持つが、その席で激昂した本間社長が、廊下まで能年を追いかけ、こう吠えたという。

 「負け犬! お前はそんなんだからダメなんだな。逃げたな!」

 本社を飛び出した能年はタクシーを拾うと、滝沢に号泣しながら経緯を語ったそうだ。
 そうしてやっと『三毛andカリントウ』という事務所をつくり、滝沢が取締役に入ったが、こんな噂が芸能界を駆け巡ったという。

 「能年は、演技指導の滝沢に洗脳されている。滝沢の家に同居し、レプロが仕事をオファーしても、滝沢が断らせている」(同)

 右も左もわからない小娘を一から教えて、ようやくこれからカネになるという矢先に独立されたプロダクション側の怒りもわからないではないが、やり方が稚拙すぎると思う。
 『文春』が「能年さんは仕事を断っているのですか?」と声をかけると、能年は記者に向き直り、こう答えたそうだ。

 「私は仕事をしてファンの皆さんに見てほしいです。私は仕事がしたいです」

 小泉今日子がエッセイで、能年にこう呼びかけている。

 〈私の場合は、苦い思いも挫折も孤独も全て飛び越えて早くこっちへいらっしゃいという思いで能年ちゃんを見守る。まさに『その火を飛び越えて来い!』という心持ちで待っている。すぐに傷の手当ができるように万全な対策を用意して待っている〉

 バーニングプロダクションで鍛えられてきた小泉ならではの「応援歌」である。NHKの朝ドラで出た女優は育たないというジンクスがある。能年と事務所のトラブルは知らなかったが、ドラマや映画に出た能年は『あまちゃん』で見せたような生き生きとした躍動感が薄れ、普通の女の子になってしまった気がしていた。
 5月1日発売の『フライデー』は「スクープ撮! 能年玲奈と噂の女性演出家“洗脳”現場のベッタリ写真」とグラビアと記事で大々的に報じている。
 能年が母親のような女性と親しそうに腕を組んで話しながら歩いている。演出家の滝沢充子(53)は結婚していて、夫も一緒。アウトレットに買い物に行って、帰りは3人で電車に乗って、能年が熟睡している写真も掲載されている。
 記事を読んでみると、テレビ関係者は滝沢について「演技指導にとどまらず、タレントのプライベートにマネージャー以上に踏み込んでいく癖がある」ので、事務所側がそれを問題視して3年ほど前に彼女との契約を打ち切ったという。
 だが滝沢のかつての教え子は「ホメて育てるタイプで、素顔は世話好きのオバちゃん。能年さんは、気さくな滝沢さんに惹かれただけでは」と評価は正反対。
 この洗脳騒動が広がれば、スポンサーもつかず仕事はさらになくなるだろうと、先のテレビ局関係者が語っているが、前の事務所側の「意向」を代弁しているのではないか。いずれにしても能年は自力で女優としての技量を磨いて、再び這い上がっていくしかない。見守ってやろうではないか。

 第1位。白鵬に愛人! 合併号の週刊誌の中でピカイチのスクープはまたしても『週刊文春』だ。絶対匿名を条件にこのように話すのは、ある角界関係者。

 「実は、渋谷のマンションにはMというモンゴル人女性が住んでいて、横綱は彼女に会いに行っていたのです。横綱は彼女の住むマンションの家賃を払い、グッチやルイ・ヴィトンの新作バッグを買い与えるなど、贅沢三昧の暮らしをさせていた。Mは“横綱の愛人”と言っていい存在なのです。付け人たちから、『横綱はMにのめり込みすぎて、お米(お金のこと)が出なくなった』というボヤキが出るほどの入れ込みようでした」

 そのマンションは東京・渋谷区の閑静な住宅街にあるそうだ。数年前から夜な夜な“山のような大男”白鵬(30)が出入りする姿が目撃されていたという。
 そのマンションで数時間を過ごした後、明け方前にはマンションを後にしていたそうだ。前人未踏の33度目の優勝インタビューで白鵬はこう語っていた。

 「強い男の裏には賢い女性がいます。横綱に上がった時、『精神一到』という言葉を教えてくれた賢い奥さんに感謝したい」

 1歳年上の紗代子夫人は徳島県の令嬢で、父親は朝青龍の全国後援会会長を務めていたこともある資産家である。白鵬の一目惚れだった。交際3年のあと07年に「できちゃった婚」した時、夫人はまだ学習院大学に在籍する女子大生だった。
 朝青龍と違って家庭を大事にする横綱という評判だったのに、裏の顔は違っていたようだ。
 Mを連れて飲み歩くこともあったし、千秋楽の打ち上げにも彼女は頻繁に顔を出していたという。
 ミニスカートやホットパンツ姿の派手なモンゴル人女性は、客の中でもひときわ目を引く存在だったというが、それはそうだろう。

 「彼女は百七十センチくらいある長身で、スラリとしたK-POPアイドルのような美女です。年の頃は二十六歳くらい。二人が出会ったのは、四、五年前の九州場所の打ち上げと聞いています。Mのお姉さんと白鵬が故郷の小学校の同級生で、それが縁で知り合ったと聞いています」(先のある角界関係者)

 最近のMはモデルのようなこともしているが、彼女は金がかかる女で、横綱はこれまで4ケタ(1000万円以上)のお金を貢いだともいわれているそうだ。でも相撲には興味がなく、相撲観戦するわけではないという。
 白鵬はよく周囲にこんなことを言っているそうだ。

 「やっぱりオンナはモンゴルのほうがいい。違うんだよ」(宮城野部屋関係者)

 母国語で話ができることが楽しくてたまらないのだろうが、奥さんが聞いたらどんな気持ちだろう。
 それにしても白鵬が夜ごとマンションに現れれば目立つことは間違いない。知り合って4、5年にもなるというのに、どうしてこれまで表沙汰にならなかったのだろう。
 大相撲村に生息している力士たちはもちろんのこと、新聞やテレビの記者たちも知っていながら知らない素振りを決め込んでいたに違いない。だが、このところ白鵬の記者嫌いやモンゴル籍のまま親方になりたいという、協会側からすると「わがまま」に、この辺でお灸をすえてやれという、どこからかの“意向”が働いたのかもしれない。
 相撲ジャーナリストの中澤潔氏はこう話す。

 「いまや相撲界は白鵬の天下です。強ければ何をやってもいいとモンゴル流に解釈しているのでしょうが、そういう点では傍若無人だった朝青龍とそっくりです。いまの相撲界には国技を継承しているという自覚がある力士は皆無で、その象徴が白鵬なのだと思います」

 私は、この言い方は白鵬に酷だと思う。戦後の相撲の歴史に燦然と輝く金字塔を打ち建てても、異国から来た横綱を見る日本人の眼差しは、かつての若乃花や栃錦、貴乃花ほどには温かくはない。
 早く白鵬を土俵に這わせる日本人力士が出てこないのか。そういう空気は土俵にいる白鵬には嫌というほどわかるに違いない。この愛人騒動が「白鵬突然の引退」につながらないか、心配である。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 おおよそ漢字の読み方が想像できない、マンガのキャラクターのような「キラキラネーム」。それなりに「時代におけるセンス」として世の中に受容されている感があるが、親のエゴとして揶揄されることも多い。ただ、キラキラをことさらに嫌いすぎるとどうなるか。女性なら「○○子」といったような、少し「古い」感覚で我が子を命名してしまうのである(と、説明されることが多い。筆者本人は、「○○子」が昔っぽいと感じたことはないので念のため)。最近はこんな名前を「シワシワネーム」と呼ぶらしい。

 もちろん、それが親にとって好みの名前なら何の問題もないわけで、「シワシワ」というきつい表現は「キラキラに対する拒否反応から、親本人でも古風と思う名前をうかつにつけてしまう」ことを皮肉っているのだ。とにもかくにも、他人様の顔色をうかがいがちな日本社会で、子どもの命名はややこしい。無難な名前をつけたつもりなのに、シワシワネームにくくられてしまうこともあるのだろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 人気モデルのミランダ・カー、歌手のマドンナなど、ハリウッドセレブが愛用していることで話題となった「スーパーフード」。

 1980年代に北米で食事療法を行なっている医師によって使われるようになった言葉で、一般の食品に比べてビタミン、ミネラル、アミノ酸などの栄養素を多く含む、おもに植物由来のものを指している。一部の栄養価や健康成分は突出しているが、その多くは低カロリーなので、健康を維持しながら効率よくダイエットができると注目を浴びているのだ。

 たとえば「チアシード」は、シソ科の一年草の種で、メキシコを中心とした南米が原産国。ゴマより少し小さめの灰色の粒で、水分を含ませると10倍くらいに膨らみ、プルプルとしたジェル状になる。チアシードには、タンパク質、食物繊維、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄分などが含まれているが、なかでも豊富なのが、今話題のオメガ3脂肪酸だ。

 オメガ3脂肪酸には、コレステロールや中性脂肪を下げたり、脳の働きをよくする働きがあると言われており、動脈硬化や高血圧予防のほか、認知症やうつ病の予防にも効果が期待されている。

 また、チアシード大さじ1杯でレタス300g分とほぼ同量の食物繊維が摂取できるので、便秘の予防にもなるという。

 そのままでは味がないので、ヨーグルトやジュースに入れたり、アーモンドミルクや豆乳に入れてデザートを作ったりして食べる人が多いようだ。

 チアシードのほかに、スピルリナ、アサイー、ウコン、ソバ、キアヌ、カカオ、麻の実、生ハチミツ、アーモンド、ココナッツなどもスーパーフード。ブームの到来によって、百貨店や高級スーパーなどでは、手軽に手に入るようになっている。

 とはいえ、過ぎたるは及ばざるが如し。

どんなに健康によいと言われるものでも、食べ過ぎたり、バランスの欠いた食べ方をしたりすれば、せっかくのスーパーフードも力を発揮させることはできないだろう。

 カレーのスパイスに使われるウコン(ターメリック)は、肝臓の働きを助けてくれるが、もともと肝臓に病気のある人などが大量に摂取すると思わぬ健康被害を巻き起こすこともある。

 スーパーフードは、たんにブームだからと飛びつかず、もともとの自分の体調なども考慮し、そのほかの食品とのバランスも考えながら上手に摂りいれるようにしたい。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 新幹線が巨大なロボットに! 「乗りものが変身する玩具」はいつの時代も子どもたちの支持を受けてきたが、3月に発表されたタカラトミーの「新幹線変形ロボ シンカリオン」は「ホンモノ感」がウケている。なにせ、JR東日本との共同制作なのだ。その第一弾は東北新幹線E5系「はやぶさ」がモチーフ。今後は秋田新幹線の「こまち」、北陸新幹線の「かがやき」が登場予定とのこと。この夏にはタカラトミーの「プラレール」新シリーズとしても発売されることになっている。

 JR東日本といえば、昨年の東京おもちゃショーでシンカリオンの「先輩」となる巨大な模型「Project E5」を展示している。それまで、実在する新幹線が変身する企画は(ありそうなものだが)NGを出していたということで、鉄道とロボット、双方のファンが色めき立った。この好感触に自信を持って、今回の商品化に至ったことは想像に難くない。

 今後のシンカリオンも、小学館グループなどによる広範なメディア展開が進行中だ。近年はアメリカの映画『トランスフォーマー』が話題を集めたが、世界中の鉄道ファンに絶大な人気を誇る新幹線のロボにも、大ヒットの期待が寄せられている。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 自民党が酒の安売りを規制する法案を今国会に提出する。

 法案の骨子は、財務大臣が酒類販売について新たに「公正な取引基準」を定め、これに従わない業者に対し、販売免許を取り消す──というものだ。その狙いはスーパーなど量販店の安売り攻勢から「まちの酒屋さん」を守ることにあるという。

 酒の販売を巡っては、小売り免許の取得要件として、販売店を一定間隔に保つ「距離基準」と、人口あたりの免許枠を定める「人口基準」がかつて存在し、量販店やコンビニの新規参入を抑制してきた。それが2000年代初頭に入って相次いで廃止された。その結果、競争が激化し、まちの酒屋さんが激減した経緯がある。

 法案提出の動きは、追い込まれた中小酒販店の組合が安売り規制の強化を求めて自民党に働きかけ、自民党が応じたということだ。

 零細な酒屋さんを救済する、ということでいいんじゃないのと思われがちだが、消費者サイドからすれば、本来、酒がもっと安く手に入るはずなのに、そうした利益が損なわれることになる。

 いまや酒は、酒屋さんで購入するというより、スーパーやディスカウント店、あるいはネット通販でできるだけ安く買うというのが標準だ。コンビニでは深夜でも購入できる。1990年代から政府が進めてきた規制緩和の果実だが、法案はそうした規制緩和の流れに逆行するものだ。

 量販店の攻勢を受けているのは酒店だけではない。八百屋や魚屋、肉屋なども必死で頑張っている。酒に限ってどうして特別な安売り規制が必要なのか。国民の多くは納得がいかないだろう。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 保育園・幼稚園・小学校などで、初対面の母親同士が挨拶代わりに配る名刺のこと。

 既婚女性用ファッション雑誌『VERY』(光文社)が発祥であるらしく、記載内容は主にママの氏名・子どもの氏名と写真・住所・電話番号・メールアドレス・LINEやFacebookのID・ママの趣味や特技……あたりが一般的で、作成価格は30枚2000円弱と、小口発注も可能なのだそう。

 しかし、夫の職業まで記載したり、紙質を無駄に上質なものにしたり……といった、セレブを自認する一部のママによる、まるで銀座のホステスのようなアピール合戦がエスカレートしはじめ、ここ最近はママ間のマウンティング(格付け)用の小道具の一つと成り果てているとも聞く。

 一方で、個人情報漏れに過剰な反応を示すタイプのママ名刺は、自分のブログのURLとママのファーストネームしか記載されていない(驚くべきことに、誘拐とかを恐れているのか子どもの名前さえもない!)ケースも実在し、「アンタは事務所に入っていないC級グラビアアイドルか!」と思わずツッコミを入れたくなる次第である。

 載せすぎ・載せなさすぎ──いずれにせよ名刺としての正確な機能を果たしていないものであるかぎり、“ごっこ感”は否めない。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


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