SNSの雄として一時代を築いたmixi(ミクシィ)だが、このところ元気がない。ツイッターなど他のサービスに押され、シェアは激減。mixiといえば、機能改修のたびにユーザーが「改悪」と怒り出すのが恒例だったが、企業側では意に介していないように見えた。これが別のSNSに乗り換える動機にもなっていただろう。

 このまま求心力を失い続けるのか。悲観的な見方もあるが、少しずつ打開への糸口も見えてきている。たとえば、スマートフォン向けのフォトブック作成アプリ「ノハナ」のヒットが挙げられる。想定するユーザーは「家族」だ。フォトブックのサービスはほかにもあるが、スマホに子どもの写真がそのままになっている親たちに目をつけた。ノハナはアップした写真を自動的に編集しデザイン性の高い一冊にまとめ、毎月無料(送料は別)で届けるサービス。2冊目以降は有料になるので、そこで収益を期待する仕組みということだが、送付時の封筒を活用すれば広告などのビジネスモデルも考えられるだろう(ただし当面はあざとい宣伝の臭いを避ける意向とのこと)。

 報道によれば、2013年8月現在、フォトブックの発行は10万冊に達している。好調を受け、事業は法人化されることになった。「ノハナ(nohana)」の名前は、ハワイ語の「家族(ohana)」に、「m」ixiの「次」ということで「n」を冠したもの。ノハナはmixiのネクストステージを牽引できるだろうか。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」。2011年9月、アメリカ・ニューヨークで格差社会に反対する抗議活動が起こる。

 2008年のリーマン・ショックを契機とした世界金融危機は、アメリカだけではなく世界中を大不況に陥れた。雇用は急速に悪化し、とくに若年層の失業者が増加した。しかし、国や経済界は有効な手立てを打たないまま、いたずらに月日が流れる。業を煮やしたNPO団体が市民に呼びかけ、アメリカの金融の中心地であるウォール街で座り込みやデモを行ない、雇用の改善を訴えたのだ。この活動は全米に広がり、2011年10月には世界80か国以上で同様の抗議活動が行なわれた。

 この抗議行動に参加した人々が掲げたスローガンが、「We are the 99%(私たちは99%だ)」だ。

 人口の1%である富裕層に富が集中し、残り99%の人々をますます貧困に陥れる経済政策を批判し、経済格差を解消するために富裕層への課税強化などを訴えたのだ。

 しかし、こうした活動にも関わらず、1%の富裕層が利益を上げるために、残りの99%を支配する構造は相変わらず続いている。ジャーナリストの堤未果(つつみ・みか)氏は、著書『(株)貧困大国アメリカ』(岩波書店)で、「今のアメリカ民主主義は『1%』によってすべてが買われているのです。司法、行政、立法、マスコミ……」と指摘している。堤氏によれば、1%は利益を重要視する多国籍企業や金融業界で、彼らによって99%の人々の暮らしは搾取され、厳しい状況に置かれているという。

 日本も参加を表明したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が始まれば、関税の完全撤廃などで多国籍企業はこれまで以上に自由な経済活動ができるようになる。

 だが、99%の人々も、ただ手をこまねいているだけではない。世界中の人々とつながることで、暮らしを守るために1%に対抗する動きも始まっている。諦めずに行動する先にある一筋の光を信じたい。


 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 明確な定義に基づくものではないが、人類がおかした過ちの歴史を刻む世界遺産を「負の世界遺産」と呼ぶ。多くのユダヤ人を死に追いやったポーランドのアウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所や、南アフリカ共和国のアパルトヘイト(人種隔離政策)を象徴する監獄島・ロベン島、広島の原爆ドームなどがこれに当たる。これらを訪れるときに、旅人は何を思うのだろうか。それを「娯楽」というにはあまりに不謹慎だが、しかし、かつての悲劇を忘れずに、未来への教訓とするためには有意義であろう。こうした場所を選んで観光するのが「ダークツーリズム」である。

 ダークツーリズムの対象には、「事故現場」や「被災地」も含まれる。前者は原発の爆発があったウクライナのチェルノブイリ、後者はハリケーンの猛威にさらされたアメリカのニューオリンズが挙げられるが、双方とも野次馬的な興味の観光客を多く集める状況になっているという。不幸の傷跡を観光名所とすることは、経済的には意味がある。だが、倫理的な問題はついてまわるだろう。これらの現場は、「負の世界遺産」ほど「歴史」にはなっていない。ゆえに訪れる者にも、「対岸の火事」を見に行くような興味本位な姿勢が目立っているのだ。

 この概念が我が国でも注目されているのは、とりもなおさず東日本大震災の影響である。幸いにして、日本人の意識が高いためか、欧米で問題となっているような野次馬的なダークツーリストはいまのところ俎上(そじょう)に上っていない。被災地を含めた東北を観光して、何かを学んで帰ることは、復興への一助でもある。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 政府は自衛隊から外務省職員として在外公館に出向している「防衛駐在官」を2014年度から増員する。

 防衛駐在官の主な業務は軍事情報の収集で、自衛官の制服を着用して執務にあたっている。

 防衛省のホームページによれば、2013年7月現在で世界38か所の在外公館に計49人が派遣されている。一佐クラスを中心に配置している。

 現在の派遣先は、米国の6人、ロシア、中国、韓国が3人、それ以外は各1人。新たに、アルジェリア、モロッコ、ナイジェリア、エチオピア、ケニア、ジブチ、南アフリカなどアフリカ7か国、南米のブラジルにも新規に派遣するという。英、仏、独3か国にも追加で配置する。

 増員のきっかけは、邦人10人が死亡したアルジェリア人質事件(2013年1月)だ。当時、日本政府は、現地で満足な情報を入手できず、対応に苦慮した経緯がある。

 企業活動が国際化する一方で、テロへの対応がなっていないと批判されてきた日本だが、防衛駐在官の増員は、遅きに失したとの指摘がある。ただ、その一方で、「安倍政権の自衛隊の国防軍化に向けた動き」と警戒する向きもある。

 

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 「きごしょ」とは、伏見とうがらしなどの葉のことである。夏の終わりごろ、八百屋の店先には、畑から引き抜いたままのような状態のものを一束にまとめた、長さ1メートルはあろうという「きごしょ」が並ぶ。枝には、葉も、実も、ついたままである。「きごしょう」や「きのしょ」とも呼ばれ、とうがらしの実や葉を炊いた佃煮の名称でもある。伏見とうがらしは全長20センチメートルもある細長い実をつけ、味は辛みというよりも独特の甘みがある。そのため「伏見甘」(ふしみあま)とも呼ばれており、おばんざいに欠かせない京野菜である。

 厳しい残暑が続く時期には、消耗した体の疲労回復に効果がある野菜の料理が食欲をそそってくれる。「きごしょ」は食物繊維やカルシウム、ビタミンCに富み、佃煮にすれば、ごはんがすすむこと間違いない。

 佃煮をつくる場合、まず枝から実と葉をもいで、湯がく。それからちりめんじゃこか、だしじゃこと合わせ、酒と醤油で味をつけて炊きあげる。だしじゃこを使うときは、頭と腹のにがりを取り除き、わずかに背割りをしておくとよい。京都では、ごはんのおかずにするなら淡口(うすくち)醤油を使ってさっと炊いてつくる。お茶漬け用にするならば、濃口(こいくち)醤油でしっかりと味付けするのが一般的である。

   

   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 東電は8月21日までに汚染水が地下水を通じて海に漏れ出していたことを発表した。漏れ出した放射性ストロンチウムは最大10兆ベクレル、セシウムは最大20兆ベクレル。

 汚染水を溜めるタンクから漏れ出ているからだが、こういう事態は早くから予測されていたと『サンデー毎日』(9/15号)が報じている。

 「この業者(福島市内のタンク製造業者=筆者注)や専門家の話を総合すると、いまのタンクは安く早く仕上げるために溶接を省いてボルトでつないでいるという。そのボルトが緩んだり、そこに使っているゴムも腐蝕する可能性がある。特に福島の場合、海水の関係で腐蝕は早い」

 タンクの耐用年数は2年。いつ漏れ出してもおかしくはなかった。

 『週刊朝日』(9/6号、以下『朝日』)によれば、福島第一原発幹部が、吉田昌郎元所長(享年58)が生前こう語っていたと話している。

 「吉田氏は病床でも汚染水の問題を気にしていて、『一歩間違えると取り返しのつかない惨事になる』『レベル3や4の事故が再び起きてもおかしくない』と語っていたんです」

 その言葉通り、今回の発表を受けて原子力規制委員会は、国際原子力事象評価尺度(INES)を「レベル3」(重大な異常事象)に引き上げた。

 さらに吉田所長は「一つがダメになると、連鎖的に瓦解する。原発が次々と爆発したように……」と予測している。

 安倍晋三首相はあわてて、遮水壁の建設費用320億円、ALPS(汚染水から放射性物質を取り除く装置)改良に150億円の計470億円を投じると発表したが、効果は期待できないと、京大原子炉実験所の小出裕章助教がこう語っている。

 「原子炉が冷えるまでには、あと何十年もかかる。遮水壁でせき止め続けると、行き場を失った地下水の水位が上昇し、周囲はいずれ汚染水の沼地になってしまう。貯水タンクを置く場所も早晩、足りなくなる。水での冷却を続ける限りトラブルは止まらず、いたちごっこになるでしょう」

 福島沖は黒潮と親潮がぶつかり合う豊かな漁場である。だが、放射能汚染水の流出問題を受けて福島県地域漁業復興協議会は、9月初めに予定していた試験操業開始を見送ることに決めた。漏れ続ける汚染水による「食物連鎖」が心配される。

 『女性セブン』(9/12号、以下『セブン』)は、この問題で琉球大学の矢ヶ崎克馬名誉教授の話を載せている。

 「汚染された魚を食べた魚はより汚染され、食物連鎖を繰り返すたび放射性物質が濃縮される“生体濃縮”が生じます。カツオやマグロなど大きな魚ほど注意が必要です。
 季節ごとに海洋を広く移動する回遊魚は、汚染の影響を受けにくいとされましたが、実際にはカツオやブリからも放射性物質は検出されています」

 ヒラメ、カレイなどの底魚は生態上とくに汚染されやすいという。東京海洋大学神田穣太教授がこう解説している。

 「放射性物質を含む汚泥や海洋生物の死骸は、海に沈んで海底に堆積します。海底をうろつく底魚は餌とともに、そうした堆積物を体内に取り込んでしまうのです。
 海の魚は海水に囲まれていて塩分が豊富なので、体の塩分をどんどん抜こうとします。一方で川の魚は真水に住んでいるので塩が貴重であり、一度取り込んだらなかなか出さない。セシウムも塩の一種なので、川魚はセシウムを体内に蓄えやすい」

 先日、福島の川内村へ行ってきた。村の4割が依然として避難指示区域だが、少しずつ村人が戻ってきている。岩魚を釣れる釣り堀があり、親子連れが釣り上げた岩魚を塩焼きにしてもらって頬張っていた。

 村の近くを流れる川には大量の鮭が上ってくると聞いた。だが、原発事故以来、その鮭を捕る村人はいない。

 ドイツのメルケル首相は汚染水漏れの報を聞いて「(自国の)脱原発の決定は正しかった」と語った。この問題は国際的な関心事である。当事者意識の希薄な東電に原発事故の処理を任せておいては、さらなる大事故へとつながりかねない。福島第一原発事故はまだ収束していないのだという意識を、国民みんなが取り戻すときである。

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 冷たいデザート「ヨナナス」が話題だ。アメリカ生まれの専用マシン・ヨナナスメーカーは、2013年1月より国内販売をスタート、好調な売れ行きとのこと。開発は、生鮮果実などで有名な食品会社Dole(ドール)で、家庭で余ったフルーツを活かしたいという声に応えたものらしい。一時期はテレビやブログで芸能人が紹介する機会も多く、人気に拍車をかけた。

 材料は凍らせたフルーツや野菜だけ。基本的にはバナナとほかの食材を合わせるのが美味しい。バナナは黒いぽつぽつが出てきたような熟したものが適している。食材はヨナナスメーカーの投入口に入る大きさにあらかじめカットし、作る前には冷凍庫から取り出して半解凍させておく。あとの作り方はジューサーのようなイメージだ。

 アイスクリームなどのように牛乳などは使わないのに、食感は実にクリーミーである。これはマシンが食材に空気を含ませるためだ。ほかのデザートより「太りにくい」とされるアイスより、特に素材に何も加えないヨナナスはさらにヘルシーといえよう。女性を中心にアピールしている所以(ゆえん)だ。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


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