「manifesto」。語源はラテン語で「はっきり示す」という動詞。「声明文・宣言文」という意味だ。
日本の国政選挙では、2003年衆院選から導入された。お手本とした英国では「政権獲得後、その政党が取り組む政策の数値目標や達成期限、財源の裏付け、実行手段、プロセスなどを明示した公約集」とされ、有権者の投票の判断材料となる。
さて今回の衆院選。産経新聞(11月23日朝刊)によれば、各党が「ひそかに『脱マニフェスト』を意識している」という。
背景にあるのは「民主党の失敗」。前回衆院選で、民主党が掲げなかった消費税増税に野田内閣が踏み切ったことに対し、小沢一郎氏が異を唱えて離党するなど党が大分裂。野党の自民党も「公約違反だ」と批判を展開、民主党は劣勢に立たされた。
こうした事態を受け、自民党の安倍晋三総裁は、「私たちの公約はマニフェストではない。『政権公約』だ。民主党政権ができて、マニフェストという言葉はもう使うことができなくなった」と言い切った。
今回、各党が打ち出したマニフェスト(政権公約)を読むと、具体的な数値目標、達成期限、財源、実行体制などの明示が少なく、「実現を目指します」とか「推進をはかります」といった曖昧(あいまい)な表現が目立つ。従来の選挙公約に逆戻りした感が否めない。残念である。