[暮らし]
京都のおすし屋さんの蒸し寿司は冬の風物詩の一つである。11月下旬になると、季節限定で提供し始める。鍋のうえに蒸籠(せいろ)を積み上げ、ぽうぽうと湯気を立ちのぼらせながら蒸す様子が店先にみられ、寿司飯を蒸した独特の酸い香りがあちこちに漂う。蒸し上げたばかりをふぅふぅと吹きながら、熱々を食べるのがうまいのである。
京都に暮らす人は蒸し寿司好きが本当に多い。ふつうの「ばら寿司」(ちらし寿司のこと)の残り物を食べるとき、それも蒸して温めてから食べるのが当たり前。蒸し寿司が寒いときの食事として、いかに愛好されてきたのかがよくわかる。

焼き穴子、タケノコやシイタケの煮物などを混ぜ合わせた寿司飯に錦糸卵をたっぷりかけた蒸し寿司(寿司・音羽、京都市中京区)