4-1 配列は原則として中心となる語義(中心義)を先頭に置いて,語義のまとまりと展開がよくわかるように並べた.主要語義は改行して示した.
4-2 重要語については,一般的な語義の前に必要に応じて解説的語義をボールド体で示した.解説的語義は一般語義よりもやや詳しい語義で,当該の語義全体をカバーする.一般語義は
で示した.
cut …
1 他動詞〈物を〉(鋭利な刃物などで)
切断する
(…で)切る≪with≫ …
4-3 多義語については,1,2,3の数字で語義を区分し,必要な場合は1a,1b,1cでさらに細分化して,語義のまとまりを明示した.また,最重要多義語に関しては,新設の「多義コラム」によって多義語の全体像を鳥瞰できるようにした.
4-4 求める語義にすばやくアクセスできるように,サインポストを掲げた.サインポストは語義のまとまりの目印ともなる.語義番号の直後のサインポストは当該の語義番号への関わりを示し,【 】で表した.また,語義番号の直前のサインポストは次の新たなサインポストが現れるまでの範囲をカバーし,点線で区切るなどして読みやすさに配慮した.
an・swer …
[動詞]
1 【返答する】 …
2 【解答する】 …
trim [...]
[動詞] …
【きれいに整える】
1 他動詞〈物(の端)を〉切り取って整える…
2 他動詞〈(肥大した)経費・組織などを〉削って整える…
4-5 1つの語義の中で訳語が並ぶ場合,同種の訳語は「,」,より大きな区分は「;」で示した.
4-6 語義によって見出し語の形が異なる場合は次のように示した.
con・gress [...]
[名詞]
1〔C-;通例無冠詞〕(米国・中南米諸国の)議会,国会….
1a C(議会の)会期(session).
1b C〔時にC-〕(一般に)議会,国会.
flýing squàd
1〔しばしばF- S-〕((英))(ロンドン警視庁で)特務捜査隊.
その他,見出し語の形の指示には次のようなものがある.
〔the ~〕 〈 theを冠して用いる 〉
〔a ~〕〔an ~〕 〈 a,anを冠して用いる〉
〔a [the] ~〕 〈 aまたはtheを冠して用いるが,aのほうが頻度が高い 〉
〔the [a] ~〕 〈 theまたはaを冠して用いるが,theのほうが頻度が高い 〉
〔~s〕〔-ies〕〔~es〕 〈 複数形で用いる 〉
〔単数形で〕 〈 a,an,theを冠して,または無冠詞の単数形で用いる 〉
4-7 スピーチレベル
単語・語義・用例について,それらが用いられる場面の性質が限定されている場合はそれを(( ))内に示した.
((形式)) | 改まった(formal)響きをもつ表現で,公的な場面で用いる. |
((略式)) | くだけた(informal)響きをもつ表現で,親しい者同士で用いる. |
((俗)) | 俗語で,((略式))よりくだけた,やや品位に欠ける表現で,限られた親しい間柄で用いる. |
((卑)) | 卑語を表す.一般に用いないのがよい. |
((侮蔑的)) | 差別的な表現で,用いないのがよい. |
((軽蔑的)) | 相手を軽蔑する表現で,使用には注意を要する. |
((けなして)) | 悪い含みを伴う表現で,((ほめて))と対になる. |
((PC)) | politically correct(政治的に正しい,差別的でない)の略で,差別的な語に対して非差別的表現を示す時に用いる. |
地域的な差異は米国,英国で用いるものをそれぞれ((米))((英))とし,さらに細かい方言差は((スコット))((豪))((NZ))などのように示した.
以上のほかに,((戯))((歴史上))などの指示を用いて,語(句)のニュアンスがよくわかるように配慮した(⇒
【略語表】
).
4-8 可算名詞と不可算名詞
固有名詞を除き,複合名詞を含めた名詞について,** * † 付きの語には可算(countable;C)と不可算(uncountable;U)の区別を明示した.UCはUに用いられることが多いがCでも用いる場合,CUはその逆の場合を表す.ただし,これは一般的な傾向を示すもので,用法や文脈によって変わることがある.
4-9 同意語と反意語
同意語は( )で,反意語は(⇔ )の形で関連する語義の後に示した.ここでいう同意語とは,「意味内容がほぼ同じである語」ほどの緩やかなもので,どのような場合にも置き換え可能ということではない.
4-10 動詞
(1) 自動詞と他動詞の語義は,常に
自動詞他動詞で区別するが,意味的に関連のある自他の語義は一体的に記述した.
eat …
[動詞]
1 他動詞〈人・生物が〉〈食べ物を〉
食べる
食事をする…;
自動詞 物を食べる…
(2) 目的語になりうるもの,主語になりうるものが何かを〈 〉内に示した.またthat節やwh節を目的語に取る場合は≪that節≫≪wh節≫で示し,前置詞との慣用的な結合は≪with≫などで記した.さらに語義との呼応がある場合は≪in / at≫のように表記し,そうでないときは≪in,at≫のように頻度順に並べた.ただし,小さな語義に関しては,他動詞義と自動詞義を一括りにして簡略表記する場合がある.
ab・di・cate [...]
[動詞]
1 他動詞自動詞〈国王・王女が〉(地位を)放棄する
〈他動詞〈国王・王女が〉〈地位を〉放棄する;自動詞〈国王・王女が〉地位を放棄する〉
(3) 動詞と慣用的に結びつく副詞・副詞的小辞は次のように( )内に示した.
hud・dle [...]
[動詞]
1 自動詞〈人・動物などが〉身を寄せ合う,群れ集う(together,up)
(4) 動詞と共起する around / round,on / upon は,それぞれ around,on で代表させた.
(5) 動詞の用法は,以下のようにそれぞれ語義のまとまりごとに表示した.
〔否定文で〕 〈 否定文で用いる 〉
〔enjoy oneself〕 〈 再帰代名詞(myself,himself など)を目的語として用いる 〉
また,その用法のみに限定できない場合は,〔通例受身形で〕などと示した.受身形や進行形で用いられない場合は,〔受身形不可〕などと表示した.
4-11 形容詞
動詞(be, become など)の後にのみ置かれて補語となる場合は〔叙述〕,名詞の前にのみ置かれて名詞を直接的に修飾する場合は〔限定〕として示し,その主語・被修飾語になりうる名詞の種類を〈 〉内に示した.また前置詞との共起は≪on≫などで,that節との共起は≪that節≫で表示した.