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広説佛教語大辞典

凡例

語彙の選定の範囲

  1. 原則として普通名詞のみを扱い、固有名詞は省略した。ただし、固有名詞が和語または現代語で書きかえられてわかりやすくされている例がある場合にはこれを採録した。例えば、「耆闍崛山」を「鷲の峰」と書きかえた場合である。また諸仏・諸菩薩・諸天の名が抽象概念としての意味をもつときには、その意義のみを説明することにした。
  2. 普通名詞の場合は、仏典読解に必要な限りなるべく収録し、これを説明するよう配慮した。普通名詞について、仏教語であるかそうでないかの区別を明確に立てることが困難であるからである。普通名詞以外の品詞は、仏典読解に必要と思われるもののみが収められている。したがって、この辞典には、今までの仏教辞典に採録されていなかった多くの単語が収められている。それらが普通の漢籍における場合とは非常に違った意味で用いられていることを、読者はただちに気づかれるであろう。
  3. 語彙は、最初期の仏典にはじまり、インド・中国・朝鮮・日本で作成された、可能な限り多くの主要な仏典からできる限りのものを直接採録した。語彙を採取した出典については「略号出典一覧表」を参照されたい。
  4. 原典から語彙を採録したので、今までの多くの仏教辞典には採録されていない多数の語を収めることができた。その中には、例えば「博愛」「根性」「評論」など、今日よく用いられる語が多数存するが、それらが仏典ではどういう意味に使われているか、できる限り検討してある。
  5. 古典には見当たらなくても、大寺院、霊場などで日常用いられている語はなるべく採録した。また、朝鮮・ベトナム・中華民族活動地域などで実際に用いられている仏教語もできるだけ集めた。こういう点で、この辞典は一種の百科全書(固有名詞を除く)として役立つことを期待する。
  6. 禅宗独特の語と思われていたものも、インドの原文と漢訳を対照することによって、その原語が判明したものがある。禅語に関しては、なるべくインド撰述の原典にその典拠をさぐり、原語を明示するよう努めた。
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