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  11. 雨月物語

雨月物語

ジャパンナレッジで閲覧できる『雨月物語』の日本古典文学全集・日本大百科全書・世界大百科事典・国史大辞典のサンプルページ

新編 日本古典文学全集
雨月物語
うげつものがたり
【閲覧画面サンプル】
雨月物語 全体

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雨月物語 拡大

【現代語訳】
逢坂の関の番士に通行を許され、東への道をとってから、秋が来て燃え立つような山々の紅葉の美しさをも見捨てがたく、そのまま東下りの旅は、浜千鳥が足跡をつけて遊ぶ鳴海潟、富士山の雄大な噴煙、浮島が原、清見が関、大磯小磯の浦々の風光。更に紫草の咲きにおう武蔵野の原、下っては塩釜の海の穏やかな朝景色、象潟の鄙びた苫葺きの漁師の家々の眺め、佐野の舟橋、木曾の桟橋など、どの一つとして、心魅かれぬ所はなかったが、その上もなお、西国の名所・歌枕をぜひ見たいことよと、仁安三年の秋には、葭の花散る難波を経て、須磨・明石の海辺の風をしみじみと身に感じながら、旅を重ね歩を進めて四国讃岐の真尾坂の林という所まで行き着いて、しばらくそこに滞在することにした。野宿を重ねてきた長旅の疲れを休めるためではなく、仏法を思念し修行するための便宜として草庵を結んだというわけである。

この里に近い白峰という所に、崇徳院の御陵があると聞いて、拝み申し上げようと思い立ち、十月の初旬ごろにその山に登った。松や柏が薄暗いまでに奥深く茂り合っていて、白雲がたなびく晴天の日さえ小雨がそぼ降るような感じで、児が嶽という険しい峰が背後にそそり立ち、その深い谷底から雲霧が這い上ると、目の前さえおぼつ

【目次】
雨月物語(扉)
凡例

雨月物語 巻之一
白峯
菊花の約
雨月物語 巻之二
浅茅が宿
夢応の鯉魚
雨月物語 巻之三
仏法僧
吉備津の釜
雨月物語 巻之四
蛇性の婬
雨月物語 巻之五
青頭巾
貧福論



日本大百科全書(ニッポニカ)
雨月物語
うげつものがたり

上田秋成(あきなり)作の怪異小説集。5巻9話。1768年(明和5)の自序(剪枝畸人(せんしきじん))をもつが、実際の初刊は1776年(安永5)。初期読本(よみほん)を代表する作品で、幕末まで同一板木によって数版を重ねた。『白峰(しらみね)』『菊花(きっか)の約(ちぎり)』『浅茅(あさじ)が宿(やど)』『夢応(むおう)の鯉魚(りぎょ)』『仏法僧(ぶっぽうそう)』『吉備津(きびつ)の釜(かま)』『蛇性(じゃせい)の婬(いん)』『青頭巾(あおずきん)』『貧福論(ひんぷくろん)』の9話からなる。
(1)『白峰』 讃岐(さぬき)白峰の崇徳(すとく)上皇陵に詣(もう)でた西行(さいぎょう)が、上皇の怨霊(おんりょう)と皇位継承について議論を闘わせる話で、上皇は、魔王の本姿を現じ、復讐(ふくしゅう)の実現を予告して消え去る。
(2)『菊花の約』 丈部左門(はせべさもん)と義兄弟の契りを結び、重陽(ちょうよう)の日の再会を約して別れた赤穴宗右衛門(あかなそうえもん)は、尼子(あまこ)の城に幽閉されて出ることを許されず、自害し、魂魄(こんぱく)となってその約を果たす。
(3)『浅茅が宿』 家運挽回(ばんかい)のために上京、7年を過ごして帰国した勝四郎は、荒れ果てたわが家にひとり夫を待ち続ける妻宮木(みやぎ)の姿を見る。喜ぶ妻と一夜語らったあとみいだしたものは、いまわの心を歌に記した一枚の那須野紙(なすのがみ)であった。
(4)『夢応の鯉魚』 鯉(こい)の絵の名手興義(こうぎ)が、鯉魚に変身して琵琶湖(びわこ)を遊泳する綺談(きだん)。
(5)『仏法僧』 高野山(こうやさん)に参籠(さんろう)した夢然(むぜん)父子が、修羅道(しゅらどう)に落ちた殺生(せっしょう)関白豊臣秀次(とよとみひでつぐ)一行に出会う話。
(6)『吉備津の釜』 井沢庄太夫(しょうだゆう)は、一子正太郎の素行を修めさせるため吉備津神社の神主香央(かんざねかさだ)家の娘磯良(いそら)を迎えるが、正太郎は遊女袖(そで)を伴って出奔、裏切られて物の怪(もののけ)と化した磯良は、袖を取り殺し、陰陽師(おんみょうじ)の助けを借りる正太郎も食い殺してしまう。
(7)『蛇性の婬』 蛇の化身(けしん)真女児(まなご)と文雅な若者豊雄(とよお)の愛の葛藤(かっとう)が描かれている。愛欲におぼれかけた豊雄は、雄々しさに目覚め、法力を借りて蛇妖(じゃよう)を調伏(ちょうぶく)する。
(8)『青頭巾』 寵童(ちょうどう)の屍肉(しにく)を食って鬼となった僧侶(そうりょ)が、快庵禅師(かいあんぜんじ)の一喝(いっかつ)によって頓悟(とんご)、青頭巾と骨のみを残して消じ去る話。
(9)『貧福論』 奇人岡左内のもとに黄金の精霊が現れ、金銭の論理について語る話。
都賀庭鐘(つがていしょう)の『英草紙(はなぶさぞうし)』の様式を継承、『古今(ここん)小説』や『警世通言(けいせいつうげん)』など、当時流行の中国白話(はくわ)小説に想をとる翻案小説の形がとられているが、『源氏物語』『今昔物語』、謡曲など、古典の撮合重層化を通して、自国の風土と人間の構造に光があてられており、和漢を折衷した簡潔で視幻的な文辞、知的な構成力と相まって、小説として高度な結晶をみせている。いずれの登場人物も、執念の哀(かな)しさと恐ろしさがリアルに描き出されていて、単なる怪異を超えて人間性の深淵(しんえん)が可視化されている。山東京伝(さんとうきょうでん)や曲亭馬琴(きょくていばきん)など、後続の作家たちに大きな影響を与えた。
[中村博保]

映画

日本映画。1953年(昭和28)作品。溝口健二(みぞぐちけんじ)監督。上田秋成の『雨月物語』全9話から、「浅茅が宿」と「蛇性の婬」をもとに川口松太郎と依田義賢(よだよしかた)が脚色。戦さに翻弄(ほんろう)される貧農の兄弟が、焼物を町に売りに行って儲(もう)け、兄源十郎(森雅之(もりまさゆき))は織田信長に滅ぼされた城主の娘、実は死霊の若狭(わかさ)(京マチ子(きょうまちこ)、1924―2019)に夢中になるが、その間に妻宮木(みやぎ)(田中絹代(たなかきぬよ))は落ち武者に刺されて果てる。弟藤兵衛(とうべえ)(小沢栄(おざわさかえ)(本名小沢栄太郎(えいたろう))、1909―1988)は侍になるのを夢見て出世するが、置き去りにされた女房阿浜(おはま)(水戸光子(みとみつこ)、1919―1981)は娼婦(しょうふ)となっていた。男たちの欲望・無謀と女たちの受難を、夢幻的な能の様式も取り入れながら、溝口流の確かなリアリズムで描き、溝口作品の一つの到達点となった。琵琶湖を行く舟のシーンなど、宮川一夫(みやがわかずお)(1908―1999)カメラマンの撮影も、モノクロの陰影美を極めた画面となっている。ベネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞し、フランスのゴダール監督も激賞して、世界的な評価を集めた。
[千葉伸夫]



世界大百科事典
雨月物語
うげつものがたり

溝口健二監督の映画。1953年製作。《西鶴一代女》の1952年ベネチア映画祭国際賞受賞に次いで翌年同映画祭銀獅子賞を受賞し,溝口の名を国際的に高めた。上田秋成の《雨月物語》の中の〈浅茅が宿〉と〈蛇性の淫〉に,モーパッサンの短編小説《勲章》を加えて川口松太郎が小説化したものから,依田義賢と川口が共同で脚本を書いた。溝口は上田秋成の原作を愛読していて,〈この物語の中からさまざまな幻想が頭の中に浮かび,できた映画〉だと書き残している。戦国時代を舞台に,男たちの野望の卑小さに対して女たちの生活や欲望や官能を生き生きと描いた〈女性映画〉で,妻と母の座を守りぬく女,宮木(田中絹代),娼婦に身を堕とす女,阿浜(水戸光子),現世にさまよい出て男を誘惑する女,若狭(京マチ子)という3人のヒロインについて,溝口は〈女三人を匂ひで云ひますと,普通の香,仏だんの中でじめじめと宮木。野外の墓場で盛んにくすぶってゐる安物の線香,阿浜。四畳半のあやしげな安待合の部屋や便所で匂ふ香水線香,若狭〉といっている(依田義賢あての書簡)。溝口はまた,この映画の真髄を〈芝居と詩〉ということばでいい表しており,一方では〈講談映画〉ではないリアルな戦乱の描写と生きた人間の出る〈真の時代劇〉を目ざすと同時に,深い霧につつまれた夜の琵琶湖に小舟を漕ぎ出す有名なシーンに見られるように,若き日に水墨画を修業した宮川一夫(1908-99)のカメラを通してポエティックな〈幽玄美〉を生み出すことに成功している。
[宇田川 幸洋+山田 宏一]

[索引語]
溝口健二 上田秋成 川口松太郎 宮川一夫


国史大辞典

雨月物語
うげつものがたり
上田秋成(署名、剪枝畸人)著。五巻九篇から成る怪談小説集。明和五年(一七六八)三月、初稿成立。八年の推敲を経て、安永五年(一七七六)四月刊行。巻一に「白峯」「菊花の約」、巻二に「浅茅が宿」「夢応の鯉魚」、巻三に「仏法僧」「吉備津の釜」、巻四に「蛇性の婬」、巻五に「青頭巾」「貧福論」を収める。都賀庭鐘(つがていしょう)の『英草紙(はなぶさぞうし)』『繁野話(しげしげやわ)』に倣い、中国白話(口語体)小説に拠って想を構えている。庭鐘の作品が、内容・文章ともに原拠の直訳に近いものであったのに比し、これは原作のもつ巧妙な話術をさらに洗練し、これを流麗な雅文で綴っている。また庭鐘が奇談を主としたのに対し、これは怪談を主とし、そこに怪異の実在を信じた作者の、怖るべき幻想の場面が生かされ、はるかに原作を凌ぐものとなっている。その意味でこれは、怪談小説中の王者であるといってよいが、しかしそれは怪談のための怪談に終らず、話の進行の中に、人間の実体を究め、同時にそのあり方をも示して、浮薄な世情に対する警告の意味をも含んでおり、さらに賀茂真淵の流れを汲む作者の国学的主張も籠められ、日本的特性を顕示することに意を注いでもいる。しかしその点では、やや徹底を欠くものがあり、その大成は、晩年の傑作『春雨物語』を待たなければならなかった。『上田秋成集』(『日本古典全書』)、『日本古典文学大系』五六などに収められている。→上田秋成(うえだあきなり)
[参考文献]
重友毅『秋成の研究』(『重友毅著作集』四)、同『雨月物語評釈』
(重友 毅)
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日本史年表
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読本。剪枝(せんし)畸人(上田秋成)著。1768年(明和5)成立,76年(安永5)刊。半紙本5巻5冊。初版初刷は大坂野村長兵衛,京都梅村判兵衛合梓本だが,幕末ご ...
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14. あがない‐いだ・す[あがなひ‥]【贖出】
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16. あき‐もの【商物】
日本国語大辞典
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17. あきら・める【明】
日本国語大辞典
aqiramuru (アキラムル)〈略〉ダウリヲ aqiramuru (アキラムル)」*読本・雨月物語〔1776〕貧福論「徃古(いにしへ)に富る人は、天の時をは ...
18. あきれ‐まど・う[‥まどふ]【呆惑】
日本国語大辞典
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19. あぎ‐と【〓門・顎・顋・鰓】
日本国語大辞典
草苅鎌といふものをもちて、あぎとをかききりて」*観智院本類聚名義抄〔1241〕「鰓 アギト」*読本・雨月物語〔1776〕夢応の鯉魚「文四はやく糸を収めて我を捕ふ ...
20. あく‐いん【悪因】
日本国語大辞典
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21. あくぎゃく‐づか【悪逆塚】
日本国語大辞典
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22. あけ を そそぐ
日本国語大辞典
赤色になってゆく。朱(しゅ)をそそぐ。*読本・雨月物語〔1776〕白峰「光の中につらつら御気色(みけしき)を見たてまつるに、朱(アケ)をそそぎたる龍顔(みおもて ...
23. あ・げる【上・揚・挙】
日本国語大辞典
あ)しきを褒(アゲ)貶(くた)し」*観智院本類聚名義抄〔1241〕「称 アグ ホム」*読本・雨月物語〔1776〕仏法僧「此玉河てふ川は国々にありて、いづれをよめ ...
24. あ‐ご【網子】
日本国語大辞典
1430頃〕「あれご覧ぜよ、御津の浜に網子調ふる網舟の、えいやえいやと寄せ来るぞや」*読本・雨月物語〔1776〕蛇性の婬「『おのれは網子(アゴ)どもの怠るらん』 ...
25. あさづま‐ぶね【朝妻船・浅妻船】画像
日本国語大辞典
松の葉〔1703〕三・朝妻舟「あだしあだ波よせてはかへる浪、あさづまふねの浅ましや」*読本・雨月物語〔1776〕夢応の鯉魚「さしも伊吹の山風に、旦妻船(アサヅマ ...
26. あさ‐びらき【朝開】
日本国語大辞典
四四〇八「安佐婢良伎(アサビラキ) 吾(わ)は漕ぎ出ぬと 家に告げこそ〈大伴家持〉」*読本・雨月物語〔1776〕菊花の約「日和(には)はかばかりよかりしものを、 ...
27. あさまし・い【浅】
日本国語大辞典
・西鶴諸国はなし〔1685〕四・八「此あさましき内助に、さやうの美人なびき申べきや」*読本・雨月物語〔1776〕吉備津の釜「親もなき身の浅ましくてあるを、いとか ...
28. あさみ‐わら・う[‥わらふ]【浅笑】
日本国語大辞典
あさみわらひ、あざける者どももあり」(2)ばかにして笑う。あざけり笑う。あざわらう。*読本・雨月物語〔1776〕蛇性の婬「人々驚(おぢ)隠るるを、法師嘲(アザミ ...
29. あざら‐け【鮮─】
日本国語大辞典
〔名〕(「あさらけ」とも)なまのもの。鮮魚。生魚。*読本・雨月物語〔1776〕夢応の鯉魚「生(しゃう)を殺し鮮(アサラケ)を喰(くら)ふ凡俗の人に、法師の養ふ魚 ...
30. あざら‐けき【鮮】
日本国語大辞典
世をわたるよと推量して、やふやく吟行したれば、又いつくとも知ぬ山里、人煙が見へたぞ」*読本・雨月物語〔1776〕菊花の約「美酒(よきさけ)を沽(か)ひ鮮魚(アサ ...
31. あしかが‐ぞめ【足利染】
日本国語大辞典
〔名〕栃木県足利市で産する染めた織物。*読本・雨月物語〔1776〕浅茅が宿「雀部(ささべ)の曾次といふ人、足利(アシカガ)染の絹を交易するために、年年京よりくだ ...
32. あし‐なえ・ぐ[‥なへぐ]【蹇・跛】
日本国語大辞典
足奈戸久馬」*海道記〔1223頃〕大岳より鈴鹿山「羊腸坂きびしくして駑馬石に足なへく」*読本・雨月物語〔1776〕浅茅が宿「翁も又足蹇(アシナヘギ)て百歩を難し ...
33. あずみのいそら【安曇磯良】
日本架空伝承人名事典
顔の色いと青ざめて、たゆき眼すざましく、我を指たる手の青くほそりたる恐しさに、「あなや」と叫んでたふれ死す。雨月物語巻之三「吉備津の釜」 ...
34. あだ‐ごと【徒言・徒事】
日本国語大辞典
〕絵合「世の常のあだ事のひきつくろひ飾れるにおされて、業平が名をや腐(くた)すべき」*読本・雨月物語〔1776〕吉備津の釜「只かりそめなる徒(アダ)ことに、女の ...
35. あつい 心(こころ)
日本国語大辞典
(1)高い熱のため、からだが燃えているように熱くなっていること。また、その時の浮かされた気分。*読本・雨月物語〔1776〕吉備津の釜「疫(えき)といふものの脳( ...
36. あつら・える[あつらへる]【誂】
日本国語大辞典
かしこの人の集まりたるは」*冥報記長治二年点〔1105〕「慇懃に四たび之を属(アツラフ)」*読本・雨月物語〔1776〕菊花の約「佐用氏にゆきて老母の介抱(いたは ...
37. あて【貴】
日本国語大辞典
み)。かりのこ。削り氷(ひ)にあまつら入れて、あたらしき金鋺(かなまり)に入れたる」*読本・雨月物語〔1776〕蛇性の婬「人々花やぎて出ぬれど、真女子(まなご) ...
38. あと‐な・し【跡無】
日本国語大辞典
4~27〕夏・一一五「郭公あかで過ぎぬる声により跡なき空を眺めつるかな〈藤原孝善〉」*読本・雨月物語〔1776〕一・菊花の約「家眷(いへのこ)ども立騒ぐ間(ひま ...
39. あな
日本国語大辞典
其時初てわらひ給へり」*バレト写本〔1591〕「ana (アナ) カシマシヤ シズマレト」*読本・雨月物語〔1776〕吉備津の釜「あな哀れ。わかき御許(おもと) ...
40. あな‐や
日本国語大辞典
「鬼はやひとくちに食ひてけり。『あなや』といひけれど、神鳴るさわぎにえ聞かざりけり」*読本・雨月物語〔1776〕吉備津の釜「顔の色いと青ざめて、たゆき眼(まなこ ...
41. あま‐かか【尼嚊】
日本国語大辞典
*浮世草子・世間娘容気〔1717〕二「お出入の尼嚊々(アマカカ)に着おろしを下され」*読本・雨月物語〔1776〕貧福論「さるを富貴は前生(さきのよ)のおこなひの ...
42. あま‐ぐ【雨具】
日本国語大辞典
(アマグ)」*俳諧・奥の細道〔1693~94頃〕草加「ゆかた、雨具、墨、筆のたぐひ」*読本・雨月物語〔1776〕仏法僧「雨具(アマグ)うち敷き座をまうけて、閑( ...
43. あま‐な・う[‥なふ]【和・甘─】
日本国語大辞典
滅してしまう」*俳諧・むかしを今〔1774〕序「あやしき舎りして市中に閑をあまなひ」*読本・雨月物語〔1776〕菊花の約「清貧を憇(アマナ)ひて、友とする書(ふ ...
44. あみご【網子】[方言]
日本方言大辞典
)1955 東京都新島322伊豆諸島文化財総合調査報告(東京都教育委員会)1958~59読本雨月物語蛇性の婬「おのれは網子あごどもの怠るらん」《あこ》 青森県上 ...
45. あめの 神(かみ)
日本国語大辞典
安女乃加美乃以支保以乎毛〓」*読本・雨月物語〔1776〕白峰「そも保元の御謀叛は天(アメ)の神(カミ)の教給ふことわりにも違はじとておぼし立たせ給ふか」 ...
46. あめの 時(とき)
日本国語大辞典
天が与えてくれる好機会。天運。てんのとき。*読本・雨月物語〔1776〕貧福論「いにしへに富める人は天(アメ)の時に合(かな)ひ、地(くに)の利をあきらめて産を治 ...
47. あや‐にしき【綾錦】
日本国語大辞典
句・夏「いく村も山は若ばのにしきかな 綾錦など一端二たんをば一むら二村などといへり」*読本・雨月物語〔1776〕浅茅が宿「綾錦(アヤニシキ)に裹(つつ)める京女 ...
48. あら‐た【新】
日本国語大辞典
*謡曲・金札〔1384頃〕「四海を治めし、おん姿、あらたに見よや、君守る、八百万代の、しるしなれや」*読本・雨月物語〔1776〕菊花の約「賢弟が老母は即(やがて ...
49. あらの の 煙(けぶり)
日本国語大辞典
火葬の煙。また、火葬。野辺の煙。*読本・雨月物語〔1776〕吉備津の釜「かくてはとて遂に曠野(アラノ)の烟(ケフリ)となしはてぬ」 ...
50. ありあけ‐づき【有明月】
日本国語大辞典
猿蓑〔1691〕五「青天に有明月の朝ぼらけ〈去来〉 湖水の秋の比良のはつ霜〈芭蕉〉」*読本・雨月物語〔1776〕浅茅が宿「屋根は風にまくられてあれば、有明月のし ...
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うつほ物語(宇津保物語)(日本古典文学全集・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典・国史大辞典)
平安時代の物語。題名は首巻の「俊蔭」の巻で、主人公の仲忠が母と杉の洞穴で生活したことによる。従来「宇津保」と書かれていたが、変体仮名の原漢字を用いたもので、題意からは「うつほ(ウツオ)」がよい。成立時代は円融朝(969~984)~
落窪物語(日本古典文学全集・日本大百科全書・世界大百科事典・国史大辞典)
〔一〕今は昔のこと、中納言である人で、姫君を大勢持っていらっしゃった方がおられた。長女や次女の君には婿を迎えて、それぞれ西の対、東の対に派手に住まわせ申しあげなさって、「三女、四女の君には裳着の式をして差し上げよう」と、大事にお世話なさる
唐物語(国史大辞典・世界大百科事典)
中国説話二十七篇を歌物語風に翻訳した物語。一冊。前田綱紀の手記『桑華書志』所収の『古蹟歌書目録』は『漢物語』として作者を藤原成範と伝える。これが『唐物語』を指す蓋然性は高く、院政期の成立と見てよい。各話は王朝物語にもしばしば引用される著名な人物が配される。
とりかへばや物語(国史大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典)
平安時代末期の物語。運命のいたずらで女装、男装を余儀なくされた異腹の兄妹の物語。作者未詳。三巻三冊または四巻四冊。『とりかへばや』には古本と今本とがあり、古本は散佚、古本を改作した「今とりかへばや」が『とりかへばや』『とりかへばや物語』の名で現存する。
今鏡(日本大百科全書・世界大百科事典)
平安末期の歴史物語。1170年(嘉応2)成立説とそれ以後とする説とがあり、作者は藤原為経(寂超)説が有力。『大鏡』を受けて、1025年(万寿2)から1170年までの歴史を、座談形式を用い、紀伝体で叙述したもの。巻1~3は後一条天皇から高倉天皇までの帝紀、巻4~6は藤原氏
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連獅子(日本大百科全書・世界大百科事典)
歌舞伎(かぶき)舞踊。長唄(ながうた)。河竹黙阿弥(もくあみ)作。能『石橋(しゃっきょう)』の替(かわり)の型からの名称で、1861年(文久1)5月、2世杵屋勝三郎(きねやかつさぶろう)が作曲、初世花柳寿輔(はなやぎじゅすけ)が子芳次郎(よしじろう)
青砥稿花紅彩画(国史大辞典・世界大百科事典)
歌舞伎の世話狂言。二代目河竹新七(黙阿弥)作、五幕。文久二年(一八六二)三月、江戸市村座で十三代目市村羽左衛門(のちの五代目尾上菊五郎)らにより初演。「弁天小僧」「白浪五人男」などの通称で知られる。日本駄右衛門・弁天小僧菊之助・赤星十三郎・忠信利平
(国史大辞典・世界大百科事典)
歌舞伎の荒事劇の一つ。元来独立の狂言ではなく、江戸歌舞伎の狂言中に設定された類型的な一場の通称。危機的な場面に「しばらく、しばらく」と声をかけて主人公が登場することから『暫』と呼ばれた。初代市川団十郎の創始と伝えられ、内容を確認できる最古のものは
大塔宮曦鎧(新版 歌舞伎事典)
(1)人形浄瑠璃。時代物。五段。角書「太平記/綱目」。別名題《太平記曦鎧》。竹田出雲・松田和吉作。近松門左衛門添削。享保八(1723)年二月大坂・竹本座初演。《太平記》に題材を仰いだ作品で、北条氏討伐を図って挙兵した大塔宮が苦難の後に六波羅を攻略する
伊賀越道中双六(新版 歌舞伎事典・日本大百科全書)
(1)人形浄瑠璃。時代物。十段。近松半二・近松加作の作。天明三(1783)年四月大坂・竹本座初演。上杉家家老和田行家の子息志津馬が姉婿唐木政右衛門の助力を得て父の敵沢井股五郎を討つまでを描いた作品。安永五(1776)年一二月大坂・嵐座上演の奈河亀輔作
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