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落窪物語

ジャパンナレッジで閲覧できる『落窪物語』の日本古典文学全集・日本大百科全書・世界大百科事典・国史大辞典のサンプルページ

新編 日本古典文学全集
落窪物語
おちくぼものがたり
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落窪物語 全体

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落窪物語 拡大

【現代語訳】
〔一〕
今は昔のこと、中納言である人で、姫君を大勢持っていらっしゃった方がおられた。長女や次女の君には婿を迎えて、それぞれ西の対、東の対に派手に住まわせ申しあげなさって、「三女、四女の君には裳着の式をして差し上げよう」と、大事にお世話なさる。また中納言が時々通っておられた皇族出の女に生れた方といって、母もない姫君がいらっしゃる。中納言の北の方は、まあどう思っていらっしゃったのであろうか、お仕え申しあげる女房たちと同じにもお思いにならず、寝殿の放出の、その先にある一室の床の落ちくぼんだ、たった二間の所に住まわせなさっている。「姫君」とも呼ばせず、「御方」とはまして言わせなさるはずもない。<呼び名を付けよう>とすると、何と言っても、<中納言の思惑もあるだろう>と遠慮なさって、「落窪の君と言え」とおっしゃるので、女房たちもそう呼んでいる。中納言も姫君を幼児のころからかわいいとはお思い染みにならないでしまったのだろうか、なおさら北の方のお思いのままで、ひどい仕打ちが多くあったということだ。しっかりした世話人もなく、

【目次】
落窪物語(扉)
凡例
落窪物語 巻之一(扉)
梗概
〔一〕物語の発端――落窪の君の生立ち
〔二〕落窪の君の才芸――箏の琴のこと
〔三〕落窪の君の才芸――縫物のこと
〔四〕姫君の侍女、あこぎのこと
〔五〕あこぎの夫、帯刀について
〔六〕帯刀、姫君のことを少将に語る
〔七〕姫君、孤独な身の上を嘆く
〔八〕帯刀、少将の手紙を姫君へ取り次ぐ
〔九〕中納言、姫君の服装を見ていとおしむ
〔一〇〕少将、姫君に手紙を贈るが返事なし
〔一一〕中納言一家の石山詣でと姫君の留守居
〔一二〕帯刀、あこぎを訪ね、少将に機会知らせる
〔一三〕少将、雨中に中納言邸に出かける
〔一四〕少将、姫君を垣間見て美しいと思う
〔一五〕少将、帯刀と謀り、あこぎを遠ざける
〔一六〕少将、姫君と契る
〔一七〕あこぎ、姫君の窮地を悟るが、手立てなし
〔一八〕少将、姫君を慰めて、愛を誓う
〔一九〕少将からの後朝の文と姫君の心痛
〔二〇〕少将を迎えるためにあこぎ活躍する
〔二一〕少将の二日目の夜の訪れ
〔二二〕三日の夜の準備にあこぎ奔走する
〔二三〕豪雨のため少将訪問できず困惑する
〔二四〕雨中、苦難を越えて、少将、姫君を訪問
〔二五〕三日夜の餅、二人の深い契り
〔二六〕中納言一家、石山詣でから帰館する
〔二七〕北の方、姫君の鏡箱を要求する
〔二八〕鏡箱の件で少将、継母の虐待を徐々に知る
〔二九〕帯刀、姫君の手紙を落とす
〔三〇〕姫君の手紙、北の方の手にわたる
〔三一〕少将、姫君を訪れて、物語する
〔三二〕姫君、蔵人の少将の舞人の衣装を縫う
〔三三〕北の方、縫物のことで姫君をののしる
〔三四〕少将、落窪の君の名の由を知り同情する
〔三五〕女房少納言、姫君に弁の少将の噂話をする
〔三六〕少将、弁の少将に嫉妬、しきりに弁明する
〔三七〕北の方、少将を覗き見て、驚く
〔三八〕北の方、奸計を思いつく
〔三九〕少将と姫君との笛をめぐる文通
〔四〇〕北の方、中納言に姫君のことを讒言する
〔四一〕姫君、物置のような部屋に幽閉される
〔四二〕姫君とあこぎ、悲嘆するが、方法はなし
〔四三〕少将の悲痛――あこぎ、姫君と対面する
〔四四〕三郎君を使いとして、少将の文を渡す
〔四五〕北の方、典薬助と語らう
〔四六〕少将・あこぎ・帯刀ら苦慮する
落窪物語 巻之二(扉)
梗概
〔一〕人々の嘆き――姫君、笛の袋を縫う
〔二〕三郎君、再び姫君へ文の使いをする
〔三〕典薬助、今夜の計画をあこぎに話す
〔四〕典薬助、姫君の閉じ込められた部屋に入る
〔五〕あこぎ、焼石を頼む機転をきかす
〔六〕あこぎ、ついに典薬助から姫君を守りぬく
〔七〕少将と、典薬助からの二通の手紙
〔八〕典薬助の入室をはばむ種々の計略
〔九〕典薬助の滑稽な大失敗
〔一〇〕あこぎと帯刀、姫君を救出する計画をねる
〔一一〕姫君ようやく救出され、二条邸へ行く
〔一二〕姫君の失踪で中納言邸は大騒ぎになる
〔一三〕典薬助が姫君の件で弁明し、物笑いとなる
〔一四〕三郎君、姫君のことで北の方を批評する
〔一五〕少将、あこぎに二条邸の女房を招集させる
〔一六〕少将と四の君との縁談話が起こる
〔一七〕中納言邸での四の君の結婚の準備の様子
〔一八〕母君、少将に縁談の辞退を勧める
〔一九〕少将、兵部の少輔(面白の駒)と話し合う
〔二〇〕二条邸での少将夫妻の愛情の深さ
〔二一〕面白の駒、少将に代って四の君と結婚
〔二二〕面白の駒の滑稽な後朝の文
〔二三〕中納言邸での人々の不審と困惑
〔二四〕面白の駒の二日目の夜
〔二五〕三日夜の露顕で、面白の駒だとばれる
〔二六〕中納言邸の狼狽と四の君の悲嘆
〔二七〕中納言邸での、面白の駒の扱い
〔二八〕四の君の懐妊と、三の君の心配
〔二九〕二条邸のにぎわい――侍女たち集まる
〔三〇〕少将一家の様子――少将、三位中将になる
〔三一〕蔵人の少将、三の君から離れ始める
〔三二〕清水詣でのこと――車争い
〔三三〕北の方一行の悲惨さと、さらなる追打ち
〔三四〕清水詣でのこと――局争い
〔三五〕清水詣でのこと――帰路の口争い
〔三六〕北の方、清水詣での顛末を中納言に語る
〔三七〕蔵人の少将と、中の君との結婚
〔三八〕女房少納言、中納言邸の様子を話す
〔三九〕中将と右大臣の姫君との縁談起こる
〔四〇〕中将、女君の物思いがわからず困惑する
〔四一〕乳母、中将と帯刀にさとされる
〔四二〕女君、中将の気持を知って安心する
〔四三〕女君の懐妊――中将の母君と初の対面
〔四四〕女君、大将邸に伴われ、滞在する
〔四五〕女君、父を慕う――女君の初産
〔四六〕中将、中納言に昇進――二郎君の誕生
〔四七〕中納言、三条邸の修理を始める
〔四八〕賀茂祭での車争い
〔四九〕典薬助、打擲され、懲ぜられる
〔五〇〕北の方一行のみじめな帰途
〔五一〕父中納言の悲嘆――女君の心痛
落窪物語 巻之三(扉)
梗概
〔一〕三条邸の造営が完成する
〔二〕衛門督、三条邸への転居の準備を命じる
〔三〕中納言邸の女房ら、二条邸に引き抜かれる
〔四〕衛門督、三条邸に用人を差し向ける
〔五〕中納言、右大臣に訴えるが、徒労に終る
〔六〕右大臣、衛門督から事情を聞く
〔七〕越前守、掛合いに奔走する
〔八〕女君、三条邸の件で心を痛める
〔九〕越前守の報告に、中納言、あぜんとする
〔一〇〕北の方、当惑し、悔しがる
〔一一〕衛門督ら、三条邸に引っ越しする
〔一二〕越前守、三条邸で衛門に鏡箱を託される
〔一三〕衛門督の妻が落窪の君と判明する
〔一四〕北の方の当惑と憤慨ぶり
〔一五〕女君の件を知った三の君、四の君の心中
〔一六〕中納言家の人々の明暗
〔一七〕中納言、いそいそと三条邸に出かける
〔一八〕中納言、女君らと対面する
〔一九〕越前守、衛門らによって、もてなされる
〔二〇〕中納言らへの豪華な饗応
〔二一〕中納言家の人々のさまざまな反応
〔二二〕衛門督家と中納言家の文通
〔二三〕両家の親交と女君の心遣い
〔二四〕衛門督、中納言のために法華八講を計画
〔二五〕衛門督一族の栄華
〔二六〕女君、北の方らと中納言邸で再会する
〔二七〕法華八講始まる
〔二八〕法華八講の華麗な様子
〔二九〕法華八講が終り、中納言、大いに喜ぶ
〔三〇〕三の君と中納言(蔵人の少将)との別れ
〔三一〕大納言ら八講を終えて帰邸する
〔三二〕大納言、大将となる
〔三三〕中納言の七十賀のさまざまな準備
〔三四〕七十賀の屏風歌のこと
〔三五〕七十賀の豪華な様子
落窪物語 巻之四(扉)
梗概
〔一〕中納言、重病になり、大納言の職を望む
〔二〕中納言、大将から譲られて大納言となる
〔三〕新大納言の喜びと、北の方の反応
〔四〕大納言の感謝の訪問
〔五〕女君、大納言の看病をする
〔六〕大納言、遺言をする
〔七〕大納言の遺言に対する北の方の不満
〔八〕大納言、女君に感謝しつつ死去する
〔九〕大納言のおごそかな葬送
〔一〇〕大納言死去の服喪など
〔一一〕四十九日のことなど
〔一二〕大将夫妻の深い愛情
〔一三〕大納言の遺産の処分
〔一四〕北の方、遺産に不服を言い、非難される
〔一五〕北の方の滑稽な抵抗
〔一六〕遺産処分に対する越前守と左衛門佐の態度
〔一七〕遺産の処理も無事おさまる
〔一八〕女君の、北の方への孝行
〔一九〕大将一家の栄華――大将、左大臣となる
〔二〇〕新左大臣の権勢
〔二一〕美濃守赴任のための女君の餞別
〔二二〕三の君と四の君への配慮
〔二三〕左大臣夫妻の子女たち
〔二四〕太政大臣の二郎君への愛孫ぶり
〔二五〕左大臣夫妻の子女と繁栄
〔二六〕太政大臣の六十賀
〔二七〕四の君に筑紫の帥との再縁談起きる
〔二八〕四の君の再縁談を、母北の方喜ぶ
〔二九〕四の君に再縁談を話す
〔三〇〕四の君の再縁、本決まりとなる
〔三一〕四の君、三条邸に移り、権帥と結婚
〔三二〕北の方、四の君の再婚に母親のような配慮
〔三三〕筑紫の権帥と四の君の後朝の文
〔三四〕三日夜のための準備と夫妻の懐旧談
〔三五〕四の君、権帥邸に迎えられることとなる
〔三六〕権帥の先妻の子女たちについて
〔三七〕四の君、縫物に困惑し、母北の方を頼る
〔三八〕女君、四の君の件で見事な計画を思いつく
〔三九〕四の君、女君のおかげで母北の方と対面
〔四〇〕北の方、四の君と会えることになり喜ぶ
〔四一〕女君、北の方の権帥邸訪問に援助する
〔四二〕母北の方、権帥邸に行き、四の君と会う
〔四三〕播磨守へ、四の君の再婚を連絡する
〔四四〕権帥邸での女房たちの反応
〔四五〕四の君、別れの挨拶に三条邸を訪れる
〔四六〕女君の贈答歌と贈物
〔四七〕四の君親子の女君への返歌
〔四八〕四の君と母北の方、別れを悲しむ
〔四九〕権帥、左大臣に暇乞いする
〔五〇〕権帥から、女君の女房たちへの贈物
〔五一〕面白の駒からの餞別――黄金の州浜
〔五二〕権帥一行、筑紫に下る
〔五三〕左大臣の子女の成長ぶり
〔五四〕夫妻の姫君入内する――衛門夫妻も栄える
〔五五〕父大臣、左大臣に太政大臣の位を譲る
〔五六〕女御、立后――人々の昇進
〔五七〕めでたきことども――その後の人々 一
〔五八〕めでたきことども――その後の人々 二
校訂付記
解説
一 はじめに
二 文学の諸装置――『落窪物語』に仕掛けられた文学装置――
三 『落窪物語』の言説分析
四 おわりに



日本大百科全書
落窪物語
おちくぼものがたり

平安時代の物語。4巻。題名は、継母が姫君を寝殿の一段低い部屋に住まわせて落窪の君と呼ばせたことによる。成立時期、作者とも未詳であるが、およそ一条(いちじょう)朝の初期、寛和(かんな)~正暦(しょうりゃく)(985~995)ごろ、男性によって書かれたものと考えられる。
内容は、継母に虐待される薄幸の姫君が左大将の子息に救われて幸福になるという継子(ままこ)いじめの物語。中納言(ちゅうなごん)には北の方との間に2男4女、亡き王孫の女君との間にも美しい姫君があった。北の方はこの姫君を寝殿の落ち窪んだ部屋に住まわせ、召使い同様の仕打ちをして虐待した。姫君の忠実な侍女阿漕(あこぎ)は左近少将の乳母子帯刀(めのとごたてわき)と恋仲であったので、姫君のことは少将の知るところとなり、やがて少将は阿漕の手引きで姫君と契りを結んだ。継母は姫君を一室に監禁し、好色な老人典薬助(てんやくのすけ)に与えようとしたが、姫君は阿漕の機転で難を免れ、少将に救出される。少将は継母への復讐(ふくしゅう)として、四の君の婿に面白(おもしろ)の駒(こま)という痴者(しれもの)を逢(あ)わせたり、継母一行の清水詣(きよみずもう)でや賀茂祭(かもまつり)の見物を妨害したり、中納言が移ろうとした三条殿を先取りしたりした。その後、中納言は姫君と対面して事の顛末(てんまつ)を知り和解する。少将は中納言のために七十の賀を催したり大納言に推挙したりし、継母にも大納言死後の邸(やしき)を伝領させた。少将はますます栄達し、姫君は3男2女をもうけ幸福を極めた。
以上の内容から、この物語の構成は、第1部継子いじめと少将の救出、第2部継母への復讐、第3部少将、姫君の栄華と中納言方への心尽くし、という3部に分けられよう。全編に勧善懲悪的な道徳観や一夫一婦の理想性や権力謳歌(おうか)的な性格などがみられるが、しかしこれらは副次的なもので、この作品の主張ではなく、むしろ作者は主観的な思想感情を抑え、冷静な知的態度で即物的に筆を運んでいる。その点、継子いじめという類型的な話型を枠組みとしつつも、叙述は写実的、現実的で、『源氏物語』出現以前の構成の整った王朝家庭小説として、物語史上の価値は少なくない。
伝本は、九条家旧蔵本など室町期にさかのぼる写本が数本あるが、大部分は江戸期の写本で、共通の祖本から派生したものと認められる。版本には寛政(かんせい)6年(1794)版、上田秋成校の寛政11年(1799)版がある。
[中野幸一]


改訂新版・世界大百科事典
落窪物語
おちくぼものがたり

平安朝の継子いじめ物語。4巻。作者不詳。源順(みなもとのしたごう)とする説もある。順が漢文学の素養があり,和歌もよくする下級貴族の男性であることで,作者の条件をみたす一人だと見てよい。書名は女主人公が〈寝殿の放出(はなちいで)の,また一間なる落窪なる所〉に住まわされ,〈落窪の君〉と言われたところからとられた。中納言源忠頼には北の方の実子7人のほかに皇女腹の姫君(落窪の君)があった。落窪の君は継母のおとし入れをこえて,左大将の子の左近の少将と結ばれ,栄華を極めた。なお,姫君の忠実な侍女阿漕(あこぎ)の活躍も目だつ。姫君が継子としての辛酸をなめる境遇を具体的に描くと同時に,《宇津保物語》の名がその首巻で,俊蔭女とその子仲忠が木のうつぼに住んでいたことからつけられたように,空洞信仰の象徴としての意味をも落窪は有する。空洞にこもった者が霊力を身につけて,種々の艱難(かんなん)をのりこえて立派になってゆくのである。《枕草子》に〈交野(かたの)の少将もどきたる落窪の少将などはをかし〉としるされ,《枕草子》以前に流布していたらしい。
[臼田 甚五郎]

[索引語]
源順 落窪の君 阿漕

国史大辞典
落窪物語
おちくぼものがたり
平安時代の物語。作者不詳。源順(したごう)説もある。四巻。成立は『枕草子』以前で、村上朝の後半から天延元年(九七三)までの間とする説をはじめ、永延・永祚年間(九八七―九〇)ごろ、長徳年間(九九五―九九)説など諸説がある。現存では最古の継子いじめ物語。昔、中納言忠頼には北の方との間に三男四女があったが、ほかに皇女腹に姫君が一人いた。北の方はこの継子の姫を、床の一段低いへや(落窪)に入れ、落窪の君と呼ばせて裁縫などに追い使った。姫の忠実な召使いの阿漕(あこぎ)に通っていた帯刀(たちはき)からこの事を聞いた左大将の子の左近の少将は見ぬ恋にあこがれ、やがて帯刀の手引きで逢うことができた。男の通うのを知った北の方は立腹して姫を塗籠(ぬりごめ)に押し入れ、六十余りの好色な典薬助に与えようとするが、阿漕の働きで難を切り抜ける。少将は、中納言一家の石山詣での留守に姫を救い出して自邸に隠し、継母への報復として、中納言の四の君の婿に、いつわって愚か者の兵部の少輔をさし向け、三の君の婿の蔵人の少将を自分の妹の婿に迎え、継母の清水参りや賀茂の祭見物に恥をかかせ、落窪の君の伝領した三条邸に中納言一家がひき移ろうとする矢先に乗り込んで嘆かせたりなどするが、やがて姫を父中納言と対面させ、そののちはうって変わってつぎつぎと恩恵を施し、姫と少将はいよいよ仲睦まじく栄華をきわめた、という筋である。作者は倫理的主張を打ち出さず、純客観的に貴族の家庭内での継子いじめを叙述する。先行して題材を同じくする『往吉物語』(散佚)に霊験的要素が強いのに対して、姫の救出や少将の報復にも合理的現実的手段を用いて写実的構成をとっている。小さくまとまって文学的達成度はあまり高くないが『源氏物語』出現への一背景としての意味を持つ。九条家旧蔵本などの写本のほか、寛政六年(一七九四)・十一年の版本、叢書などに収められた十数種の活字本(『日本古典全書』、『日本古典文学大系』一三、『日本古典文学全集』一〇その他)がある。
[参考文献]
松尾聡『落窪物語』解説(『日本古典文学大系』一三)、上坂信男『物語序説』(『有精堂選書』三)、野口元大『古代物語の構造』(同六)、塚原鉄雄『王朝の文学と方法』
(堀内 秀晃)
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〔他マ四〕(「あい」は接頭語)(1)(「頼む」の改まった言い方)たよりとする。頼みとする。*落窪物語〔10C後〕二「医師(くすし)なり。御病もふとやめ奉りて。今 ...
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24. あが・る【上・揚・挙・騰】
日本国語大辞典
(1)その動作が終わる意を表わす。「染め上がる」「刷り上がる」(2)その動作が激しくなる意を表わす。*落窪物語〔10C後〕二「ただ言ひに言ひあがりて、車のとこし ...
25. あきれ‐まど・う[‥まどふ]【呆惑】
日本国語大辞典
〔自ハ四〕驚いてどうしてよいかわからなくなる。意外な事に出あっておろおろする。*落窪物語〔10C後〕三「人々あきれまどひて、殿に走り来て」*源氏物語〔1001〜 ...
26. あけ‐す・ぐ【明過】
日本国語大辞典
〔自ガ上二〕すっかり夜が明けてしまう。夜が明けてから時がたつ。明けはなれる。*落窪物語〔10C後〕一「出で給ふに、明すぎて、人々騒がしければ」*枕草子〔10C終 ...
27. 総角(源氏物語) 243ページ
日本古典文学全集
薫が、いつも弁を呼び出して昵懇に話しこんでいるのをいう。女房が、女主人に男を手引する話は、『落窪物語』『住吉物語』などにみえる。この物語にもその例は多い。このあ ...
28. あ‐ご【吾子】
日本国語大辞典
阿誤(アゴ)よ 阿誤(アゴ)よ 細螺(しただみ)の い這ひ廻(もとほ)り 撃ちてし止まむ」*落窪物語〔10C後〕一「人なくては大事なり。よきあこたちのつかひ人と ...
29. あさ‐ざ【朝座】
日本国語大辞典
で、朝、行なう法座。〓夕座。*落窪物語〔10C後〕三「あさざ、夕座の講師(こうじ)に、鈍(にび)色の袷(あはせ)の衣(きぬ)どもか ...
30. あさて【明後日】
日本国語大辞典
*宇津保物語〔970〜999頃〕吹上上「あさてばかり、いと興ある所の侍るなる、見給に罷り出で立つを」*落窪物語〔10C後〕四「あさて下り給ふとて」*観智院本類聚 ...
31. あざ‐わら・う[‥わらふ]【嘲笑】
日本国語大辞典
哉(あなにえや)、吾が皇子(みこたち)は聞喜而生(ききよくもあれませ)るかな』とのたまふ」*落窪物語〔10C後〕一「あなわかわかしの昼寝や。しが身のほど知らぬこ ...
32. あし‐げ【悪─】
日本国語大辞典
げすども、あしげなる柚(ゆ)や梨などを、なつかしげに持たりて食ひなどするも、あはれに見ゆ」*落窪物語〔10C後〕二「ほかの小路に引きもて来て、道中(なか)にうち ...
33. あしげ‐さ【悪─】
日本国語大辞典
〔名〕(形容動詞「あしげ」に接尾語「さ」の付いたもの)悪そうに見えるさま。また、その度合。欠点。*落窪物語〔10C後〕一「眉の程にぞおよずけのあしけさも少し出で ...
34. あし‐じろ【足白】
日本国語大辞典
〔名〕(1)足の白いこと。*落窪物語〔10C後〕二「心うしとやおぼさんとて、はじめもさいみじかりし雨に、わりなくて参りしを、足しろの盗人とは興ぜられしぞかし」( ...
35. あし‐ずから[‥づから]【足─】
日本国語大辞典
〔副〕(「ずから」は接尾語)自分の足で。自分がじかに足を運んで。*落窪物語〔10C後〕一「おとどの御前に引き出で来て、〈略〉『からうじて。あしづから行かずは、い ...
36. あし の 気(け)
日本国語大辞典
あしのやまい。*十巻本和名類聚抄〔934頃〕二「脚気 医家書有脚気論〈脚気一云脚病 俗云阿之乃介〉」*落窪物語〔10C後〕三「今日だにとむらひに物せんと思ひつれ ...
37. あし=を[=も]空(そら)
日本国語大辞典
(1)足も地につかないくらいうろたえてあちこち急ぎ歩くこと。また、そのようにあわてふためくさま。*落窪物語〔10C後〕二「車の男ども足をそらにてまどひ倒れて」* ...
38. あじき‐な・い[あぢき‥]【味気無】
日本国語大辞典
あじけない。*伊勢物語〔10C前〕八九「人知れず我こひ死なばあぢきなくいづれの神になき名おほせん」*落窪物語〔10C後〕一「『世にふとは忘れじ』との給へば、帯刀 ...
39. あ‐じろ【網代】
日本国語大辞典
漁業の漁獲高分配法の一つ。漁網に対して配当される収益。(8)「あじろぐるま(網代車)」の略。*落窪物語〔10C後〕二「ふるめかしき檳榔毛(びりゃうげ)ひとつ、あ ...
40. あじろ‐ぐるま【網代車】
日本国語大辞典
のびて、ただきよげなるあじろぐるまに、馬(むま)にのりたる男ども四人、しも人はあまたあり」*落窪物語〔10C後〕二「ただいと清げなるあじろ車の、下簾かけたる、出 ...
41. あた・う[あたふ]【能】
日本国語大辞典
*竹取物語〔9C末〜10C初〕「罪の限りはてぬればかく迎ふる、翁は泣きなげく、あたはぬ事也。はや返し奉れ」*落窪物語〔10C後〕四「『我左の大臣殿のうへに申し給 ...
42. あた‐かたき【仇敵】
日本国語大辞典
〔名〕(後世は「あだかたき」とも)憎い相手。きゅうてき。*落窪物語〔10C後〕二「中だちしたる人とても、あたかたきにもあらず、四の君の乳母(めのと)なれば」*源 ...
43. あたら‐もの【惜物・惜者】
日本国語大辞典
あったらもの。*宇津保物語〔970〜999頃〕藤原の君「あたらものを。我がために塵ばかりのわざすな」*落窪物語〔10C後〕一「このわか君の御事をかたりて〈略〉、 ...
44. あだ‐わざ【他事・徒業】
日本国語大辞典
のあだわざなせそと、はしたなめられしかば」(2)(まじめなことに対して)浮いたこと。浮気。*落窪物語〔10C後〕二「女君のうちとけ給へるを見て、むべなりけり、君 ...
45. あつ‐け【暑気・熱気・温気】
日本国語大辞典
中暑。*宇津保物語〔970〜999頃〕国譲中「なにか。ことなる事にもあらじ。あつけなどにや」*落窪物語〔10C後〕三「女君はあつけに悩ましうて見給はねば、男君、 ...
46. あつら・える[あつらへる]【誂】
日本国語大辞典
*日本書紀〔720〕天武一〇年五月(北野本訓)「或いは其の門に詣りて、己が訟を謁(アツラフ)」*落窪物語〔10C後〕三「またあつらへたる様(やう)に、かしこの人 ...
47. あて‐おこな・う[‥おこなふ]【宛行・充行】
日本国語大辞典
〔他ハ四〕(1)割り当てて事を行なわせる、または与える。割りふる。*落窪物語〔10C後〕四「内へ参るべき日見せ、とかくせさすべきことあておこなふとても」*大鏡〔 ...
48. あ・てる【当・中・充・宛】
日本国語大辞典
)てられたる階上の一室には」(2)うまく対応するようにする。また、対応するように分け配る。*落窪物語〔10C後〕三「あはれにたふとき経共とて、経一部を一日にあて ...
49. あなず・る[あなづる]【侮】
日本国語大辞典
慢を生して、人を陵易(アナツル)」*落窪物語〔10C後〕一「若くめでたき人は、多くかやうのまめわざする人や少なかりけん、あなづりやすくて ...
50. あ‐な‐た【彼方・貴方】
日本国語大辞典
ぼつかなくこそ思ひわたりつれ」(4)あのかた。あちらの人。対等または上位者に対して用いた。*落窪物語〔10C後〕一「いなや、この落窪の君のあなたにの給ふことに従 ...
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