1. 落窪物語
日本大百科全書
平安時代の物語。4巻。題名は、継母が姫君を寝殿の一段低い部屋に住まわせて落窪の君と呼ばせたことによる。成立時期、作者とも未詳であるが、およそ一条(いちじょう)朝 ...
2. 落窪物語
世界大百科事典
平安朝の継子いじめ物語。4巻。作者不詳。源順(みなもとのしたごう)とする説もある。順が漢文学の素養があり,和歌もよくする下級貴族の男性であることで,作者の条件を ...
3. おちくぼものがたり【落窪物語】
デジタル大辞泉
平安時代の物語。4巻。作者不詳。源氏物語よりもやや早い成立か。中納言忠頼の娘が、継母にいじめられて落窪の間に押し込められるが、左近少将道頼に迎えられ、中納言一家 ...
4. おちくぼものがたり【落窪物語】
日本国語大辞典
平安時代の物語。四巻。作者、成立年ともに未詳だが、「源氏物語」よりもやや早く、男性の手になるものと思われる。継母に虐待され、落窪の間に押し込められていた中納言忠 ...
5. おちくぼものがたり【落窪物語】
全文全訳古語辞典
[書名]平安中期の物語。十世紀の末に成立か。作者未詳。継母による継子いじめ物語の典型。皇女腹の落窪の姫が父の家に引き取られ、継母にいじめられるが、左近少将と結ば ...
6. おちくぼものがたり【落窪物語】
国史大辞典
』、『日本古典文学大系』一三、『日本古典文学全集』一〇その他)がある。 [参考文献]松尾聡『落窪物語』解説(『日本古典文学大系』一三)、上坂信男『物語序説』(『 ...
7. 落窪物語
日本古典文学全集
中納言源忠頼の娘(主人公)は、実母と死に別れ、継母(ままはは)によって育てられる。しかし継母は、継子(ままこ)の姫を疎んじ、床の一段低い部屋(落窪)に住まわせ、 ...
8. あいぎょう‐な[アイギャウ‥]【愛敬無】
日本国語大辞典
語幹)気にくわず、いやだと感じること。かわいげがないこと。憎らしいこと。感動表現に用いる。*落窪物語〔10C後〕一「かかるままに、『あいぎゃうなの雨や』と腹だて ...
9. あいぎょう‐なし[アイギャウ‥]【愛敬無】
日本国語大辞典
〔名〕態度などにかわいげのない人。無愛想な人。*落窪物語〔10C後〕二「このあいぎゃうなしの出でぬさきに、疾く帰りなんと急ぎ給へど」 ...
10. あいぎょう‐な・し[アイギャウ‥]【愛敬無】
日本国語大辞典
〔形ク〕態度などにかわいげがない。無愛想だ。*落窪物語〔10C後〕一「いとあいぎゃうなかりける心もたりけるものかな」*源氏物語〔1001〜14頃〕若菜上「さしも ...
11. あい‐さか・ゆ[あひ‥]【相栄】
日本国語大辞典
地(あめつち)と相左可延(あひサカエ)むと大宮を仕へまつれば貴くうれしき〈巨勢奈弖麻呂〉」*落窪物語〔10C後〕四「いづれもいづれも子供あひさかゆる程にて」 ...
12. あい‐たの・む[あひ‥]【相頼】
日本国語大辞典
〔他マ四〕(「あい」は接頭語)(1)(「頼む」の改まった言い方)たよりとする。頼みとする。*落窪物語〔10C後〕二「医師(くすし)なり。御病もふとやめ奉りて。今 ...
13. あい‐な・し
日本国語大辞典
*蜻蛉日記〔974頃〕下・天祿四年「おとりまされりはみゆれど、さかしうことわらんもあいなくて」*落窪物語〔10C後〕一「よべの心は、限りなくあいなく、心づきなく ...
14. あい‐な・る[あひ‥]【相馴】
日本国語大辞典
*伊勢物語〔10C前〕一六「年ごろあひなれたる妻(め)、やうやう床離れて、つひに尼になりて」*落窪物語〔10C後〕四「年ごろ若うよりあひなれ奉りて、六七十(むそ ...
15. あえ‐ずらえ[あへづらへ]
日本国語大辞典
〔名〕応対すること、相手をすること、の意か。*落窪物語〔10C後〕一「御あへづらへ仕うまつり侍らんと思ひ侍りつるを、とみの事とて、人まうで来たればなん」用例は他 ...
16. あ・える【零】
日本国語大辞典
その他何でも高い所から物が落ちたりすること」(2)汗、血、乳などがしたたり落ちる。流れる。*落窪物語〔10C後〕一「まだしくは、血あゆばかり、いみじくのむらむと ...
17. あおぎ‐け・つ[あふぎ‥]【扇消】
日本国語大辞典
〔他タ四〕「あおぎけす(扇消)」に同じ。*落窪物語〔10C後〕一「火をあふぎけちつ」 ...
18. あか‐ね【茜】
日本国語大辞典
帯びた赤黄色。茜染め。*十巻本和名類聚抄〔934頃〕六「茜兼名苑注云茜〈蘇見反阿加禰〉可以染緋者也」*落窪物語〔10C後〕二「よき帛、糸、綾、あかね、蘇枋、くれ ...
19. あかね‐そめくさ【茜染草】
日本国語大辞典
〔名〕茜色に物を染めるのに用いる茜草。染料用の茜草。*落窪物語〔10C後〕三「紅絹、あかね染くさども出し給へれば」 ...
20. あか‐ひる【明昼・白昼】
日本国語大辞典
〔名〕まひる。ひるなか。*落窪物語〔10C後〕二「何ばかりの物なれば、かく我が家をあかひる入りたちて、かくして出でぬらん」 ...
21. あか・める【赤】
日本国語大辞典
あか・む〔他マ下二〕(1)血流が増えたり充血することによって、顔や目を赤くする。赤らめる。*落窪物語〔10C後〕一「いかに成りぬらんと思ひて、かほあかめてゐたり ...
22. あから・む【赤】
日本国語大辞典
*日本書紀〔720〕皇極元年八月(図書寮本訓)「或本云、五日連雨、九穀登熟(ナリアカラム)」*落窪物語〔10C後〕三「恥づかしげにのたまへるに、おもてあからむ心 ...
23. あ‐が‐きみ【吾君】
日本国語大辞典
。中古になると、「あ」が特定の語形にだけ残った結果、呼び掛けの意が強くなった。ねえあなた。*落窪物語〔10C後〕二「あが君あが君、夜さりだにうれしき目見せ給へ」 ...
24. あが・る【上・揚・挙・騰】
日本国語大辞典
(1)その動作が終わる意を表わす。「染め上がる」「刷り上がる」(2)その動作が激しくなる意を表わす。*落窪物語〔10C後〕二「ただ言ひに言ひあがりて、車のとこし ...
25. あきれ‐まど・う[‥まどふ]【呆惑】
日本国語大辞典
〔自ハ四〕驚いてどうしてよいかわからなくなる。意外な事に出あっておろおろする。*落窪物語〔10C後〕三「人々あきれまどひて、殿に走り来て」*源氏物語〔1001〜 ...
26. あけ‐す・ぐ【明過】
日本国語大辞典
〔自ガ上二〕すっかり夜が明けてしまう。夜が明けてから時がたつ。明けはなれる。*落窪物語〔10C後〕一「出で給ふに、明すぎて、人々騒がしければ」*枕草子〔10C終 ...
27. 総角(源氏物語) 243ページ
日本古典文学全集
薫が、いつも弁を呼び出して昵懇に話しこんでいるのをいう。女房が、女主人に男を手引する話は、『落窪物語』『住吉物語』などにみえる。この物語にもその例は多い。このあ ...
28. あ‐ご【吾子】
日本国語大辞典
阿誤(アゴ)よ 阿誤(アゴ)よ 細螺(しただみ)の い這ひ廻(もとほ)り 撃ちてし止まむ」*落窪物語〔10C後〕一「人なくては大事なり。よきあこたちのつかひ人と ...
29. あさ‐ざ【朝座】
日本国語大辞典
で、朝、行なう法座。
夕座。*
落窪物語〔10C後〕三「あさざ、夕座の講師(こうじ)に、鈍(にび)色の袷(あはせ)の衣(きぬ)どもか
...30. あさて【明後日】
日本国語大辞典
*宇津保物語〔970〜999頃〕吹上上「あさてばかり、いと興ある所の侍るなる、見給に罷り出で立つを」*落窪物語〔10C後〕四「あさて下り給ふとて」*観智院本類聚 ...
31. あざ‐わら・う[‥わらふ]【嘲笑】
日本国語大辞典
哉(あなにえや)、吾が皇子(みこたち)は聞喜而生(ききよくもあれませ)るかな』とのたまふ」*落窪物語〔10C後〕一「あなわかわかしの昼寝や。しが身のほど知らぬこ ...
32. あし‐げ【悪─】
日本国語大辞典
げすども、あしげなる柚(ゆ)や梨などを、なつかしげに持たりて食ひなどするも、あはれに見ゆ」*落窪物語〔10C後〕二「ほかの小路に引きもて来て、道中(なか)にうち ...
33. あしげ‐さ【悪─】
日本国語大辞典
〔名〕(形容動詞「あしげ」に接尾語「さ」の付いたもの)悪そうに見えるさま。また、その度合。欠点。*落窪物語〔10C後〕一「眉の程にぞおよずけのあしけさも少し出で ...
34. あし‐じろ【足白】
日本国語大辞典
〔名〕(1)足の白いこと。*落窪物語〔10C後〕二「心うしとやおぼさんとて、はじめもさいみじかりし雨に、わりなくて参りしを、足しろの盗人とは興ぜられしぞかし」( ...
35. あし‐ずから[‥づから]【足─】
日本国語大辞典
〔副〕(「ずから」は接尾語)自分の足で。自分がじかに足を運んで。*落窪物語〔10C後〕一「おとどの御前に引き出で来て、〈略〉『からうじて。あしづから行かずは、い ...
36. あし の 気(け)
日本国語大辞典
あしのやまい。*十巻本和名類聚抄〔934頃〕二「脚気 医家書有脚気論〈脚気一云脚病 俗云阿之乃介〉」*落窪物語〔10C後〕三「今日だにとむらひに物せんと思ひつれ ...
37. あし=を[=も]空(そら)
日本国語大辞典
(1)足も地につかないくらいうろたえてあちこち急ぎ歩くこと。また、そのようにあわてふためくさま。*落窪物語〔10C後〕二「車の男ども足をそらにてまどひ倒れて」* ...
38. あじき‐な・い[あぢき‥]【味気無】
日本国語大辞典
あじけない。*伊勢物語〔10C前〕八九「人知れず我こひ死なばあぢきなくいづれの神になき名おほせん」*落窪物語〔10C後〕一「『世にふとは忘れじ』との給へば、帯刀 ...
39. あ‐じろ【網代】
日本国語大辞典
漁業の漁獲高分配法の一つ。漁網に対して配当される収益。(8)「あじろぐるま(網代車)」の略。*落窪物語〔10C後〕二「ふるめかしき檳榔毛(びりゃうげ)ひとつ、あ ...
40. あじろ‐ぐるま【網代車】
日本国語大辞典
のびて、ただきよげなるあじろぐるまに、馬(むま)にのりたる男ども四人、しも人はあまたあり」*落窪物語〔10C後〕二「ただいと清げなるあじろ車の、下簾かけたる、出 ...
41. あた・う[あたふ]【能】
日本国語大辞典
*竹取物語〔9C末〜10C初〕「罪の限りはてぬればかく迎ふる、翁は泣きなげく、あたはぬ事也。はや返し奉れ」*落窪物語〔10C後〕四「『我左の大臣殿のうへに申し給 ...
42. あた‐かたき【仇敵】
日本国語大辞典
〔名〕(後世は「あだかたき」とも)憎い相手。きゅうてき。*落窪物語〔10C後〕二「中だちしたる人とても、あたかたきにもあらず、四の君の乳母(めのと)なれば」*源 ...
43. あたら‐もの【惜物・惜者】
日本国語大辞典
あったらもの。*宇津保物語〔970〜999頃〕藤原の君「あたらものを。我がために塵ばかりのわざすな」*落窪物語〔10C後〕一「このわか君の御事をかたりて〈略〉、 ...
44. あだ‐わざ【他事・徒業】
日本国語大辞典
のあだわざなせそと、はしたなめられしかば」(2)(まじめなことに対して)浮いたこと。浮気。*落窪物語〔10C後〕二「女君のうちとけ給へるを見て、むべなりけり、君 ...
45. あつ‐け【暑気・熱気・温気】
日本国語大辞典
中暑。*宇津保物語〔970〜999頃〕国譲中「なにか。ことなる事にもあらじ。あつけなどにや」*落窪物語〔10C後〕三「女君はあつけに悩ましうて見給はねば、男君、 ...
46. あつら・える[あつらへる]【誂】
日本国語大辞典
*日本書紀〔720〕天武一〇年五月(北野本訓)「或いは其の門に詣りて、己が訟を謁(アツラフ)」*落窪物語〔10C後〕三「またあつらへたる様(やう)に、かしこの人 ...
47. あて‐おこな・う[‥おこなふ]【宛行・充行】
日本国語大辞典
〔他ハ四〕(1)割り当てて事を行なわせる、または与える。割りふる。*落窪物語〔10C後〕四「内へ参るべき日見せ、とかくせさすべきことあておこなふとても」*大鏡〔 ...
48. あ・てる【当・中・充・宛】
日本国語大辞典
)てられたる階上の一室には」(2)うまく対応するようにする。また、対応するように分け配る。*落窪物語〔10C後〕三「あはれにたふとき経共とて、経一部を一日にあて ...
49. あなず・る[あなづる]【侮】
日本国語大辞典
慢を生して、人を陵易(アナツル)」*落窪物語〔10C後〕一「若くめでたき人は、多くかやうのまめわざする人や少なかりけん、あなづりやすくて ...
50. あ‐な‐た【彼方・貴方】
日本国語大辞典
ぼつかなくこそ思ひわたりつれ」(4)あのかた。あちらの人。対等または上位者に対して用いた。*落窪物語〔10C後〕一「いなや、この落窪の君のあなたにの給ふことに従 ...