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ヤングアダルト小説

ジャパンナレッジで閲覧できる『ヤングアダルト小説』の日本大百科全書(ニッポニカ)のサンプルページ

日本大百科全書(ニッポニカ)
ヤングアダルト小説
やんぐあだるとしょうせつ
Young adult books 英語
Young adult novels 英語

ヤングアダルト(Y.A.)を対象に書かれた小説。ヤングアダルトとは、狭義では10代後半の青少年、広義ではティーンエイジャーをさす。ここでは、第二次世界大戦後のアメリカで生まれた若者向けの小説を中心に解説する。
1950年代のアメリカでは、戦後の経済成長を背景に、中等教育、高等教育が拡充されていくなかで、いわゆる「若者」の数が一気に増えていく。そして若者向けの音楽(たとえばロックン・ロール)、映画(たとえば『理由なき反抗Rebel Without a Cause』(1955)や『暴力教室Blackboard Jungle』(1955))、ファッション(たとえばジーンズ)が生まれ、大きく成長していく。本も例外ではない。その最初の例としてよく引き合いに出されるのが、1951年に出版されてベストセラーになったJ・D・サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』である。この作品は、大人でもない、子供でもいられない若者を彼らの視点でリアルに描いた作品として、いまも読み継がれている。
1960年代、ポール・ジンデルPaul Zindel(1936―2003)がサリンジャーを受け継ぐ形で『高校二年の四月にThe Pigman』(1968)を書き、S・E・ヒントンSusan Eloise Hinton(1948― )が映画『ウエスト・サイド物語West Side Story』(1961)を受け継ぐ形で『アウトサイダーズThe Outsiders』(1967)を書く。その後、1970年代も、ジュディ・ブルームJudy Blume(1938― )、ジョン・ドノバンJohn Donovan(1928―1992)、リチャード・ペックRichard Peck(1934―2018)、イザベル・ホランドIsabelle Holland(1920―2002)、ロブ・ホワイトRobb White(1909―1990)などが若者向けの優れた作品を発表していく。これらの作品に共通しているのは、アメリカの若者の置かれた厳しい現実をリアルに描いていることと、非行、麻薬、未成年の妊娠や中絶、親の離婚や再婚など、それまでタブーとされてきたテーマが大胆に扱われるようになったことである。これらの作品を総称して、問題小説とよぶこともある。とくにロバート・コーミアRobert Cormier(1925―2000)は『チョコレート・ウォーThe Chocolate War』(1974)などの作品で、非情な社会や権力に押しつぶされていく若者の姿を容赦なく描いて注目された。アメリカやイギリスではこのころようやく、それまでのティーンエイジャーを描いた、児童書とはまったく異なる作品群をさすことばとして「ヤングアダルト」が一般に使われるようになり、図書館にはヤングアダルト室ができ、書店にはヤングアダルトの棚が設けられるようになる。
その後さらに、人種的多様性を反映して、ネイティブ・アメリカン作家のマイケル・ドリスMichael Anthony Dorris(1945―1997)、黒人作家のマヤ・アンジェロウMaya Angelou(1928―2014)、メキシコ系作家のルドルフォ・アナヤRudolfo Anaya(1937― )、日系作家のシンシア・カドハタCynthia Kadohata(1956― )などもこれらに連なる作品を発表して話題になった。
1980年代以降、21世紀に入ってもこのジャンルは継承されていくが、エンタテインメント指向の作品も多く書かれるようになっていく。フランシーヌ・パスカルFrancine Pascal(1938― )の学園物のシリーズ『スイート・バレー・ハイSweet Valley High』(1983~ )や、ステファニー・メイヤーStephenie Meyer(1973― )のパラノーマルのシリーズ『トワイライトTwilight』(2005~ )などはその顕著な例といっていいだろう。
[金原瑞人]2020年1月21日

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