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松浦宮物語

ジャパンナレッジで閲覧できる『松浦宮物語』の日本古典文学全集・日本大百科全書・世界大百科事典のサンプルページ

新編 日本古典文学全集
松浦宮物語
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【現代語訳】
〔一〕
昔、藤原京を都とされた御門の御時、正三位大納言で中衛の大将を兼任しておられた、橘の冬明と申しあげるお方が、明日香の皇女の御腹にただ一人お持ちになっておられた男君、そのお方は、容貌が人よりまさり、思慮・才覚もまことに比類なく成長されているのを、父君はもちろんのこと、当時の世の中の人も、すばらしい、この世の栄光というべきお方だと賞賛し申しあげる。

七歳で漢詩を作り、諸道に精通している。御門はこのことをお聞きになって、「この者は凡人ではないようだ」と興味をお持ちになった。御前に呼び出して、試験の題をお与えになってみると、とどこおるところもなく、すばらしい漢詩を作り、すべて成長するにつれて、音楽を習っても、師匠以上に上達し、深遠な曲なども演奏するので、最後には、人にも質問をせず、多くは自分の考えで真の理解に達したということである。

【目次】
松浦宮 一
〔一〕主人公の生い立ち
〔二〕神奈備の皇女への恋
〔三〕神奈備の皇女の入内
〔四〕氏忠、遣唐副使に任命される
〔五〕母宮、松浦の宮に帰国を待つ
〔六〕氏忠の船出を見送り、大将帰京
〔七〕氏忠、明州に到着
〔八〕遣唐使一行、唐都長安に入る
〔九〕唐帝、氏忠を厚遇
〔一〇〕八月十三夜、山上の弾琴を聞く
〔一一〕老翁、華陽公主を琴師に推薦
〔一二〕商山の高楼で公主に琴を習う
〔一三〕氏忠、華陽公主を思慕
〔一四〕九月十四夜、公主再会を約す
〔一五〕重病の御門、太子を氏忠に託す
〔一六〕公主、五鳳楼で氏忠に玉を授与
〔一七〕公主、琴を昇天させ、死去
〔一八〕御門崩御 燕王、新帝に反乱
松浦宮 二
〔一九〕后、氏忠に助力・防戦を頼む
〔二〇〕氏忠、伏兵と呼応し敵を撃破
〔二一〕神助を得て敵将宇文会を斬殺
〔二二〕徐州刺史尉遅憲徳、来援合流
〔二三〕母后、蜀山よりの還都を説得
〔二四〕御門・母后帰京 燕王を毒殺
〔二五〕平和回復し、氏忠帰国を念願
〔二六〕翌春、母后、氏忠の戦功に深謝
〔二七〕氏忠、月を見つつ母后を思慕
〔二八〕梅咲く月夜、簫声の家に寄る
〔二九〕氏忠、簫の女性と契りを結ぶ
〔三〇〕簫の女、姿を隠し、母后を注視
〔三一〕氏忠、官舎で簫の女と夢の逢瀬
〔三二〕参内 幼帝・母后との応答
〔三三〕母后、氏忠批判の書を受理
〔三四〕母后、氏忠の戦功を数え説得
〔三五〕批判は消え、夢の逢瀬の女恋慕
〔三六〕母后に似た女と夢現に逢う
松浦宮 三
〔三七〕帰国は秋に決定 幻の女恋慕
〔三八〕四月の月夜、幼帝・母后と惜別
〔三九〕氏忠の病気慰問に勅使ら派遣
〔四〇〕十六日の夜、簫女と夢現に逢う
〔四一〕牡丹を持参、帰宅した夜の逢瀬
〔四二〕簫女の家に拾う牡丹の花びら
〔四三〕母后、氏忠に牡丹の花を示す
〔四四〕母后、二人の深い因縁を告白
〔四五〕母后から形見にと鏡を賜る
〔四六〕帰国の前日、母后の惜別の言葉
〔四七〕本文の欠脱を説明 省筆か
〔四八〕氏忠帰国、松浦の宮の母と再会
〔四九〕泊瀬寺で修法し、公主と再会
〔五〇〕公主と鏡に映る母后とに苦悩
〔五一〕末尾本文欠脱の説明 省筆か
〔五二〕後半は後人の改作か 偽跋一
〔五三〕偽跋中の詩への感想 偽跋二
校訂付記
解説
一 作者
二 成立
三 書名
四 諸本
五 主題・構想
六 文学史的位置
七 研究史
参考文献



日本大百科全書(ニッポニカ)

松浦宮物語
まつらのみやものがたり

平安時代最末期の擬古 (ぎこ)物語。三巻。作者は藤原定家 (ていか)か。『源氏物語』以後その模倣作が多いなかで、時代を奈良時代以前に設定し、舞台を日本と中国とに広げ、合戦場面を取り入れた野心作。定家の和歌美学に通う余情妖艶 (ようえん)の恋を描く。藤原京の時代(694~710)、弁 (べんの)少将橘 (たちばな)氏忠は神奈備皇女 (かんなびのみこ)への初恋が実らぬまま遣唐副使に任命されて渡唐し、母宮は九州松浦の仮宮 (かりみや)で帰朝を待つ。少将は文皇帝の妹華陽公主に琴 (きん)を学び契りを結ぶが、仙女の公主は日本での再会を約して死ぬ。文皇帝が崩じ内乱が起こると、少将は幼帝と母后に従い、住吉 (すみよし)明神の加護で敵将を倒す。のち梅薫る山里で謎 (なぞ)の美女と契りを結ぶが、やがて母后こそ謎の女で、2人は逆賊を討つため天帝より遣わされたことを知らされる。帰朝後公主と再会し、母后を形見の鏡にしのぶが、心聡 (さと)い公主から嫉妬 (しっと)される。恋の物思いが尽きない少将である。

[三角洋一]



世界大百科事典

松浦宮物語
まつらのみやものがたり

擬古物語。藤原定家作とする説が有力。鎌倉時代初期成立。3巻。弁少将橘氏忠は神奈備(かんなび)の皇女(みこ)との恋にやぶれ,遣唐副使となって唐に渡る。唐の皇帝の妹,華陽公主(かようのみこ)と契りをかわし,琴の秘曲を伝授されるが,公主は日本の長谷寺での再会を約して昇天してしまう。皇帝は弁少将に幼帝の後見を遺詔して没するが,反乱が勃発。弁少将は神変をあらわして,これを平定。その後,母后と月明りの中,梅薫る山里で契りを結び,祖国への憶いと母后への思慕との間を思い悩む。松浦の宮にむけて帰国の途につき,帰朝後,参議右大弁に昇進,長谷寺で華陽公主とも再会する。全体に《宇津保物語》や《浜松中納言物語》の影響が強く見られ,時代を古代の藤原京のときに設定,また物語の舞台を中国とするなど新しい趣向が取り入れられている。全編に夢幻的,妖艶な雰囲気が漂い,擬古物語の中でも特色ある作品である。
[浅見 和彦]

[索引語]
藤原定家
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検索コンテンツ
1. 松浦宮物語
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4. まつらのみやものがたり【松浦宮物語】
国史大辞典
所収。 [参考文献]中野幸一『物語文学論攷』、石田吉貞「松浦宮物語の作者は藤原定家か」(『国語と国文学』一七ノ六)、萩谷朴「松浦宮物語作者とその漢学的素養」(同
5. 松浦宮物語(まつらのみやものがたり)
古事類苑
樂舞部 洋巻 第2巻 993ページ
6. 松浦宮物語
日本古典文学全集
主人公の弁少将氏忠は、皇女との恋に破れ、失意の中、遣唐副使として唐に渡る。そこで、2人の貴女(皇帝の妹や后)と恋に落ち、さらには内乱に巻き込まれ、后の頼みで合戦
7. 松浦宮物語(著作ID:500083)
新日本古典籍データベース
まつらのみやものがたり 松浦物語 松浦宮 藤原定家(ふじわらていか) ? 鎌倉物語
8. 松浦宮物語考(著作ID:1725242)
新日本古典籍データベース
まつらのみやものがたりこう 小山田与清(おやまだともきよ) 注釈 文政一二
9. い[ヰ]【威】
日本国語大辞典
武力。武威。*今昔物語集〔1120頃か〕二五・一一「此の頼信が兵の威糸(いと)止事无し」*松浦宮物語〔12C終〕中「燕王のつはもののこはく、むかふ所のかならずや
10. うかがい‐よ・る[うかがひ‥]【窺寄・伺寄】
日本国語大辞典
*平中物語〔965頃〕一七「とばかり帰らざりければ、あやしさに、みそかに草隠れにうかがひよりて」*松浦宮物語〔12C終〕中「やうやうおくざまへあゆみいれば、その
11. 宇治拾遺物語 389ページ
日本古典文学全集
た。恐れ、驚き、あきれること。何になろうか(むなしいことだ)。十二世紀後半の成立とされる『松浦宮物語』に「和国は兵の国として、小さけれども、神の守り強く、人の心
12. ぎこ‐ものがたり【擬古物語】
日本国語大辞典
〔名〕平安時代の物語を模して、鎌倉時代に作られた物語。「源氏物語」を模倣したものが多い。「住吉物語」「松浦宮物語」など。
13. 国文学全史 1 平安朝篇 141ページ
東洋文庫
しといえるに反して、或いは竹取物語の著作の時代を貞観以前に置くものあり。世に伝わるところ、松浦宮物語というものありて、その巻末には貞観三年四月十八日、染殿の院の
14. 国文学全史 2 平安朝篇 11ページ
東洋文庫
296. 1【 71,159 H g n205松島日記 1281松浦宮物語 1141真名伊勢物語 1113
15. こころ‐ぎも【心肝・心胆】
日本国語大辞典
*宇津保物語〔970~999頃〕蔵開上「『まじらへば、心きもやすからぬ事』とこそは泣き給ふなれ」*松浦宮物語〔12C終〕下「あけながら夜をふるいたども、まことに
16. すみ‐まさ・る【澄増】
日本国語大辞典
頃〕椎本「例の、かう世離れたる所は、水の音も、もてはやして、ものの音すみまさる心地して」*松浦宮物語〔12C終〕中「やうやうふけゆく空、物のねはすみまさりて」*
17. ちゅうせい【中世】
国史大辞典
る姫君』『恋路ゆかしき大将』など、多くのいわゆる擬古物語が生まれたが、藤原定家作とされる『松浦宮物語』などは例外で、大部分は作者も成立年次も明らかではない。概し
18. 中世和歌集 222ページ
日本古典文学全集
詠んだもの。『拾遺愚草』二三一六。三十四歳の建久六年(一一九五)秋ごろ、良経家にての詠。『松浦宮物語』の下巻終りに、主人公弁が贈皇后の形見の鏡を見る場面に「見し
19. はか・る【計・量・測・図・謀・諮】
日本国語大辞典
阿比論須」*宇津保物語〔970~999頃〕忠こそ「いささかなる事、はかり聞えむとてぞや」*松浦宮物語〔12C終〕二「我もとより嘆きいためど、又とどめむはかりごと
20. 浜松中納言物語画像
日本大百科全書
本質的にはその模倣の域を出ない。しかし、その浪漫的精神の特異性に目を向ければ、これが定家の『松浦宮物語(まつらのみやものがたり)』や、三島由紀夫(ゆきお)の『豊
21. 浜松中納言物語 66ページ
日本古典文学全集
御姿よりも、かかるないがしろなる御ありさまの」。なお『浜松』の影響を強く受けたと思われる『松浦宮物語』では、遣唐副使として渡唐した弁の少将が望郷の想いに誘われ、
22. ひら・く【開・披・拓】
日本国語大辞典
〔稲の穂(大阪市史五){1842~幕末頃}〕【二】〔自カ五(四)〕(1)閉じふさがったものが広がりあく。*松浦宮物語〔12C終〕二四「ひらけるかどよりうちいる道
23. 藤原定家[文献目録]
日本人物文献目録
解 定家の歌学研究』松村英一『毎月抄存疑』八島長寿『毎月抄に於ける有心体と透逸体』広瀬保『松浦宮物語の作者は藤原定家か』石田吉貞『万葉集を定家卿に求めるまで』向
24. 藤原定家(ふじわらのていか)画像
日本大百科全書
特色とする。この年の5月には「百人一首」(原形)を選んでいる。若いころの創作物語とされる『松浦宮物語(まつらのみやものがたり)』が定家の作ならば、散文にも挑戦し
25. まつらぐん【松浦郡】佐賀県:肥前国
日本歴史地名大系
郡」があげられ、「アフコトヲナド」と注するが、これは松浦佐用姫伝説とかかわりがあろうし、「松浦宮物語」にも反映している。「和歌色葉」にも「まつらのこほり」をあげ
26. 松浦宮物語 23ページ
日本古典文学全集
戸我竹垣」とある「寸戸」は「きへ」と訓み、浜松市の貴平町のあたりを指すなどの説があるが、『松浦宮物語』のころは、「簀戸」と解されていたと思われる。『五代簡要』に
27. 松浦宮物語 62ページ
日本古典文学全集
けられており、草野美智子氏が『和歌文学研究』第四十一号の「藤原定家と松浦宮物語」で紹介されていて注意されるが、『松浦宮物語』は、
28. 松浦宮物語 63ページ
日本古典文学全集
『明月記』の記事以前の成立と思われるので、直接の典拠とは考えにくい。また伊井春樹氏は『詞林』第十五号の「松浦宮物語の方法」で、阿修羅が「九つの頭を持っていたこと
29. 松浦宮物語 73ページ
日本古典文学全集
其の三子に及ぶまで金墉城に幽して太子の母謝子を殺す」などと暗い事件の繰り広げられた舞台であった。『松浦宮物語』の作者は『晋書』を読んでいて、燕王とその三人の子を
30. 松浦宮物語 132ページ
日本古典文学全集
→一二四ページ注二。松浦の宮で無事帰国した少将氏忠を迎えた母の明日香の皇女の喜びなどは、『松浦宮物語』の書名からすれば、いま少し詳述されて不思議はないが、物語の
31. 松浦宮物語 137ページ
日本古典文学全集
「このあとも依拠している本の本文が腐りなくなって、本から脱落してしまっている」というのだから、『松浦宮物語』は、〔五〇〕末尾の「恥づかしうぞ思ひ乱れたまふ」以後
32. 松浦宮物語 138ページ
日本古典文学全集
頼みて、わづかに人の命を助けんとするに、道遠く、人疲れて、あたの軍すでに近づきにたり」とある。『松浦宮物語』の第二は五六ページから始まるから、物語の第二から「い
33. 松浦宮物語 139ページ
日本古典文学全集
唐土にはそのような霧があるのかと皮肉っている。「花非花」が『松浦宮物語』の創作に大きく影響していることをユーモラスに告白したものであろう。松浦宮物語松浦宮 一
34. 無名草子 248ページ
日本古典文学全集
「今様の物語」はいわゆる古物語に対する概念であろうが、のちに、隆信の『うきなみ』、定家の『松浦宮物語』など、同時代の作品については「むげにこのごろ出で来たるもの
35. 無名草子 257ページ
日本古典文学全集
物語作品は極めて少ない。評に「あまたはべめるは…むげにまことなきものども」とあるのは不審。『松浦宮物語』。現存。三巻。時代設定は藤原京時代(六九四~七一〇)で、
36. ものがたりそうし【物語草子】 : 中世/(五)
国史大辞典
る姫君』『恋路ゆかしき大将』など、多くのいわゆる擬古物語が生まれたが、藤原定家作とされる『松浦宮物語』などは例外で、大部分は作者も成立年次も明らかではない。概し
37. 物語文学画像
日本大百科全書
平安時代の原作に基づいて改作された作品をはじめ、鎌倉時代以降『石清水物語(いわしみずものがたり)』『松浦宮物語(まつらのみやものがたり)』『苔(こけ)の衣(ころ
38. よ‐の‐なか【世中・世間】
日本国語大辞典
し程に」*山家集〔12C後〕上「よの中は曇りはてぬる月なれやさりともと見し影も待たれず」*松浦宮物語〔12C終〕一「玉の緒の絶ゆるほどなき世の中をなほ乱るべき身
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