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英草紙

ジャパンナレッジで閲覧できる『英草紙』の日本古典文学全集・国史大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典のサンプルページ

新編 日本古典文学全集
英草紙
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【現代語訳】
万里小路藤房卿は宣房卿の子である。幼少から読書を好んで、知識は博く記憶はよく、学は和漢にわたって、才識も富かで、若くして中納言の要職に進んだ。後醍醐天皇が書経の講義を命ぜられたところ、よくその主旨とする意味を解明したので、天皇は深くその才能を愛して、常に側近に侍らせなされた。元弘の変に際して、天皇が幕府方のために、六波羅に捕えられた時も、藤房はお供をして難を共にした。ご運が開けて朝廷方の天下となって後は、ついに上卿に任ぜられた。この時、速水下野守という者、これはもともと三河国の人で、元弘の変のお味方の武士足助重範の一族であるが、朝廷方の軍が敗北してからというものは、関東へ逃げて、あちこちに流転し、身をひそめていた。朝廷政治の到来をどうやら迎えて、都に上り、万里小路藤房卿を介して、天皇のご機嫌をお伺いに参上した。ところが速水が運がよかったのであろう、折から天皇には、何かの事があって、ご気分が上々であられて、同情をお示しになり、荘園一か所を所領として賜り、古歌一首を書いてお与えになった。

あづま路に……(関東にあるという逃げ水のように、逃げ隠れても、世を渡ってきたものだなあ)

との歌である。

【目次】
英草紙(扉)
凡例

総目録
古今奇談英草紙第一巻
(一)後醍醐の帝三たび藤房の諫を折く話
(二)馬場求馬妻を沈めて樋口が婿と成る話
古今奇談英草紙第二巻
(三)豊原兼秋音を聴きて国の盛衰を知る話
(四)黒川源太主山に入ツて道を得たる話
古今奇談英草紙第三巻
(五)紀任重陰司に至り滞獄を断くる話
古今奇談英草紙第四巻
(六)三人の妓女趣を異にして各名を成す話
(七)楠弾正左衛門不戦して敵を制する話
古今奇談英草紙第五巻
(八)白水翁が売卜直言奇を示す話
(九)高武蔵守婢を出だして媒をなす話



国史大辞典
英草紙
はなぶさそうし
江戸時代中期の読本。近路行者(都賀庭鐘)作。五巻。寛延二年(一七四九)に刊行された。短編九編を収め題簽(だいせん)・内題ともに『古今奇談英草紙』とあるごとく奇談集である。多くは『古今小説』や『警世通言』など中国白話小説からの翻案であるが、日本の古典から材をとって独自に創ったものもある。雅語を交えた新しい文体で書かれており、読本の元祖とみられている。中村幸彦の翻刻・注釈が小学館『日本古典文学全集』四八にある。
(浅野 三平)


日本大百科全書(ニッポニカ)

英草紙
はなぶさそうし

江戸時代の読本 (よみほん)。近路行者 (きんろぎょうじゃ)(都賀庭鐘 (つがていしょう))作。五巻五冊。角書 (つのがき)「古今奇談」。1749年(寛延2)大坂菊屋惣兵衛 (そうべえ)等刊。『繁野話 (しげしげやわ)』『莠句冊 (ひつじぐさ)』と並んで三部作をなす。「後醍醐 (ごだいご)帝三たび藤房 (ふじふさ)の諫 (いさめ)を折話 (くじくこと)」を初めとして全九話からなり、いずれも『喩世明言 (ゆせいめいげん)』『警世通言 (けいせいつうげん)』『青瑣高議 (せいさこうぎ)』などの中国の白話 (はくわ)・文言 (ぶんげん)小説の話を日本風に翻案し、読本の嚆矢 (こうし)として読本史に重要な位置を占める。堅固な構成、和漢の知識の開陳、明確な寓意 (ぐうい)、人情の委曲な描写、漢文訓読に近い和漢混交体などの作風は、当時ぬきんでたものであったので、上田秋成 (あきなり)、山東京伝 (さんとうきょうでん)、曲亭馬琴 (ばきん)らに多大な影響を与えた。

[徳田 武]



『英草紙』[百科マルチメディア]
『英草紙』[百科マルチメディア]

第1巻 都賀庭鐘(つがていしょう)(近路行者(きんろぎょうじゃ))著 1749年(寛延2)刊国立国会図書館所蔵


世界大百科事典

英草紙
はなぶさそうし

読本。近路行者(きんろぎようじや)(本名都賀庭鐘)作。1749年(寛延2)に大坂の柏原屋清右衛門,菊屋惣兵衛から出版された。5巻に9編の短編を収める。題簽(だいせん),内題ともに《古今奇談英草紙》とある。和漢混淆文を採用し,俗語体の文章の末期浮世草子の世界に,雅語を交えた新しい文体の小説を登場させ,今日,読本の元祖とみられている。奇談集で,作品の多くは中国白話小説からの翻案である。それらは,《古今小説》などの典拠をかなり忠実に翻案したものと,《警世通言》などにのる原話を自由に翻案して自己の作品にしたものとがある。さらに,日本の古典や文献から素材をとり,庭鐘が独自の構成をした作品もある。
[浅野 三平]

[索引語]
古今奇談英草紙
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検索コンテンツ
1. 『英草紙』
日本史年表
1749年〈寛延2 己巳〉 この年 近路行者 『英草紙』 刊。
2. 英草紙画像
日本大百科全書
江戸時代の読本(よみほん)。近路行者(きんろぎょうじゃ)(都賀庭鐘(つがていしょう))作。五巻五冊。角書(つのがき)「古今奇談」。1749年(寛延2)大坂菊屋惣
3. 英草紙
世界大百科事典
,菊屋惣兵衛から出版された。5巻に9編の短編を収める。題簽(だいせん),内題ともに《古今奇談英草紙》とある。和漢混淆文を採用し,俗語体の文章の末期浮世草子の世界
4. はなぶさそうし[はなぶさサウシ]【英草紙】
日本国語大辞典
読本。五巻五冊。近路行者(都賀庭鐘)作。寛延二年(一七四九)刊。角書(つのがき)「古今奇談」。「喩世明言」「警世通言」「青瑣高議」などの中国白話小説の翻案九編か
5. はなぶさそうし【英草紙】
国史大辞典
五巻。寛延二年(一七四九)に刊行された。短編九編を収め題簽(だいせん)・内題ともに『古今奇談英草紙』とあるごとく奇談集である。多くは『古今小説』や『警世通言』な
6. 英草紙
日本古典文学全集
「古今奇談」と銘打つ9編からなる怪奇小説集で、『喩世明言(ゆせいめいげん)』『警世通言(けいせいつうげん)』『青瑣高議(せいさこうぎ)』などの中国の白話(はくわ
7. 英草紙(著作ID:51785)
新日本古典籍データベース
はなぶさぞうし 都賀庭鐘(つがていしょう) 読本 寛延二刊
8. 『英草紙』[百科マルチメディア]画像
日本大百科全書
第1巻 都賀庭鐘(つがていしょう)(近路行者(きんろぎょうじゃ))著 1749年(寛延2)刊 国立国会図書館所蔵
9. あい‐あい[あひ‥]【相愛】
日本国語大辞典
〔名〕愛し愛されること。相惚れ。そうあい。*読本・英草紙〔1749〕四・六「彼が諾(うけが)はざるは平四郎と相愛(アヒアイ〈注〉アヒボレ)するゆゑなりとて」*読
10. あい‐えん[‥ヱン]【哀怨】
日本国語大辞典
*百詠和歌〔1204〕一一・琵琶「馬の上にして琵琶をしらぶるに、哀怨の声みづからもあはれなり」*読本・英草紙〔1749〕二・三「絃(いと)を調へ、軫(しん)を転
11. あい‐せい【哀声】
日本国語大辞典
辞書〔1603~04〕「Aixei (アイセイ)〈訳〉悲哀にみち、感情のこもった声」*読本・英草紙〔1749〕二・三「兼秋手を停(とど)めて操(と)らず、商絃(
12. あい‐ひ【愛妃】
日本国語大辞典
〔名〕たいへんかわいがっているきさき。*読本・英草紙〔1749〕一・一「主上よく愛妃を馬に換ふることを得るや」*人情本・英対暖語〔1838〕二・八回「唐朝玄宗の
13. あい‐みん【愛愍】
日本国語大辞典
*権記‐長徳四年〔998〕一〇月一八日「母氏雍樹〈漢書註、師古曰、雍樹猶抱也〉以居、愛愍之甚也」*読本・英草紙〔1749〕四・七「愛愍(アイミン〈注〉ジヒ)の志
14. あく‐しょう[‥セウ]【悪少】
日本国語大辞典
〔名〕「あくしょうねん(悪少年)」の略。*読本・英草紙〔1749〕四・六「不慮に三四人の悪少(アクセウ〈注〉ワルモノ)に出逢ひ、言葉いさかひ、雑言を聞き兼ねて」
15. あだ‐ごと【徒言・徒事】
日本国語大辞典
日葡辞書〔1603~04〕「Adacotouo (アダコトヲ) ユウ、または、ハク」*読本・英草紙〔1749〕三・五「人を迷はす胡言(アダコト)の罪を報ずる也」
16. あん‐かん[‥クヮン]【案巻】
日本国語大辞典
〔名〕事件の記録・調書。*読本・英草紙〔1749〕三・五「任重殿を退き、冠服を卸し、旧(もと)の浪人姿となり、決断する所の案巻簿籍(アンクヮンぼせき〈注〉スミク
17. あん‐きょ【安居】
日本国語大辞典
日葡辞書〔1603~04〕「Anqio (アンキョ)、または、アンコ。ヤスク イル」*読本・英草紙〔1749〕四・七「毎日四方二里の外に忍び行きて心をすまし、安
18. いかり を 起(お)こす
日本国語大辞典
よくさせう用ぞ」*日葡辞書〔1603~04〕「Icariuo vocosu (イカリヲ ヲコス)」*読本・英草紙〔1749〕二・三「兼秋微(すこ)し瞋怪(イカリ
19. い‐せき[ヰ‥]【位席】
日本国語大辞典
〔名〕位(くらい)を持つこと。位階。官位。*読本・英草紙〔1749〕三・五「王城の判官たる時、兄頼朝に辞せずして、先達て位席(ヰセキ)にすすむ」
20. いたずら‐もの[いたづら‥]【徒者・悪戯者】
日本国語大辞典
mono (イタヅラモノ)〈訳〉閑人、放浪者、無精者、悪人または邪悪な心をもった人」*読本・英草紙〔1749〕二・四「かれは家業を嫌ふ大浪子(イタヅラモノ)の世
21. いっか【一箇】[方言]
日本方言大辞典
一つ。一個。 青森県上北郡「その林檎いっか呉れろ」082野辺地方言集(中市謙三)1936読本英草紙一・一「一个いっかの荘を宛て行はれ、一首の古歌を賜ふ」毎秋、演
22. いっ‐か【一箇・一個・一个】
日本国語大辞典
(イッカ)〈訳〉ネン・ツキ・ショ・コクなどを伴って、年・月・所・寺・国を数える数え方」*読本・英草紙〔1749〕一・一「一个(イッカ)の荘を宛て行はれ、一首の古
23. いっ‐さん【一算】
日本国語大辞典
苦由申候」*虎明本狂言・居杭〔室町末~近世初〕「さらは一さんおきまらせう」*読本・英草紙〔1749〕四・七「支干を問ひ、卦を設け、一算(イッサン〈注〉ヒトウラナ
24. いっ‐しょう[‥セウ]【一宵】
日本国語大辞典
株瀬川「株瀬川(くひせがは)に宿して一宵、しばしば幽吟を中秋三五夜の月にいたましめ」*読本・英草紙〔1749〕四・六「他日かならず一宵(セウ)の約にそむかじ」*
25. いつ‐し‐か【何時─】
日本国語大辞典
四三「おもふよりいつしかぬるるたもとかな涙ぞ恋のしるべなりける〈後二条関白家筑前〉」*読本・英草紙〔1749〕一・二「思ふに早晩(イツシカ)魚腹に葬りなん」*小
26. いん‐もん【音問】
日本国語大辞典
「Immonni (インモンニ) アヅカル〈訳〉あなたの書状、または伝言を受取った」*読本・英草紙〔1749〕五・九「其音門(インモン)として、諸家よりの使者門
27. 雨月物語
日本大百科全書
奇人岡左内のもとに黄金の精霊が現れ、金銭の論理について語る話。 都賀庭鐘(つがていしょう)の『英草紙(はなぶさぞうし)』の様式を継承、『古今(ここん)小説』や『
28. うげつものがたり【雨月物語】
国史大辞典
釜」、巻四に「蛇性の婬」、巻五に「青頭巾」「貧福論」を収める。都賀庭鐘(つがていしょう)の『英草紙(はなぶさぞうし)』『繁野話(しげしげやわ)』に倣い、中国白話
29. 雨月物語 292ページ
日本古典文学全集
「つ」は完了の助動詞。「も」は強意の係助詞。入って、の意。秋成の特殊語法。普通の人。「倫」(英草紙第六編)。→一三六ページ一三行。「面黄ニ肌痩セ」(死生交)。「
30. 雨月物語 344ページ
日本古典文学全集
延ぶ」(謡曲・高砂)。「もがな」の略、願望を表す助詞。下の「ものを」と呼応。結納。「聘礼」(英草紙第九編)。むやみに、無理に、が普通の意だが、ここでは、早急に事
31. 雨月物語 363ページ
日本古典文学全集
づれの神になき名おほせん」に基づく。恥ずかしい恋心を直接打ち明けるための古歌をふんだ表現。『英草紙』に同旨の表現がある。→一二九ページ七行目。「ずりやう」とも。
32. えき‐てい【駅亭】
日本国語大辞典
)までに某駅(それえき)に達するは太(はなは)だ容易ならんのみと」(2)宿場の宿屋。*読本・英草紙〔1749〕四・六「海道の駅亭(エキテイ〈注〉トマリヤド)旅店
33. え‐りょう[‥レウ]【衣料】
日本国語大辞典
作るための費用。*日葡辞書〔1603~04〕「Yeriô (エリョウ)」*読本・英草紙〔1749〕一・一「雇はれし寺の喜捨を募り、巧に自己が衣料(エレウ)を乞ひ
34. えん‐か[‥クヮ]【煙花】
日本国語大辞典
」(2)遊女。妓女。芸者。また、そのような境涯、境遇。*読本・英草紙〔1749〕四・六「一たび烟花(エンクヮ〈注〉カハタケ)に落ちしものの」*人情本・吾嬬春雨〔
35. えん‐き[ヱン‥]【怨気】
日本国語大辞典
〔名〕恨む様子。恨む心。怨恨。*読本・英草紙〔1749〕三・五「地獄中の怨気(ヱンキ)立升(のぼ)って天庭を衝く」*連環記〔1940〕〈幸田露伴〉「当時の離別の
36. えん‐くん【閻君】
日本国語大辞典
「えんまおう(閻魔王)」に同じ。*読本・英草紙〔1749〕三・五「地獄といへるは閻君悪人を懲すの所なるべし」
37. えん‐こん[ヱン‥]【怨恨】
日本国語大辞典
極云々」*落葉集〔1598〕「怨恨 ゑんこん」*読本・英草紙〔1749〕五・九「あらぬ罪を尋ねて獄に下し給ふ。亜夫怨恨(ヱンコン)して、食を絶ちて死す」*漢書‐
38. えん‐じょう[ヱンジャウ]【怨情】
日本国語大辞典
深宮〓、一輪秋月野村風」*読本・英草紙〔1749〕三・五「婦人の薄命、此怨情(ヱンジャウ)にこゆることあるべからず」*張九齢‐聴箏詩「繊指伝
39. えん‐すい[ヱン‥]【遠水】
日本国語大辞典
錦機〓」*読本・英草紙〔1749〕二・三「遙山に翠(みどり)を畳み、遠水(ヱンスヰ〈注〉トホキミヅ)の青きを積めるな
40. えん‐てん[ヱン‥]【宛転】
日本国語大辞典
*凌雲集〔814〕和菅清公秋夜途中聞笙〈嵯峨天皇〉「新声宛転遙夜振、妙響聯綿遠風沈」*読本・英草紙〔1749〕一・二「奥の一間より嬌声宛転(ヱンテン〈注〉サヘヅ
41. えん‐べつ[ヱン‥]【遠別】
日本国語大辞典
期父母知」*太平記〔14C後〕一・無礼講事「再会期無くして、遠別今にあり。豈悲に堪へんや」*読本・英草紙〔1749〕四・六「其夜此所に同じく宿して久曠遠別(ヱン
42. おいめ‐てがた[おひめ‥]【負目手形】
日本国語大辞典
〔名〕借金の証文。*読本・英草紙〔1749〕四・六「先年つかはせし債券(オヒメテガタ)を取戻し」
43. おい‐らく【老─・老楽】
日本国語大辞典
*日葡辞書〔1603~04〕「Voiracu (ヲイラク)〈訳〉歌語、すなわち、老いの楽しみ」*読本・英草紙〔1749〕四・六「早く老楽(オイラク)を得んと欲し
44. おう‐へん【応変】
日本国語大辞典
うへん)。*寛永刊本三略抄〔1615〕中「出軍行師之際は将の応変便宜にあるのみなり」*読本・英草紙〔1749〕五・八「〓(なんぢ)しらずや
45. か[クヮ]【卦】
日本国語大辞典
〔名〕易で算木(さんぎ)に出た象(かたち)。これで吉凶を占う。→卦(け)。*読本・英草紙〔1749〕五・八「卦(クヮ)を鋪下(しきくだ)し、考を施して言ふ」*滑
46. かい‐たん[クヮイ‥]【怪誕】
日本国語大辞典
・滑稽列伝「さのみ怪誕なる事をこそ不記とも一向に略しことはないとて、補て伝を作たぞ」*読本・英草紙〔1749〕序「荘子が言ふ処、皆怪誕にして終に教となる」*自由
47. 怪談(妖怪や幽霊にかかわる話)
日本大百科全書
ている。さらに、宝暦(ほうれき)期(1751~64)を中心に、都賀庭鐘(つがていしょう)の『英草紙(はなぶさそうし)』(1749)が、読本(よみほん)の形態をと
48. かい‐とう【丐頭】
日本国語大辞典
〔名〕(「丐」は乞食(こじき)の意)乞食のかしら。*読本・英草紙〔1749〕一・二「此城下といへども乞丐甚だ多く、又乞丐を管領して丐頭(ガイトウ)と称するものあ
49. かい‐ぶつ【海物】
日本国語大辞典
〔名〕海中から産するもの。海産物。また、海中で生きる動植物。*読本・英草紙〔1749〕三・五「死代りて海物(カイブツ)となりても、釣網鼎俎(てうまうていそ)の憂
50. かい‐りょう[‥リャウ]【海量】
日本国語大辞典
【一】〔名〕(1)(「量」は度量、すなわち、人を受け入れる性質の意)海のように大きく広い度量。*読本・英草紙〔1749〕五・九「願はくは、執事の海量(カイリャウ
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うつほ物語(宇津保物語)(日本古典文学全集・世界大百科事典・国史大辞典)
平安時代の物語。題名は首巻の「俊蔭」の巻で、主人公の仲忠が母と杉の洞穴で生活したことによる。従来「宇津保」と書かれていたが、変体仮名の原漢字を用いたもので、題意からは「うつほ(ウツオ)」がよい。成立時代は円融朝(969~984)~
落窪物語(日本古典文学全集・世界大百科事典・国史大辞典)
〔一〕今は昔のこと、中納言である人で、姫君を大勢持っていらっしゃった方がおられた。長女や次女の君には婿を迎えて、それぞれ西の対、東の対に派手に住まわせ申しあげなさって、「三女、四女の君には裳着の式をして差し上げよう」と、大事にお世話なさる
唐物語(国史大辞典・世界大百科事典)
中国説話二十七篇を歌物語風に翻訳した物語。一冊。前田綱紀の手記『桑華書志』所収の『古蹟歌書目録』は『漢物語』として作者を藤原成範と伝える。これが『唐物語』を指す蓋然性は高く、院政期の成立と見てよい。各話は王朝物語にもしばしば引用される著名な人物が配される。
とりかへばや物語(国史大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典)
平安時代末期の物語。運命のいたずらで女装、男装を余儀なくされた異腹の兄妹の物語。作者未詳。三巻三冊または四巻四冊。『とりかへばや』には古本と今本とがあり、古本は散佚、古本を改作した「今とりかへばや」が『とりかへばや』『とりかへばや物語』の名で現存する。
今鏡(世界大百科事典)
平安末期の歴史物語。10巻。《小鏡》《続世継》とも呼ばれる。1170年(嘉応2)成立。著者には中山忠親,源通親などが擬せられるが,未詳。《大鏡》の後を継ぐ書として,《大鏡》の記事が終わる後一条天皇の万寿2年(1025)から高倉天皇の嘉応2年までの13
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