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  11. 樋口一葉

樋口一葉

ジャパンナレッジで閲覧できる『樋口一葉』の世界大百科事典・日本大百科全書のサンプルページ

改訂新版 世界大百科事典
樋口一葉
ひぐちいちよう
1872-96(明治5-29)

明治時代の小説家。本名奈津(なつ)。東京生れ。15歳のとき中島歌子の萩の舎(はぎのや)塾に入門,桂園派の和歌を学んだが,1889年に父が死去,女戸主として一家の生計を支えてゆくために,職業作家となる決意をかためた。同門の田辺花圃(かほ)が《藪の鶯》を発表して文壇に迎えられたことに刺激されたといわれる。91年《東京朝日新聞》の専属作家半井(なからい)桃水の門をたたいて小説制作の指導を乞い,翌年桃水が主宰する雑誌《武蔵野》第1号に処女作《闇桜》を発表した。その後1年足らずの間に,幸田露伴の作風を模した《うもれ木》を含む7編の短編を公にするが,その多くは和歌的な抒情の世界になずんだ習作の域を出ていない。93年小説を生計の資とする困難を自覚して,本郷菊坂町から吉原遊廓に接する下谷竜泉寺町に転居,雑貨屋を開業した。このころから馬場孤蝶,平田禿木(とくぼく)ら《文学界》同人との交流がはじまり,彼らの浪漫的情熱に啓発されたことと相まって,実生活の苦闘が作家的成熟をもたらすことになった。結局はみのらなかったものの,桃水との恋愛体験も,作品に奥行きを加えるかけがえのない契機であった。94年本郷丸山福山町に転居,肺結核で没する1年余りの期間に,《たけくらべ》《にごりえ》などの名作が発表された。西鶴の文体を規範に,明治女性の〈口惜しさ〉を昇華したところに,一葉文学の特色がある。なお死の直前まで書きつがれた日記は,明治の女書生としての一葉を伝える貴重な人間記録(ヒューマンドキュメント)である。
[前田 愛]

[索引語]
田辺花圃 半井(なからい)桃水


日本大百科全書(ニッポニカ)
樋口一葉
ひぐちいちよう
[1872―1896]

小説家、歌人。明治5年3月25日(新暦5月2日)東京・内幸町の東京府庁構内の官舎で生まれる。本名なつ。夏子とも書いている。父則義(のりよし)、母たきはともに甲斐国(かいのくに)(山梨県)出身の農民であったが、幕末に江戸へ出、士分となって同心となったものの、明治維新に際会、則義は東京府庁に勤める役人となっていた。同時に金融、不動産業にも従事、一葉の幼年時代には経済的にも余裕があった。一葉は学歴としては青海学校(せいかいがっこう)小学高等科4級(現在では小学校5年にあたる)修了にとどまっているが、これは、女に学校教育は不要という母の意見による。

[岡 保生]

萩の舎時代

その後、彼女は旧派の歌人和田重雄に和歌の指導を受け、さらに進んで1886年(明治19)中島歌子の萩の舎(はぎのや)に入門した。歌子も旧派の歌人で、その指導も旧派の伝統を受け継いでいた。したがって一葉の作歌もほとんど題詠による古今調の作品といってよいが、彼女は1890年一時萩の舎の内弟子となったこともあり、その和歌での学習はのちの小説創作にも影響がみられる。歌作数も4000首を超える。田辺龍子(たつこ)(三宅花圃(みやけかほ))は同門。1887年に長兄泉太郎、1889年には父則義が死亡し、一時母子は次兄虎之助(とらのすけ)のところに身を寄せたりしたが、結局1890年から、たき、一葉、くに(妹)の女3人で世帯をもつこととなり、本郷(現文京区)菊坂に移った。

[岡 保生]

桃水の女弟子

1891年4月、東京朝日新聞の小説記者半井桃水(なからいとうすい)に入門、小説家として立とうと志した。翌1892年『武蔵野(むさしの)』に発表した『闇桜(やみざくら)』は、桃水の指導を受けた文壇的処女作である。その後、桃水との仲が萩の舎で話題となり、中島歌子から叱責(しっせき)されて絶交せざるをえなかった。しかし、一葉には桃水の親切さが忘れられず、またその後もときどき生活の援助を受けたりしていて、彼女は終生桃水に慕情を寄せていた。

[岡 保生]

龍泉寺町時代

1893年から『文学界』同人たち、ことに平田禿木(ひらたとくぼく)、馬場孤蝶(ばばこちょう)、戸川秋骨(とがわしゅうこつ)、上田敏(うえだびん)らとの親交が開けた。彼ら同人はいずれも西欧文学に明るく、ロマン的で若々しい情熱をもち、一葉に新文学の刺激を与えた。一方、1893年7月から翌年4月まで下谷(したや)龍泉寺町(りゅうせんじまち)(現台東(たいとう)区竜泉)で荒物・駄菓子屋を開業、日々の商業に生活を賭(か)ける苦しさを体験し、町の子供たちの動きなどもつぶさに眺め、わがものとした。ここでの体験が、のち、名作『たけくらべ』を生んだ。

[岡 保生]

奇蹟の1年

1894年5月、本郷丸山福山町(現文京区西片(にしかた))に転居。同年12月『大つごもり』を『文学界』に、翌1895年1月から『たけくらべ』を同誌に連載し始めて、小説家一葉の開花時代を迎えた。この時分から没年の1896年1月までは「奇蹟(きせき)の一年」などといわれる。この間に『たけくらべ』を完成し(1896.1)、去るものは日に疎いといわれる人情の不如意を描いた『ゆく雲』(1895.5)、淪落(りんらく)の女の激しい生きざまが読者の胸を打つ『にごりえ』(1895.9)や、当時の家庭における男尊女卑の慣習に抗議する『十三夜』(1895.12)、女が一人生き抜くために閉ざされた人生の打開を求めようとする『わかれ道』(1896.1)などを発表しているからで、これらはいずれも、この時代に生きる女性の悲しみを切実に訴え、いまなお読者の胸を打つ名作である。しかし、1896年に入ってから彼女の健康は急速に衰え、『うらむらさき』(1896.2、未完)、『われから』(1896.5)などの作があるが、粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)のため11月23日に没した。築地本願寺の樋口家の墓に葬られる(現在は杉並区和泉(いずみ)の本願寺)。一葉の生前に公刊されたのは、博文館「日用百科全書」中の一編『通俗書簡文』(1896.5)だけであり、小説を執筆したのはわずか5年間、作品数も約20編でしかないが、晩年の数編は、今日からすれば古風な文体ながら、それゆえにまた比類なき美しさをたたえ、長く読者に愛惜されて現代に及んでいる。また1887年以降没年までの膨大な日記は私小説風できわめて価値が高い。台東区竜泉に一葉記念館がある。

[岡 保生]



樋口一葉[百科マルチメディア]
樋口一葉[百科マルチメディア]

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検索ヒット数 2668
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検索コンテンツ
1. 樋口一葉画像
日本大百科全書
小説家、歌人。明治5年3月25日(新暦5月2日)東京・内幸町の東京府庁構内の官舎で生まれる。本名なつ。夏子とも書いている。父則義(のりよし)、母たきはともに甲斐
2. 樋口一葉
世界大百科事典
1872-96(明治5-29) 明治時代の小説家。本名奈津(なつ)。東京生れ。15歳のとき中島歌子の萩の舎(はぎのや)塾に入門,桂園派の和歌を学んだが,1889
3. ひぐち‐いちよう【樋口一葉】
日本国語大辞典
小説家。東京出身。本名奈津。一五歳の時、中島歌子の歌塾にはいる。一八歳の時、父が死没し、生活のために筆をとることを決心して半井桃水に師事。また、「文学界」同人の
4. ひぐちいちよう【〓口一葉】
国史大辞典
小学館各刊行の全集がある。 [参考文献]塩田良平『樋口一葉研究』、同『樋口一葉』(『人物叢書』五〇)、和田芳恵『一葉の日記』、関良一『樋口一葉・考証と試論』 (
5. ひぐち-いちよう【樋口一葉】画像
日本人名大辞典
1872−1896 明治時代の歌人,小説家。明治5年3月25日生まれ。19年歌人中島歌子の萩(はぎ)の舎(や)に入門。三宅花圃(みやけ-かほ)に刺激されて小説家
6. 樋口一葉[文献目録]
日本人物文献目録
史』竹の舎つゆまろ『樋口一葉』大石修平『樋口一葉』佐佐木信綱『樋口一葉』福田清人『樋口一葉』藤井公明『樋口一葉』藤井公明『樋口一葉』宮脇昌三『樋口一葉』山岸外史
7. 樋口一葉[百科マルチメディア]画像
日本大百科全書
©小学館ライブラリー
8. ああ‐いう[‥いふ]
日本国語大辞典
887~89〕〈二葉亭四迷〉二・一一「そりゃアア云ふ胸の広い方だから」*この子〔1896〕〈樋口一葉〉「私がいくらか物の解るやうに成ったも彼(ア)あいふ中を経た
9. あい【愛】
日本国語大辞典
*舞姫〔1890〕〈森鴎外〉「貧きが中にも楽しきは今の生活、棄て難きはエリスが愛」*うもれ木〔1892〕〈樋口一葉〉六「何とせば永世不滅の愛を得て、我れも君様も
10. あいきょう を 売(う)る
日本国語大辞典
関取なら愛敬を売るお前だから厭でもあらうが、先の機嫌を直す様に」*たけくらべ〔1895~96〕〈樋口一葉〉九「帳場格子のうちに此娘(このこ)を据へて愛敬(アイケ
11. あい‐こく【愛国】
日本国語大辞典
武〉二・二三「好古愛国のものは、男女士庶を問はず、来りて之を一見し」*うもれ木〔1892〕〈樋口一葉〉三「愛国(アイコク)の志しある人あらば」*荀悦漢紀‐恵帝紀
12. あい‐・する【愛】
日本国語大辞典
「せさせる(せさす)」「せられる(せらる)」となるが、近世以降詰まって「させる」「される」の形が現われる。樋口一葉「うもれ木‐六」の「喜ばれ度し愛されたし」、夏
13. あいせい‐さいみん【愛世済民】
日本国語大辞典
〔名〕世を愛し、民の苦しみを救うこと。*うもれ木〔1892〕〈樋口一葉〉五「吉野紙の人情あさまししと、孤身奮ひ起す愛世済民(アイセイサイミン)の法、我れ微力不肖
14. あいそう を する
日本国語大辞典
wo suru (アイソウヲ スル)」*この子〔1896〕〈樋口一葉〉「ああ厭やな事だと捨て撥(ばち)に成りまして、逢ふほどの人に愛想(アイサウ)をしようでも無
15. あいそ‐げ【愛想気】
日本国語大辞典
、なるほど人付(ひとづき)の悪い、愛想気(アイソケ)の無い」*たけくらべ〔1895~96〕〈樋口一葉〉一四「団子屋の背高が愛想気(アイソゲ)のない汁粉やを音づれ
16. あい‐づち[あひ‥]【相槌】画像
日本国語大辞典
西吟〉」*雑俳・折句くら〔1790〕「歟(か)と問へば段かいと相槌」*われから〔1896〕〈樋口一葉〉一一「聞人(きくひと)なげに遠慮なき高声、福も相槌(アヒヅ
17. あお‐じそ[あを‥]【青紫蘇】
日本国語大辞典
為任〉一「アヲシソは葉茎類にして唯葉茎の青色を以て名を異にするなり」*にごりえ〔1895〕〈樋口一葉〉四「青紫蘇(アヲヂソ)、ゑぞ菊」*夜明け前〔1932~35
18. あお‐じろ・い[あを‥]【青白・蒼白】
日本国語大辞典
の鳥のようなぞ。青白の間にありて青白いぞ。かう此草が有ぞ」*別れ霜〔1892〕〈樋口一葉〉六「半面を射る瓦斯燈の光り青白(アヲジロ)し」*思出の記〔1900~0
19. あおすじ を=立(た)てる[=張(は)る]
日本国語大辞典
・古朽木〔1780〕二「早く相止め然るべしと、青筋張ってぞ申しける」*花ごもり〔1894〕〈樋口一葉〉六「さりとて青筋(アヲスヂ)たてて怒りもせば」
20. 青筋(あおすじ)を=立(た)てる〔=張(は)る〕
故事俗信ことわざ大辞典
本・古朽木(1780)二「早く相止め然るべしと、青筋張ってぞ申しける」花ごもり(1894)〈樋口一葉〉六「さりとて青筋(アヲスヂ)たてて怒りもせば」
21. あおのき‐ふ・す[あふのき‥]【仰伏】
日本国語大辞典
*古今著聞集〔1254〕二〇・六九七「一つの猿、岩の上にあふのきふして動かず」*にごりえ〔1895〕〈樋口一葉〉七「吐息(といき)折々に太く身動きもせず仰向(ア
22. あお‐めだま[あを‥]【青目玉】
日本国語大辞典
〔名〕(1)青色の眼球。瞳の色の青い目。(2)(眼球の青い人が多いところから)西洋人。*うもれ木〔1892〕〈樋口一葉〉一「万里海外の青眼玉(アヲメダマ)に日本
23. あおもの‐ぐるま[あをもの‥]【青物車】
日本国語大辞典
〔名〕野菜類を積んだ車。*たけくらべ〔1895~96〕〈樋口一葉〉八「坂本へ出ては用心し給へ千住がへりの青物車(アヲモノグルマ)にお足元あぶなし」アオモノ
24. あおり[あふり]【煽】
日本国語大辞典
い風による動揺、衝撃。また、それによって受ける余勢、影響。→煽を食う。*やみ夜〔1895〕〈樋口一葉〉七「不運の一煽(アフ)りに炎あらぬ方へと燃へあがりては」*
25. あか‐いと【赤糸】
日本国語大辞典
〈斎藤緑雨〉中「御召縮緬、鼠がかりたる地に、赤糸(アカイト)ちらつく」*暁月夜〔1893〕〈樋口一葉〉二「態(わざ)と質素(ぢみ)なる黒ちりめんに赤糸(アカイト
26. あか‐インク【赤─】
日本国語大辞典
〔名〕(インクは{英}ink )《あかインキ》(1)赤色のインク。*われから〔1896〕〈樋口一葉〉二「赤墨汁(あかインキ)の瓶」*一本の花〔1927〕〈宮本百
27. あかがね‐いろ【銅色】
日本国語大辞典
〔名〕銅のような、赤黒く光沢のある色。赤銅色(しゃくどういろ)。どうしょく。*たけくらべ〔1895~96〕〈樋口一葉〉九「剃(そ)りたてたる頭より顔より首筋にい
28. あか‐すじ[‥すぢ]【赤筋】
日本国語大辞典
〔名〕(1)赤い色の線。*たけくらべ〔1895~96〕〈樋口一葉〉四「赤筋(アカスヂ)入りの印半天」(2)血管。多く体の表面に浮き出たものの場合にいう。また、と
29. あか‐だすき【赤襷】
日本国語大辞典
〔名〕(1)赤い色のたすき。特に、若い女などが斜め十文字に掛けるたすき。*たけくらべ〔1895~96〕〈樋口一葉〉八「六つ五つなる女の子に赤襷(アカダスキ)させ
30. あか‐つき【暁】
日本国語大辞典
内逍遙〉一二「全国総雑居となった暁(アカツキ)にそらと騒いだとて」*大つごもり〔1894〕〈樋口一葉〉下「あるほどの悪戯を尽して瓦解の暁(アカツキ)に落こむは此
31. あかつち‐みち【赤土道】
日本国語大辞典
〔名〕赤土の道。*たけくらべ〔1895~96〕〈樋口一葉〉七「池のほとりの松が根につまづきて赤土道(アカツチミチ)に手をつきたれば」*悪戯〔1926〕〈岡田三郎
32. あか‐とんぼう[‥とんばう]【赤蜻蛉】
日本国語大辞典
」*書言字考節用集〔1717〕五「赤卒 アカトンボウ〈略〉蜻蛉小而赤者」*たけくらべ〔1895~96〕〈樋口一葉〉一〇「赤蜻蛉(アカトンボウ)田圃に乱るれば横堀
33. あから・める【赤】
日本国語大辞典
~89〕〈二葉亭四迷〉一・二「覚えずも顔を赧(アカ)らめた」*たけくらべ〔1895~96〕〈樋口一葉〉一「子心にも顔あからめるしほらしさ」
34. あがり【上】
日本国語大辞典
だっけが伊予染に黒裏さ。とんだ能(いい)上(アガ)りだった」*たけくらべ〔1895~96〕〈樋口一葉〉四「しごいて締めし帯の水浅黄も、見よや縮緬の上染(じゃうぞ
35. あがり‐もの【上物・揚物】
日本国語大辞典
6)田畑などから収穫したもの。農産物。(7)家賃、地代などの収入。*大つごもり〔1894〕〈樋口一葉〉上「貸長屋の百軒も持ちてあがり物(モノ)ばかりに常綺羅(し
36. あが・る【上・揚・挙・騰】
日本国語大辞典
〉八「諸人に嫌はれたる此娘の値価(ねうち)がいつの間にか大にあがり」*にごりえ〔1895〕〈樋口一葉〉四「蝉表(せみおもて)の内職〈略〉数のあがるを楽しみに」*
37. あき‐ご【秋子・秋蚕】
日本国語大辞典
はるご・なつご。《季・秋》*ゆく雲〔1895〕〈樋口一葉〉下「秋蚕(アキゴ)のはきたてとかいへるに懸りしより」*思出の記〔1900~01〕〈徳富蘆花
38. あき‐す【空巣】
日本国語大辞典
葮簀張(よしずっぱり)の茶屋の明巣(アキス)へ引摺り込んで」*たけくらべ〔1895~96〕〈樋口一葉〉一〇「誰れもお前正太が明巣(アキス)とは知るまいでは無いか
39. あき‐びん【空瓶・空壜】
日本国語大辞典
〔名〕中に物のはいっていないびん。からびん。*にごりえ〔1895〕〈樋口一葉〉一「空壜か何か知らず、銘酒あまた棚の上にならべて」*一年有半〔1901〕〈中江兆民
40. あき‐めくら【明盲】
日本国語大辞典
〕前・下「ヲヲ、いたい。盲人に鉢合せをするとは明盲(アキメクラ)め」*うもれ木〔1892〕〈樋口一葉〉五「不満々々の塊(かた)まりは、何の世の中あき盲目(メクラ
41. あきらめ が 付(つ)く
日本国語大辞典
あきらめるという気持になる。あきらめることができる。*うつせみ〔1895〕〈樋口一葉〉三「誠の親馬鹿といふので有らうが平癒(なほ)らぬほどならば死ねとまでも諦(
42. あきらめ‐もの【諦物】
日本国語大辞典
〔名〕あきらめることを、ひとごとのように、ややおどけていう表現。*にごりえ〔1895〕〈樋口一葉〉一「どうで諦(アキラ)め物(モノ)で別口へかかるのだが」
43. あ・きる【飽・厭・倦】
日本国語大辞典
*幼学読本〔1887〕〈西邨貞〉七「蚕が已に食ひ飽きて最早少しも食はざる頃は」*にごりえ〔1895〕〈樋口一葉〉七「つくづく聞き飽(ア)きてもう厭やに成った」*
44. あきれ‐がお[‥がほ]【呆顔】
日本国語大辞典
毛臑(けずね)をたたけば大椋助(むくすけ)呆顔(アキレガホ)にて」*大つごもり〔1894〕〈樋口一葉〉下「驚きたるやうの惘(アキ)れ顔(ガホ)して」とぼけたよう
45. あ・く【明・開・空】
日本国語大辞典
毒散〔1703〕二・一「此女郎勤めの年(ねん)もあきて、廓を出る時」*うつせみ〔1895〕〈樋口一葉〉二「今日は私の年季(ねん)が明(アキ)まするか」(5)(時
46. あく‐い【悪意】
日本国語大辞典
善意。*文明本節用集〔室町中〕「悪意 アクイ」*うもれ木〔1892〕〈樋口一葉〉五「人生れながらに悪意なけれど、迫(せ)まりては徳不徳取捨の猶予なく」*後漢書‐
47. あく‐たろう[‥タラウ]【悪太郎】
日本国語大辞典
ののしっていう語。悪童。*俳諧・瀬とり舟〔1704〕「折檻に梯子引かるる悪太郎」*十三夜〔1895〕〈樋口一葉〉上「誰れだと大きく父親の声、道ゆく悪太郎(アクタ
48. あく‐ば【悪婆】
日本国語大辞典
なんぼ悪婆(アクバ)なわたしでも、今迄世話になったと思やあ、いい心持はしないのさ」*われから〔1896〕〈樋口一葉〉七「唇を震はせて悪婆(アクバ)、と叫びしが」
49. あく‐ひょう[‥ヒャウ]【悪評】
日本国語大辞典
六「人の誹謗を恐れ世間の悪評を憚りて、無欲正直なる行を勉るものは」*大つごもり〔1894〕〈樋口一葉〉下「入らぬ世間に悪評(アクヒャウ)もうけず」アクヒョー
50. あぐ・ねる【倦】
日本国語大辞典
「悪しつっこくもた付かかれば、大愚はほとんどあぐねし様にて」*たけくらべ〔1895~96〕〈樋口一葉〉一五「今朝から美登利の機嫌が悪くて皆なあぐねて困って居ます
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徳川家康の室。駿河御前(するがごぜん)ともいう。父は関口義広(よしひろ)(一説に氏広、また親永(ちかなが)など)、母は駿河の今川義元の妹。1556年(弘治2)義元の養女として、当時今川氏の人質となり駿府(すんぷ)にあった三河岡崎城主の家康に嫁し
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