1. 殿上闇討
世界大百科事典
平曲の曲名。平物(ひらもの)。平忠盛は,鳥羽院の念願にこたえて得長寿院を造立した功により,36歳で初めて昇殿を許された。殿上人(てんじようびと)たちがそれを不快
2. あ・く【明・開・空】
日本国語大辞典
の国来年あくべきにも、守(かみ)なして、また添へて二人をなしたり」*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「境節(をりふし)但馬国のあきたりけるを給(たび)にけり」(
3. あづかっ-し【与っし】
全文全訳古語辞典
(…を)受けた。 「かへって叡感にあづかっし上は、あへて罪科の沙汰も無かりけり」〈平家・1・殿上闇討〉(罪になるどころか)かえって上皇におほめをいただいた以上は
4. あやしみ【怪】
日本国語大辞典
〔名〕(四段動詞「あやしむ(怪)」の連用形の名詞化)怪しむこと。不審。疑い。*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「貫首以下あやしみをなし、『うつほ柱よりうち、鈴の
5. あん の=如(ごと)く[=如(ごと)]
日本国語大辞典
案多銭有
残」*平家物語〔13C前〕一・
殿上闇討「案のごとく、五節はてにしかば、殿上人一同に申されけるは」*玉塵抄〔1563〕一「あんの如く
6. いう-ひつ【右筆・祐筆】
全文全訳古語辞典
書くこと。また、文章を書くのが上手な人。 「我右筆の身にあらず、武勇の家に生まれて」〈平家・1・殿上闇討〉自分は文章で身を立てるような生まれではない、武士の家に
7. いせのくに【伊勢国】三重県
日本歴史地名大系
く、それらにしばしば神宮神官がかかわっているのが注目される。〔伊勢平氏〕「平家物語」巻一の「殿上闇討」に記された説話から平家と伊勢国との関連はあまりにも著名とな
8. いせ‐へいし【伊勢平氏】
日本国語大辞典
とって栄華をきわめたが、文治元年(一一八五)源氏により壇の浦で滅亡。*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「忠盛御前のめしにまはれければ、人々拍子をかへて、『伊勢平
9. いせ‐へいじ【伊勢瓶子】
日本国語大辞典
入れることができなくて、酢を入れるのに用いられた。「平家‐一・殿上闇討」に「伊勢平氏」に掛けた表現として、「伊勢平氏はすがめなりけり」がある。
10. いせ-へいじ【伊勢瓶子】
全文全訳古語辞典
御前の召しに舞はれければ、人々拍子をかへて、『伊勢瓶子はすがめなりけり』とぞはやされける」〈平家・1・殿上闇討〉平忠盛が、御前に召されて舞を舞われたところ、人々
11. いっせんいっ‐たい【一千一体】
日本国語大辞典
いう。坐像の本尊、千手観音一体と、その周囲にある立像の観音一千体。*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「忠盛備前守たりし時、鳥羽院の御願得長寿院を造進して、三十三
12. いで‐・く【出来】
日本国語大辞典
きて」*方丈記〔1212〕「都の東南より火いできて、西北にいたる」*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「上古にはかやうにありしかども事いでこず、末代いかがあらむず
13. うえ[うへ]【上】
日本国語大辞典
め落す事「天の授け給へる上(ウヘ)は、ただ一矢に射おとしてすてん」*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「還て叡感にあづかっしうへは、敢て罪科の沙汰もなかりけり」*
14. うった・える[うったへる]【訴】
日本国語大辞典
訴へ申す事も無かりけり」*観智院本類聚名義抄〔1241〕「訟 アラソフ ウッタフ」*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「闕官停任(けっくゎんちゃうにん)ぜらるべき
15. うつお‐ばしら[うつほ‥]【空柱】画像
日本国語大辞典
正四位下
」*平家物語〔13C前〕一・
殿上闇討「うつほ柱よりうち、鈴の綱のへんに、布衣(ほうい)の者の候ふはなに者ぞ」
16. うと-うと・し【疎疎し】
全文全訳古語辞典
になって。❷関係が途絶えている。疎遠である。 「中頃は都の住まひもうとうとしく」〈平家・1・殿上闇討〉(桓武天皇のご子孫とは申しましても)何代か前頃から都住まい
17. えい‐かん【叡感】
日本国語大辞典
叡感
云々」*平家物語〔13C前〕一・
殿上闇討「還(かへっ)て叡感にあづかっしうへは、敢て罪科の沙汰もなかりけり」*太平記〔14C後〕九・
18. えい‐らん【叡覧】
日本国語大辞典
*菅家文草〔900頃〕一〇・辞右大臣職第三表「伏望、叡覧降臨、宸衷曲鑒」*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「其刀を召出して叡覧あれば、〈略〉なかは木刀に銀薄をぞ
19. お・す【押す】
全文全訳古語辞典
こぐ。❸(紙などを)張り付ける。また、印を押す。 「中は木刀に銀薄をぞ押したりける」〈平家・1・殿上闇討〉中身は木刀に銀箔を張り付けてあった。❹勢いで圧倒する。
20. 甲子夜話三篇 2 93ページ
東洋文庫
異ること無し。因て画人を遣はして、其真に就て写せ令るに、亦眼常人と異ならず。因て『平家物語』を読に〔殿上闇討の条〕、忠盛三十六にて始て昇殿す。雲の上人是を猜患り
21. かねて は また
日本国語大辞典
前のことに関連して。前のことと同じく。*高野本平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「弓箭に携はらむ者のはかりことは、尤(もっとも)かうこそあらまほしけれ。兼(カネテ
22. かみしゅぜんじむら【上修善寺村】静岡県:田方郡/修善寺町
日本歴史地名大系
調達している(天正七年「連署状」宮内家文書)。修善寺紙は古くから著名であったといわれ、熱田本「平家物語」巻一(殿上闇討)に五節に歌い舞われる面白事の例として「修
23. かん‐じゅ[クヮン‥]【貫首・貫主】
日本国語大辞典
日「昨日納言出立所修理大夫・左兵衛督訪来、又貫首二人・侍従等云云」*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「貫首以下(いげ)あやしみをなし」*古今著聞集〔1254〕一
24. き‐がたな【木刀】
日本国語大辞典
〔名〕木製の刀。ぼくとう。*高野本平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「うへは鞘巻の黒くぬりたりけるが、中は木刀(キガタナ)に銀薄をぞおしたりける」*児教訓〔15C
25. き‐たい【希代・稀代・奇代】
日本国語大辞典
けたい。けったい。「きたい(奇態)」と混同して用いられることもある。*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「布衣の兵を殿上の小庭にめしおき、或は腰の刀を横へさいて、
26. きだち【木太刀】
国史大辞典
総称する。詐刀(いつわりがたな)・身無刀(みなしがたな)というのもこの類である。『平家物語』殿上闇討には平忠盛が大鞘巻の木刀を所持したとみえ、『太平記』青砥左衛
27. きゃく-しき【格式】
全文全訳古語辞典
・服装・乗り物などの規定。 「兵仗を賜りて宮中に出入するは、みな格式の礼を守る」〈平家・1・殿上闇討〉武装した随身を召し連れて宮中に出入りするということは、みな
28. きゅう-せん【弓箭】
全文全訳古語辞典
❸弓矢を取ること。戦い。 「弓箭に携はらん者の謀は、もっともかうこそあらまほしけれ」〈平家・1・殿上闇討〉弓矢を取ることに関係するような者の計略は、本当にこうで
29. 狂言集 26ページ
日本古典文学全集
どちらも物を磨くのに用いた。「播磨米は、木賊か椋の葉か、人の綺羅をみがくは」(平家物語・一・殿上闇討)。スベースベと発音する。なめらかな形容。「差して」のイ音便
30. 綺羅(きら)を=磨(みが)く〔=付(つ)く〕
故事俗信ことわざ大辞典
衣服、食べ物、家具調度などにぜいたくをする。 平家(13C前)一・殿上闇討「いまだ播磨守たりし時、聟にとりて声花(はなやか)にもてなされければ、それも五節に、播
31. きら を 磨(みが)く
日本国語大辞典
衣服、食物、家具調度などにぜいたくをする。綺羅をやる。*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「いまだ播磨守たりし時、聟にとりて声花(はなやか)にもてなされければ、そ
32. きり‐のぼ・る【切上】
日本国語大辞典
〔自ラ四〕(1)敵を切って目的の方へ進んで行く。切って攻めのぼる。*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「いひつるものならば、殿上までもやがてきりのぼらむずる者にて
33. ぎょ-いう【御遊】
全文全訳古語辞典
される音楽のお遊び。 「御遊もいまだ終はらざるに、ひそかにまかり出でらるるとて」〈平家・1・殿上闇討〉(平忠盛は舞をからかわれてその日の)歌舞のお遊びもまだ終わ
34. ぎょ-かん【御感】
全文全訳古語辞典
〔名詞〕《尊敬語》天皇・上皇などが感心なさること。叡感。 「上皇御感のあまりに内の昇殿を許さる」〈平家・1・殿上闇討〉(鳥羽)上皇は感動のあまり(平忠盛を殿上人
35. ぎん‐ぱく【銀箔・銀薄】
日本国語大辞典
〔名〕(古くは「ぎんばく」)銀を槌(つち)でたたいて、紙のように薄くのばしたもの。*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「木刀(きがたな)に銀薄をぞ押したりける」*
36. くろ‐ぐろ【黒黒】
日本国語大辞典
成御と奉
見けり」*平家物語〔13C前〕一・
殿上闇討「あなくろくろ、くろき頭かな。いかなる人のうるしぬりけむ」*建礼門院右京大夫集〔13C前〕「
37. けっ‐かん[‥クヮン]【闕官・欠官】
日本国語大辞典
以て挙るも可なり」(2)(─する)官職を解くこと。免官。解官(げかん)。*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「早く御札をけづって、闕官停任ぜらるべき由、おのおの訴
38. けっ‐こく【闕国】
日本国語大辞典
らむと申けるに、除目の時闕国无きに依て、不被成(なされざ)りけり」*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「勧賞には闕国を給ふべき由仰せ下されける」
39. けっ-こく【闕国】
全文全訳古語辞典
〔名詞〕国司が欠員になっている国。 「勧賞には闕国を賜ふべき由仰せ下されける」〈平家・1・殿上闇討〉その(寺院を建立した)ほうびには現在国司のいない国をお与えに
40. け‐にん【家人】
日本国語大辞典
仕家人
」*平家物語〔13C前〕一・
殿上闇討「年来の家人事をつたへきく歟によって、其の恥をたすけむが為に、忠盛に知られずして偸(ひそか)
41. けん-じゃう【勧賞】
全文全訳古語辞典
官位や物などを与えること。論功行賞。 「勧賞には闕国を賜ふべき由仰せ下されける」〈平家・1・殿上闇討〉(寺院を建立した)論功行賞として国司が欠員となっている国の
42. けんじょう【勧賞】
国史大辞典
『勘仲記』弘安七年(一二八四)十一月二十八日条のように僧位・僧官もある。また『平家物語』一、殿上闇討では知行国と見られる。武家の場合は『蒙古襲来絵巻』など多くは
43. こしがたな【腰刀】画像
国史大辞典
また柄鞘全体を防已(つづらふじ)や舶来の籐で巻きごめた鞘巻(さやまき)の腰刀が愛好され、『平家物語』一殿上闇討に、平忠盛が刀身を木造銀箔置きとした大鞘巻を用意し
44. こ-には【小庭】
全文全訳古語辞典
❷(紫宸殿の南庭を「大庭」というのに対して)清涼殿の南庭。 「殿上の小庭に畏まってぞ候ひける」〈平家・1・殿上闇討〉(平忠盛の家臣が)清涼殿の南庭に謹んで座して
45. こ‐にわ[‥には]【小庭】
日本国語大辞典
1171か〕「又、滝口こなたへまゐれなどおほせて小庭におりたちて」*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「薄青の狩衣の下に、萌黄縅の腹巻をき、絃袋(つるぶくろ)つけ
46. これ‐ら【此等・是等】
日本国語大辞典
つらせ給に、これらこそ、あるべきことよとて、御けしきなほりたまて」*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「家貞〈略〉畏(かしこまっ)て候ければ、是等をよしなしとやお
47. ごう‐・する[ガウ‥]【号】
日本国語大辞典
」(3)表向きそのように言いふらす。言いなす。称する。*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「忠盛朝臣、或は相伝の郎従と号して、布衣の兵(つはもの)を殿上の小庭にめ
48. ご‐ご【御後】
日本国語大辞典
*大鏡〔12C前〕三・伊尹「南殿の御後、かならず人の参るに通る所よな」*平家物語〔13C前〕一・殿上闇討「紫宸殿(ししんでん)の御後にして、かたへの殿上人の見ら
49. さ-う【左右】
全文全訳古語辞典
ことであった。❸あれこれのさしず。指示。 「刀の実否について咎の左右あるべきか」〈平家・1・殿上闇討〉刀について本物だったかどうかを確かめてから罪にするかしない
50. さうら・ふ【候ふ】
全文全訳古語辞典
り」「仕ふ」の謙譲語》目上の人のそばに控える。お仕えする。 「そのならん様を見んとて、かくて候ふ」〈平家・1・殿上闇討〉その事の成り行きを見届けようと思って、こ