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  11. 一心太助

一心太助

ジャパンナレッジで閲覧できる『一心太助』の日本架空伝承人名事典・日本大百科全書・世界大百科事典のサンプルページ

新版 日本架空伝承人名事典

一心太助
いっしんたすけ
 大久保彦左衛門に愛されたと伝えられる魚商。生没年不詳。侠勇あって「一心」の名は首(または腕ともいう)に「一心白道」の四字を入墨したところから呼ばれたとされる。実録本『大久保武蔵あぶみ』によって大久保政談にからんで登場、浅草茅町の穀商松前屋五郎兵衛の無実をはらす役割を果たした。一八五五年(安政二)七月江戸中村座初演の『名高手毬諷なにたかしまりうた実録』(三世桜田治助作)で四世市川小団次が太助ほか五役を演じ好評。ほかに八三年一月初演『芽出柳緑翠松前めだしやなぎみどりのまつまえ』(河竹黙阿弥作)、八八年一一月東京市村座初演『武蔵鐙誉大久保』(三世河竹新七作)、一九〇四年一一月東京明治座初演『偽鍍金蓮華組上まがいめっきれんげのくみあげ』(竹柴其水作)などの後続作があり、いずれも太助は義侠心にとむ江戸っ子気質の性格として形象化された。
大久保彦左衛門
[小池 章太郎]
男は気で持つ膾は酢で持つ一心は鏡の如しと左右の腕へ刺繍ほりものをして江戸ツ子の生粋を立通したは江戸神田三河町の肴屋の太助、人異名して一心太助と申しました、此太助は商売こそ肴屋ではございましたが天下の為には余程成つた男で川勝丹波守の悪逆を発見して是れを大久保彦左衛門に告げ彼の家を断滅させましたも松前屋五郎兵衛の冤罪をすゝぎましたも皆太助の功でありまして、去れば一時は大久保彦左衛門の隠し目附けであるなどといわれたさうで、太助は隠し目附抔をするやうな卑怯な男ではございませぬ眼中には一点の利慾なく只々曲つた奴は何所までも直くしやう弱い者は助けてやらう強い者なら飽までも向ふへ廻して敵対をうといふ江戸ツ子気象からいたした仕事でございまして是はモウ他の書物にも立派に出てをります。
講談一心太助(桃川実演)
米屋の主魚屋にたすけられ
出典:
刊行/開き:1847年(弘化4)(成立)
「米屋」で浅草の穀商松前屋五郎兵衛を暗示する謎句。


日本大百科全書(ニッポニカ)

一心太助
いっしんたすけ

生没年不詳。『大久保実記武蔵鐙 (むさしあぶみ)』の「松前屋五郎兵衛之伝記」に登場する魚屋。同書によると、もと大久保彦左衛門 (ひこざえもん)(忠教 (ただたか))の草履取 (ぞうりとり)で、のち江戸・両国あたりで魚の行商を営み、彦左衛門にその侠気 (きょうき)を愛された。松前屋、実は津軽藩家老の悴 (せがれ)松前帯刀 (たてわき)の一件にかかわり彦左衛門を助けて、その無実を明らかにしたとしている。一心の名は、人を救うためにわが一心をもって臨み、果たさぬことがなかったため、その侠気を賞してよぶようになったという。講談などに取り上げられて人気者となった。架空の人物か。

[比留間尚]



世界大百科事典

一心太助
いっしんたすけ

大久保彦左衛門に愛されたと伝えられる魚商。生没年不詳。俠勇あって〈一心〉の名は首(または腕ともいう)に〈一心白道〉の4字を入墨したところから呼ばれたとされる。実録本《大久保武蔵鐙(あぶみ)》によって大久保政談にからんで登場,浅草茅町の穀商松前屋五郎兵衛の無実をはらす役割を果たした。1855年(安政2)7月江戸中村座初演の《名高手毬諷(なにたかしまりうた)実録》(3世桜田治助作)で4世市川小団次が太助ほか5役を演じ好評。ほかに83年1月初演《芽出柳緑翠松前(めだしやなぎみどりのまつまえ)》(河竹黙阿弥作),88年11月東京市村座初演《武蔵鐙誉大久保》(3世河竹新七作),1904年11月東京明治座初演《偽鍍金〓華組上(まがいめつきれんげのくみあげ)》(竹柴其水作)などの後続作があり,いずれも太助は義俠心にとむ江戸っ子気質の性格として形象化された。
[小池 章太郎]

[索引語]
名高手毬諷(なにたかしまりうた)実録 芽出柳緑翠松前(めだしやなぎみどりのまつまえ) 武蔵鐙誉大久保 偽鍍金〓華組上(まがいめつきれんげのくみあげ)
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検索コンテンツ
1. 一心太助
日本大百科全書
生没年不詳。『大久保実記武蔵鐙むさしあぶみ』の「松前屋五郎兵衛之伝記」に登場する魚屋。同書によると、もと大久保彦左衛門ひこざえもん(忠教ただたか)の草履取ぞうり
2. 一心太助
世界大百科事典
大久保彦左衛門に愛されたと伝えられる魚商。生没年不詳。俠勇あって〈一心〉の名は首(または腕ともいう)に〈一心白道〉の4字を入墨したところから呼ばれたとされる。実
3. いっしん‐たすけ【一心太助】
日本国語大辞典
〔一〕江戸初期の魚屋。男気に富み、大久保彦左衛門の愛顧を受けて活躍したという。実在は疑問。〔二〕〔一〕の登場する歌舞伎脚本。時代世話物。(1)本名題「名高手毬諷
4. いっしんたすけ【一心太助】
日本人名大辞典
歌舞伎,講談などに登場する江戸の町人。いなせな魚屋で,腕に「一心白道」の入れ墨をしていることから一心太助とよばれる。天下のご意見番大久保彦左衛門に愛され,彦左衛
5. いっしんたすけ【一心太助】
日本架空伝承人名事典
の腕へ刺繍(ほりもの)をして江戸ツ子の生粋を立通したは江戸神田三河町の肴屋の太助、人異名して一心太助と申しました、此太助は商売こそ肴屋ではございましたが天下の為
6. 一心太助[文献目録]
日本人物文献目録
【書誌】:0件 【図書】:1件 【逐次刊行物】:0件 『歴史の人物を抉ぐる』田村栄太郎
7. 稲垣浩
日本大百科全書
殺した人(1929)鮫鞘さめざや(1929)渦潮(1930)諧謔ナンセンス三浪士(1930)一心太助(1930)恩愛五十両(1931)瞼の母(1931)元禄十三
8. 大久保彦左衛門
世界大百科事典
録(なにたかしまりうたじつろく)》(3世桜田治助作)では矢代騒動,鏡態院騒動などを混交させ,一心太助とともに大森彦七左衛門として活躍する。後者を訂正加筆したもの
9. おおくぼひこざえもん【大久保彦左衛門】
日本架空伝承人名事典
録(なにたかしまりうたじつろく)』(三世桜田治助作)では矢代騒動、鏡態院騒動などを混交させ、一心太助とともに大森彦七左衛門として活躍する。後者を訂正加筆したもの
10. さえき-きよし【佐伯清】
日本人名大辞典
1914−2002 昭和時代の映画監督。大正4年9月19日生まれ。伊丹万作に師事。昭和20年黒沢明脚本「天晴れ一心太助」で監督デビュー。チャンバラ映画,鶴田浩二
11. さわしま-ただし【沢島正継】
日本人名大辞典
ビュー。東映時代劇全盛期をささえたひとりで,美空ひばり主演「かんざし小判」,中村錦之助主演「一心太助・天下の一大事」などを発表。46年フリーとなり,美空ひばりら
12. 時代劇映画
世界大百科事典
口が11億を超えて史上最高を記録した。そうした中で時代劇の多種多様化もきわまり,東映からは《一心太助・天下の一大事》の沢島忠,《風と女と旅鴉》《瞼の母》《沓掛時
13. せきぜん の 家(いえ)には必(かなら)ず余慶(よけい)あり
日本国語大辞典
積不善の家にはかならず余殃ありと」*歌舞伎・芽出柳緑翠松前〔1883〕五幕「『思ひがけなく魚屋の、一心太助が爰へ来て、よい手続きにありつくも』『是れぞ所謂積善(
14. 積善(せきぜん)の家(いえ)には必(かなら)ず余慶(よけい)あり
故事俗信ことわざ大辞典
積不善の家にはかならず余殃ありと」歌舞伎・芽出柳緑翠松前(1883)五幕「『思いがけなく魚屋の、一心太助が爰へ来て、よい手続きにありつくも』『是れぞ所謂積善(セ
15. て‐つづき【手続】
日本国語大辞典
おつな所から手続(テツヅ)きがあるものぢゃ」*歌舞伎・芽出柳緑翠松前〔1883〕五幕「魚屋の一心太助が爰へ来て、よい手続(テツヅ)きにありつくも」(4)その人に
16. 東京年中行事 2 240ページ
東洋文庫
白酒売等、芝翫物の十郎、淀君、義貞、吉野太夫等、菊五郎物の松前屋、権太、忠信等、吉右衛門物の一心太助、道節、光秀等、左団治物の鋳掛松、鳴神、高麗蔵物の和藤内、矢
17. なにたかしまりうたじつろく【名高手毬諷実録】
日本国語大辞典
大久保彦左衛門が一心太助に命じて、延命院・鏡台院騒動などを吟味し、松前屋五郎兵衛の無実を裁断する物語を、足利の世界にかりて脚色した大久保政談物の初作。通称「大久
18. まがいきんれんげのくみあげ[まがひキンレンゲのくみあげ]【偽鍍金蓮華組上】
日本国語大辞典
歌舞伎脚本。世話物。五幕。竹柴其水作。明治三七年(一九〇四)東京明治座初演。一心太助が大久保彦左衛門の命によって活躍する。マ
19. 牧野省三
日本大百科全書
小笠原狐(小笠原騒動)(1914)有馬源之助(1914)栗山大膳(1914)塙はなわの太郎 一心太助妖怪ようかい退治(妖怪退治)(1914)花傘文七(1914)
20. まつまえや-ごろべえ【松前屋五郎兵衛】
日本人名大辞典
かたわら剣術をおしえ,名声をえる。これをねたんだ旗本島田藤左衛門のはかりごとで獄にいれられたが,魚商一心太助と大久保彦左衛門のはたらきで冤罪(えんざい)がはれた
21. 三河物語
世界大百科事典
,《三河記》《大久保忠教自記》《大久保彦左衛門筆記》などの別称で早くから写本が広く流布した。一心太助の登場する実録《大久保武蔵鐙(むさしあぶみ)》は,内容的には
22. 萬屋錦之介
日本大百科全書
『子連れ狼』で奇跡的に復帰した。最後の映画は1989年の『千利休 本覺坊遺文』。1958年『一心太助』シリーズなどでブルーリボン賞大衆賞、1961年『反逆児』で
「一心太助」の情報だけではなく、「一心太助」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
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一心太助(日本架空伝承人名事典・日本大百科全書・世界大百科事典)
大久保彦左衛門に愛されたと伝えられる魚商。生没年不詳。侠勇あって「一心」の名は首(または腕ともいう)に「一心白道」の四字を入墨したところから呼ばれたとされる。実録本『大久保武蔵鐙(あぶみ)』によって大久保政談にからんで登場、浅草茅町の穀商松前屋
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