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ジャパンナレッジで閲覧できる『一休ばなし』の日本古典文学全集のサンプルページ
新編 日本古典文学全集
一休ばなし(仮名草子集)
かなぞうししゅう
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【現代語訳】
この数年来、栗栖野の片隅に閉じこもって、萩の下枝や篠の葉などを集めてきて、それを葺き並べて、雨漏りのする粗末な庵の漏りを止め、嵐を防ぐ手だてとし、たった一鉢の食物や藜の吸い物をすすって、うつらうつらと眠り暮していたが、ちょうど季節も秋の末、千代を一夜というほどの秋の夜長に、一人寝ようにもとても寝られまいと思い、庵近いお寺に参ろうと、「年寄来い」とは誰も言わないけれど、鳩の杖にすがって、庵をよろめき出て、お寺の大庫裏の長炉の端に座を占めたところ、小沙弥、小喝食たちが出てこられ、お茶を入れてくださり、私に、「昔物語をせよ」とおっしゃるので、お爺さんとお婆さんとの話より知らない私なので、「承知いたしました」とは申したものの、しかたなく、「山へ洗濯に、川へ柴刈りに……」と申したところ、「古めかしい話だことよ。それでは、もっとおもしろい、この寺の先師一休和尚のおどけ話をして聞かせよう」と言って、ひたすら語りなさるのを聞くと、私も世の人も覚えていた一休の話には、あやふやなことも混じっていた。
【目次】
一休ばなし(扉)
梗概
一休ばなし序
一休ばなし巻之一目録
一 一休和尚いとけなき時旦那とたはむれ問答の事
二 一休和尚師の坊につかへて鯉をくひ給ふ事
三 一休といふ名の事 付 四休居士の事
四 蜷川新右衛門親当初て一休にあふ事 付 歌少々
五 一休ならの薪にて百性の訴状を書給ふ事
六 一休関の地蔵くやうし給ふ事
七 一休閑居し給ふを人々不審する事
八 一休詩歌を作りて蛸をくひ給ふ事 付 吐ぎやくの事
九 一休魚をくひて高札を立給ふ事
一休ばなし巻之二目録
一 一休和尚難句を付給ふ事
二 一休和尚土佐守が掛絵に讃をかき給ふ事
三 一休和尚五百らかんの名をこたへ給ふ事
四 一休和尚元三のあしたしやれ頭を引てとをり給ふ事
五 一休和尚大名に引導をわたす事
六 一休和尚宗々より祖師の讃を頼む事 黒谷法花 永観堂
七 山伏一休ときどくをあらそふ事 付 犬のほゆるをいのる事
八 女の死がいをかも川へながす事 付 仏果を得る事
九 山姥のうたひを作りてゑいざんに上り給ふ事 付 山法師一休に掛字をかかする事
十 霊照女の絵にさんをかき給ふ事
十一 かはらけ売を追はぎし給ふ事 付 布施をとりてゐんだうをわたす事
十二 酒にゑひふして狂歌をよみ給ふ事 付 唐僧に答話の事
十三 蜷川新右衛門話則をゆるさるる事
一休ばなし巻之三目録
一 蜷川新右衛門末期に化生を射事 付 一休導師の事
二 新右衛門が女房の事
三 一休の弟子四十からにゐんだう渡す事
四 一休遊山の事
五 一休口痺のくすりをならひ給ふ事
六 かただのせんどう死する事 付 引導の事
七 沙門ゑざうを書て一休に見する事
八 一休なぞをときて人にたづねあふ事 付 斎旦那難問をかくる事
九 蝸牛のつのの物語の事 付 南極物がたりの事
十 一休こつじきとなり旦那をたばかり給ふ事
一休ばなし巻之四目録
一 一休和尚の神変を語りつたふる事
二 愚痴なる者話則をこふ事
三 一休魚を釣給ふ事 付 達磨の由来
四 一休高野山に登り山形の詩を作り給ふ事
五 一休熊野にて山形の詩を作り給ふ事 付 東坡径山寺の詩の事
六 一休旦那の女房に懸想し給ふ事
七 堺にてふくとうにゑひて死したる者の事 付 ゐんだうを書て遣し給ふ事
八 大内灯籠詩の事 付 性霊うたの事
九 一休御袋へ御すすめの事 付 歌少々
十 新右衛門仏法物語の事 付 扇に五戒有事
十一 一休狗子仏性の話の事 付 歌少々
十二 風雨の日新右衛門見舞に行事
十三 一休末期辞世の事
十四 一休自画自讃の事 付 末代遺言の事
十五 一休和尚風骨の事 付 狂詩二十首
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