1. たふのみねのせうしゃうものがたり【多武峯少将物語】
全文全訳古語辞典
[書名]平安中期の女流仮名文学。一巻。作者未詳。九六二年(応和二)頃成立か。藤原高光が妻子兄弟を捨てて突然比叡山に出家し、翌年多武峰に草庵を結んだいきさつを、歌
2. たむのみねしょうしょうものがたり[たむのみねセウシャウものがたり]【多武峰少将物語・多武岑少将物語】
日本国語大辞典
とうのみねしょうしょうものがたり(多武峰少将物語)
3. 多武峰少将物語
世界大百科事典
物語。10世紀後半に成立。右大臣藤原師輔の八男右少将藤原高光は961年(応和1)比叡山で出家し,後に大和の多武峰にこもったが,その出家前後から翌年5月ころまでの
4. とうのみねしょうしょうものがたり[たふのみねセウシャウものがたり]【多武峰少将物語】
日本国語大辞典
物語。一巻。作者未詳。応和~康保年間(九六一~九六八)頃の成立か。藤原師輔(もろすけ)の八男高光が、応和元年(九六一)妻子兄弟をすてて突然比叡山で出家し、さらに
5. とうのみねしょうしょうものがたり【多武峯少将物語】
国史大辞典
応和元年十二月五日条、玉井幸助『多武峯少将物語―本文批判と解釈―』、小久保崇明『多武峯少将物語―本文及び総索引―』、新田孝子『多武峯少将物語の様式』、鈴木一雄「
6. 『多武峯少将物語』
日本史年表
962年〈応和2 壬戌〉 この年 『多武峯少将物語』 成るか。
7. 多武峯少将物語
日本大百科全書
平安中期、10世紀後半の仮名文学。伝本の多くは「多武峯少将」とする。「物語」を書名に添えるのは江戸時代に入ってからである。『高光たかみつ日記』ともよばれるが、『
8. 多武峯少将物語(著作ID:385900)
新日本古典籍データベース
とうのみねしょうしょうものがたり 高光日記 多武峯少将 多武峯物語 物語
9. 多武峯少将物語考証(著作ID:1071109)
新日本古典籍データベース
とうのみねしょうしょうものがたりこうしょう 多武峯少将物語 丸林孝之(まるばやしたかゆき) 注釈 文政八序
10. あい[あひ]【合・会・相】
日本国語大辞典
別れむ」〔万葉‐二〇・四五一五〕、「大和なる耳無山の山彦は呼べどもさらにあひも答へず」〔多武峰少将物語〕。(1)アフ(合)の義〔和訓栞・言葉の根しらべ=鈴江潔子
11. あい‐こた・う[あひこたふ]【相答】
日本国語大辞典
〔自ハ下二〕(「あい」は接頭語)相手の呼びかけに答える。返事する。応対する。*多武峰少将物語〔10C中〕「声高くあはれといはば山彦のあひこたへずはあらじとぞ思ふ
12. あお‐いろ[あを‥]【青色】
日本国語大辞典
で染めた萠葱(もえぎ)色の黄がちの色。今日の緑色に相当する。麹塵(きくじん)。山鳩色。*多武峰少将物語〔10C中〕「いともきよげなる紬(つむぎ)をあをいろに染め
13. あけ‐くれ【明暮】
日本国語大辞典
副詞的にも用いる。*竹取物語〔9C末~10C初〕「明暮見なれたるかぐや姫をやりていかが思ふべき」*多武峰少将物語〔10C中〕「明け暮れのながめに袖のひぢつつ物お
14. あけ の 衣(ころも)
日本国語大辞典
(1)緋(ひ)色の袍(ほう)。五位の者の袍で、また、五位の者をいうこともある。あけのきぬ。あけごろも。*多武峰少将物語〔10C中〕「ほのぼのとあけのころもをけさ
15. あに‐おとと【兄弟】
日本国語大辞典
きょうだい。*伊勢物語〔10C前〕六六「あにおとと、友達ひきゐて、難波の方に行きけり」*多武峰少将物語〔10C中〕「あにおとと、おこなひなんよくよくし給ひける」
16. あに‐ぎみ【兄君】
日本国語大辞典
〔名〕兄を敬っていう語。*多武峰少将物語〔10C中〕「あにぎみのなりいで給はむしりにたちてありかむとこそ思ひしか」*源氏物語〔1001~14頃〕若菜下「かむの君
17. あの‐ひと【彼人】
日本国語大辞典
壱荷皆買ふが、幾らだ幾らだ」【二】〔連語〕(1)話し手、聞き手から離れたところにいる人をさす。*多武峰少将物語〔10C中〕「つれづれのながめに、すまひさへかはり
18. あめの 中(うち)
日本国語大辞典
天地の中。世の中。*多武峰少将物語〔10C中〕「いづくへもあめのうちよりはなれなばよかはに住めばそでぞぬれます」
19. あわせ の 袴(はかま)
日本国語大辞典
「あわせばかま(袷袴)」に同じ。*多武峰少将物語〔10C中〕「ただあはせの御はかまぞかいねりなりける」*宇津保物語〔970~999頃〕俊蔭「かづけもの〈略〉あは
20. いそ・ぐ【急】
日本国語大辞典
早くしとげようとする。せいて事を行なう。*新撰字鏡〔898~901頃〕「経紀 伊曾伎毛止牟」*多武峰少将物語〔10C中〕「『いそぎ物へまかる』ときこえ給ひて」*
21. いつ は
日本国語大辞典
秋上・一八九「いつはとは時は分かねど秋の夜ぞ物思ふことの限りなりける〈よみ人しらず〉」*多武峰少将物語〔10C中〕「つきせぬ物思ひは、いつはになん」(2)いつも
22. いで あわれ
日本国語大辞典
(感動詞「いで」と「あわれ」)強い感動、特に、驚き嘆く気持を表わす。いやもう。ああ。*多武峰少将物語〔10C中〕「いであはれや、これよりこそ山菅のやうなりとも御
23. いでや いでや
日本国語大辞典
(感動詞「いでや」を重ねたもの)「いでや」の強め。いやもう、いやもう。→いでや。*多武峰少将物語〔10C中〕「いでやいでや、すべてすべて、ただおしはからせ」*源
24. うえ の 御衣(おんぞ)
日本国語大辞典
「うえ(上)の衣(きぬ)」の敬称。えみぞ。*多武峰少将物語〔10C中〕「うへの御ぞよりはじめて墨染なり」*宇津保物語〔970~999頃〕吹上下「若宮は〈略〉うへ
25. うぐいす の 巣(す)
日本国語大辞典
地上一メートルほどの所に作られる。笹や草茎などを用い、直径約一〇センチメートル、形は壺形。《季・春》*多武峰少将物語〔10C中〕「うぐひすのす三つばかり、むめす
26. うしろ【後】
日本国語大辞典
足音ひしひしとふみならしつつ、うしろより寄り来る心地す」(2)背。背中。または、後頭部。*多武峰少将物語〔10C中〕「かしらおろしては、かうぶりとられなんと人の
27. うたものがたり【歌物語】
国史大辞典
一概にそういえない段も含まれている。その後、『大和物語』『平中物語』『篁物語』『和泉式部物語』『多武峯少将物語』などが外形的には歌物語といえるが、歌がたりされて
28. うち‐お・く【打起】
日本国語大辞典
〔自カ上二〕(「うち」は接頭語)強(し)いて起きる。*多武峰少将物語〔10C中〕「かの桃園の権中納言殿の中将の君まゐり給ひけりと聞ゆる人ありければ、うちおき給て
29. うち‐まどろ・む【打微睡】
日本国語大辞典
〔自マ四〕(「うち」は接頭語)うとうとと眠る。ふと仮寝する。*多武峰少将物語〔10C中〕「今も見てしが、と思ひつつ、ぬる夜の夢に、見ゆやとて、うちまどろめど、見
30. うめすち
日本国語大辞典
〔名〕ウグイスカズラの実。鶯実(おうじち)。*多武峰少将物語〔10C中〕「鶯の巣三つばかり、むめすちばかりいれたり」
31. 栄花物語 54ページ
日本古典文学全集
機を安子の薨去とするが、高光の出家は応和元年(九六一)で、安子の薨去より三年前である。『多武峯少将物語』には父師輔の死に発心したとあり、史実に合致する。『高光集
32. 栄花物語 55ページ
日本古典文学全集
し」とある。子を思う気持ゆえに。『多武峯少将物語』のことか。現存の『多武峯少将物語』は『栄花』と直接的関係は見出せないという。『栄花』の作者は『多武峯少将物語』
33. えり‐くぐつ[ゑり‥]【彫傀儡】
日本国語大辞典
〔名〕木を彫ってつくった人形。木像。*多武峰少将物語〔10C中〕「太刀はきたる姿も見給はむとあらば、ゑりくぐつにてもさぶらはむ」
34. おう‐ずち[アウ‥]【鶯実】
日本国語大辞典
〔名〕「おうじち(
実)」に同じ。*
多武峰少将物語〔10C中〕「鶯のあふずちには、『かくぞせん』とあり」*和泉式部集〔11C中〕下「あうずち
35. 大鏡 163ページ
日本古典文学全集
『古本説話集』にほぼ同文で所収。悲しいことも雅びなことも。本人や関係者に多くの歌が詠まれ、『多武峯少将物語』がものされ、「月の宴」にも詳しい。「帝」は村上
36. 大鏡 164ページ
日本古典文学全集
この地に楞厳三昧院を建立。高光同腹の弟尋禅を良源に託した。高光は尋禅のもとで良源を戒師として出家(多武峯少将物語)。奈良県桜井市南部の山。山上に藤原氏の始祖鎌足
37. 大鏡 165ページ
日本古典文学全集
挿入が唐突すぎ、師輔伝としてバランスを欠く。ここはとくに断らずに、高光出家の話に戻ったと解したい。『多武峯少将物語』にも、出家心は早くからあったが、父師輔生前に
38. おおじ‐ぎみ[おほぢ‥]【祖父君】
日本国語大辞典
〔名〕「おおじ(祖父)」を敬って呼ぶ語。おじいさま。*多武峰少将物語〔10C中〕「おほぢぎみ見給ひてのたまふ」
39. おお‐ひめぎみ[おほ‥]【大姫君】
日本国語大辞典
弟姫君(おとひめぎみ)。*
多武峰少将物語〔10C中〕「愛宮の御許に、桃園の大姫君のたてまつれ給ひける」*源氏物語〔1001~14頃
40. おとこ‐ぎみ[をとこ‥]【男君】
日本国語大辞典
公達(きんだち)。男公達。
女君。*
多武峰少将物語〔10C中〕「男君、常におはしてあはれがり給ふ」*源氏物語〔1001~14頃〕柏木「日さし
41. おぼし‐た・つ【思立】
日本国語大辞典
〔他タ四〕(「おもいたつ(思立)」の尊敬語)ある事をしようという考えを起こされる。決心なさる。*多武峰少将物語〔10C中〕「もとよりかかる心ありけれど、父おとど
42. おぼし‐や・る【思遣】
日本国語大辞典
ひて」(2)(人の身の上、心情などについて)思いめぐらされる。おしはかって同情なさる。*多武峰少将物語〔10C中〕「ましてかかる物思ひ添ひて侍れば、おぼしやれ」
43. おぼつかな‐が・る【覚束─】
日本国語大辞典
の語幹に接尾語「がる」の付いたもの)気がかりに思って様子にあらわす。待ちどおしく思う。*多武峰少将物語〔10C中〕「これをこの姫君・愛宮、おぼつかながり給ふ」*
44. おぼつかな‐さ【覚束─】
日本国語大辞典
*大和物語〔947~957頃〕一六六「見もみずもたれとしりてかこひらるるおぼつかなさのけふのながめや」*多武峰少将物語〔10C中〕「君が着し衣(きぬ)にしあらね
45. おみな‐ひと[をみな‥]【女人】
日本国語大辞典
〔名〕女の人。女性。*多武峰少将物語〔10C中〕「かくてこの中宮におはしますをみな人おんぞたてまつれ給ふが」
46. おもほ
し【思】
日本国語大辞典
於母保之伎(オモホシキ) 言伝て遣らず 恋ふるにし 情(こころ)は燃えぬ〈大伴家持〉」*多武峰少将物語〔10C中〕「きてねし人も なきとこの まくらがみをぞ お
47. おん‐ぞ【御衣】
日本国語大辞典
*竹取物語〔9C末~10C初〕「願をかなふることの嬉しさとの給て御そぬぎてかづけ給ふつ」*多武峰少将物語〔10C中〕「かくてこの中宮におはしますをみな人御ぞたて
48. おんな‐ぎみ[をんな‥]【女君】
日本国語大辞典
貴族の妻の敬称。
男君。*
多武峰少将物語〔10C中〕「女きみに、法師になりに山へまかるぞ、ときこえ給ひければ」*落窪物語〔10C後〕二「男君も女君も
49. かがみ‐の‐やま【鏡山】
日本国語大辞典
・一〇八六「あふみのやかがみの山をたてたればかねてぞみゆるきみがちとせは〈大伴黒主〉」*多武峰少将物語〔10C中〕「常に見し鏡の山はいかがあるとかたちかはれる影
50. 蜻蛉日記 161ページ
日本古典文学全集
いづくならむ、とて…禅師の君(高光)、御返し、これよりも深き山べに君入らばあさましからむ山川の水」(多武峯少将物語)。底本「みつのこゑもれいにすき」。通説は「水