1. 蓬生(源氏物語)
日本古典文学全集
主人公・光源氏の恋と栄華と苦悩の生涯と、その一族たちのさまざまの人生を、70年余にわたって構成。王朝文化と宮廷貴族の内実を優美に描き尽くした、まさに文学史上の奇 ...
6. あげ‐まき【総角・揚巻】
日本国語大辞典
かりや とうとう離(さか)りて寝たれども 転(まろ)びあひけり」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「崩れがちなるめぐりの垣を、馬牛などの踏みならしたる道にて、春 ...
7. 総角(源氏物語) 224ページ
日本古典文学全集
とうとう 離りて寝たれども まろびあひけり とうとう か寄りあひけり とうとう」(催馬楽・総角)。→蓬生[2]三二九ページ注二八。「より」に、「寄り」と「縒り」 ...
8. 総角(源氏物語) 249ページ
日本古典文学全集
ぜられますが、先方様の後々までのお どが零落して世間の噂となった例は当時すこぶる多い。末摘花・蓬生巻参照。将来の薫や匂宮のお気持まで今分るわけではないけれど。挿 ...
9. 総角(源氏物語) 286ページ
日本古典文学全集
女房たちはにわかに忠勤ぶる。「匂・薫、時の人なれば、勢ひに人の従ふ心なり」(岷江入楚、三光院実枝説)。→蓬生[2]〔一三〕。大君。以下、大君の心理に即した記述。 ...
10. あさ‐じ[:ぢ]【浅茅】
日本国語大辞典
いかにせよとか秋風になびくあさぢの色ことになる〈よみ人しらず〉」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「あさぢは庭のおもも見えず」*菟玖波集〔1356〕秋・上「浅茅 ...
11. あさじ が 原(はら)
日本国語大辞典
田中の森や 森や てふかさの 阿左知加波良(アサヂガハラ)に」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「かかるあさぢがはらをうつろひ給はで侍りなんや」〔二〕 ...
13. 東屋(源氏物語) 92ページ
日本古典文学全集
あれたる所に一宿するをよもぎのまろねといはんはさらにたがひ侍るまじきにや」(花鳥余情)、「たゞ蓬生のやどにねたる儀を用べし」(細流抄)などの説に従っておく。ただ ...
14. 東屋(源氏物語) 94ページ
日本古典文学全集
薫「石高きわたりは苦しきものを」とて、抱きたまへり。薄物の細長を、車の中にひき るにつけても、このような蓬生の仮寝にはご経験のない心地から興をお感じになるのだっ ...
15. あたり【辺】
日本国語大辞典
「花やかなりしあたりも人すまぬ野らとなり」(ロ)人についていう。*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「かかる貧しきあたりと思ひあなづりて言ひくるを」*大鏡〔12C ...
16. あて‐やか【貴─】
日本国語大辞典
・八月ばかりに、白き単「紫苑の衣のいとあてやかなるをひきかけて」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「ひたぶるにものつつみしたるけはひのさすがにあてやかなるも心に ...
17. あ‐な‐た【彼方・貴方】
日本国語大辞典
入道兵部卿の宮の「昨夜(よべ)も、昨日の夜も、そがあなたの夜も」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「さる方にありつきたりしあなたの年ごろは、言ふかひなきさびしさ ...
18. あな‐にく
日本国語大辞典
といふを、あなにくの男や。などかうまどふ。竈(かまど)に豆やくべたる」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「あなにく、ことごとしや」 ...
20. あらそ・う[あらそふ]【争・諍】
日本国語大辞典
〉うつせみも 嬬(つま)を 相挌(あらそふ)らしき〈天智天皇〉」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「よもぎは、軒をあらそひて生ひのぼる」*平家物語〔13C前〕一 ...
21. あらわ・す[あらはす]【表・現・顕・著】
日本国語大辞典
3〕四「亦、相を現じて故(ことさら)に其の非を顕(アラハサ)じ」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「こだまなどけしからぬ物どもところえて、やうやうかたちをあらは ...
22. あり‐つ・く【有付】
日本国語大辞典
物事になれる。ある生活状態をしなれる。板についたふるまいをする。*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「さるかたにありつきたりしあなたの年ごろは、いふかひなきさびし ...
23. ある か=無(な)きか[=無(な)き・無(な)しか・無(な)いか]
日本国語大辞典
発するのだという」(ロ)見るかげもなく衰えたさま。見すぼらしいさま。*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「むかしだにあるかなきかなる中門など、ましてかたもなくなり ...
24. あれ‐は・てる【荒果】
日本国語大辞典
87頃〕「あれはてて風もはらはぬ草の庵我はなくとも露はもりけん」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「かくおそろしげにあれはてぬれど、親の御かげとまりたる心ちする ...
25. いい‐かよ・う[いひかよふ]【言通】
日本国語大辞典
こまやかにものをいひかよふ、さしあたりておのづからむつび語らふ人ばかり」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「此の姫君はかく人うとき御癖なれば、むつましくもいひか ...
26. いい‐きか・せる[いひ:]【言聞】
日本国語大辞典
五六「男にもこのをばのみ心さがなく悪しきことをいひきかせければ」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「なま憎げなる言葉どもいひきかせつつ、ときどききこえけり」*徒 ...
27. いい‐・く[いひ:]【言来】
日本国語大辞典
〜999頃〕忠こそ「女がたより、〈略〉降る雨のごとにいひくれど」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「おのづから、かかる貧しきあたりと、思ひあなづりていひくるを」 ...
28. いい‐とど・む[いひ:]【言留】
日本国語大辞典
〕二五「車をかけむとしければ、この男、なほ、しばしいひとどめて」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「この人さへうちすててむとするを、うらめしう、あはれにも思せど ...
29. いい‐もよお・す[いひもよほす]【言催】
日本国語大辞典
よをされたるになむ、ことにふれていとあはれにうれしといひ給へば」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「此の侍従もつねにいひもよをせど、人にいどむ心にはあらで、ただ ...
30. いい‐わずら・う[いひわづらふ]【言煩】
日本国語大辞典
*竹取物語〔9C末〜10C初〕「耳にも聞き入れざりければ、いひわづらひて帰りぬ」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「されど動くべうもあらねば、よろづにいひわづら ...
31. いえ‐い[いへゐ]【家居】
日本国語大辞典
修理したり設備したりするのに熱心な人」(2)家。すみか。すまい。*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「大方の御いへゐも、ありしよりけにあさましけれど、わが心もては ...
32. いえ‐づくり[いへ:]【家作・家造】
日本国語大辞典
〔名〕家をつくること。また、家のつくり方。家構え。かさく。やづくり。*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「この頃受領どもの面白きいゑづくり好むが、この家の木立を心 ...
33. いき‐ち・る【行散】
日本国語大辞典
〔自ラ四〕ちりぢりに別れ去る。散り別れる。離散する。ゆきちる。*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「すこしもさてありぬべき人々は、おのづから参りつきてありしを、皆 ...
34. いける 浄土(じょうど)
日本国語大辞典
生き仏の浄土。この世の極楽。いける仏の国。*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「いとかしこう、いける上どの飾りに劣らず」 ...
35. いける 身(み)
日本国語大辞典
生身。生きている身。*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「いける身を捨て、かくむくつけきすまひするたぐひは、侍らずやあらむ」*堀河本拾遺和歌集〔1005〜07頃か ...
36. いた‐がき【板垣】
日本国語大辞典
並べて作った垣。板塀。*皇太神宮儀式帳〔804〕「板垣 廻長一百卅八丈六尺」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「めぐりの見ぐるしきにいたがきといふもの、打ちかた ...
37. いた‐ぶき【板葺】
日本国語大辞典
りみや)より移りて飛鳥の板盖(イタフキ)の新宮に幸(みゆき)す」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「下の屋どものはかなきいたぶきなりしなどは、骨のみ僅かに残りて ...
38. いつつ の 濁(にご)り
日本国語大辞典
劫(こう)濁、見濁、煩悩濁、衆生濁、命(みょう)濁の五つをいう。*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「いつつのにごり深き世に、などて生まれ給ひけむ」*匠材集〔15 ...
39. いとま 聞(きこ)ゆ
日本国語大辞典
いとまごいを申し上げる。いとまごいをする。*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「忍びて、対の上に御いとまきこえて、出で給ふ」*源氏物語〔1001〜14頃〕若菜下「 ...
40. う・い【憂】
日本国語大辞典
もとにてわりなきことなれどうちすて給へるうらみのやるかたなきに」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「わが身はうくてかくわすられたるにこそあれ」*山家集〔12C後 ...
41. うえ‐しも[うへ:]【上下】
日本国語大辞典
〔名〕「うえした(上下)〔一〕(2)」に同じ。*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「うへしもの人々、我も我も参らむと争ひ出づる人もあり」 ...
42. うけ‐たまわ・る[:たまはる]【承】
日本国語大辞典
是の経を聞きたてまつること、親り仏前にして受(ウケタマハリ)ぬ」*源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「御琴の音もうけたまはらまほしがる人なむはべる」*徒然草〔13 ...
43. 雨月物語 312ページ
日本古典文学全集
「藤波のうち過ぎがたく見えつるはまつこそ宿のしるしなりけれ」(源氏・蓬生)。「つれ」(已然形)が正しい。秋成に多い破格の一つ。このあたり『源氏物語』蓬生巻の末摘 ...
44. 雨月物語 314ページ
日本古典文学全集
「もとより荒れたりし宮の内、いとど狐の住み処になりて、疎ましうけ遠き木立に、梟の声を朝夕に耳馴らしつつ」(源氏・蓬生)。「人知れず逢ふをまつ間に恋ひ死なば何に代 ...
45. 雨月物語 315ページ
日本古典文学全集
らなる」(古今巻四)。「もし狐などの変化にやとおぼゆれど」(源氏・蓬生)。頭注で一部は示したが、本編の描写は、『源氏物語』蓬生巻の文章と重なり合う所がある。古典 ...
46. 雨月物語 351ページ
日本古典文学全集
十三)。七日過ぎの上弦の月。月の明るさが増してくる。明るく。「月あかくさしいでたるに」(源氏・蓬生)。「ほどなき庭に、されたる呉竹」(源氏・夕顔)。「隈なき月影 ...
47. 雨月物語 352ページ
日本古典文学全集
連れて陰陽師の所へ行き、 柱と柱の間を一間という。「格子二間ばかりあげて、簾動くけしきなり」(源氏・蓬生)。客を迎える座敷。寝具。「衾 音金、和名布須万、大被也 ...
48. 雨月物語 370ページ
日本古典文学全集
る所かな」(源氏・夕顔)。涸れて。生え放題に生えた雑草。「かくいみじき野ら藪なれども」(源氏・蓬生)。 ...
49. 雨月物語 398ページ
日本古典文学全集
いずれにしても。なるほど。「御さきの露を…払ひつつ入れたてまつる。…なほ秋の時雨めきてうちそそけば」(源氏・蓬生)。「左右の戸もみなよろぼひ倒れにければ…この ...
50. 雨月物語 399ページ
日本古典文学全集
この大中寺は尊く栄えているということである。 さびしき宿にも、必ず分けたる跡あなる三つの径とたどる」(源氏・蓬生)。『河海抄』に「三径は門にゆくみち、井へゆくみ ...