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鎮魂祭

ジャパンナレッジで閲覧できる『鎮魂祭』の国史大辞典のサンプルページ

鎮魂祭
ちんこんさい
古代宮廷祭祀の一つ。鎮魂の和訓は「みたまふり」または「みたましずめ」。その意義については諸説あるが、一般に天皇の魂を体内に安鎮せしめ、健康を祈る呪法と考えられている。『日本書紀』の天武紀が初見であるが、神祇令にも規定され、律令時代には十一月下の寅(または中の寅)の日、すなわち新嘗祭の前日夕刻から宮内省正庁において、神祇官八神殿(はっしんでん)の神々と大直日神(おおなおびのかみ)の神座を設けて執行する。この神事には、御巫(みかんなぎ)・猿女(さるめ)ら神祇官の巫女たちが参加して、彼女らによって神饌の炊飯や神楽舞などが行われるところに特色がある。同日夕刻、神座の前に天皇の御衣の箱を安置し、御巫・猿女らが神楽舞をし、次に御巫が宇気槽(うけふね)を伏せた上に立ち、琴の音に合わせて桙(ほこ)で槽を撞く。一撞きごとに神祇伯が木綿(ゆう)の糸を結ぶ所作を十回くり返す。同時に女蔵人が御衣の箱を開いて振り動かす行為もあった。神祇伯の結んだ御玉緒の糸は、斎瓮(いわいべ)に収めて神祇官斎院の斎戸(いわいど)の神殿(祝部殿・斎部殿)に収められ、毎年十二月にそこで祭りがあった。斎戸殿の鎮祭に関しての祝詞は、『延喜式』八に「鎮〓御魂斎戸〓祭」として収載されている。また、鎮魂祭の神楽歌は『年中行事秘抄』などに載せられている。『旧事本紀』には、鎮魂祭の起源を、神武天皇の時に物部氏の祖宇麻志麻治命が十種の神宝を用いて行なった時にありとしている。またこの神事の御巫らの行う宇気槽撞きや神楽舞との共通要素が見られるところから、天岩戸神話における天宇受売命の舞は『古語拾遺』以来鎮魂祭の祭儀神話と見られている。ただし、天岩戸神話全体については鎮魂祭の反映とみるべきでないという、有力な説がある。平安時代末期以降は廃絶した宮内省の跡地に幄舎を張り、内侍らの牛車を並べて行われた(『江家次第』『薩戒記』など)。その様子は『年中行事絵巻』模本残欠の「宮内省鎮魂祭」図にみられる。図の右手牛車の前に御衣を捧じた内侍が立つ。この祭は戦国時代に中断、近世には白川伯家邸において再興したのち、変遷があって、明治二十二年(一八八九)以後は宮中の綾綺殿において十一月二十二日に行われている。→斎戸祭(いわいどのまつり)
[参考文献]
伴信友『鎮魂伝』(『伴信友全集』二)、川出清彦『祭祀概説』、松前健「鎮魂祭の原形と形成」(『古代伝承と宮廷祭祀』所収)、肥後和男「鎮魂の儀について」(千家尊宣先生還暦記念神道論文集編纂委員会編『(千家尊宣先生還暦記念)神道論文集』所収)、八束清貫「鎮魂祭について」(『神道学』一二・一四・一六)、川出清彦「鎮魂祭古儀考」(『神道史研究』二七ノ二)、谷省吾「鎮御魂斎戸祭に関する一考察」(同二八ノ一)
(岡田 精司)
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検索コンテンツ
1. 鎭魂祭(たましずめのまつり)
古事類苑
神祇部 洋巻 第2巻 497ページ ...
2. ちこ‐の‐まつり【鎮魂祭】
日本国語大辞典
〔連語〕(「ちこ」は「ちんこん」の撥音「ん」の無表記)「ちんこんさい(鎮魂祭)」に同じ。*弁内侍日記〔1278頃〕寛元四年一一月二三日「その夜はちこのまつりの使 ...
3. 鎮魂祭
日本大百科全書
鎮魂祭(たましずめのまつり)」「鎮魂祭(たまふりのまつり)」ともいう。大嘗祭(だいじょうさい)・新嘗祭(にいなめさい)の前日にあたる11月下の寅日(または中の ...
4. 鎮魂祭
世界大百科事典
を振りおこして活動させようとする作用を〈たまふり〉という。宮中においては天皇・中宮(皇后)の鎮魂祭が行われ,祭日は大嘗祭・新嘗祭の前日。起源は《旧事紀》によると ...
5. ちんこん‐さい【鎮魂祭】
デジタル大辞泉
1 「たましずめのまつり」に同じ。 2 神葬で、死者の魂をしずめる祭祀。  ...
6. ちんこん‐さい【鎮魂祭】
日本国語大辞典
鎮魂祭〓」*小野宮年中行事〔1029頃〕一一月「中寅日鎮魂祭事。〈中宮鎮魂同日行 ...
7. ちんこんさい【鎮魂祭】
国史大辞典
祭」として収載されている。また、鎮魂祭の神楽歌は『年中行事秘抄』などに載せられている。『旧事本紀』には、鎮魂祭の起源を、神武天皇の時に物部氏の祖宇麻志麻治命が十 ...
8. 鎭魂祭(ちんこんさい)【篇】
古事類苑
神祇部 洋巻 第2巻 497ページ ...
9. たましずめ‐の‐まつり【鎮魂の祭(り)】
デジタル大辞泉
〓肉体から遊離しようとする魂や、遊離した魂を肉体に落ち着かせるための儀式。  ...
10. 鎭魂祭 (見出し語:魂)
古事類苑
神祇部 洋巻 第2巻 497ページ ...
11. たましずめのまつり【鎮魂祭】
国史大辞典
⇒ちんこんさい  ...
12. 輕服中行鎭魂祭 (見出し語:鎭魂祭【篇】)
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禮式部 洋巻 第2巻 858ページ ...
13. 鎭魂祭齋服 (見出し語:鎭魂祭【篇】)
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14. 鎭魂祭祀大宮女神 (見出し語:大宮女神)
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15. 鎭魂祭祭神魂神 (見出し語:神皇産靈神)
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神祇部 洋巻 第2巻 500ページ ...
16. 鎭魂祭祭辭代主神 (見出し語:事代主神)
古事類苑
神祇部 洋巻 第2巻 500ページ ...
17. 鎭魂祭祭高御魂神 (見出し語:高皇産靈神)
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18. 鎭魂祭時祭直日神 (見出し語:直日神)
古事類苑
神祇部 洋巻 第2巻 500ページ ...
19. 鎭魂祭【篇】 (見出し語:祭)
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神祇部 洋巻 第2巻 497ページ ...
20. 東宮鎭魂祭(とうぐうちんこんさい)
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21. 院鎭魂祭 (見出し語:院)
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22. 於宮内省鎭魂祭 (見出し語:宮内省【篇】)
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23. 皇后鎭魂祭 (見出し語:皇后【篇】)
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24. 皇太后鎭魂祭 (見出し語:皇太后【併入】)
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25. 依觸穢鎭魂祭 (見出し語:觸穢【篇】)
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26. 於神祇官鎭魂祭 (見出し語:神祇官【篇】)
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27. 太皇太后鎭魂祭 (見出し語:太皇太后【併入】)
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神祇部 洋巻 第2巻 526ページ ...
28. 中宮鎭魂祭 (見出し語:中宮)
古事類苑
神祇部 洋巻 第2巻 525ページ ...
29. 依諒闇鎭魂祭 (見出し語:諒闇)
古事類苑
神祇部 洋巻 第2巻 513ページ ...
30. あきまつり【秋祭】
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31. あそびべ【遊部】
国史大辞典
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32. 天照大神
世界大百科事典
の乱暴を怒って天の岩屋戸にこもると世は暗闇となり,出てくると光があふれた。この話には宮廷儀礼鎮魂祭の投射がある。この祭りは冬至のころの太陽と天子の魂の賦活を重ね ...
33. あまてらすおおかみ【天照大神】
日本架空伝承人名事典
怒って天の岩屋戸(あまのいわやど)にこもると世は暗闇となり、出てくると光があふれた。この話には宮廷儀礼鎮魂祭の投射がある。この祭りは冬至のころの太陽と天子の魂の ...
34. 天の岩屋戸
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,これを日食神話と見るのは俗解で,むしろその下地にあるのは大嘗祭(だいじようさい)につらなる鎮魂祭とするのが正しい。登場する諸神も宮廷祭祀に関係の深い諸氏族の祖 ...
35. 天鈿女命
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36. 天鈿女命
世界大百科事典
霊界におもむかせ,そこで得てきた霊力をもって病める肉体や魂の治癒をはかる。天の岩屋戸の神話には,宮廷儀礼鎮魂祭が投射しているが,これは冬至のころの太陽の活力と君 ...
37. あめのうずめのみこと【天鈿女命】
国史大辞典
える。天岩戸神話は十一月中寅の日に行われる鎮魂祭を背景とするといわれる。『古語拾遺』に「鎮魂之儀者天鈿女命之遺跡」とあり、天皇の生命力を強める鎮魂祭が、皇祖神の ...
38. あめのうずめのみこと【天鈿女命】
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霊界におもむかせ、そこで得てきた霊力をもって病める肉体や魂の治癒をはかる。天の岩屋戸の神話には、宮廷儀礼鎮魂祭が投射しているが、これは冬至のころの太陽の活力と君 ...
39. 天児屋命
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引き出すために、神々が神事を行った際、祝詞(のりと)を奏している(『古事記』)。しかし、天岩戸神話の基盤に鎮魂祭があるとすれば、本来この神事をつかさどっていたの ...
40. 天太玉命
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御幣(みてぐら)(神への供物)を捧(ささ)げている(『古事記』)。しかしながら、天岩戸神話の基盤に鎮魂祭があるとすれば、本来この神事をつかさどっていたのは猿女君 ...
41. あら‐ばこ【荒筥】
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42. 生魂
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43. 生魂神
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多くの魂神が誕生したのであろう。宮中では御巫(みかむなぎ)が奉仕する八神のなかに入り、また天皇や中宮のための鎮魂祭(たましずめのまつり)の祭神ともなっている(延 ...
44. 石上神宮
日本大百科全書
祈年(としごい)、月次(つきなみ)、相嘗(あいなめ)、新嘗(にいなめ)の祭にあずかった。平安末期には、鎮魂祭のために白河天皇が宮中の神嘉殿(しんかでん)を寄進し ...
45. 石上神宮
世界大百科事典
とう)は国宝。例祭10月15日のほか,10月1日の榜示浚(ぼうじさらえ)神事,11月22日の鎮魂祭など特殊神事が多い。鎌田 純一 拝殿背後の禁足地は東西44m, ...
46. いつ【五】
日本国語大辞典
)」(2)物の数を、声に出して順に唱えながら数えるときの五。いい。*年中行事秘抄〔12C末〕鎮魂祭歌「一(ひと)二(ふた)三(み)四(よ)イツ六(むゆ)七(なな ...
47. 五部神
日本大百科全書
いずれも朝廷の神事にかかわる氏族で、天岩戸(あめのいわと)神話の条にもそろって登場する。初めは鎮魂祭(たましずめのまつり)をつかさどった天鈿女命のみであったが、 ...
48. 稲作文化
世界大百科事典
った作業の連鎖が始まる。 正月前後の行事はこれだけではない。2月の吉日を選んで行われる行事に鎮魂祭がある。この場合の鎮魂は,〈魂しずめ〉というより〈魂振り〉にあ ...
49. いわいどのまつり【斎戸祭】
国史大辞典
神祇官たる中臣氏が「斎ひ鎮めまつ」ることになっている。神祇令にはみえないことから、「鎮魂祭」の付随的な宮廷祭儀であろう。→鎮魂祭(ちんこんさい) [参考文献]賀 ...
50. いんべ‐の‐まつり【斎戸祭】
日本国語大辞典
斎(い)みきよめた所の意)斎みきよめた所にまつる祭。鎮御魂斎戸祭(みたましずめのいんべのまつり)は、一一月の鎮魂祭(たましずめのまつり)で用いた御衣と木綿とを、 ...
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