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  11. 浜松中納言物語

浜松中納言物語

ジャパンナレッジで閲覧できる『浜松中納言物語』の世界大百科事典・日本古典文学全集のサンプルページ

改訂新版・世界大百科事典
浜松中納言物語
はままつちゅうなごんものがたり

平安後期の物語。作者は菅原孝標女(たかすえのむすめ)か。原名は《御津の浜松》で5巻現存,首巻散逸。故宮の息中納言は,義父の大将が式部卿宮に嫁がせると約束していた大将の娘大君と契り,大将を困惑させる。折から中納言は亡父が唐の皇子に転生していると伝聞し,夢にも見て渡唐する。そこで転生の皇子とその母后に会って,母后に心ひかれ,のち,はからずも契り男子が生まれる。この母后は遣日使と日本の上野宮との間の子であった。3年ののち,中納言は男子を連れて帰国して乳母に預ける。一方,渡唐の間に妻の大君は中納言の女子を生み尼となっていた。中納言は唐后に託された手紙を持って后の母尼を吉野に訪ねる。そこで中納言は后の異父妹吉野姫を託され,自分のもとに引き取ったが,好色の式部卿宮に盗まれる。悲しむ中納言の夢に唐后が現れ,自分は中納言の願いにひかれて転生して吉野姫の腹に宿ったと告げる。吉野姫は式部卿宮の子をはらんだ。中納言は夢を思い合わせて悲喜こもごもの思いだった。日本と唐を舞台に夢と転生をつづる浪漫性の色濃い物語で,三島由紀夫の小説《豊饒の海》にも影響を与えた。
[松尾 聰]

[索引語]
菅原孝標女 御津の浜松


新編 日本古典文学全集
浜松中納言物語
はままつちゅうなごんものがたり
【閲覧画面サンプル】
浜松中納言物語 全体

【上記の拡大画像】
浜松中納言物語 拡大

【現代語訳】
〔一〕 
亡父に孝養を尽くす志が深く、深く思い立ってしまった旅路だからであろうか、恐ろしくて遙かに遠いと思いを走らせていた海上の旅であるが、荒い波風にも遭わないで、思う通りの風が特別に吹いて船を送る感じがして、中納言は唐土の温嶺という所に、七月上旬の十日に到着なさってしまう。そこを出航して、杭州という所にお泊りになる。その港は入江の湾内にあって、とても気分が晴れ晴れとするにつけても、大将殿の大君と石山寺に詣でた折の近江の湖がつい思い出されて、しみじみ身にしみて、大君が恋しいことこの上ない。

別れにし……(別れてきてしまったわが故国の鳰の海―琵琶湖で、肩を並べて姿を湖面に映したあの人が恋しい)

そこよりこほうだうにお着きになる。たいそう気分が晴れやかになって、そこは人の家などが多くて、日本の人がお通り過ぎになるというので、家々の人が外に出て見物し、ざわめく様子などがとても珍しい。歴陽という所に船を停めて、そこよりは、華山という山が、峰が高く谷が深く、道の険

【目次】
目次
古典への招待
凡例

浜松中納言物語(扉)
首巻(扉)
散逸首巻の梗概
付記
浜松中納言物語 巻第一(扉)
巻第一 梗概
〔一〕中納言、海路も陸路も平穏に唐の都に到着
〔二〕中納言参内、唐帝・大臣、その人物に驚嘆す
〔三〕中納言、第三皇子に対面し、亡き父を偲ぶ
〔四〕中納言、従者たちと故国を想い、歌の唱和
〔五〕紅葉の賀の翌日、中納言、河陽県を訪問す
〔六〕中納言、唐后を見初め、女房と和歌を唱和
〔七〕唐后の素性と、河陽県に住む事情の説明
〔八〕唐后、生母のいる日本を回想、懐かしむ
〔九〕唐后、皇子より中納言との因縁を聞き感銘
〔一〇〕中納言、大将の姫君の夢告げに彼女を案ず
〔一一〕中納言、梅林を訪れ、桃源に至り感慨深し
〔一二〕五の君が恋煩い、父大臣、中納言を招待す
〔一三〕中納言、大臣家にて五の君と一夜を明かす
〔一四〕中納言に唐后と再会の夢告、唐后、山陰退居
〔一五〕中納言、偶然山陰を訪れ、老翁と歌の唱和
〔一六〕中納言、唐后に似た女と逢い、契りを結ぶ
〔一七〕中納言、女と約束の長里に赴くが人影なし
〔一八〕唐后懐妊、蜀山に籠る。中納言、女を探す
〔一九〕中納言、河陽県を訪れ、皇子と唐后を恋う
〔二〇〕皇子、中納言と長河で六月祓、歌の唱和
〔二一〕七夕に、内裏で作文・管弦。唐帝も后を恋う
〔二二〕中納言、蜀山を訪れ、唐后と唱和、涙ぐむ
〔二三〕中納言、蜀山に隠棲の唐后の父大臣と対面
〔二四〕唐后、蜀山で秘かに男児出産、処置に苦慮
〔二五〕中納言、女に逢えず悶々。唐后帰京の宣旨
〔二六〕唐帝、中納言へ餞別に后の琴演奏をと決意
〔二七〕身分を伏せた女の演奏に、中納言驚嘆す
〔二八〕中納言、山陰の女を探索し、女王の君を知る
〔二九〕中納言、唐后の秘密を聞き、子の若君を抱く
〔三〇〕女王の君、唐后に中納言と逢うよう勧める
〔三一〕若君の処置に悩む唐后に渡日させよと夢告
〔三二〕中納言、唐后と対面、母への文箱を預かる
〔三三〕皇子も加わり、唐后と中納言、惜別の合奏
〔三四〕五の君の便りに引かれ再訪、大臣家別れの宴
浜松中納言物語 巻第二(扉)
巻第二 梗概
〔一〕中納言、若君を伴い帰国の途上、京へ便り
〔二〕中納言の消息に母安堵。中将の乳母筑紫へ
〔三〕尼姫君、別居を望む。中納言の母、許さず
〔四〕中納言、中将の乳母に若君を秘かに預ける
〔五〕中納言、大君の剃髪と出産を聞き、自責す
〔六〕大弐、女を中納言に奉らんと用意して招く
〔七〕中納言、女と一夜を送るが、契りを結ばず
〔八〕中納言の、女と契らぬ釈明に大弐夫妻動揺
〔九〕中納言、見送りの唐人に手紙を託し、惜別
〔一〇〕中納言、上京直前、大弐の女と再会を約す
〔一一〕中納言と大将の再会。両者の心情深し
〔一二〕中納言、母上と対話。児姫君を初めて抱く
〔一三〕中納言、悔恨の思いで尼姫君と語り明かす
〔一四〕大将、中納言と尼姫君との関係に心を砕く
〔一五〕中納言、尼姫君を寄る辺と定め朝夕に逢う
〔一六〕中納言、帰国後初の参内、御門と歌の唱和
〔一七〕中納言、帰途、中宮に参る。女房と歌の唱和
〔一八〕中納言、児姫君の袴着催し、大将は安堵する
〔一九〕中納言と尼姫君との清浄な契りに大将安堵
〔二〇〕尼姫君に仏堂建立、周囲も次第に落ち着く
〔二一〕中納言、后の文箱を開けて読み、万感迫る
〔二二〕中納言、吉野訪問を決意し尼姫君に語る
〔二三〕中納言、若君とたわむれ、母に暇乞いをす
浜松中納言物語 巻第三(扉)
巻第三 梗概
〔一〕中納言、吉野の聖に対面して用件を告げる
〔二〕聖、隣に庵を結ぶ后の母と妹の消息を語る
〔三〕后を夢に見て勤行する尼君に聖が文を持参
〔四〕中納言、尼君と涙の対面。后の消息を語る
〔五〕中納言は聖の庵に滞在、聖は中納言に感銘
〔六〕中納言、尼君を訪れ、ねんごろに語り合う
〔七〕中納言、近在の荘園に世話を命じ、帰京
〔八〕父上野宮の没落以来、尼君がたどった運命
〔九〕吉野の姫君の成長と夢告の実現を尼君喜ぶ
〔一〇〕吉野の姫君成長し、中納言を意識し始める
〔一一〕中納言、吉野へ更衣の贈物を数々する
〔一二〕大弐の女、衛門督と結婚させられ、嘆く
〔一三〕中納言、衛門督が留守の夜、忍び込む
〔一四〕中納言の身勝手な恨み言に大弐の女は嘆く
〔一五〕中納言、衛門督の帰宅を恐れ、帰り急ぐ
〔一六〕中納言は御堂の尼姫君を招き、添い臥す
〔一七〕大弐の女、後朝の文に墨塗り、母見咎める
〔一八〕中納言、女の返歌を尼姫君に見せて語る
〔一九〕衛門督、中納言に大弐の女との件を語る
〔二〇〕衛門督婚儀。中納言、北の方に同情す
〔二一〕来室し、将来を誓う中納言に、尼姫君困惑
〔二二〕御堂落成、尼姫君のため、法華八講を催す
〔二三〕中納言、唐后を回想し恋慕。吉野に便り
〔二四〕中納言参内し、唐土の様子を語り始める
〔二五〕中納言、唐后を賞讃するが、真実は語らない
〔二六〕承香殿の女宮降嫁の勅意に、中納言困惑する
〔二七〕中納言、苦悩の尼姫君に若君を会わせる
〔二八〕中納言、吉野を再訪、姫君の琴に唐后回想
〔二九〕中納言、姫君を気遣う尼君と語り明かす
〔三〇〕中納言、姫君と和歌を贈答し、唐后を連想
浜松中納言物語 巻第四(扉)
巻第四 梗概
〔一〕中納言、女宮降嫁辞退を中将の内侍に告白
〔二〕内侍上奏し、降嫁沙汰止みに。大将は感涙する
〔三〕夢告に吉野へ急行、尼君は姫君を託し昇天
〔四〕姫君失神に、中納言護身を命じ、宿縁を思う
〔五〕中納言は姫君の身近で介抱するが蘇生せず
〔六〕姫君蘇生するが涙やまず、唐后に似た美形
〔七〕尼君埋葬。中納言は唐后に知らせえず悩む
〔八〕姫君やや回復するが中納言にはうち解けず
〔九〕中納言、姫君の世話役の女達を吉野へ招く
〔一〇〕世話役の乳母の妹母娘到着。姫君はただ困惑
〔一一〕迎えに来ると姫君に約し、中納言帰京準備
〔一二〕中納言、再会を喜び、姫君乳母子と惜別
〔一三〕帰京した中納言、尼姫君に吉野体験を語る
〔一四〕姫君の居所を乳母の里と定め、姫君に消息
〔一五〕悲嘆やまぬ姫君を迎えに中納言吉野に到着
〔一六〕聖、姫君二十歳以前に契るべからずと警告
〔一七〕道中、中納言は唐后との秘事を姫君に語る
〔一八〕若君は姫君を母と呼び慕う。姫君も落ち着く
〔一九〕聖の戒め通り、中納言は尼姫君の所に泊る
〔二〇〕大将一家移り来て、華やぐ中納言邸の正月
〔二一〕愛らしく成長した児姫君に、大将、戴餅祝う
〔二二〕中納言、姫君の美しさに唐后を想い、悩む
〔二三〕式部卿宮来訪。中納言を羨み、女性談義
〔二四〕中納言、式部卿宮への警戒心を姫君に説く
〔二五〕式部卿宮より姫君への消息に、中納言返歌
〔二六〕唐后を毎夜夢に見た上、昇天したと天の声
〔二七〕天の声に悲嘆、中納言は千日の精進始める
〔二八〕中納言、姫君と唐后を偲び、尼姫君を気遣う
〔二九〕姫君を式部卿宮がつけ狙う。姫君は瘧に悩む
〔三〇〕姫君は清水寺に参籠し、宮は機会を窺う
〔三一〕中納言が清水寺より帰邸。宮は好機と思う
浜松中納言物語 巻第五(扉)
巻第五 梗概
〔一〕姫君が清水寺より失踪。周囲みな泣き惑う
〔二〕誰の仕業かと中納言は姫君の安否を気遣う
〔三〕姫君を夢と幻影に見る。三位の中将に嫌疑
〔四〕大弐の女が中納言の子懐妊。夫の留守に逢う
〔五〕中納言は、大弐の女を言葉巧みに慰める
〔六〕帰途、衛門督先妻宅を垣間見て感慨深し
〔七〕姫君は依然行方知れず、中納言の慕情切々
〔八〕唐后が姫君腹に転生と夢告げ。御修法開始
〔九〕大弐の女が男児出産。中納言は産衣を贈る
〔一〇〕東宮となる式部卿宮が、姫君を梅壺に隠す
〔一一〕宮は姫君の純潔を知り、別人かと戸惑う
〔一二〕姫君は中納言を想い憔悴し、宮は扱いに苦慮
〔一三〕入内予定の関白の姫君裳着。宮の苦慮は続く
〔一四〕中納言に告げよと言い姫君失神。使者派遣
〔一五〕姫君の安否を気遣う中納言に宮の使者来る
〔一六〕宮は中納言に、姫君誘拐の一部始終を語る
〔一七〕中納言は宮に、姫君が異母妹だと取り繕う
〔一八〕中納言が姫君と対面。戻る姫君を宮が追う
〔一九〕衰弱する姫君のため、吉野の聖を招き祈祷
〔二〇〕宮の忍び通いに周囲は困惑。姫君次第に回復
〔二一〕中納言は姫君に苦衷を訴え、唐后の夢を語る
〔二二〕中納言の愁訴はゆるみ、宮の立太子近づく
〔二三〕中納言は宮の来訪頻りな姫君の後見となる
〔二四〕立太子の宮に関白姫君入内。吉野姫君苦境に
〔二五〕懐妊した姫君を異母妹として母に会わせる
〔二六〕姫君が母と尼姫君に親しむのを中納言喜ぶ
〔二七〕異母妹とした姫君と契れず、中納言は苦しむ
〔二八〕姫君の出産が近く、東宮も中納言も御修法
〔二九〕唐人来朝し、唐后崩御、第三皇子立太子の報

校訂付記
解説
一 『源氏物語』よりのちの物語
二 書名について
三 作者とその成立
四 構成について
五 唐土描写の一端
六 諸本について
参考文献
付録(扉)
主要登場人物系図
作中中国地名略図
浜松中納言物語年立
初句索引
奥付

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37. あや‐か
日本国語大辞典
見事に」(2)きゃしゃなさま。はかないさま。*浜松中納言物語〔11C中〕四「いみじういまだあやかなりと見ゆれど、子など有けるは、今始めたる中にはあらざりけり」* ...
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日本国語大辞典
*大斎院前御集〔11C前〕下「ここのへにいまはきなれぬあやごろもなみだにのみやかけてみるらむ」*浜松中納言物語〔11C中〕三「さぶらふ人々の料には、あやごろも、 ...
39. あやま・る【誤】
日本国語大辞典
「あやまりて」の形で副詞的に用いる)そのようにしようとは思わないのにそうなってしまう。*浜松中納言物語〔11C中〕四「化粧(けしゃう)しつくろひたるはめもたたず ...
40. あら‐えびす【荒夷】
日本国語大辞典
【一】〔名〕都の人が東国人を卑しめて言った語。荒々しい人、とくに、粗暴な東国人。また、勇猛な東国武士。*浜松中納言物語〔11C中〕四「いみじからんあらえびすも泣 ...
41. あらぬ=物(もの)[=者(もの)]
日本国語大辞典
*枕草子〔10C終〕九・うへにさぶらふ御猫は「物くはせたれどくはねば、あらぬものにいひなしてやみぬる」*浜松中納言物語〔11C中〕二「さばかり若うさかりなりし御 ...
42. あら‐まう・し
日本国語大辞典
〔連語〕(動詞「あり(有)」の未然形に助動詞「まうし」の付いたもの)生きているのがつらい。*浜松中納言物語〔11C中〕三「我が身一つのみ、はづかしくあらまうく思 ...
43. あらま〓し【荒】
日本国語大辞典
*源氏物語〔1001〜14頃〕橋姫「川風のいとあらましきに、木の葉の散りかふ音、水のひびきなど」*浜松中納言物語〔11C中〕二「さしもあらましき浪の上に漕ぎはな ...
44. あらまほし‐げ【有─】
日本国語大辞典
て、女房のつぼねつぼねまで御心とどめさせ給けるほどしるく見えて、いとあらまほしげなり」*浜松中納言物語〔11C中〕三「すまひなどきたなげならずしなして、堂どもあ ...
45. あらわ‐か・す[あらは‥]【現─・顕─・表─】
日本国語大辞典
〔他サ四〕(「かす」は接尾語)「あらわす(表)」に同じ。*浜松中納言物語〔11C中〕二「若君の御事を、しのびていときさきの御腹とこそあらはかひ給はねど」*梁塵秘 ...
46. ありつき‐がお[‥がほ]【有付顔】
日本国語大辞典
ものなれた様子。*更級日記〔1059頃〕「なれたる人は、こよなく、何事につけてもありつきがほに」*浜松中納言物語〔11C中〕二「いと安らかにありつきがほに、別る ...
47. あり‐なし【有無】
日本国語大辞典
いるかいないかということ。うむ。*落窪物語〔10C後〕二「これにてこそ心ざしありなし見えはじめ給はめ」*浜松中納言物語〔11C中〕三「やがて跡絶えにしかば、世に ...
48. あり‐にく・し【在悪】
日本国語大辞典
〔形ク〕生きていくのがむずかしい。生きていきにくい。*浜松中納言物語〔11C中〕一「よづかぬ世界ありにくくも、ふるさと恋しき事、まさるなめり」*栄花物語〔102 ...
49. あるじ‐だ・つ【主─】
日本国語大辞典
*落窪物語〔10C後〕二「暮れぬれば、御台まゐりなどして、帯刀(たちはき)あるじだちてしありく」*浜松中納言物語〔11C中〕四「中納言あるじだちて、けいめいしつ ...
50. ある に 任(まか)せる
日本国語大辞典
*源氏物語〔1001〜14頃〕宿木「ただ消えせぬほどは、あるにまかせておいらかならんと思ひ果てて」*浜松中納言物語〔11C中〕二「あるにまかせて、おいらかに人の ...
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落窪物語(日本古典文学全集・世界大百科事典・国史大辞典)
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