1. とはずがたり
日本古典文学全集
後の南北朝の対立の萌芽が出始めていた頃、14歳でその一方の側の後深草院の寵愛を受けた女性――後深草(ごふかくさ)院二条が、深草院の寵愛を受けながら廷臣や高僧とも ...
2. トワズガタリ【とはずがたり】
全文全訳古語辞典
[書名]鎌倉後期の日記。後深草上皇に愛された二条(=源雅忠ノ娘)の著。十四歳で上皇の寵愛を受けて以来の恋の遍歴と、三十二歳で出家した後、西行の跡を慕って諸国を旅 ...
3. とわずがたり【とはずがたり】
国史大辞典
』などに所収。 [参考文献]山岸徳平『とはずがたり』解題(『桂宮本叢書』一五)、次田香澄『とはずがたり』解説(『日本古典全書』)、松本寧至『とはずがたりの研究』 ...
4. とはずがたり(とわずがたり)
古事類苑
人部 洋巻 第1巻 849ページ ...
5. とはずがたり[文献解題]広島県
日本歴史地名大系
五巻五冊 後深草院二条著 成立 徳治二年頃 写本 宮内庁書陵部 解説 中院大納言久我雅忠の女で後深草院に仕えて二条と称した女性の日記。第五巻に厳島参詣の旅 ...
6. とはず-がたり【問はず語り】
全文全訳古語辞典
〔名詞〕人が尋ねもしないのに、自分から話すこと。 「あさましきことまで、問はず語りに言ひ出だす」〈徒然草・107〉(つつましいと見える女でも)あきれはてることま ...
7. あい‐べち【愛別】
日本国語大辞典
〔名〕「あいべつ(愛別)」に同じ。*とはずがたり〔14C前〕五「こぞの御あはればかりは、なげかれさせおはしまさざりしぞ、うたてきあいへちなるや」 ...
8. あお‐やなぎ[あを‥]【青柳】
日本国語大辞典
いう、盗人仲間の隠語。〔隠語輯覧{1915}〕【二】「あおやぎ(青柳)【二】〔一〕」に同じ。*とはずがたり〔14C前〕三「呂(りょ)の歌〈略〉律 あをやなき」確 ...
9. 赤坂(岐阜)
世界大百科事典
《平治物語》には源義朝の身がわりとなって佐渡式部大輔重成が赤坂の子安の森で討死したことがみえ,《とはずがたり》では赤坂宿に〈宿の主に若き遊女姉妹あり。琴・琵琶な ...
10. あかさかしゅく【赤坂宿】岐阜県:大垣市/旧多藝郡・不破郡地区/赤坂村
日本歴史地名大系
鎌倉時代以降、同じく東山道の宿駅であった青墓が衰退するのに代わって発展していった。鎌倉期の日記文学「とはずがたり」に、作者である二条が正応二年(一二八九)東国へ ...
11. あしがらやま【足柄山】静岡県:駿東郡/小山町
日本歴史地名大系
は七代将軍惟康親王の更迭と、下向する八代将軍久明親王の迎えの使者が足柄山を通る時の印象を「とはずがたり」に記している。建武二年(一三三五)一二月の箱根・竹之下の ...
12. あしずりみさき【足摺岬】高知県:土佐清水市/足摺村
日本歴史地名大系
これがいつしか「足摺」とも書かれるようになった。いつ頃から併用されるようになったかは不明だが、鎌倉時代の「とはずがたり」に補陀落渡海説話に関連して「泣く泣く足摺 ...
13. あじ[あぢ]【味】
日本国語大辞典
の酒すそにかかれはあじに見へ」*人情本・春色梅児誉美〔1832〜33〕三・一七齣「不問語(とはずがたり)の口占も、あじなせりふに、お蝶より奥で聞とるお由が胸へ、 ...
14. あだちぐん【足立郡】埼玉県:武蔵国
日本歴史地名大系
受けた二条(大納言源雅忠の娘)が、正応二年(一二八九)一二月からしばらく小川口(現川口市)に滞在しており(とはずがたり)、東国巡遊の旅に出た歌人の尭恵が文明一八 ...
15. あだちぐん【足立郡】東京都:武蔵国
日本歴史地名大系
この史料が現在唯一の用例である。文学では後深草院二条の正応二年(一二八九)末の小川口(現川口市)への逗留(とはずがたり)、尭恵の文明一八年(一四八六)における箕 ...
16. あつたじんぐう【熱田神宮】愛知県:名古屋市/熱田区/宮宿
日本歴史地名大系
江戸後半期にはほぼ二五年ごとに遷宮を行った。正応四年(一二九一)熱田社が焼け、直ちに造営にかかった様子が「とはずがたり」にみえるので、まもなく遷宮が行われたこと ...
17. あつ‐づま【厚褄】
日本国語大辞典
あつづまやなぎ、内大臣殿 こうばい、大宮の大納言殿 まつがさね のこりの人々はいとも見えわかず」*とはずがたり〔14C前〕二「又公卿あつつまにて、殿上人六位かた ...
18. あま‐そそぎ【雨注】
日本国語大辞典
1001〜14頃〕紅葉賀「立ちぬるる人しもあらじあづまやにうたてもかかるあまそそきかな」*とはずがたり〔14C前〕一「神な月のはしめの八日にや、しくれの雨のあま ...
19. あまだり の 石(いし)
日本国語大辞典
*梵舜本沙石集〔1283〕八・一一「坊主が秘蔵の水瓶を、あまだりの石に打あてて、打破てをきつ」*とはずがたり〔14C前〕五「とかくうかかひて、あまたりの石のへん ...
20. あら ざらん道(みち)
日本国語大辞典
あの世への道。来世への道。*とはずがたり〔14C前〕四「『必ず近き程に、今一度よ』と承りし御声、あらさらんみちのしるべにやとおぼえて」 ...
21. あん【案】
日本国語大辞典
頃か〕六・四五「一の鹿有て、門を突て入来て、此の経の案の前に立て、頭を挙て舐(ねぶ)る」*とはずがたり〔14C前〕五「みまゐらせつる御影、いらせおはしますなりけ ...
22. いい‐つよ・る[いひ‥]【言強】
日本国語大辞典
〔自ラ四〕強がって言う。言って奮起する。*とはずがたり〔14C前〕一「例の心弱さは、否(いな)ともいひつより得で、居たれば」 ...
23. 飯沼助宗
世界大百科事典
ている。93年4月,執権北条貞時の手によって父頼綱とともに鎌倉経師ヶ谷に攻め誅せられた。《とはずがたり》の二条と親交があった。稲葉 伸道 平資宗 ...
24. いい‐まぎらか・す[いひ‥]【言紛】
日本国語大辞典
〔他サ四〕「いいまぎらす(言紛)」に同じ。*とはずがたり〔14C前〕五「熊野参りと聞けば、のどかに、この度の下向になど、いひまきらかしてたちぬ」*文明本節用集〔 ...
25. いう にや 及(およ)ぶ
日本国語大辞典
(「や」は反語を表わす係助詞)言うに及ぼうか。言うまでもない。*とはずがたり〔14C前〕一「いふにやをよふ、かかる事やはとも、言ふべきことは」*太平記〔14C後 ...
26. いさまし‐さ【勇─】
日本国語大辞典
い」の語幹に接尾語「さ」の付いたもの)勢いや活気のあること。勇敢なこと。また、その度合。*とはずがたり〔14C前〕三「『ただ今御ふねにめさるるに、まゐれ』とおほ ...
27. いしかわまさもち【石川雅望】
国史大辞典
発揮した。同三年に公事宿譴責一件に連坐して、江戸構えとなり鳴子村に逼塞(この事件は、その著『とはずがたり』に詳しい)。翌年称をかえて江戸の内藤新宿に移る。その閑 ...
28. いし‐の‐とう【石の塔】
仏教語大辞典
河原で石を積み重ねて故人を供養し廻向すること。また、その塔形のもの。 →石塔 とはずがたり 一 「八幡にて一日の大般若、河原にて石の塔、なにくれと沙汰せらるるこ ...
29. いせ の 祭主(さいしゅ)
日本国語大辞典
伊勢神宮の長官。*紫式部日記〔1010頃か〕寛弘五年九月一五日「大輔 伊勢のさいしゅ輔親が女」*とはずがたり〔14C前〕四「いせのさいしゅがゆかりあるに」 ...
30. い‐たん【一旦】
日本国語大辞典
〔副〕「いったん(一旦)」の促音が表記されなかったもの。*とはずがたり〔14C前〕二「久我あまうへが申状、いたん、そのいはれなきにあらず」*高野山文書‐(年未詳 ...
31. いちじひみつ‐じゅ【一持秘密呪】
仏教語大辞典
尊大威怒王秘密陀羅尼経』、または、『不動尊秘密陀羅尼経』)にみえる不動明王の末偈の一句。 とはずがたり 一 「絵像の不動、御前にかけて、奉仕修行者、猶如薄伽梵、 ...
32. いち‐どう【一同】
日本国語大辞典
也」*古今著聞集〔1254〕五・一七八「『初献は和歌の宗匠つとめらるべし』。満座一同しければ」*とはずがたり〔14C前〕二「などか又、おのおの見つがざりつるぞ。 ...
33. いち‐ろう[‥ラフ]【一臈】
日本国語大辞典
彼の山の一臈をなむ用ける」(2)一般に、年功を積んで長老となった人。最長老。また、集団の筆頭。*とはずがたり〔14C前〕一「すでに、身、正二位大納言、一らう、氏 ...
34. 一休ばなし(仮名草子集) 344ページ
日本古典文学全集
といへども、といふものを、しらずと、とがむるものもしらず。しかれば、釈迦弥陀はよしなのとはずがたりやといふものは、とはずがたりかといひければ、一黙しておりける。 ...
35. いっ‐しょ【一所・一処】
仏教語大辞典
その像)。 無量寿経論釈 二 「言起観者、繫念一処、諦観彼国」 2 同じ所。たとえば、極楽浄土。 とはずがたり 三 「このたび一所に生れて」 ...
36. いつくしまじんじゃ【厳島神社】広島県:佐伯郡/宮島町/厳島
日本歴史地名大系
壇がことごとく焼失したともいわれるが(一代要記)、不明。乾元元年(一三〇二)厳島に詣でた「とはずがたり」の作者二条は「かのしまにつきぬ、まんまんたる波の上に、鳥 ...
37. いつ‐し‐か【何時─】
日本国語大辞典
〔13C前〕一一・文之沙汰「人のかく言ふにおごって、いつしか世を我がままにしたるにこそ」*とはずがたり〔14C前〕一「春のはじめには、いつしかまゐりつる神のやし ...
38. いと を 引(ひ)く
日本国語大辞典
走井「走井の 小萱刈り収めかけ それに こそ 繭つくらせて伊(イ)と比支(ヒキ)なさめ」*とはずがたり〔14C前〕四「十たんの蓮の茎をたまはりて、極楽の荘厳、織 ...
39. いまよう【今様】
国史大辞典
笛・笙なども用いられた。鎌倉時代に入り、漸次、今様は衰退したが、『吾妻鏡』にある東国武士の賞玩や、『とはずがたり』における後深草院の藤原兼忠への今様伝授などの記 ...
40. いも‐まき【芋巻】
日本国語大辞典
芋巻
」*
とはずがたり〔14C前〕一「いもまきといふ物を、かはらけにいれて」*日葡辞書〔1603〜04〕「Imomaqi
...41. いや‐ねたみ【彌嫉妬】
日本国語大辞典
〔名〕いよいよひどくねたむこと。たいそうな嫉妬(しっと)。*とはずがたり〔14C前〕二「猶名残り惜しとて、いやねたみまであそばして」 ...
42. いらえ‐がち[いらへ‥]【応勝】
日本国語大辞典
〔形動〕口数多く返事をするさま。*とはずがたり〔14C前〕二「御物かたりなどあるに、いと御いらへかちなるも、御心に合はずや、と思ひやられてをかしきに」 ...
43. いるまがわ【入間川】埼玉県:総論地図
日本歴史地名大系
正安三年(一三〇一)に集成された「宴曲抄」の善光寺修行の道行には「ふかくや思入間川」と歌われている。「とはずがたり」正応二年(一二八九)一二月条に「前には入間川 ...
44. いるまぐん【入間郡】埼玉県
日本歴史地名大系
後者は現川越市的場・伊佐沼、現坂戸市三芳野などに比定する考えがある。鎌倉時代の「信生法師日記」や「とはずがたり」をはじめ、その後も「都のつと」「廻国雑記」「北国 ...
45. いわき ならぬ心(こころ)
日本国語大辞典
非情でない心。人情を解する心。*とはずがたり〔14C前〕一「いは木ならぬ心には、身にかへんとまでは思はざりしかども」 ...
46. 岩淵
世界大百科事典
。東京都の北端に位置し,荒川をはさんで埼玉県川口市と対している。鎌倉後期の女流文学の一つ《とはずがたり》のなかに,〈岩淵の宿といひて遊女どものすみかあり〉と記さ ...
47. いわぶちごう【岩淵郷】東京都:北区/岩淵宿
日本歴史地名大系
正応二年(一二八九)一二月に対岸の小川口(現埼玉県川口市)に滞在した久我雅忠の娘後深草院二条は、「とはずがたり」に「岩淵の宿といひて、遊女どものすみかあり」と記 ...
48. うい の 眠(ねむ)り
日本国語大辞典
仮の世界に安住して悟りに目ざめないこと。*とはずがたり〔14C前〕五「うゐのねふり一度醒めて、二度故郷へ帰らず」 ...
49. うえ‐くち[うへ‥]【上口】
日本国語大辞典
能々御分別専用候」(2)上段の間。貴顕の人々が出入りするところ。また、上手(かみて)のほうの戸口。*とはずがたり〔14C前〕一「如法夜ふかしとて、うへくちにたた ...
50. うえ‐ぶし[うへ‥]【上臥】
日本国語大辞典
右大臣殿上人の時、南殿のさくらさかりなるころ、うへぶしより、いまだ装束もあらためずして」*とはずがたり〔14C前〕一「うへふしに参りたるに、夜中ばかりに」 ...