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大井川の車窓から

2011-05-03

風薫る五月になりました。みなさん、いかがお過ごしですか?ゴールデンウィーク中も、休まずメルマガ、お届けします。かおるんです。

連休まであと1日と迫った先日、「SLに乗って、美女づくりの温泉に行かへん?」と同じ関西出身の先輩から連絡が入りました。「SLに美女づくり!鉄道&温泉好きの私たちにぴったり! 喜んでおともしますとも、先輩!」四月の風に誘われ、女二人が向かうのは、お茶どころ静岡!

東海道線を乗り継ぎ乗り継ぎ、途中、熱海で桜えびの刺身をかっくらって、降りたのは金谷。今もSLが走る大井川鉄道のターミナルです。2日間有効のフリーきっぷを手に、めざすのは千頭(せんず)駅。そこからバスに揺られ、美女づくりの温泉がある寸又(すまた)峡に行くというわけです。

残念ながらこの日の上りのSLはすでに終了。しかし駅にはどこか見たことのある懐かしい電車が。「近鉄やで! ほかにも京阪、南海の車両が走ってるんよ~」と先輩。「つ、つまり、幼いころ母に連れられ乗ったあの電車も、そして青春時代を彩ってくれたあの電車も走ってるわけですね。大井川鉄道は動く鉄道博物館だっ!」とかなり興奮気味の私。

さて「大井川鉄道」ってどんな鉄道? 日本国語大辞典によると。

東海道本線金谷から大井川上流の井川まで通じる鉄道線。南アルプスの国有林から材木搬出のため昭和6年(1931)金谷・千頭間を敷設、井川ダムの建設に伴い千頭・井川間(井川線)を延長。全長64.9キロメートル。

昭和51年、金谷・千頭間の大井川本線で運転を復活させたSLは、ほぼ毎日走っているそうです。千頭・井川間の井川線は、一部アプト式(列車が滑らないよう、2本のレールの中央に歯車でかみ合う軌条を取り付けている)区間があり、“南アルプスあぷとライン”という愛称で親しまれています。

山々の新緑、若く美しい茶葉たち……車窓からは春の緑があふれています。とくに川根茶の茶畑連なる風景は見ていて清々しい。寒さが長引いた今年は茶摘みの時期も遅れており、ようやく新茶が出回り始めたとか。そしてなんといっても雄大な大井川! 「そうそう、大井川って、長い間、橋がなかったやんな。昔は、人足で渡ってたって聞いたけど……」と先輩。

さて、どうして大井川に橋はかけられなかったのか? ニッポニカの登場!

大井川を渡る東西交通は、古くから徒渉のための渡船や橋の発達はみられず、江戸初期まで「自分越し」が原則であった。とくに江戸時代には「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」といわれ、東海道屈指の荒れ川のほかに、関所川でもある難所であった。幕府は防衛政策上、架橋も渡船も禁じた。1696年(元禄9)島田代官野田三郎左衛門のとき、徒渉制度が確立し、川庄屋(かわしょうや)、川会所が設けられた。川越(かわごし)は島田、金谷宿の両岸に配された川越人足によって行われ、肩車と輦台(れんだい)越し(渡し)があった。

大井川は東海道の“天然の堀”と位置付けられていたんですね。『東海道中膝栗毛』でも“大井川の渡し”の大変さが面白おかしく描かれておりました。

さて、私たちのSL&美女づくり1泊2日の旅はどうなったのか。温泉に山の幸、川の幸をた~っぷり堪能し、近鉄、南海、京阪車両は制覇!しかーし、肝心のSLは時間が合わず、途中ですれ違っただけ。でも見ればときめくシックな車体、聞けば胸高鳴るあの汽笛、そしてはちきれんばかりのお客さんたちの笑顔……たくさんの元気をもらいました!

ではここで問題です。SLは何の略でしょう? 答えはのちほどっ!

2011-05-03 written by かおるん
SLとはSteam Locomotive(蒸気機関車)の略です。連休もいよいよ後半戦。予定が未定の方は、ぶらり電車の旅に出かけてみてはいかがでしょう?はて、美女づくりは成功したのか、判断しかねる、かおるんでした。