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今年の冬の寒さはやけに身体に沁みる。なのに、まだない!ない!ない!のである。かおるんの冬の定番食が、いまだに東京に入ってきていない!
それは、たぬきうどんである。え?蕎麦屋で頼めばいいじゃん、ってそれ、全然違うんです。
京都のたぬきうどんは、きざんだお揚げに、九条ネギが入ったあんかけうどん。そこにおろししょうがを入れる。これは心底暖まること間違いないでしょ? ほれ、どうどす?
上京するまで、あのカップ麺の「緑のたぬき」の意味がわからなかった。なんで「たぬき」に天かすが入っているのかもわからなかったし、それについて深く考えようともしなかった。それだけ、京都のうどん文化にどっぷりハマっていたのだ。
ではここで、ジャパンナレッジ「大辞泉」で「たぬきうどん」を調べてみる。
たぬき‐うどん
刻みねぎと揚げ玉をのせたかけうどん。→たぬきそば[補説]
「たぬきそば」を見てみると、
たぬき‐そば
刻みねぎと揚げ玉をのせたかけそば。
[補説]地域によっては、油揚げをのせたものや、あんかけにしたものなどを指していう。
おおっと! 補説に大阪と京都のたぬきが出てきた(ただ京都はうどんだけに使うような気もする……)。
上京する前、何年か大阪で勤めたことがある。ランチタイムに蕎麦屋に入って「たぬき」を頼んだ。ああ、あの美味しいあんかけうどんが出てくるぞーっ!と期待していると、あれ? 甘いお揚げののった「きつねそば」が出てきた。このとき、大阪では「きつね」は「きつねうどん」であり、「たぬき」は一般的にいう「きつねそば」だということを初めて知った。
ちなみに大阪の立ち食いそば屋さんには天かすは無料でサービスされている。なので、たぬきそばというメニューはない。しかし、天かすが入っているうどんになるとなぜか、「はいからうどん」という名称になる(京風を名乗る、某どんぶりチェーン店で是非ご賞味ください)。
そしてこの「たぬき」問題を調べていくうち、「天かす」「揚げ玉」問題にぶち当たった。天かすは東では「揚げ玉」、西では「天かす」と呼ばれることが多いそうだ。そして特に関東出身者は天かすという言葉に非常に抵抗を感じるという(ということでここまで文章を読んでいただいた関東のみなさま、失礼しました)。
ちなみになぜ天かす(揚げ玉)ののったものが「たぬき」というのかは、天ぷらの具材となる「種」が入っていないことから、「種ぬき」が転じて「たぬき」とか、江戸では天ぷらをごま油で揚げていたため、「きつね」よりも色が濃いので「たぬき」をイメージした、など諸説あるそうです。